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ラマダンの旅行術 - How to travel during the Ramadan

イスラム圏には、1年に1回(2009年は8月中旬から9月中旬)、ラマダン(断食月)があります。ラマダン中は、日の出(4時頃)から日没(18時半頃)まで飲食が禁じられ、役所・会社などでも営業時間が短くなります。私は、2006年9月にモロッコ、2009年9月にチュニジアでラマダンに参加しましたが、そのときの経験からいくつか助言をします。

1.ラマダン中の旅行は一応可能です。観光施設、商店、公共機関などは、十分機能しています。しかし、営業時間が一部短縮されるので注意しましょう。仕事の効率は低下しがちですし、ツアーガイドなどにも早めに切り上げる配慮が必要です。私の場合、ガイドブックだけを信じてラマダンスケジュールの確認を怠り、金曜午後に郵便局や図書館が予想外に早く閉まってしまい、途方に暮れたことがあります。また、ハマム(蒸し風呂)名物の垢すりも、「水が飲めなくて喉が渇くから」と時間短縮されたことがあります。

2.ラマダン期間の日中も、外国人・異教徒だけは例外で、飲食が可能です。しかし、モロッコのカサブランカの場合、空いているのは大型ホテル内のレストランと、市内の観光客向け高級レストラン、マクドナルドくらいで、すべてのレストラン、カフェ、食料品店にシャッターが下ります。チュニジアのチュニスはもう少し緩めでした。一部のパン屋・ファーストフード屋・果物屋は店を閉めず、真昼間から食べ物や飲み物を買って持ち帰る人を見かけました。また、都心の繁華街で良く気をつけると、窓をカーテンで隠し闇営業するカフェを何軒か見かけました。

3.絶食すべき日の出と日没の時間はモスクから指示されます。私の滞在期間中は、朝4時から夕方6時半頃の14時間強でした。しかし、外国人向けの高級ホテルでは、通常とおり朝食が用意されるようです。私自身は、カサブランカではキッチン付の貸アパートを借り、冷蔵庫に食料を備蓄して、自分で朝ごはんを用意しました。チュニス・ユースホステルでは、前の晩からコーヒー、パン、バター、ジャムが食堂に用意されセルフサービスでしたが、それだけでは足りないので、前日にジュース、バナナ、ヨーグルト、菓子等を買い込みました。

4.外国人は日中の飲食が許されていますが、それでも、断食している人の目の前で飲み食べするのは、当然ながらマナー違反でしょう。ヨーロッパ人の女性が、ショートパンツで旧市街を歩いたり、ペットボトルの水をラッパ飲みしたりするのを見ましたが、無神経な恥ずかしいことだと思います。敬虔なイスラム教徒は唾を飲み込むことすら控えます。我々もせめて人目のつかないところで飲食すべきです。

5.私自身は、一日中現地の人と同室で過ごす毎日だったため、モロッコでもチュニジアでも、彼らと一緒に断食しました。ただし、現地の人は朝3時に起きて朝食を食べて朝の礼拝を済ませてから朝寝しますが、私は朝6時頃に起きてからゆっくり朝食を食べたので、彼らより2時間短い12時間の断食です。断食の話題は盛り上がる格好の話題です。「ぼくも断食している」と言うと、「イスラム教徒か」と聞かれますが、「イスラム教徒ではないが、経験を共有している」と答えると、誰もが破顔一笑して連帯感が高まります。「健康にも良い」と力説するのが定番ですが、なぜか「ありがとう」と感謝されたりもします。ラマダン中は仕事の能率が落ちると言われますが、「ぼくもラマダンしているよ。ラマダン中に申し訳ないね」と言って頼んだ事務は、すべて何の滞りもなく効率的に進みました。

6.日中にカフェでお茶を飲んだり、路上の屋台で買い食いする楽しみが消えるのが、残念なところです。また、一日の終わりが近づくと、人々もさすがに空腹でイライラするようです。立派な身なりの紳士がパン屋の行列に割り込んだり、身体の弱そうな老女が八百屋を大声で罵倒したり、口論や小競り合いは毎日のように見かけました(とくにカサブランカ)。私がカサブランカでは中央市場の隣、チュニスでは旧市街の心臓部という下町に滞在していたせいかもしれません。

7.しかし、ラマダンにも楽しみがないわけではありません。日没後がお祭り騒ぎになるのです。夕方になると、まずパン屋と菓子屋が開店し、店の前に異様な人だかりができて争うように買っていきます。カサブランカでは、いよいよ日没時間が近づくと、街路から人が消え、車の交通も途絶えてしまいます。その代わり、開店したレストランやカフェの席に人々が座り、ご馳走を目の前のテーブルの上に並べたまま「お預け」をして、今か今かと日没を待つのです。モロッコの「ラマダンメニュー」には、スープ、ゆで卵、パン、ジュース、コーヒー、そしてラマダン用の蜂蜜菓子が含まれます。そして、日没時間になると、一斉に食べ始めるのです。全国のイスラム教徒が今食べ始めているのだと思うと、不思議な連帯感と高揚感があります。

8.日没後の食事は、絶食を貫き戒律を守った自分へのご褒美でもあり、ラマダンに「勝った」達成感もあり、盛り上がります。実際、ラマダン中は日常時よりも消費が増えるそうです。チュニスのメディナ(旧市街)は、食後の夜8時頃から商店も再開し、人々も繰り出して一番賑わいます。自宅で食事した人も、ミントティーやコーヒーやシーシャ(水煙草)を楽しみにカフェにやってきます。私が毎日通ったカフェでは終いには、カウンターに近づいただけで何も注文しないうちに、カフェオレが出てくるようになりました。

9.12時間の絶食は、慣れると空腹を忘れるので、想像よりも辛くはありません。むしろ忘れていた身体感覚を取り戻すのが新鮮でもあります。ただし、とくに日中に汗をかくと、口中が粘っこくなり、喉が渇くのには困りました。ハマム(蒸し風呂)で大汗をかいたときはさすがに、部屋に戻ってこっそり日没より2時間早く水を飲みました。また、ラマダン中は、朝食と夕食に高カロリーのものを限界まで食べます。帰国後測定した体重には、まったくダイエット効果は見られず、むしろ増えたようです。

いずれにせよ、郷に入っては郷に従えを実践できる健康体の人には、ラマダン中のイスラム圏も良い異文化経験になると信じる次第です。

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

tag : ラマダン イスラム 絶食

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terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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