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値引き交渉の技術 - The Art of discounting

買物・宿泊・乗物は、時間と気持ちの余裕を持ち、値引き交渉を楽しみましょう。交渉は常に笑顔で行うもので、「ボラれた」とムキになって怒るのは野暮な下策です。2009年4月から1年ぶりに加筆しました。海外土産の発想転換は別記しました。

1. 押さずに引く交渉術

交渉のコツは、「押す」のではなく「引く」ことです。日本人の多くは値切り方を誤解し、値切ったつもりがボラれています。「これもう少し安くならないの?」「XXが相場だと本に書いてある」と押したり粘ったりするのが日本流ですが、逆効果です。そもそも、ひとつの店や商品に固執してはいけません。目当ての商品への関心を隠し、関心がない振りをするのが、交渉の基本です。売り手に執着を悟られては、最初から買い手の負けです。粘ってはいけないのです。

「外国人客からは相場の2-3倍取らなくては負けだ!」と、相手を見る前から固く決め込んでいる人たちもいます。インドやベトナムの観光地で英語で客引きする自転車タクシー(Richshaw/Cyclo)は典型例です。外国人に対し変な先入観や成功体験を持ってしまうと、ダメ元で相場の数倍を言い張ります。客に逃げられては元も子もないはずですが、そのリスクを顧みず無茶な価格を譲りません。彼らはいわば、この英語の話術「だけ」を飯のタネにしている本職です。こういう人を相手にするのは不毛です。さっさと次の人に当たる方がお互いのためです。そもそも旅慣れた人なら、英語で強引に近づいてくる人を相手にしません。

2.立ち去ることが出発点

言い値の半額以下を現地語で逆提案した後、「それ以上ならいらない」「他所で買うからいいよ」と必ず最初の1軒目は本気で立ち去るのが出発点です。売り手が引き止めるうちは利幅が大きく、「話にならない」とソッポを向いて初めて相場の下限が見えます。2-3軒に足を運び、複数の売り手がソッポを向くのを確認してこそ相場を把握できます。この手間隙を惜しむなら言い値を飲むしかありません。交渉とは、「今これが欲しい」という買い手と「今この客を逃したくない」という売り手の間のチキンレースです。「今無理に買わなくても良い」「今売らなくても良い」と余裕がある方が勝ちます。

3.ポーカーフェイスで渋々

買い手が交渉の主導権を握るコツは、関心のなさそうなポーカーフェイスです。渋々ながら交渉に応じるという演技が大切です。最初は乗り気でなかった買い手が、売り手の話に説得されて、つい不必要な買い物をしてしまった。こういう筋書きこそが、売り手に「良い仕事をした」と達成感を与えます。買い手が狙うべき交渉の落としどころは、自分の要求を正面からごり押しすることではありません。むしろ、立ち去る間際に引き留められ、渋々売り手の言い分を聞いてみせるフリこそ、交渉の出発点です。

4.金額の先入観を与えない

買い手がたった一度でも高めの金額を口にしたら終わりです。売り手が「しめた、この客はもう逃げない」と確信すると、彼の頭は儲けの計算に入ります。そして、一端「30ドルの儲けだ」と具体的な金額が売り手の脳裏に点滅し始めると、頑として値下げに応じなくなります。たとえその半額でも儲けが出ても変わりません。そこから1ドルでも値引きすることは、あたかも自分の懐から紙幣を抜き取られるかのように、苦痛と憤慨を感じるようです。不思議なロックオン現象です。

4.笑顔の妥結

買い手が主張する値引きを売り手が飲んだ場合、あるいは、売り手が主張する価格を買い手が飲んだ場合、交渉成立です。買い手はその妥協点で購入し、売り手はその価格で売るのが、ルールです。買い手が「12ドルなら良い」と言い、売り手が「良し、売った」と妥結した後に、買い手が「やっぱり止めた」と言を翻すのは、ルール違反です。「すっかり説得されてしまったよ」「あなたは商売が上手いな」とか、笑顔で売り手を褒めてあげるのが、気持ちの良い交渉の終え方です。その店を再訪したときは歓迎され、二度目の交渉時間は短くて済むことでしょう。

ベトナムで値引きを迫ると、ベトナム人は最後の譲歩の一歩手前で、「あ、ははーん(笑)!」と相手を指さし、悪戯っぽく笑う仕草をします。売り手も買い手もこれをやります。「なかなか商売上手だね!」「お陰でこっちは商売上がったりだよ!」というニュアンスです。スポーツのゲームで相手の健闘を讃え合うのに似ています。アルジェリア人も、交渉の終盤に似た笑顔を見せます。このサインが出て初めて対等な交渉だったと分かります。

4.買い手ベースの交渉例

①まず目当ての鞄よりも高そうな品をわざと指さして「いくら?」(現地語)と値段を聞き、「ええ、高いな!」(現地語)と顔をしかめてみせます。
②そして、さも関心なさそうについでに、目当てを含む複数の鞄や革細工の値段を聞き、やはり「うーん、高いな」(現地語)と繰り返します。そして「じゃあ、いらない」(現地語)と立ち去ります。
③すると、店主は「これなら30ドルだぞ」「いくらなら払う?」などと、追いかけてくるはずです。そこで「10ドルしか払えない」と言ってみて、店主の反応を見ます。
④彼が関心を失って横を向くようなら、次の店で「15ドル」(現地語)を試します。逆に彼がすぐに「12ドルでどうだ?」と反応して来たら、その引止め姿勢(=価格の高止まり具合)を良く観察した上で、次の店で「5-8ドル」を試します。こうした初期交渉まではすべて現地語で行うべきです。

⑤こうして3-4軒試して相場を把握してから、一番安い店で交渉を開始します。ここでも関心がなさそうな素振りが出発点です。複雑な話では、英語を混ぜても仕方ないでしょう。
⑥そこに黒しかないのを見た上で、わざと「茶色はないの?」と聞き、「黒には関心がない」「関心がないから10ドルしか払えない」などと、失望した顔を浮かべます。商品にケチをつけるのではなく、あくまで「自分の希望と一致しない」「関心がない」と主張するのが、売り手の自尊心を傷つけない礼儀作法です。
⑦その上で、売り手のセールストークに耳を傾け、少しずつ説得されたようなフリをします。そして、「12ドルなら良い」とか「15ドルで良いけど、そこの財布もオマケにつけて」と、渋々ながら逆提案するのが、相手に「良し、落としたぞ!」と思わせる落としどころです。
⑧駄目だと言われたら、「じゃあいらない」と再び立ち去る振りをします。本当に立ち去ってしまっても良いです。が、そのときの商品と価格が他店と比べても一番良いときは、「さっき13ドルと言ったね」と再び戻って来れば良いだけです。
⑨交渉は楽しいゲームです。妥結時は「あなたは優秀なビジネスマンだね!」と笑顔で相手を褒め合うのが、フェアプレーの精神です。

5.売り手ベースの交渉例

以上の交渉術は普遍的です。交渉に慣れた人が良く観察すれば、売り手も同じテクニックを裏返して使っていることが分かるはずです。売り手側の成功例(買い手側がカモられたとき)は以下のような形です。覚えがあれば、次から改めましょう。

①「Hello, my friend! コニチハ、ニホンジン?」「Only 50 dollars! ヤスイ!」と外国人を強引に足止めして、自分の漁場に囲い込む。
②「20ドルはどう?」(英語)と話に乗ってきた客に、「これは特別な高級品だから話にならないね」(英語)と、売り手は商売に関心のないフリをする。
③「25ドルに負けてよ」(英語)と粘る客には、「しめた、こいつは客になる」「少なくとも30ドルで売れる、40ドルも狙えるかも」と確信し、ロックオンする。そして、ここぞとばかり、「これはココが素晴らしいんだ」と、ごく平凡な商品の特徴を力説する。英語や日本語を話せる売り手なら、語学力の見せどころ。
④「27ドル」(英語)と引き上げた客に、「本当は50ドルだけど、35ドル以下では赤字だ」「こちらも商売だから勘弁してくれよ」(英語)と哀れな顔で両手を挙げてみせる。もちろん大げさな演技。
⑤「うーん、じゃあ止めた」と客が逃げかけたら、「よし、負けた。30ドルならどうだ」(英語)と慌てて引き留める。このときの口調が焦っているほど、妥協額は相場よりも高値。
⑥相場15ドルのところ倍額で売りつけながら、「あんたはタフ・ネゴシエーターだな」(英語)と褒めながら商品を渡す。

これは、売り手にしてやられたケースです。買い手にとって最大の失敗原因は、客が特定商品への執着を露わにして、特定の店で粘ったことです。「30ドルで売れるな」と具体的な数値目標にロックオンした売り手は、もう断固としてその価格以下は譲歩しなくなります。もっと初期の段階で「じゃあ止めた」と立ち去れば、交渉価格の出発点がぐっと落ちたはずです。次の失敗要因は、英語で話しかけたことです。周囲に英語を話す売り手が自分しかいない場合、客は他では買物できないことを見越して、値引き額は高止まりします。日本語が話せる売り手の場合、さらに売り手ベースになります。他方、英語を話せない売り手に現地語で話しかけた場合、力関係は逆転します。彼等にとって現地語で商売できる外国人客は希少なので、このチャンスを逃したくないと焦り、売り手が折れやすくなります。買い手ベースになるわけです。

6.現地語会話と「英語料」

英語を母国語としない国で現地語を話せない場合、売り手が「英語料」という接客サービス料を上乗せするのは当然の権利です。観光地・ホテル前で待ち構え、英語で話しかける土産物屋やタクシーは典型例です。英語は習得コストをかけた彼らの飯のタネです。得意の英語を駆使して少しでも多く稼ぐために、わざわざその場所を選んで待ち構えているのです。相場より高い買い物になっても、現地語を覚える努力を怠ったあなたが悪いのです。英語しか話せない観光客は英語を話す売り手からしか買えないのですから、売り手にはわざわざ値引きをする理由がないのです。

他方、数字と慣用句さえ覚えれば、英語を話さない地元業者を相手にできます。「暑いですね」「調子は良いですか?」等の慣用句は、相手に対する礼儀でもあります。日本人ならば自分の地元の商店街で、アメリカ人がいきなり「How much?」と聞いたら、酒屋のおじさんがどれほど戸惑うか、想像できるはずです。そもそも、地酒の権威である老舗酒屋の御主人に、「英語が当然話せるだろう」と言わんばかりに話しかけて恥をかかせるのは、日本的慣習では非常識なマナー違反です。我々日本人こそは、世界どこでも母国語をしゃべりまくるアメリカ人などとは違い、英語を母国語としない者の困惑と現地文化への敬意を忘れてはいけません。その意味では、英語を話せる店員がいてドル表示まで書かれた外国人専用土産物店が、地元客相手の日常雑貨屋よりも商品の値段が高いのは、むしろ当然でしょう。旅のサバイバル語学旅のサバイバル慣用句は別記しました。

7.タクシーやガイドなどのサービス

タクシーやガイドは、サービス開始前に価格と条件を曖昧な部分を残さず合意し、サービス完了まで料金を渡さないのがルールです。「XXホテルなら知っているよ、乗ってけ」などと言われただけで、価格も確認せずタクシー等に乗ってはいけません。高額を要求されても、サービス前なら鼻で笑って他へ移れば済みます。逆に、料金を事前確認せずにタクシーに乗り込んだ場合や、「客側の指示のミスで」遠回りさせた場合などは、支払い要求で押し問答が避けられません。

インドやベトナムのリクシャーなど、サービス後に当初合意にない値段を吹っかけられることがあります。わざと遠回りされて「遠かった」と強弁されることも多々あります。逆にバンコクのタクシーなど、ドライバー自身が道を間違えた分、メーター料金を良心的に割り引いてくれたこともあります。いずれにせよ、遠回りをし始めた時点で「逆方向だよ」と注意できれば一番です。また、下車後に「無茶を言うなら払わないよ」と、当初の合意額だけ押し付けて立ち去るのも一策です。が、強硬に当初額を主張した後、ほんの少しだけ上乗せした額を最後に渡すと、相手の顔も立てられてスマートに別れられます。

しかし、タクシーやガイドなどの長時間に渡るサービスの場合、相手との個人的な信頼関係を築くことが一番重要です。執拗に交渉する商売人は、根っから強欲な人ばかりではありません。単に「外国人からは稼がなくちゃ」というスイッチが入っているだけです。そのスイッチさえ切れば、気持ち良い人間関係が築けたりすることがあります。前述のインド・ベトナムの自転車タクシーなど、スイッチの固い確信犯もごくたまにいますが、悪名高いRichshawやCycloは初めから相手にしてはいけないのです。

8.信頼関係と面子

ドライバーやガイドと私は、相手の家族を良く話題にします。子供の教育について自慢・苦労話を聞くと、その国の家族文化を知るきっかけにもなりますが、父親の誇らしげな顔を見せてくれるのが楽しいのです。また、ドライバーならば車の購入や車の免許取得、経験年数、ガイドならば外国語の勉強方法や経験年数を聞いたりもします。職業的な自慢・苦労話を聞くのは社会勉強になりますし、それに感心し正当に褒めてあげると、プロとして胸を張ってくれます。一度、誇り高き父親の口調やプロの顔になった人は、対等な人間として自分を理解し敬意を示してくれる人に対して、姑息な小銭稼ぎや裏切りをしないものです。

先進国人は、母国ではとくに金持ちでもなくても、旅先の途上国では王侯貴族のような扱いを受けることがあります。逆に、「これを買わないか?」という激しい売り込みに食傷して、周囲の誰もが詐欺師のように疑わしく見えてしまうこともあります。しかし、経済格差は、個人的な努力によるものではなく、偶然生まれた国の違いに過ぎません。それを嵩に着て、札束で人の頬を張ったり、初めから喧嘩腰で交渉するのは、恥ずかしいことです。

途上国の人々は、先進国の人以上に実利より面子を重んじる人々です。口にしないだけで年齢差にもとても敏感です。実際、親しくなればすぐに年齢を聞かれます。たとえ客と売り手の関係であっても、若者は年長者には敬意を払うべきです。日本人は欧米はもちろんアジアでも、年齢以上に若く見えるので、私はわざと会話の中で年齢をはさみ、相手を安心させることもあります。先に面子を立てることの方が、交渉そのものよりも実は重要だったりします。この辺の常識感覚は、欧米人には分かりにくくても、日本人には肌で感じられるはずです。実際、日本人の方が欧米人より、アジア・アフリカでは現地に溶け込み旅上手だと思います。

7.事例:差し入れとしての飴

私は、百円ショップで大袋の日本製の飴を買って持参します。タクシーやガイドを個人的な都合で待たせたとき、ホテルで追加的なサービスを受けたときなど、「悪いね」「ありがとう」の意味で飴を渡すのです。スーツを来た中年ビジネスマンならお金のチップを渡すべきでしょうが、見るからに貧しそうな若者バックパッカーの場合、チップを払う必要はありません。その代り飴を渡せば、気持ちは伝わりますし、小銭稼ぎや賄賂の引き金も刺激せずに、親しみだけが増します。金銭ベースでサービスを高飛車に要求するのではなく、「お世話になります」「恐縮です」と下手に差し入れする気持ちです。抜け目なく一見ワルそうなバイクタクシードライバーが、あげた飴をコロコロ音を立てて舐めているのを見ると、意外に良い奴そうだと見直したりもします。飴程度では失礼そうな場合も、まず相手の子供の人数を聞き、「お子さんに」といってその人数に相当する飴を渡したりもします。すると、外国人に小銭を要求しかけていたのが、「うちの子供たちにどうもありがとう」と、親戚のおじさんのように表情が一変したりします。交渉は交渉として納得いくまで決着させるとしても、相手の面目を立てることの大切さは変わりません。

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

tag : 値引き交渉

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Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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