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社会人・大学院の留学 - Is it worthwhile studying abroad?

社会人の留学は慎重かつ客観的な検討が必要です。大学院学位や資格を目標にする人が多いでしょうが、その前に語学研修から始める人もいるかもしれません。パティシエ等の職人留学は専門外ですが、大学院留学を前提に考えます。私自身は企業人経験はありませんが、世界ランキング5本指の某ビジネススクールで客員研究員を務め、教える側と教わる側の双方を見てきました。

1. 岐路は30歳か

MBA等の大学院留学の場合、一般的に30歳前後が留学のタイムリミットだと思います。欧米のトップ・ビジネススクールの学生は平均26-28歳、他国人より年齢が高めの日本人でも平均26-30歳でしょうか。私が知る事例でも、30歳を越えて初めて留学した人は、適応力(瞬発力・記憶力・語学力)の点で苦戦するようです。留学経験の有無などにより個人差はあるでしょうが、10歳近い年齢差を埋めることは容易ではありません。むしろ30歳以上の場合、若い学生と同じ土俵に立たず、むしろ職歴を生かした別の進路があると思います。ビジネススクールにも、Executive Educationと言われる幹部養成講座があります。日本での専門や職歴をリセットせず積極的に活用し、短期間で情報吸収と人脈作りができます。

2. なぜ「有名校」か

大学院学位を目指す場合、まず十分な語学スコアと学費を準備してから、大学ランキング上位校を目指すことを勧めます。ランキングにはTHE-QSや上海交通大学、ビジネススクールならBusiness School(米国寄り)、Financial Times(欧州寄り)、Edunivesal(各国別)等がありますが、多少の順位の昇降が重要ではなく、簡単に言えば「有名校」ということです。「有名校」学位は、国際規格での品質保証にパスし、国際的人脈網に仲間入りしたという意味で、一定評価されるからです。多国籍企業・国際機関にも学歴主義があり、IMFのエコノミストが米国トップ10校の出身者でほぼ独占されることは有名な話です。他方、素人がピンと来ない「無名校」については、一般の日本企業には価値を正確に評価する手段がなく、結局、日本での職歴・学歴が決め手になったりもします。もっとも、日本での知名度は、真の教育成果とは関係ありません。有名校で要領良く競争の波に乗る人には攻撃的な切れ者が多いですが、集団に埋没し委縮する人もいます。逆に無名校で居場所を見つけ伸び伸びブレイクする大器晩成型もいます。いずれにせよ、最終的な有名校の合否は横においても、その足切り点を準備できるまで、出願を焦る理由はありません。TOEFL-iBT80-85が学部交換留学の最低点ですから、それに達しないなら大学院留学も延期・断念するのが当然でしょう。本気で受験勉強するなら、イフ外語学院日米会話学院等の老舗予備校もあります。

3. 学費は前提条件

学費に加えて、最低月15万円の生活費を予め予め準備しておく必要があります。欧米のMBAの学費ならば年200-350万円ですので、生活費を含めて2年間で最低1000万円は必要です。日本で取得できる奨学金は、海外留学奨学金パンフレットに一覧がありますが、一般に20倍くらいの激戦です。そもそも奨学金は、社会的に意味のある計画を支援する社会貢献なので、特定個人のキャリアアップや収入増大を目的としたMBA等は対象外でしょう(ローンを使うべき)。海外で取得できる奨学金も激戦で、人気国・名門校では非常に困難です。入社以来ボーナスには手をつけずすべて貯金し続け、学資ローンやご家族に頼れば、30歳までにちょうど元手ができるくらいではないでしょうか(奨学金・ローンは別記)。

4.語学スコアという分岐点

会社派遣留学は、学費と再就職の不安がない点では理想的です。しかし、社内選抜が厳しく、制度を縮小・廃止する企業も増えています。現実的なのは、会社派遣だけに依存せず、日々の仕事を頑張りながらTOEFL-iBT/GMAT/GRE(非英語圏は後述)を本気で勉強し、一流校合格点までスコアと職業業績を上げることです。スコアがなければ、社内選抜にも合格しませんし、そもそも留学を断念するべきです。他方、TOEFL-iBT90以上があれば、社内選抜はもちろん、各種奨学金にも応募できますし、大学院合格後に退職覚悟で会社と交渉することも可能です。私の知るMBAは大手メーカーのエンジニアでしたが、MBA合格後、派遣留学制度のない会社と交渉し、給与ゼロ・復職保証という条件で休職と留学を許可されました。もう1人は保険会社のアナリストでしたが、合格後に交渉した結果、「産休扱い」で留学を許可されました。復職保証の休職制度が他になかったため、結婚も出産もしていないのに「産休扱い」になったのです。ただし、彼らの場合、抜群の社内業績と高得点のTOEFL&GMATスコアが揃っていたからこそ、一流校にも合格し、会社にも交渉できた成功例です。ちなみに彼らは結局、在学中に別会社の採用面接を受け、MBA取得と同時に転職してしまいました。

5. 本当に留学がベストの選択肢か?

留学後の再就職は容易ではありません。多くの社会人にとって、留学は目的ではなくて、手段のひとつであるはずです。まず何のために留学が必要なのかを見極め、優先順位を熟考するべきでしょう。学部時代に多少の留学経験があっても、大学院留学はその延長上にはないので、同じ発想では臨めません。学部時代の留学は、中級語学と異文化体験だけで十分評価され、大学のランクも成績も問われない「お試し体験」です。他方、大学院留学は、まず大学のランクで選別され、次に成績でも序列がつけられる、競争の世界です。もはや「海外経験が楽しい」という水準ではありません。また、ビジネスやデザインを勉強したい場合、海外留学だけが唯一の選択肢ではないでしょう。国内の大学院・専門学校にも優れたプログラムがありますし、公務員・公認会計士・税理士試験や転職・再就職もありえます。そもそも、海外経験が不十分な人は、留学先のプログラムの質や日本人卒業生の進路、語学生活等を正当に評価できないはずです。国際経験豊富なビジネスマンや母校教員等、専門的助言者の支援が必要でしょう(留学派遣業者は、一流大学院留学や高度ビジネスキャリアには、自分自身の経験もなく対応できないのでダメ)。

6. 留学後に再就職できる目途はあるか?

留学後のキャリアプランを決めずに留学を始めてはいけません。留学後の進路が、学位取得にかけた費用と努力・リスクに見合わないとしたらもったいないです。自分に都合の良い例外的な成功事例だけを見て、現実に気付かぬフリをしては不幸になりかねません。どのような再就職活動が必要なのか、そのときの成功率やリスクはどのくらいなのかを把握し、ひとつのプランだけでなく二の矢、三の矢も考えましょう。留学を名目に会社を辞める人が増えていますが、その後の進路を決めずに渡航するとか、留学先で自分探しをするというのは、浮世離れしています。外国では言語障壁もあって視野が狭まりがちで、日本にいるほど余裕をもった客観的な判断はできません。表面的には刺激の多い海外生活に流されて、自分を見失う人をたくさん見てきました。留学前に働いていた会社に戻れる確証がないのなら、日本で資格を取ったり、公務員試験を受けたりするなど、留学以外の選択肢をも改めて冷静に考えるべきです。超一流MBAに限っては、日本の一流大学での就職活動と同様に、学内で企業説明会や採用面接が行われ、在学中に複数の内定をもらう人も多いです。が、それを望むならば、留学前の準備に力と時間をかけるべきです。

7. 現地就職はほぼ不可能

現地で就職すれば良いと考えるかもしれません。しかし、現地で定職が得られるのは、現地一流校学位を持ち、現地人並の語学力があり(とくに文章力!)、就労許可を持つ人(とくに現地人との婚姻者)に、ほぼ限られます。語学はきちんとした文章が書けなければ仕事になりません。非英語圏の場合、大学では英語だけで卒業できたとしても、仕事では現地語が必要です。しかも、語学以外の強みのない現地採用職員(専門職)は、日本企業の海外駐在員(総合職)より雇用条件や職位も低く、給与も半分以下だったりします。また、日本企業での採用も楽観できません。語学に堪能な一流大新卒者やエンジニア・各種専門家が掃いて捨てるほどいる以上、語学力だけではもはや評価されません。とくに1年以上の留学者には、海外大学学位または留学前の職歴が期待されます。さらに、採用された場合も、国際的な部署に配属されるとは限りません。

8. 職歴をリセットせずむしろ活用するべき

日本での仕事が嫌になって、心機一転のために留学を思い立つ人も、多々います。しかし、1-3年の留学だけで、これまでになかった才能やスキルが空から降ってくると考えるのは甘すぎます。そんなことで一発逆転できるなら、誰もが実行しています。逆に日本での職歴をリセットしてしまえば、ピカピカに若い人の方が有利なので、中途採用者には分がありません。むしろ留学は、日本での職歴で培ったスキルや長所を伸ばし、新しい補強要素を追加すると考えた方が現実的です。また、これまでの苦労から逃げたつもりでも、留学先や新しい職場でもそれなりの苦労は避けられません。

9. 海外主要都市の「沈殿」組

日本の会社を辞めて海外留学に来た20-30代半ばの人たちを、現地でたくさん見てきました。そのうち、計画的に学位や資格を取ってさっさと帰国して就職を決めるMBAや博士院生などは、実は少数の勝ち組です。1年以上留学しても語学が上達せず、日本人同士でいつも集まり、愚痴を言い合って憂さを晴らすような人たちの方が、残念ながら多数派です。ニューヨーク、ロンドン、パリ等の欧米主要都市では、そういう「沈殿組」が何百人、何千人といます。学生崩れの「海外フリーター」や不法就労者も山ほどいます。精神を病む人も少なくなく、『パリ症候群』という本も出ています(遠藤周作『留学』とともに必読書です)。海外主要都市で日本語書店や日本食店の「伝言掲示板」を見に行くと、日本人だけの閉じた回路内で中古品や非合法アルバイトをやり取りする、狭く特殊な世界を垣間見られるでしょう。私自身も海外発行の日本語新聞で連載を持っていたことがあるので、この世界を良く知っています。が、将来ある若者は3年先の目算がない袋小路に安住してはいけません。したがって、1-2年で学位が取れなければ、留学を2年目で切り上げ、帰国するべきです。2年程度ならば、海外経験も一定評価されて、進路転換もまだ間に合います。まだ海外留学と思い込む前に、他の選択肢も客観的に検討した上で、目標や期限を含めた長期計画をよく考えるべきです。

10. 非英語圏の留学-1年以内の大学院合格

英語の場合、日本での準備だけでTOEFL-iBT85(+GRE/GMAT)程度は十分取得可能ですし、そのくらいの語学力がつくまで大学院留学を焦るべきではないとは前述した通りです。他方、非英語の場合、現地語学研修なしでは、大学院入学要件の語学力を満たせないでしょう。が、語学研修から始めて学位・資格取得を目指すのは、博打に近い大冒険です。そこで語学研修は、目標と期限を定めて6-12ヶ月に集中するのが良いでしょう。私の周囲の実例を見ても、才能・適性のある人なら、ゼロから半年でTOEIC900、仏語DELF、中国語HSK5級、1年で仏語DALF、中国語HSK6級は十分可能です。企業の海外駐在でも、語学研修は半年くらいで現場に突き出す例が少なくありません。他方、1年以上の語学研修は、無駄の多いぬるま湯だと思います。1年留学しても大学院入学資格に相当する上級語学力が身につかなければ、海外生活に向いていないので、潔く帰国するべきです。語学習得は、適性や才能のほか、暗記の反復作業、勉強計画の立案、多様な手段の工夫など、合理的な勉強習慣も左右し、根性だけでは実現できません。稀に大器晩成型の人がいて、語学習得に1年以上かかりながら、その後に大成功した例もあります。が、それはごく一部の例外に過ぎません。彼ら自身も、自分が崖っぷちで幸運を拾ったことを自覚しているはずですし、一般化はできないと認めるはずです。来日する留学生についても同様に、1年で日本語が身に付かず大学院に合格しなければ、留学適性は望み薄なので、変更が利くうちに帰国すべきだと考えます。

11.(その他) 語学学習が趣味の人は、休暇期間の短期留学を楽しむのも良いでしょう。バカンス時に教養を兼ねて語学研修をする欧米人は多く、シーズン中にはカンヌ等の観光地の語学学校は賑わいます。ただし、本当に語学習得するには、3ヶ月以上必要です。年を取れば取るほど、語学習得には時間がかかるので、3ヶ月以下では効果がないと思います。したがって、社会人の語学研修は、勤務先の理解があるか、勤務先を辞めない限り、難しいでしょう。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : 留学 語学習得 語学研修 大学院 学位取得

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Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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