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Googleブックスの衝撃 - Googlization of books?

Googleブックスを使ってみて、衝撃を受けた。2008年に米国作家協会との著作権裁判の和解が生じ、2009年春に公告が出たのは新聞報道で知っていた。このサービスは、本をスキャンすることでウェブページに変え、読書という行為をウェブサーフィンの一種に変える。まさに「本のグーグル化(Googlization of books)」とも言うべき、発想の転換を迫るサービスだ。


Googleブックスのポイントは2点だ。
・著作権切れの書籍は、全文掲載される。
・著作権のある書籍は、一部掲載され、Amazon等のリンクが表示される。
印刷はできない

Googleブック検索和解を見ると、2009年9月4日までに和解からの除外を申し出ないと、世界中の書籍について著作権切れならGoogleに全文掲載されるようだ。アメリカのサービスだが、ベルヌ条約加盟の約200ヶ国の書籍が対象になる。

使ってみて驚いたのは以下の点だ。
1.日本語書籍も仏語書籍も大量にヒットする。当初から協力参加を表明していた慶應義塾大学の福澤諭吉コレクションだけではなく、たとえばインプレス社は、新刊書とほとんど変わらない2006年刊の在庫切れ本『WEB2.0 Book』も、全文掲載している。



2.一部掲載は、複数章に渡ってしばしば100ページ以上掲載される。Amazonの「なか見検索」は目次中心の10ページ程度だったが、Google Booksではプレビューだけで分かった気分になる」ほどのページ数だ。

3.出版社によっては準新刊書も、プレビューに止まらず全文掲載だ。たとえば、定番ガイドブックのLonely Planet社は、"Japan"(2007年)の前版(2005年)を全文掲載している。印刷こそできないが、重たいガイドブックを持参せずとも、旅先のインターネットカフェで閲覧できる。Max Weberの"Economy and Society"(1978年)は絶版書の掲載だが、絶版書だけではないのだ。

4.ブック検索は、タイトルだけでなく、文章中の言葉もヒットする。著者名・書名等だけを検索する図書館OPACとは発想が異なり、Googleのウェブページ検索を本の紙ページに広げた感覚だ。思いがけないマニアックな本もヒットする。戦前米国の歴史的文献も、全文が読める。

5.他方、基本文献が必ずヒットするわけではない。何がヒットするかは書誌やスキャンを用意したGoogle協力者の選択に依存し、ランダムだ。一部の本、とくに和書は検索できなかったり、ローマ字だったりもする。網羅的な書籍データベースではなく、Amazonや図書館OPACと比べ漏れが多い

6.検索結果は「マイライブラリ」に保存し、Gmailと同じ感覚でラベル整理できる。マイライブラリには、LibraryThingと同様、ISBNでインポートもできる。なお、マイライブラリは強制的に公開される仕様だ。

要するにGoogleブックスは、グーグル検索を紙の印刷物に拡大したものと考えると分かりやすい。

現時点の結論は以下の通りだ。
(長所)
1.これまで図書館に足を運んだり、購入しないと読めなかった本が、パソコンで読めることは画期的だ。図書館や書店が少ない発展途上国や地方農村にとっては、情報格差を減らす一助になる。また、本を買うお金や図書館へ通う習慣がなかった人も、ウェブサーフィン感覚で本に親しむようになるかもしれない。なお、内容は出版書籍なので、アマチュアが趣味で書いたホームページやブログより、格段に信頼性がある。

2.キーワード検索の対象が、著者や書名だけでなく、本文中の言葉にも及ぶのは、本の調べ方を変える。これまで本の内容は、タイトルだけで想像し、実際に読まないと分からなかったが、ここでは簡単な検索で内容の一部が「分かったような気分」になる。また、シャーロックホームズ等の一部小説には用語辞典が出版されていたほどだが、素人でも一種の言説分析ができてしまう。

3.書籍の一部を流し読みし、マイライブラリに保存・整理できるのは、Googleでウェブをザッピングし、ブックマークをするのと同じ感覚になる。本を吟味して選び、最初から最後まで背筋を伸ばして読むという、読書習慣が変わる。軽く検索して、検索箇所だけを摘み読みし、用が済んだら次の本に移るという、ネットサーフィンに近い読み方になるだろう。

4.Googleブックスは、書籍の流通経路を変える。本の一部は無料で配布されることが当たり前となる。Googleプレビューは、DVD・CDに対するテレビ・ラジオ、漫画単行本に対する漫画週刊誌のような販売促進手段になる。一部読者は、Googleプレビュー分だけを見て読んだつもりになって、購入や図書館借出を止めたりすると思う。しかし、検索で思いがけず本を発見し、プレビューを見て内容に惹かれる新しい読者層もいると思う。パソコン画面で閲覧はできるが、全ページ一括印刷はできないようなので、続きをまとめて読んだり、手元に置いておきたいなら、購入することになるだろう。

(短所)
1.検索・閲覧できる書籍は非体系的で漏れが多い。書店や図書館では簡単に入手できるメジャーな本でもヒットしないことが多い。したがって、学習や研究には従来通り、図書館や書店に足を運ぶ必要がある。ウェブ検索と同様、未知のテーマについて大雑把に知りたいような、軽い事前調査にのみ役立つ。Googleだけで済ませようとすると、大きな落とし穴となる。

2.Googleブックスでしか本を読まず、掲載箇所だけを資料に文章を書く人が必ず増える。今でも、ウェブしか読まず、ウィキペディアのカット・アンド・ペーストでレポートを書くことが問題になっている。また、イデオロギー的なバイアスや全体的な論理構成を無視し、掲載部分や検索語の周囲だけを部分的に切り取った、珍妙な誤解が溢れるだろう。大学・学校などでは、Wikipediaやブログをレポートや論文で引用することを禁止してきたはずだが、Googleブック検索だけに頼ったレポートは、図書館・書店で足を使って真っ当に調べたものと区別がつかず、規制できない。

3.このままでは学問の体系性が崩れる。かつて大学生の教養は、どれだけ名著を読んだかであった。政治学の丸山真男、経済史の大塚久雄、法学の川島武宜、そして岩波文庫などは典型だ。たとえ読んでいなくても各分野で何が名著かを知っていることこそが大学生の常識であり、何かを書くときはそれらの本から調べ始めるのが常識だった。しかし、最近は、レポート類の参考文献の選択がおかしい。聞いたこともない自費出版書や古い文献を掘り出す一方、定番文献や最新文献がごっそり抜け落ちる。図書館OPACのキーワード検索を妄信し、良書か否かを吟味する知識や習慣がないからだ。ウェブ情報をそのまま論文に引用する荒っぽさはその延長上にある。

4.今後Googleがさらに普及すれば、図書館や書店に足を運ぶ習慣すら薄れ、書籍を選択する基準は、良書か否かではなく、Googleにヒットするか否かになりかねない。対立する学説があった際、アマチュアの議論や学生レポートなどでは、Google掲載本に「多数決で」軍配が上がることになると思う。同じ内容でも、Google掲載本は大衆読者層を席巻し、非掲載本は相対的に引用が激減すると思う。そうなると、Google Books反対派の著者・出版社も、読者や影響力を維持するために、Google掲載に雪崩を打つ可能性がある。

5.「マイライブラリ」が強制公開であるのは、プライバシーが気になる。Amazonのカートやブラウザのブックマークを、選択の余地もなく公開されて気分の良い人はいない。そもそも今回のGoogle Books訴訟でも、著者・出版社の意志を無視し、確信犯的に情報のネット公開を推進するGoogleの強引さが目立った。Googleのヘビーユーザーになればなるほど、「Googleに自分の検索履歴を公開されたら怖い」という警戒感は増すはずだ。

テーマ : 電子書籍
ジャンル : 本・雑誌

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すげかったw

なんか4万もらって、おま☆こハメハメしてきたww

にゅるにゅる絡みついてきて、すんげー気持ちよかったよw
http://anusu.net/f12/s2mt3nu/
プロフィール

terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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