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旅行中の危機管理

海外、とくに途上国について「そこは安全ですか?」と聞かれることがよくあります。外務省の海外安全ホームページで危険情報が発令されていなければ、一応、危険はないと言えます。しかし、置き引きやスリ、生水や下痢、価格交渉などは、先進国・途上国を問わず海外一般の常識です。日本の常識ではありえない犯罪や体調不良が起きうることを「危険」と呼ぶならば、日本以外に「安全圏」はありません。発想転換と心構えが必要です。旅行に関して留意すべきことには以下のものがありますが、ここでは旅行中の体調管理と危機管理について述べます。なお、何でも困ったときはまず、海外旅行保険の緊急連絡先に電話相談するのが鉄則でしょう。

出発前の危機管理
私の海外トラブル例
旅・留学・出張の持ち物-1.収納用品: セキュリティ用品
旅・留学・出張の持ち物-2.貴重品:海外でのカード・お金・保険
海外滞在時の緊急連絡先
大衆食を食べる
値引き交渉の技術
留学生の危機管理


1. 体調管理

心身の限界と危険信号を自覚し、無理せず早めに予防しましょう。健康なときには食べられる料理も、心身の疲れが溜まっていると腹を下したりします。人によって喉の痛みや微熱など、体調悪化の予兆があるはずなので、早めに休息を取りましょう。外務省『海外事件簿』の「Vol.60食の安全なくして旅の安全なし」にも事例があります。

「日本人は、昔から"水と安全はただ"と思って暮らしてきました」とはイザヤ・ベンダサン(山本七平)『ユダヤ人と日本人』の有名な一節ですが、海外で生水を避けるのは常識です。水道水を含む氷や飲物、火の通らないサラダやデザートも同様です。もちろん、例外はあります。フランスの現地学生は水道水を飲みます。私個人は、A型肝炎等の10本以上の予防注射を打ち、店も繁盛店を厳選し、生水や貝類は避ける方針です(生牡蠣は最悪)。が、欧米やタイやベトナム・カンボジア・ラオスや北アフリカならば、氷入りのドリンクやデザートも飲み食べすることがあります。

他方、インドに初めて訪問したときは、ランブル鞭毛虫という寄生虫にやられ、帰国後は都立駒込病院(コレラ避病院として百数十年の歴史を持つ感染症の権威)で入院検査しました。水・サラダ・ラッシー等は避けていたので、おそらく屋台で飲んだサトウキビジュースに入っていたのではないかと思います。また、雑貨店で売っているミネラルウォーターが、瓶によって量が違って見えた(店の奥で水道水を詰めていた?)のも、少し気になっています。最近のインド訪問でも強烈な下痢をして、半月近く液体物しか飲めませんでした。原因は特定できませんが、「この数年間、アフリカでもアジア諸国でも腹を壊していない」という過信・慢心が、インドには通じなかったようです。

インド旅行者はインディアンシャワーと呼ばれる下痢に多かれ少なかれ必ずかかると言われますが、一番大切なのは基本的な体調管理でしょう。自分がベストコンディションでないと自覚しているときには、決してリスクのあるものを口にしないのが原則です。殻に穴を開けたココナッツジュースは、体調が優れないときにも、衛生面でも栄養面でも理想的だと言われます。

伝染病隔離病棟での検査入院では私の腹からランブル鞭毛虫が検出された(写真出典:(財)海外邦人医療基金HP)

また、蚊が媒介する伝染病は多いので、蚊を見たり羽音を聞いたら危険信号です。ウエストナイル熱(北米・南欧、アフリカ・中東) 、マラリア(アフリカ、南米、東南アジア)、デング熱(東南アジア、中南米、アフリカ)、日本脳炎(南アジア、東南アジア、中国)、チクングニヤ(アフリカ、東南アジア、南アジア)などがあります。できるだけ長袖・長ズボンを着て、露出部には虫除けスプレー、室内では蚊取り線香を忘れずに使いましょう。1回でも虫に刺されたら、2度目は完璧に防御しましょう。

2. 未知の世界に謙虚であれ

治安は確率論に過ぎず、銃声や犯罪者を目の当たりにしてはじめて危険を感じるのでは手遅れです。「XXに行ったけど大丈夫だった」「XXに旅行した友達が大丈夫だと言っていた」という声も良く聞きますが、バカバカしいほどまったく根拠がありません。海外経験が少ない人は、危険を察知する嗅覚が根本的に欠けているので、単に鈍感かつ幸運だっただけだと思います。

海外でのリスクは、国内でのリスクとは次元が異なり、度胸試しの問題ではありません。日本に帰国したときの電車で、荷物を網棚に乗せて熟睡している日本人の弛緩ぶりを見て、逆カルチャーショックを受けたものです。日本特有の日常感覚のまま海外に行けば、事故に合うのは必至です。油断はほんの一瞬なので、日本でいかに度胸があろうと注意力が鋭かろうと、予防しきれません。海外での危険に対する感受性は、現地生活でしか身につかないので、海外経験の少ない人が「慎重に良く気を付けます」と言ったところで何の説得力もありません。

3. 危機回避の現地ルール

長期海外生活者は、どんなに眠かったり酔っ払ったりしているときも、神経の5%を常に覚醒させ周囲に目配りするのが、無意識の習慣です。たとえばパリでは、夜の地下鉄に乗車するときも、ホームで待っているときから、女性・子供・カップルや読書する人と移民系の若者は、別々の場所に自然と固まっていたりします。現地住民なら肌で違和感を察知して、しかるべき立ち位置を選んで車両に乗り込みますが、鈍感な観光客はそれに気づかず、場違いな集団の中に無神経に突入したりします。

観光客が気づかぬ地雷はいくつも潜伏しており、危険回避には現地特有のルールがあります。たとえば、貴重品やカメラをカフェの椅子や列車の網棚など、目の届かない場所に置いたり、ポケットに財布を入れたまま両手に荷物を持ったりするのは、本来なら起きなかったはずの犯罪を誘発してしまいます。また、欧米で、女性・子供・カップル(安全信号)が見当たらない時間帯・地区、たむろする青年集団、壁の落書きや廃屋はすでに黄色信号です。人が急に近づいてきたり、不自然な人ごみができたりするときは、とくに警戒すべきです。スリや犯罪の被害などはこうした小さな「ルール無視」の積み重ねによるもので、本人が誘発している側面があります。

4. 生兵法は怪我の元

リスクの感受性が低く、根拠もなく「大丈夫だ」と思い込む半可通こそ、一番危ないです。たとえインドで1年の留学経験があっても、欧州では通用しません。土地勘・語学力・経験がない部外者は、入念に情報収集し、謙虚に慎重に振舞うしかありません。たとえば私はパリ長期留学中、トルコが大好きになり、イスタンブールには良い思い出しかありません。タクシー乗り場で並んでいたときも、親切な警官が「外国人観光客は前へ」と優先的にガイドしてくれて、それを許容する周囲の人々の親切さにも感激したものでした。が、帰国後、まさに滞在中に都心部でデモ隊と機動隊が衝突し大量の死傷者が発生していたことをニュースで知りました。私をガイドした警官は、ひょっとしたら外国人と地元民との接触トラブルを避けたかっただけかもしれませんし、他乗客も警察の強権に黙らされただけだったのかもしれません。最新ニュースもチェックせず、能天気に観光していたことを反省しました。

5. 無知ゆえに繰り返される古典的被害

他方、盗難や詐欺に合った若者の話は、私のすぐ身の回りでも毎年のように耳にします。列車・長距離バス・ホテルでの置き引きトランプ詐欺、ケチャップ(ソフトクリーム)・スリ、道案内スリ、話しかけスリ、睡眠薬強盗・・・、何のことか分かりますか? ガイドブックの巻末に必ず明記される典型的犯罪ですので、絶対に読み飛ばしてはいけません。「古典的犯罪手口が減らないワケ」も指摘するように、無知が犯罪を誘発しまいます。典型的な犯罪例は、総論としては『海外安全虎の巻』『海外邦人事件簿』、各国ごとにはガイドブックや外務省の海外安全ホームページで紹介されていますので、「自分だけは大丈夫」と軽視せず必ず目を通しておくべきです。

6. 信頼と警戒

私は、海外で見知らぬ人を信頼し誘われるままに付いていくことは、まずありません。パリ・ニューヨーク・ロンドンで生活したせいもありますが、そうでなくても日本の日常生活でもありえないでしょう。そのため、アジアで旅した若者が、旅先で出会った人の家に泊まったりした話を聞くと、その不用心さを理解できません。海外の原体験が欧米だと警戒心が身につきますが、アジアを出発点とする人は逆に信頼が習い性になるのかもしれません。欧米経験者がアジアを旅するときは礼節、アジア経験者が欧米を旅するときは警戒心が必要かもしれません。

もちろん、旅での出会いを信じることで、経験が広がることもあります。たとえば、イスタンブールのアジア側(ボスポラス海峡対岸)のひなびた住宅地・ウシュクダールで、食堂の主人が注文していない皿を出したり、通りすがりの人がバスの中まで同伴して道案内してくれたことがあります。ローマの噴水前で鳩の群れを眺めていたら、おばさんが鳩の餌をくれたりしたことがあります。ソウルで安重根記念館への交通手段を質問したら、通行人が集まって複数の可能性を議論を始め、終いにはそのうちの1人が会社の車庫からトラックを持ち出し乗せて行ってくれたこともあります。私はパリ生活で常識的な警戒心から、最初「いらない」と強硬に拒否しました。彼らは英語も話しませんし観光業者でないのはたしかでしたが、見知らぬ人が提案する食べ物や車は断るべきだと今でも考えます。しかし、このときは幸運にも純粋に無償の好意でした。彼が何も受け取らずに立ち去ってから、警戒心が先立ち感謝の笑顔が欠けていた非礼を恥じました。

7. 英語・日本語で近づく人に要注意

平日昼間に観光地で英語や日本語で話しかける人はほぼ全員、外国人・日本人と仲良くなりたい人ではなく、観光客をカモにするプロです。必ず無視しましょう。とくに「日本語を勉強している大学生だ」「どこから来たの? ああ、そこ出身の鈴木さんは友達」「親戚が日本に住んでいる」等の世界共通の手垢のついたセールストークは、典型的かつハッキリした詐欺師の目印です。ご丁寧に「この人は信頼できる人です」と相手の母国語で書かれた紙を見せる人こそ、信用できません。少し冷静に考えれば怪しいと分かるはずですが、不安な海外で「友達っぽい」コミュニケーションができたことが嬉しく、付け入る隙を作ってしまうようです。「日本語で話しかけられたら要注意!」(外務省『海外法人事件簿』)にも指摘されるように、英語・日本語で被害に合う人が後を絶ちません。旅のサバイバル語学旅のサバイバル慣用句値引き交渉の技術は別記しました。

誤解を恐れずに独断を言えば、要注意人物の典型例には、以下のものがあります。
・観光地や安宿街のど真ん中で観光客を待ち構え、積極的に声をかけ近づてきた。
・平日昼間から観光地に張り付く自称友達、自称学生、自称ガイド、ドライバー。
・非英語圏で、英語や日本語に妙に流暢。
・親戚・友達が日本にいると自称。
・ただし、英語・日本語を話す土産物屋は、店を構えるかぎり、犯罪までは犯さないはず。

対策は以下のものです。
観光地で英語や日本語で近づく人は要注意人物と意識して原則無視。
自分に目をつけて近づいてくる不自然な動きや凝視する視線は、犯罪を誘発する典型的な危険信号なので、意識的に回避して肩透かしさせる。ロックオンを敏感に察知し事前に避けることが、最善の防御策。
・道を聞くなら、通りすがりの通行人に、こちらから現地語で声をかける。
・買物をするなら、英語・日本語を話す観光名所の土産物店は避け、市場や街角の一般商店で現地語で交渉する。
・タクシーを拾うなら、安宿街・観光地・空港等で待機する英語堪能なドライバーは避け、あえてワンブロック歩いて、流しのタクシーに現地語で声をかける。


8. 「スラム見物」の無礼

テレビの影響か、途上国というと貧困やスラムを思いつき、スラムを見たいと安易に口にする若者が増えています。これは何重にも失礼かつ危険で、愚の骨頂です。

まず途上国は貧しいなどと決めつけるのは、現地の人に失礼この上ない偏見です。たとえば、インドやアフリカの社会文化は多様で、貧しさだけが特徴ではありません。上流層は、一般日本人よりずっと裕福で欧米化しています。また、一人当たりGDPが低かったり工業生産が少ないことは、都市型貧困だけを意味するわけではありません。農業従業率が高いことの方が重要で、それは我々のイメージするスラムと違います。百歩譲って、貧困の現場を感じたいのならば、鉄道駅から遠く離れた農村で子供たちと一緒に遊ぶか、貧困支援のNGOのボランティアになることを勧めます。

スラムは一般に犯罪率が高いですが、観光客が現地の感受性を逆撫でし、本来不要な犯罪を誘発している側面もあります。現地事情に通じた現地住民ですら、スラムには近づかないはずです。それは彼らが社会的関心や度胸に欠けているからではありません。高価な靴・鞄・腕時計・眼鏡を身に着けた人は、そこにいるだけで不自然に目立ちます。観光名所も商店もない場所なら、その侵入目的が、自分たちを面白がって(あるいは憐れんで)「見物」に来たことであることも明白です。自分は安全圏にいながら、物見遊山に来た観光客は、場違いで腹立たしい乱入者に他なりません。無礼な見物に敵意の視線が集中し、制裁の対象になるのはむしろ当然です。

「スラム見物」は、危険もさることながら、倫理的にも勧めません。「見学される側の気持ち」を考えたことがありますか? スラムの住民は好きでスラムに住んでいるわけではありません。動物園の動物のように見世物を演じているわけでもありません。自分では社会科見学のつもりかもしれませんが、「スラムの人はやっぱり貧しくてショックを受けました」という何百回も繰り返されたどうでも良い感想を確認するだけの「見学」は、現地の人に何の役にも立たちません。裕福そうな身なりの外国人が怖々と「見物観光」する行為はむしろ、必死で生きる人々の尊厳を、好奇心だけで一方的に辱める無神経な行いでもあります。こうした「見世物扱い」には、いかなる正義も弁解の余地もありません。自分が相手の立場なら嫌がるのではないかと想像し、安易な好奇心を恥じる謙虚な心が大切です。

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

tag : スラム

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Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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