スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

留学先で落ちこぼれた!

1.語学クラスの変更
・語学研修で授業が分からない場合、早めかつ率直に教員または学校事務に申し出て、クラスを変更するべきです。クラスメートが変わってしまうことは仕方ありません。
・日本人はペーパーテストで実力以上のクラスにクラス分けされてしまいがちですが、上達には逆効果です。口達者なクラスメートに圧倒されて黙り込むより、「やや易しい」と感じるクラスでたくさん話すのが、上達の秘訣です。また、クラスの雰囲気や成果は、教員の性格・能力・相性で大きく変わります。

現地人と競争できる語学力留学先で成績を上げるは別記しました。

2.語学・基礎固めへのシフト
・初めての交換留学・大学院留学で専門講義が分からない場合、語学に依存しない基礎科目や数学系科目を選ぶと同時に、語学と学習法の習得に焦点をシフトさせるべきです。何も分からないまま、無理に専門科目に出席だけ続けても、状況は改善しません。
・とくに論文執筆力は、慣れだけでは身に付かず、論文作法や慣用句・語彙を暗記し、他人の添削や真似を通して悪い癖を直す必要があります。日本の大学教員や博士院生には語学を馬鹿にする伝統がありますが、基礎をきちんと訓練しないと、短期的にどうにか誤魔化せたとしても、長期的にいずれ壁に突き当たります。
・初めは無理に専門研究で背伸びせず、思い切ってアフターファイブや長期休暇中に語学学校に通うのも、急がば回れです。

3.落ちこぼれの開き直り
・海外で初めて専門授業を受ける場合、苦労するのは想定の範囲内です。TOEFL-iBT80は必要最低限の語学力に過ぎないので、入学資格のギリギリまたはそれ以下で留学した場合、語学力はクラスの最低水準でしょう。逆に言えば、入学は目的でなく出発点に過ぎないので、逆境を覚悟できなければ、大学交換留学や大学院留学を選ぶべきではありません。大切なことは3点あります。
・第一に、恥や外聞を捨てた開き直りです。留学生は外国語を得意にしてきた優等生が多いはずですが、そのプライドは現地人の間では無意味です。子供のような言葉しか使えなければ、子供並に無能扱いをされても文句は言えません。ゼロから出発する、ハングリーな意識転換が必要です。
・第二に、集中力を持続させる忍耐力です。外国語の講義や議論では、「もう分からない」と諦めて気を抜くと、途端に言葉が脳みその表面を滑り始め、今まで分かっていた話も頭に入らなくなります。多少分からない部分があっても、話に食いつき、論理にしがみつき、ノートを取る努力を持続するべきです。
・第三に、コミュニケーション力です。留学初期はまず現地人の優等生を真似し、その水準・作法に追いつく必要があります。教員の話が分からなければ質問に行き、ノートが取れなければ級友にコピーを頼み、レポートに不安があれば添削してもらい、グループワークでもフォローしてもらいます。そのときに必要なのは、何が何でもこの単位を取るという意志と、周囲にサポートしてもらえるだけの普段からの人望です。言葉もなくうつむいているだけでは、何も動きません。

4.地道な積み重ね
・最初の3-6ヶ月が辛いのは、誰もが通ってきた道で、自分一人だけのことではありません。そのときこそ、地道な努力が必要な正念場です。
・自分の実力に見合ったクラス・講義を決めたら、出席・予習・復習をしっかりやりましょう。
・専門講義の場合、講義ノートを取るにせよ、レポートを書くにせよ、諦めて手を抜き始めたら底なし沼です。あらゆる手段を惜しまず、集中力を奮って食いつきましょう。
・毎日、テレビ・ラジオニュースを見て、新聞を読み、外国語で日記をつける習慣をつけましょう。こういう基本的な反復訓練を疎かにしないことが、長期的な明暗を分けます。
・非日本人のパーティーや集まりにはマメに顔を出しましょう。「君はどう?」「日本ではどう?」などと常に聞いてくれるわけもなく、会話に参加できず孤独感を感じることは避けられませんが、覚悟を決め笑顔で参加し続けることが交友を広げます。
・「米国人の英語なら分かるが、外国人の発音は分からない」とアクセントのきついクラスメートとの交流を避けるのは間違っています。むしろ口下手同士で会話機会を増やした方が、英語力は向上します。

5.落ちこぼれからの脱出
・語学学習の初級段階では、似た言語体系を母語とする人が有利なのは、当然です。しかし、上級段階では、母語が似ていると、逆に先入観が邪魔をして、発音や文法の癖が直らないこともよくあります。長期的には恐れるに足りません。
・専門研究でも、語学スキルの差でアウトプットの評価が20-30%は左右されることが否定できません。しかし、同じ大学生の知的能力には大きな差はありません。留学当初は、バンバン積極的に発言したり、長文のレポートを書く同級生に圧倒されたかもしれません。が、語学が上達すると、その内容がいかに下らないものだったかに気付くでしょう。
・日本においてトップ20の一流大学に所属する大学生は、実は全国758大学の中では超エリートで、同級生の母校での位置づけよりも格上である可能性すらあります。実際、企業が学内説明会に押し寄せ、多くの学生が卒業半年前に内定を取ったりするのは、欧米では世界トップ20のMBAくらいです。所属大学によらず、日本の大学で頑張ってきた人は、海外大学でも専門知識と勉強習慣を活用できます。日本人大学生は自信を持つべきです。
・真剣かつ必死に集中語学研修をした場合、早ければ3ヶ月目で飛躍的な成長を迎える瞬間が来ます。語学研修に集中できず、専門科目を学習した場合、語学上達そのものは遅れて6ヶ月目以後になるかもしれませんが、やはり開眼の瞬間が必ずあります。
スポンサーサイト

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

現地人と競争できる語学力

1.今や留学成果は、単に「外国語が分かる」や「海外生活に慣れた」では不十分で、学位や資格、単位に結実させないと評価されません。
1-1.外国語について「お上手ですね」「どこで習いましたか」などと言われるうちは、「下手糞だ」と言われているのと同義です。「あなたの言葉には矛盾がある」「あなたの論理が分からない」等と、丁々発止と批判されてはじめて一人前です。
1-2.学位・単位取得と平行して、語学検定試験も、最高水準の級やスコアを取るまで、定期的に受験し続けましょう。学位取得を目指す水準なら特別な準備は不要なはずですが、取る資格は最高級でないと意味がありません。英仏語なら、TOEFLやDALF等の政府系の語学検定以外にも、ケンブリッジ英検やパリ商工会議所ビジネス仏語など、民間団体や商工会議所も定評ある専門的検定を提供しています。

留学先で落ちこぼれた!留学先で成績を上げるは別記しました。

2.留学生が単位・学位を取るために決定的に重要なのは、外国語での文章力です。
2-1.日記や手紙を現地語で書くのは、最善の文章力向上法でしょう。上達の軌跡も残り、一生の思い出になります。
2-2.他方、日本語でEmail/ブログ/日記を書くと、思考回路を現地語に戻すのが大変ですので、ほどほどに。日本語で話した直後でも、難なく外国語会話に切り替えられますが、日本語を書いた直後に、現地の友人がドアをノックしたりすると、咄嗟に言葉が出なかったりします。
2-3.どれほど上級者になっても、論文を書くときは、ネイティブの添削が不可欠です。複数の友人に添削を依頼してみて、単語のスペルチェックではなく、論理構造を大幅にリライトしてくれる人を確保しましょう。
2-4.添削された文章を見て、自分の悪い癖を直しましょう。文法書を読み直すと、前置詞や冠詞の使い方などの細部で、思わぬ発見があったりします。
2-5.中級以上になると大辞典を使いたくなるかもしれませんが、単語数の多寡はあまり重要ではありません。外国人が文章を書くのには、例文や解説の多い初級学習辞書の方が勉強になります。英英辞書や類語辞書など、現地語の辞書を勧める人は多いです。

3.外国語を読む力は、もちろん前提条件です。
3-1.会話に不自由なくても、時間と費用が許すなら語学講座は無駄ではありません。文法や慣用句は、体系的にムラなく身につけていないと、文意を逆に理解するような誤読をする危険があります。
3-2.単語・熟語・慣用句を暗記し続けることは、不可欠です。いかなる上級者も、こういう受験生のような地道な努力なしには語彙が増えません。
3-3.新聞は必ず毎日読む習慣にしましょう(後述)。
3-4.外国語の本は、最後まで読了する成功経験を重ねて、忍耐力と自信をつけましょう。児童文学、漫画、推理小説など、ジャンルを問わず、読みやすく短いものが最初は良いでしょう。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : 日記 手紙 新聞 資格

文化や教養のキャッチアップ

もう一歩ディープな旅行動半径の拡大も参考に。

1.現地学生と最新のニュースを議論できる「常識」を身につけましょう。
1-1.毎日、新聞精読の時間を30-60分取り、その日で一番重要な記事1本の読了とスクラップを義務としましょう。ネットでは流してしまいそうなので、現物を購入し紙媒体で読んでスクラップした方が、逃げられず、証拠が残って良いかもしれません。
2-2.テレビ・ラジオのニュースや教養番組を毎日見る習慣を作りましょう。たとえば、夕方のメインニュースや週1-2回の教養番組です。ネットでの「ながら見」ではなく、毎日その時間に椅子に座る習慣が大切です。

3.現地学生なら当たり前のように誰でも知っている「教養」を、ゼロからキャッチアップしましょう。
3-1.現地の大学新入生が使う『研究入門マニュアル』『レポートの書き方』『手紙の書き方』の本を、友人に質問したり、大学近辺の大型書店で探し、購入しましょう。
3-2.現地の大学生が使うウェブサービスやポータルサイトなども、友人に質問して教えてもらい、どんどん真似ましょう。
3-3.図書館の新聞・雑誌コーナーの使い方を覚え、専門や趣味に関するメディアを定期的にチェックしましょう。
3-4.留学生にテレビは必須です。新聞・雑誌で事前確認し、テレビでのその週の目玉となる映画・オペラや報道特集などを逃さずに見ましょう。

4.一流芸術・文化の鑑賞に加え、現地若者の先端文化、とくにファッション・音楽・映画・漫画等を積極的に吸収しましょう。
4-1.『TOKYO Walker』や『ぴあ』に相当する情報誌を定期購入して、コンサート・オペラ、演劇・ミュージカル、展覧会、講演会、スポーツ試合を定期的に見に行きましょう。学生券や立ち見席は日本ではありえないほど格安で、年間パスも存在します。
4-2.映画の知的な話題作は見ておきましょう。欧米において映画は、日本よりも教養としての位置づけが高く、大学生同士の日常会話でもすぐに話題になります。黒澤・小津・溝口・大島などの古典作品は、欧米の方が人気があるので、見ていないと恥をかきます。
4-3.自分の趣味の専門雑誌やマニア雑誌を購入・定期購読し、読者欄から広告まで読み込んでみましょう。
4-4.骨董市・骨董店や古本市・古本屋・古着屋に行って、古書・古着・食器・小物等をじっくり吟味して持ち帰るのは、長期滞在者のみの特権です。
4-5.はじめは自分の好みでなくても、流行CD/DVDを友人から借り、どんどん試してみましょう。

5.食文化の幅を広げましょう。
5-1.学食で出てくるメニューの中で、口に合わないものがあったときは、意識的にあえてそれを食べ続けてみるのも一策です。私は、赤カブや米のサラダ・デザートが苦手でしたが、食べ続けたら好きになりました。
5-2.スーパーマーケット等で買い物をするとき、見たことのない食材があったら、周囲の店員や客に名前と食べ方を聞いて、買ってみましょう。買い物20品のうち19品は既知のお気に入りのものを買うとしても、1品くらいは未知の冒険をしてみましょう。
5-3.ワインやチーズなどは、事典を買って勉強してみましょう。人の家に呼ばれたときに、用意したワイン・チーズのグレードで歓迎度を表すことがあるので、「良いワイン・チーズを出してくれてありがとう」程度はコメントできることがマナーです。
5-4.貧乏学生でも、最高級レストランに一度は行ってみましょう。パリの3つ星レストランでも、格安の昼食メニューを用意しているところがあります。最高級レストランは、料理、インテリア、サービス、客層、立地と、現地でしか味わえない芸術品なので、無理をする価値があります。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : 芸術 文化 趣味

留学生のメンタルヘルス

1.長い海外生活では、心身の浮き沈みが大きくなります。とくに一人暮らしの経験の少ない人は、要注意です。意識的に自己管理の技術を学びましょう。自分の中にもう一匹の生き物を飼っているような姿勢で、自分を観察し調整するのがコツです。頭でっかちの義務感だけで頑張ったりせず、少しでも弱った兆候が見えたら、自分を早めに休ませたりご褒美を与えましょう。どんなに忙しくとも、思い切って時間を取り、映画を見たり旅に出たりスポーツをすることも、ときには必要です。体調次第では、前述の助言もすべて無視して構いません。


2.渡航直後は、憧れていた土地に降り立つことができて、見るもの聞くものが新しく、興奮状態になるでしょう。一生ここで住みたいと思うかもしれません。これを留学初期の「高揚期」と呼びます。

3.ところが、ちょっとした事務手続きがうまく行かなかったり、盗難・紛失・喧嘩等の小トラブルが生じたりすることがあります。これを「カルチャーショック」と呼びます。また、語学が自分が期待したほど上達してもどかしく思ったり、パーティー等での会話に加われず時計を見つめていたたまれない思いをすることも必ずあるでしょう。加えて、欧州に夏に留学すると、9-10月頃から陽がどんどん短くなり、空が灰色の雲にずっと覆われ、世界が重苦しく感じられるようになります。留学後1-3ヵ月後が多いようですが、これを留学中期における「低迷期」と呼びます。

4.日本でいうところの「五月病」と似ていますが、海外では比べ物にならぬほど深刻化しがちです。たとえば、パリ留学を志す人は、誰よりもフランス語が得意で、シャンソンにせもヌーヴェルヴァーグ映画にも詳しくて、フランス好きだと自他ともに認めるような人が少なくありません。ところが、得意だったはずのフランス語は、現地人に通じず、会話の輪の中ではゼロに等しいことを思い知らされます。しかも、「憧れのパリジャン」は想像と違って親切ではなく、日本に関心も持ってくれません。日本では博覧強記で知られた自分のフランス知識も、現地では陳腐な常識で、「トリュフォー? うんうん、よく知ってるね」という挨拶以上に会話が深まりません。むしろ、子供並の言葉では知性までも子供水準に見下されがちで、自尊心が打ち砕かれます。フランス研究10年の大学院生ですら、いやフランス一筋のパリかぶれだからこそぶつかる壁です。

5.また、海外では家族も友人もおらず、友人網を一から作り直す必要があります。家族と一緒に暮らしていれば、どんなときも「おはよう」「ただいま」程度は話しますし、日本にいれば夜中でも愚痴を聞いてくれる友人が1-2人はいます。失望感・倦怠感も、こうした日常の営みがあれば、自然と乗り越えることができます。しかし、海外の一人暮らしでは、朝から晩まで一言も話さずに一日が終わることがありえます。そのため、気分の浮き沈みに歯止めがかかることはなく、落ち込むときはトコトン落ち込む可能性があります。

6.留学初期に、学生寮の廊下に出ると外国語で話しかけられるのが億劫で、部屋の外に出られなくなった人すらいます。また、語学が中級水準に上達したものの、細部だけ聞き落とすがゆえに、人が自分の悪口を言っているように思う人もいます。こうした留学中期特有のうつ病や被害妄想を、パリ在住の日本人精神科医は『パリ症候群』と呼びました。

7.留学生のメンタルヘルスには、次の6つの要素が重要だと太田氏は述べます。①経済状態、②語学力、③性格、④留学国の基礎知識、⑤渡航前の日本社会での適応状態、⑥健康状態です。これに沿って言えば、メンタルヘルスに備えるには以下の対策が大切です。
①十分な留学費を持参しましょう。現地で稼ぐことなど考えず、当初の予算の範囲内で留学期間を切り上げましょう。
②予め中級程度の語学力を身につけましょう。渡航前に週3回以上の外国語会話訓練を受け、英語ならばTOEIC730程度を必死に身につけましょう。
③プライドや完璧主義は捨てましょう。「私は馬鹿だぴょーん」と公言して開き直る度胸を持ちましょう。自分が100%正しいというこだわりは捨て、「相手にも一理あるかもしれない」「郷に入っては郷に従え」と思う余裕を持ちましょう。
④渡航前に留学国について、10冊以上の本を読み、10以上のホームページをブックマークして、基礎知識を準備しておきましょう。留学先では、弱音を吐いて相談できるような友人を作りましょう。
⑤留学は、住みにくい日本からの逃げ道ではありません。日本でベストコンディションでない場合は渡航を思いとどまりましょう。
⑥万全の健康でない場合は、留学を延期したり、帰国を決断しましょう。

8.高揚期から、何かをきっかけに下降期に入り、その後、ゆるやかな再適応期に向かうと言われます。再適応には、上記の6つの要素のうち、①経済力や⑤渡航前の精神安定、⑥健康を前提として、②上級語学力を習得し、③生活に慣れて居場所ができ、④友人網ができることが大切でしょう。逆に言えば、語学力が未熟で、生活に慣れず、友人もできない場合、下降期からなかなか這い上がれないかもしれません。そういうときは、外国人だけでなく日本人にも友人網を広げたり、思い切って旅行や一時帰国をしてみることも大切です。

9.語学力の有無は、留学生生活に決定的な影響力があります。言葉の上級者になると改めて再び、「言葉さえ上手ならばもっと自信を持てるのに」ともどかしい思いをすることもあります。成人後の留学では、どうしても現地人と同水準の言葉づかいにはなれず、必ず訛ったり言葉足らずになったり、文章に添削が必要になったりするからです。しかし実は、語学よりも中身が大切です。言葉はへたくそながら国際舞台で熱弁をふるい、ゆうゆうと活躍するビジネスマン、政治家、学者、タレントはたくさんいます。身近にも、発音が訛り過ぎて聞き取りにくい先生、授業中に妙な質問ばかり連発するクラスメート、こんなな言葉で良く客商売ができるなと驚くような近所の店員に至るまで、たくさん例があるでしょう。

11.私の高校同期の商社マンは、フランス語が一切できず研修もないまま、日本人のいないフランス子会社に転勤を命じられました。しかし、アパートを契約し、中古車を買い、電話回線から水道工事まで、すべて独力の日本人英語でやり遂げてしまいました。来仏一ヶ月後に一緒に夕食を食べたとき、私に通訳も頼まず堂々とボーイを呼びつけ「Oh、これこれ、シルブプレ!」と無茶苦茶なチャンポン語で臆せず注文し、ロシア出張やらポーランド出張時の馬鹿話で呵々大笑していました。私は「これだ!」と心から感嘆しました。この商社はフランス語屋をパリに派遣するのではなく、「どこに行っても仕事ができる人」を駐在員に任命したのです。フランス人にとっては、フランス語一筋のフランス専門家と比べ、よっぽど面白くかつ手ごわく、一目置かざる得ないはずです。

12.語学初級者はまず言葉を勉強するべきですが、語学上級者の場合、言葉に癖や不十分さが残ることは、ハンディではなく、個性の一部だと開き直るべきです。日本人にも日本語に訛りがあったり、口下手な人がいますが、それと同じです。そして語学よりもむしろ、何らかの専門や特技で勝負するべきです。日本人ならば、まず日本語と日本知識はとりあえずの強みです。ただし、外国かぶれだと日本の勉強を軽視しがちなので、ひょっとしたら無知を痛感させられて再学習せざるをえないかもしれません。大学(卒業)生ならば専攻を持っていますし、卒業論文テーマがあればそれが専門です。社会人ならば職歴も専門です。それ以外にも、読書、音楽、漫画、趣味、恋愛、アルバイトなど、これまで生きてきた年月の中には、アピールすべきことが多々あるはずですが、それを自分の持ちネタとして再認識して伸ばすことが、話題の幅を広げ深みを増します。現地でも、スポーツ試合、コンサート、ダンス、旅行、外国人同士の交際など、新しい「こだわり」を見つけることができるかもしれません。その人の価値を決めるのはこうした専門や中身であり、道具としての語学ではありません。

13.当初目的が達成できずとも、①予算が尽きたり、⑥健康を損ねたり、留学当初の計画が狂った場合は、ズルズルと海外に踏みとどまったりせず、潔く帰国すべきです。ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポールなど海外の主要都市には、語学研修を名目にその次の目的を見失ったまま長期滞在する人が多々おり、「沈殿組」と呼ばれます。将来のある若者が「沈殿」するのはもったいないです。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

留学生の危機管理 - Risk Management of Students on Abroad

1.留学はトラブルの連続でもあります。留学経験者なら、誰もが通ってきた道ですが、後から振り返ると良い思い出になっているので、いちいち口にしないだけです。

留学も旅行も、危機管理には共通点があります。
出発前の危機管理
旅行中の危機管理
旅・留学の持ち物2.貴重品:カード・お金・海外旅行保険
海外滞在時の緊急連絡先

他方、留学特有のトラブルもあります。
海外留学の誤解
留学の生活準備
留学先で落ちこぼれた!
留学生のメンタルヘルス
留学生を送る家族の役割


2. 長期留学ならば、病気や怪我をすることは避けられないでしょう。
2-1. 日本から慣れた薬を持参することを、海外慣れしない人は良く勧めます。たしかに外国語で症状を説明する自信がない人には安心でしょう。また、正露丸や目薬は日本にしかありません。しかし、日本から薬を持参するにも限度があります。とくに医者に処方された抗生物質等を備蓄し、海外で素人考えで飲むのは危険です。

2-2.日常会話のできる長期滞在者ならば、最初から現地の薬・医療に慣れる方が合理的です。人体や薬効は我々が考えるほど人種・国籍差はないようです。製薬業界は多国籍合併が進み、一般薬も処方薬も、世界6大企業(Pfizer、Merck Sanofi-Aventis、GlaxoSmithKline、Roche、Novartis)等に集約化が進んでいます。日本人もすでに、Contac(GlaxoSmithKleine)やAspirin(Byer)など、世界共通の一般薬を飲んでいます。日本の医師も海外の医師も、花粉症等の抗アレルギー薬なら共通してZyrtec(GlaxoSmithKleine)を処方します。逆にパブロン(大正製薬)やイソジン(明治製薬)などは東南アジアにも進出しています。Actifed(Johnson&Johnson)は、日本人が知らないだけで、先進国でも途上国でも一般的な風邪薬です。医者の処方する抗生物質も、薬名を現地の医者に言えば、日本と同じものかそれに準じたものを処方してもらえるので、日本から持参するのは無意味です。腸チフスや髄膜炎の予防注射など、海外でないと打てないものもあります。海外経験が長い人や旅慣れた人は、日本から薬を持参するより、逆に海外で一般薬を安く買って帰ることすらあります。

2-3.途上国の国産薬品には、薬効が独特なものもあります。タイで一般的な風邪薬であるTiffyは、日本人には眠気が強過ぎることでも有名です。また、途上国の下痢止め薬は強力過ぎて不気味なので、私自身は正露丸を愛用しています。抗マラリヤ薬は、現地で購入する方が何分の1かの安さですが、相性によっては鬱病等の副作用があるそうです。症状を問わず無闇矢鱈にアスピリンを飲んだり、コカコーラを腹痛薬だと信じる、フランス人の民間療法なども信用できません。

2-4.現地に長らく住んでいる年長の人に相談し、何かあったら相談できるホームドクターを作っておくのは一案です。薬屋でも近所の内科医を紹介してくれます。自分で動けるくらい軽症なうちに信頼できる内科医を見つけておくと、将来的にもっと深刻な症状に直面したときに役立ちます。メンタルヘルスや小児科ならば、海外旅行保険に相談し、日本人医師を探しておくべきです。

2-5.急病や怪我、盗難やトラブルの場合、まず海外旅行保険の緊急連絡先に日本語で相談してみましょう。このときのために、現地フリーダイヤル番号と日本へのコレクトコール番号等を、保険証番号やカード番号と一緒に携帯電話やメモ帳に記しておく必要があるのです。急病・怪我の場合、キャッシュレスで病院を手配してもらえます。タクシー移動や帰国後の治療も保険が下りますので、領収書を取っておきましょう。その上で保険請求書を書きましょう。盗難の場合、警察で盗難証明書を作ってもらう必要があります。海外旅行保険については、旅・留学の持ち物2.貴重品:カード・お金・海外旅行保険も参考に。

2-6.ただし、1年以上の長期滞在の場合、海外旅行保険をあまり浪費すると、1年毎の延長を拒否されることもあるようです。複数年の海外旅行保険は契約が難しくなっていますが、保険代理店をじっくり探してフリープランで組んでもらった場合、そうした事態を避けることができます。

2-7.手術や注射は、途上国はもちろん先進国でも、信頼できる外国人向け超高級医療機関を選ぶべきでしょう。入院手術は、できれば帰国して日本人医師・看護師にゆだねた方が、安心かもしれません。私はパリの富裕層向けの歯科医で歯の治療をしたところ、帰国時に日本人歯科医に「最近は見かけない方法ですが、一体どんな所で治療しましたか?」と技術の古さ・稚拙さを笑われました。

3.留学生がやってはいけないタブーがいくつかあります。

1.留学生は車の運転をしてはいけません。事故の事例を身の回りに見てきましたが、海外では運転のルールやマナーも異なり、事故の危険が国内とは比べ物になりません。事故時には、海外旅行・留学保険の対象外ですし、留学本来の目的が吹き飛びます。留学中に深刻な交通事故に合い、入院・留学中断はもちろん、同乗者の怪我を償うため実家まで緊急帰国した事例を身近に目撃しています。

2.本格登山やハンググライダーなど「危険なスポーツ」は、海外旅行保険の対象外ですし、留学目的から逸脱しますので、避けて下さい。日本にいる限りは自己責任ですが、海外で事故を起こした場合、膨大な救済者費用を保険外で自己負担せざるをえないなど、1人では責任を負いきれません。運動選手など、かねてから装備・技術を準備しており、どうしてもやる必然性があるならば、別途、スポーツ保険に入るべきです。

3.留学生は、賭博やドラッグ、ヒッチハイキングやカウチサーフィン等、違法行為や危険行為は絶対にしてはいけません。非日常感覚でテンションが上がり、何をやっても良いような気分になる調子者がいます。しかし、たとえ現地の悪い友達に誘われたとしても、外国人の場合、処罰も被害も深刻度が異なります。ドラッグの場合、国によっては執行猶予なしの収監はもちろん、終身刑・死刑もありえます。

4.留学生は、外務省・海外安全情報で「十分注意して下さい」以上の危険情報が発令されている地域への立ち入りは、研究調査上の必要があると指導教員に事前許可をもらって下さい。「渡航の是非を検討して下さい」以上の危険情報が発令されている地域には絶対に渡航してはいけません。


4. 大学間の交換留学の場合、学費免除・単位認定・入試免除等の権利がある代わりに、以下の義務が生じます。交換留学は個人旅行の隠れ蓑などではなく、大学正規の教育プログラムです。義務と禁忌を守れないなら、そもそも交換留学を選ぶべきではありません

・留学先の携帯・固定電話番号、住所、Skype IDの渡航直前直後の報告。
・出国・帰国または第三国に出国する場合の旅程・宿泊予定住所の事前報告。航空券利用ならE-Ticketの転送。休暇や学期終了後を含む出国から帰国まで。
・履修科目・フィールド調査・インターンシップの事前相談。
・講義の出席と単位の取得。
・帰国後の留学報告記。
・大学を代表する責任ある行動。車の運転、危険なスポーツ、冒険旅行等、派遣/受入大学を教育目的と無縁のリスクに巻き込む行為の禁止。

・交換留学は、自分ひとりだけの力で実現したかのように慢心するのは、傲慢な誤解です。海外大学の正規課程は、本来ならば現地語による入学試験に合格しないと入学できません。そこに正規大学生と同等の資格で編入できるのは、母校の歴年の信頼・権威と関係教職員・先輩の諸努力に支えられているからです。「自分だけなら/誰も見ていないから良い」と、大学全体の信頼と蓄積を危険にさらす権利はあなたにはありません。大学の代表として常に慎重な行動が必要なことを意識して下さい。
交換留学とは、出国から帰国まで、休暇・往復路を含みます。報告・連絡・相談の義務もその全期間が対象です。観光旅行は交換留学の本旨ではありません。日本が学期中の場合、たとえ現地学期の修了後・帰国直前であっても、一定の配慮をしましょう。日程と連絡先の事前連絡は、まず海外での安全のためです。事前報告は同時に、「責任ある行動を取ります」という学生側の宣誓と「あなたを信頼します」という大学側の黙認の間を取り結ぶものです。無断行動はこの紳士協定を破る不法行為です。
・私費留学の場合も、大学・企業等の所属先を持つかぎり、トラブルが生じたときに所属先に迷惑がかかることは一緒です。交換留学生に準じたホウレンソウが望ましいです。

5.一番危ないのは「半可通」です。1-2年の短期留学経験のある人や複数の海外旅行経験のある人などです。とくに長期滞在を終えて帰国する直前に「最後の旅行」をするとき、気が緩む人が多いようです。国内交通事故死亡者の6割が自宅近くで亡くなっていることとも共通点があると思います。
・日常会話には不自由しなくなったものの、まだ現地人並の厳しい競争にはさらされていない谷間の時期は、妙にテンションが高く、もっとも世間知らずです。「生兵法は怪我の元」といいますが、海外のすべてが分かったように慢心し、万事に不安げな海外初心者よりむしろ危険が多くなります。「言葉がお上手ですね。どこで習いましたか?」などとおだてられる頃が典型的ですが、本当に現地語に堪能ならば、地方方言話者や移民家庭出身者に間違えられ、むしろ言葉遣いの不備を非難されたりするはずです。その点、現地人と同条件で競争し、給与を受け取ったり学位を取ったりする長期生活者は、自分の知識・能力の弱点を自覚し、後ろ盾のない怖さも知っているため、むしろ慎重です。
・何かのリスクを冒す前に、あなたが留学する際にどれだけの人が協力してくれたかを思い出して下さい。退避警報に逆らって個人の意思でイラクに渡航した人が誘拐されたとき、所属する家族・学校・団体・政府が、本人に代わりどれほどの社会経済的代償を背負ったかを思い出して下さい。あなた一人では到底償えません。とくに母校の教員・先輩・学生グループの組織的な支援・助言を受けている場合、あなたが事故を起こすと、その教員・学生グループも共同責任を免れえず、今後の後輩の留学派遣を停止せざるをえなくなります。あなた一人だけの問題ではなく、世話になった人たち全員に迷惑がかかります。

6.海外旅行時の報告や家族・友人・家族への近況は、Emailでも良いですが、Facebookやブログも使えます。事後には本人の思い出や教員・後輩への参考資料にもなります。トラブルに巻き込まれたときには、救済の鍵にもなります。Facebook入門Facebookのプライバシー設定は別記。
6-1.海外渡航中は、定期的にネットに接続する機会を見つけ、Facebookのチャットをオンにし、写真、日記(ノート)、近況(今なにをしていますか)を書きこんで下さい。
6-2.現地でSIMカードを購入した場合、新しい携帯電話番号を家族・友人・教員にEmailして下さい。旅行期間限定なら、メモ代わりにFacebookで公開することさえ、大きな問題にならないでしょう。
6-3.写真や近況(今なにをしていますか)は、携帯メール・写メールでも投稿できます(個別アドレスはログイン後に以下のHPで確認して下さい)。また、WEBが見られる携帯ならm.facebook.comでサクサク見られます。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

留学先で良い成績を目指す - Improve your grade

留学生が現地人と伍して好成績を上げるのは大変なことで、日々の課題に追われて余裕を失う人も少なくありません。留学先で落ちこぼれた!現地人と競争できる語学力は別記しました。

A. 自己管理の技術

1.ピンチはチャンス

・苦しいときは成長しているときです。逆に言えば、楽しているときは、新しいことを学んでいないのです。ピンチに耐え抜くことは、それ自体が素晴らしい業績です。他の人があなたの成熟に到達しようとするには、同じだけの苦労を重ねる必要があります。その意味では、あなたは前人未到の成長点に立っているのかもしれません。
・何事もポジティブに考えましょう。日本人は現地語が下手だと小さくなる傾向がありますが、他国人には八方破れの言葉で堂々と発言する人が少なくありません。外国人教員にも、無茶苦茶な英語で講義する人が多々います。

2.自信を持つ

・日本の「一流大学」の教育水準と社会的地位は、客観的に決して馬鹿にできません。あなたがもし日本のトップ10-20の大学に所属しているなら、実は全国758大学の中ではトップ2%前後の超エリートです。ゼミやサークルの先輩も、多少の差はあれほぼ全員が、一部上場企業に就職したり、公務員や大学院生になり、大企業社長や高級官僚等に卒業生がいるでしょう。一流企業採用者がキャンパスまで押し寄せ、卒業の1年前に複数の内定を与えてくれるのは、超一流MBAくらいのもので、ハーバードやスタンフォードなどの学部生はそれほど恵まれていないはずです。日本に大学籍を残している人は、留学で頑張れば帰国時には一定以上の将来が保証されています。あなたには能力があり、頑張ればそれなり成果も期待できます。そう楽観できることは非常に幸運なことです。

3.開き直る

・前項と矛盾するようですが、自分の可能性に自信を持つことと、見栄にこだわり自尊心の殻に閉じこもることは違います。私は(大学院博士課程を含む)すべての留学予定者にあえて、「ぼく/わたしは馬鹿だピョーン」と大声で叫ぶことを勧めます。
・留学するような人は、日本では外国語を得意科目とし、高学歴で上昇志向の優等生も多いはずです。憧れの海外現地で、言葉が下手なゆえに子供扱いされるような状態は、さぞ屈辱的であるでしょう。しかし、もはや失うものがありません。余計なプライドは成長を妨げるので、恥も外聞も捨て裸一貫の挑戦者として大胆(ヤケクソ)に冒険してみましょう。最底辺からの再出発は、「おっ、意外にやるな」とむしろ評価が逆転する可能性があります。

B. 自分に有利な科目を選ぶ

1. 数学・理論系科目を選ぶ

・一般に欧米人より日本人が強いのは、数学・統計学、物理学・理論経済学、アジア論、そしてグランドセオリー・教養全般です。あなたが日本での学習時に相対的に得意だったか否かは重要ではありません。現地学生にない知識・スキルとして有利に立てるならば、昔の教科書を引っ張り出して、今から補強すれば良いのです。ゼロから始める人より大分マシです。
・欧州人は早くから専門特化するので、フランス銀行史で博士論文を書いていても、財政政策と金融政策の違いなど、経済学の基礎を知らないことは珍しくなく、「こんなことも知らないの?」と公定歩合の役割等を手際良く論じると感心されます。統計学・数学も弱いので、回帰分析などは有効です。マルクスやアダム・スミス等の古典書は、受験参考書のようなダイジェスト版しか読んだことがない人が多数派です。あなたが原著(邦訳可)を読んだことがあるならば、原著(英語訳可)を引用すると見直されます。
・叙述系・思想系科目を外国語で学ぶよりも、日本でも履修歴のある数学系・実習系科目を履修すれば、語学のハンデがなく、あなたの能力が生かされる可能性があります。グループ・ディスカッション・プレゼンテーション系は、味噌っかす扱いで辛い思いをすることもあるでしょうが、親友が増えて勉強力が開花することもあります。自分の語学力・表現力が向いているか否かを良く見極めてから履修しましょう。

2.日本研究・アジア研究を選ぶ

・日本人であることを勉強の武器にすることは、両刃の刃です。女性がセックスアピールを駆け引きの武器にすることと同様に、胡散臭さや後ろめたさを伴います。日本人/女性に生まれたこと自体には、知的な努力や根拠がないからです。が、持てるものを上手に使わないのはもったいないのも事実です。
・海外留学した日本人の中には、日本学科目を履修したり、日本研究を専門に選ぶ人もいます。日本専攻者や日本語話者の同級生にも恵まれ、日本語能力を生かすことができます。
・しかし、留学成果の評価に慣れた先輩や上司からは、「アメリカで日本学の論文を書いて何の意味があるの?」「落ちこぼれて安易な道に逃げたね」と蔑まれても仕方ありません。米国で日本社会を研究してみたところで、日本で現場研究を行う「王道」よりも低く評価される可能性が高いです。逆に、米国で米国研究をして学位や評価を勝ち取った日本人は、米国人と対等に勝負したことは明らかですし、帰国後にも本物だと評価される可能性が増します。
・折衷案としては、日本で発展した研究手法を米国研究に応用したり、日本と米国の事例を比較してみたりするという選択肢はありえます。

3.語学研修に時間を割く

・留学生が成績面で不利な点の多くは語学力にあります。大学院生や研究者・企業人など、専門に自信がある人ほど、語学研修を軽視する傾向があります。が、語学力は留学生活すべての基礎で、決して馬鹿にできません。私の経験では、集中語学研修を3ヶ月以上行わないと、現地人の語学力には到底追いつけません。1年以上留学しても、書き言葉にはネイティブの添削が不可欠です。
・語学力の不足を自覚したら、専門研究の時間を思い切って削り、語学研修に時間を大幅に割きましょう。語学力をいい加減にしたままでは、専門の成果も上がりませんので、焦ってはいけません。語学学習に集中する期間を3ヶ月確保する価値があります。交換留学中の夏休み期間に語学力不足を実感し、1-2ヶ月の集中語学研修をした人はたくさんいます。いずれも良い成果を上げています。一流企業の社費派遣で一流大学院MBAに派遣された後、夏休みに集中語学研修を行った人もいます。もちろんTOEFL/GREスコアは非常に高いのですが、それと会話力は関係ないからです。勇気ある正しい決断でした。
・集中語学研修がどうしてもできない場合、自費の夜学でも良いので、語学学校に通いましょう。周囲は自分よりも若く学歴・職歴が浅い人たちばかりかもしれませんが、恥ずかしいと考える必要はありません。むしろ思い切って恥をさらし、この機会にたくさんしゃべりまくりましょう。

C.ノートの取り方

1. 論理構造を再構成するノート

・日本での週2-3回程度の語学講座しか履修したことがない場合、最初の数ヶ月は講義が理解できなくても仕方ありません。本来ならば学期が始まるより早めに渡航して、3ヶ月以上は語学研修をするのが王道です。しかし、その講義を取ると決めた場合、ノートも取らずにボーと聞いていてはいけません。
・欧州人教員には板書もパワーポイントも使わない人がいます。欧州人学生の中にも、改行もせずに筆記機械のようにノートを取りまくる人がいますが、これも頭が悪い学生の典型なので真似してはいけません。
・良いノートとは、板書や口頭説明を闇雲に丸写しするものではなく、論理構造を自分で取捨選択し再構成したものです。日本で頭の良いノートが取れていた人は、外国語に慣れさえすれば講義ノートも軌道に乗るはずです。他方、日本で論理的なノートを取る習慣がなかった人は、ノートの取り方から学び直さないと、外国語でも伸びません。高校から海外留学した日本人が、語学には慣れても成績が伸びないことがあるのは、こうした背景があります。
・口頭説明の論理構造を自分なりに再構成してノートが取れる技術は、専門書を読みながら論理構造を理解して吸収する技術と、実は表裏一体です。ノートが取れない人は、専門書もきちんと理解できません。したがって、ノートを馬鹿にすると、勉強すべてができなくなります。語学だけの問題ではないのです。

2.ノートの基本技術

・まず今何が話されているか、小見出しをつけましょう。
・話がどこで転換するかに留意し、次の話題に移ったら再び小見出しをつけましょう。
・小見出しと小見出しの間の論理的な連関に留意し、論理マークをつけましょう。授業が終わったときに、全体の論理構造・階層構造を振り返られるようにしましょう。
・構造とは、序論、本論、仮説提示、証明解説、反証、例示、比較、結論などです。論理マークとは、矢印、等号、cf.(参照)、i.e.(すなわち)、e.g.(たとえば)、∵(b/cなぜならば)、vs(しかし)などです。
・「3つの理由がある」と言われたら、①、②、③と並列します。「しかし」「ところが」という逆説の論理転換も重要です。
・自分が分かる単語をできるだけたくさん拾い、小見出し毎に列挙しましょう。単語と単語の論理的な連関に留意し、階層的に段違いに位置づけ、論理マークでつなげましょう。辞書は、いちいちくと論理が追えなくなる危険があるので、最低限にすべきです。

3.言葉が分からないとき

・分からない単語でも、何度も繰り返されるならば、重要キーワードです。ローマ字でメモし、講義の合間に隣人にノートを見せてもらうか、講義直後に隣人に聞き、必ずマスターしましょう。放置すると、講義も理解できず単位も取れない可能性があります。
・途中で意味が分からなくなったら、潔く白紙部分を作り、意味が分かる部分を書き続けましょう。そして、白紙部分は講義直後に隣人にノートを見せてもらいましょう。重要なのは、どんなに白紙部分があろうとも、授業終了後まで集中力を切らさず、全体の論理構造を追うことです。
・隣人にノートを見せてもらうとき、一番チェックするべき点は、自分の小見出しと論理構造の全体把握が正しかったか否かです。もし間違いがあった場合、いつ頃に集中力が切れて、分からなくなってしまったのか、「誤解のパターン」を把握して直すべきです。
・「ああ、もう分からない」と一度放棄し、腕時計や携帯電話や電子辞書をいじったりし始めると、頭が思考停止状態になり、以後の講義が本当に分からなくなります。日本でも海外でも、言葉に不自由な留学生がこれをやっているのを見かけますが、ダメ学生が落ちこぼれる瞬間の典型的パターンです。留学経験のある教員・学生ならば、見ればピンと来るでしょう。が、これも適性検査の一部です。奮起できず集中力も維持できない学生は、語学力以前に留学に向きません。

4.ボイスレコーダーを活用する

・単語だけを雰囲気だけを流し聞きして、分かったつもりになることは危険です。その意味でレコーダーで構文や構造をきっちり把握し、それからスピードアップすることは生産的です。しかし、レコーダーに頼りすぎて、ゆっくり日本語に翻訳する癖をつけることも良くありません。レコーダーでは速度調整ができますが、それでも1時間の授業を聞くのに、2倍の時間がかかってしまうはずです。先生のアクセントの癖や自分のヒアリングの癖を身につけたら、レコーダーはできだけ早く卒業できると理想的です。構文・構造を正確に把握しつつ、ナチュラルスピードに近づけるのが理想的です。
・実は、読む速度、聴く速度、話す速度、書く速度は、「外国語で考える」速度と一致します。ゆっくり時間を取って日本語に翻訳するのではなく、英語の語順と速度のままで論理構造をそのまま理解できるようになるのが、理想です。単語の羅列だけで雰囲気で流して想像するのではなく、ナチュラルスピードで、関係代名詞や修飾節等の構文を構造的かつ論理的に把握するということです。
・内容も、これは最重要点だ、これは追加説明だ、これは事例・反証だ、これが1-3つ目の論点だ、話題が転換した、これが結論だ、と構造を押さえていくべきです。講義を聴きながらでこれができるようになると、専門書を読むのも速くなります。逆に言えば、講義をナチュラルスピードで理解できるということは、専門書・専門論文も速読できるようになるということです。

D. 勉強技術の改善

1.速読術を身につける

・英語スキルの差が20-50%は成績評価を左右すると思います。非母国語で読み書きの効率が落ちるのは、仕方ありませんが、paragraph readingと呼ばれる速読術は大切です。段落を要約しつつ、段落間の論理構成を組立てながら、読んでいくのです。段落要約と論理把握を反復的に訓練し、精度を保ったまま読解速度を少しずつ上げていきましょう。
・具体的にはすべての小見出しと段落にそれぞれ番号を振りましょう。1章または1論文に小見出しが5つあれば、各節のどれが要約・結論を含む最重要部分なのか、どこが事例や理由説明か、1/5ずつ内容把握しましょう。各節内でも、各段落の最重要部分を把握しつつ、要約・結論を含む最重要段落、理由説明の段落、事例紹介の段落と、段落を分類しましょう。重要部分さえ丁寧に読めば、事例は飛ばし読みが可能です。もっとも、第一印象での分類を誤解し、重要な反証を読み落とした場合、趣旨を正反対に読み間違える可能性もあります。その場合、「何かおかしい」と引き返す勘も、読解力の一部です。
・基礎技術を雰囲気でごまかすと、ギリギリ単位は取れたとしても、その後が伸びません。大学院では量が違うので、馬脚が現れます。受験英語の英文読解は、単語のつまみ読みだけで読み飛ばす癖がつくと失敗するので、まず関係代名詞の修飾関係を論理的にガッチリ把握することから始め、少しずつスピードアップするのに似ています。

2.プレゼン・レポートのフォーマット

・プレゼンやレポートの外見だけでも、成績評価の10-30%は左右されます。論文構成や脚注、参考文献のフォーマットに自己流な過不足があるだけで、アカデミックなトレーニングを受けていないと決めつけられ、教員の心象が悪くなります。
・『論文・レポートの書き方』、『大学(院)生の勉強術』、『手紙の書き方』等の本は、留学の早い時期に必ず各1冊ずつ買うべきです。それを真似するだけで、明日から即効性があります。周囲の優等生の事例もどんどん真似しましょう。こういう「型」を無視しても日常課題を乗り切ることはできるでしょうが、冒頭から「型」をカッチリ真似すると、終盤の伸びが違います。
・レポートやパワーポイントは、卒論に準じた序論(先行研究・研究方法・論文構成)・本論・結論、脚注、図表・出典、参考文献等のフォーマットを意識するべきです。
・「第一に、第二に、第三に」等のピラミッド型の論理構成を意識しましょう。
・学術論文特有の表現や慣用句、接続句は複数パターンを暗記し、反復を避けてバランスよく散りばめましょう。

E.プラスアルファの付加価値をつける

1.+30%のハッタリをかます

・課題に100%忠実に答えることは最前提ですが、外国人特有の幼い文章表現で20-30%減点されてしまうと、70点以下になってしまいます。そこで、予め+10-30%のプラスアルファ・付加価値を心がけて、初めて百点に近い好成績が取れます。良い成績を取るコツは、「ここぞ」という勝負所で講義枠組みをわざと超越し、「おっ、こいつは馬鹿でない」と思わせるハッタリをかますことです。最初はハッタリを外して冷笑されるかもしれませんが、次第にツボが分かってきて、ヒット率が上がります。

2.卒業論文スキルの活用

・欧米大学の学部課程には、ゼミ・研究室単位の少人数教育・卒業論文指導がないことが多いです。その場合、パワーポイントのプレゼンテーションのテクニックは得意でも、学術研究の基礎ができていません。そこで、日本のゼミ・研究室で学んだ研究者特有のスキル・作法を織り込むと、口下手を補完して成果をアピールし、驚かれる可能性があります。たとえば以下のようなものです。

-統計図表・グラフ表現・回帰分析
-概念図
-インタビュー調査・訪問調査・アンケート調査
-学術雑誌論文検索(Web of Science, Current Contents, Econ-Lit)による専門論文の引用
-グランドセオリー(理論書)の引用
-完璧なフォーマットによる参考文献一覧と脚注
-レジュメ・付録の印刷配布やポスター提示


3.引用の組合せの妙を演出する

・課題図書とはまったく別分野の文献や資料を引用し比較してみることは、ハイリスクですが、独自性を強調できる意味でハイリターンです。課題図書を読む時間・労力の+10-20%を、別図書の読解にあてるのです(課題を疎かにするのは本末転倒)。もちろん、他の科目のレポートをCut&Pasteするのは、すぐばれるので逆効果です。
・海外では知られていない日本人研究者の最新の書籍や方法論を引用するのも、リスクはありますが、上手にやると効果的です。その場合、特定の日本人研究者や日本語書籍を突然そのまま引用するのでは意味がありません。まず、日本においてその議論・方法論を論じる一定数の有力な研究者集団がいると学派名を定義し(XX大学派、XX学会派などの造語もOK)、その研究史・論争点を要約紹介した上で、とくにこの研究者・文献は先行研究の中でも重要だと、研究者名(有名大学教授)や選択理由を説明しつつ、引用するのです。海外の未知の最新動向に興味を持つ教員は多く、留学生がその貴重な情報源(翻訳紹介者)になると認識すると、担当教員が大切にしてくれるようになります。
・担当教員の研究業績を検索し、その引用と批判をコメントをレポートや試験回答に混ぜることも、ハイリスク・ハイリターンです。致命的な誤解をしない限り、少ない労力で効率的です。私の経験では、教員の性格次第ではわざと高飛車な批判を書いたりすると、逆に可愛がられました(怒る人もいました)。

4.母国・職歴・趣味の活用

・ケーススタディで母国の事例を盛り込むのは、留学生の常道です。しかし、母国の事例だけを取り上げるよりも、前述のようにその国の有力学派を要約紹介する方が、一般性があります。「ああ、あなたの母国はたしかに特殊だね(でも関心ないや)」と言われてしまえば、それで終わりです。
・日本企業の勤務経験がある場合、「日本の会社では…」を強調するのも良いです。しかし、2ヶ国対照論や日本特殊論だけでは、日本に関心がある人ばかりではないので、限界が生じます。むしろ、日本と留学国に第3国を加えた3ヶ国以上を客観比較する習慣をつけた方が、説得力があります。たとえば「日本は米国とここが違う」ではなく、「日本と中国はこの点で共通し、その共通基準に照らして米国はここが特殊だ」と主張するのです。
・勉強のヒントは、教室だけではなく、教室外にもあります。私自身は、留学時代にある日本語メディアに連載記事をもっていましたが、元気良く趣味の文章を書くと、本来の勉強にも良い影響がありました。現地企業でのアルバイトやインターンシップ・ボランティア、第三国への短期留学・語学研修、途上国の長期旅行、資格の取得なども、成長のヒントになる可能性があります。

F. 人間関係の中に味方を作る

1.教員・TAに食い込む

・教員に名前と顔を覚えてもらいましょう。前列の席に座るのが近道です。
・教員に授業後やオフィスアワーに積極的にしつこく発言・質問しましょう。泣きつくとしたら、試験直前直後では逆効果で、学期半ばの方が良いでしょう。
・講義を録音したりせず、疑問はその場で解決しましょう。
・優秀な先輩やTA、若手教員に個人的なメンターになってもらいましょう。指導教員が忙しすぎたり、仲がうまくないときは、副指導教員的なメンターを自分で探し出すことが大切です。

2.仲間を作る

・添削を頼める複数の友人を確保しましょう。単語しか直さない人や、文章や論理自体をリライトする人、外国人から見ても文法間違いが多い人など、得手不得手を比較して添削依頼を分散しましょう。
・添削してくれる友人には何らかの動機付けがあると長続きします。一番良いのは恋人です。日本研究学生や言語交換仲間とも、Win-Win関係を築けるでしょう。また、地方出身者や同性愛者などは、マイノリティとしての留学生にも同情的で、仲良くしてくれることがあります。

3.集団に所属する

・耳学問ができる仲間集団に所属しましょう。一般論はありませんが、自分から飛び込まないと良い仲間ができないことは、共通しています。
・日本人学生会などに所属するのは、日本語以外に特技がない人には一番安易な手段ですが、日本人だけでなく日本語学習者と交流できることもあります。その点、優れた特技がある人はそれを活用すると、対等な交流が広がります。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

カテゴリ
最新記事
リンク
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
Since June 2009
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。