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空港からの最初の一歩 - The first step from the airport

海外現地に適応する最大・最速のコツは、空港到着直後にいかに労力と時間を犠牲にしようと妥協せず、地元民向けの最安の交通手段で空港から都心に向かうことです。私はこれをバックパッカーの覚悟を問う踏み絵として最重要視しています。冒頭で妥協さえしなければ、その後の旅でも現地語を話し現地人に合わせる姿勢を貫徹できるからです。先進国・中進国の場合、安価な公共交通機関(鉄道・地下鉄)が空港に乗り入れていますが、途上国の場合は事情が異なります。

カンボジア・プノンペンのトゥクトゥク(バイクタクシー)の車窓から
プノンペンのトゥクトゥク
著者撮影、2007年11月

途上国では、エアポートタクシー以外に公共交通機関の公式案内がないはずです。空港職員に英語で質問しても、エアポートタクシー以外は教えてくれないでしょう。そして出口を出た途端に、公認・非公認のエアポートタクシーや自称ガイドが英語で押し寄せます。同じ飛行機の乗客のうち、外国人のビジネス客はエアポートタクシーに乗り、残りの観光客は客引きドライバーの勧誘に従い、現地人は迎えの自家用車に乗り込むでしょう。

しかし、あらゆる客引きを振り切って、空港の外の大通りまで歩いて出るのが、庶民の交通機関を利用するための定石です。売店員や守衛さんに、「バス停はどこですか(タクシーは高すぎる)」と現地語で聞いて回る(慣用句を暗記する)と、バス停等を教えてくれる人が現れるでしょう。空港リムジンや空港タクシーとは別に空港の外を出たところに、乗合バスやバイクタクシーがあるからです。運賃30ドル前後の空港タクシーは、日常品の物価から考えると法外な価格で、現地の人は必ず数ドル以下の公共交通機関を使います。空港の外まで歩くのは自分ひとりだけかもしれませんが、不安に思う必要はありません。万一、公共交通機関が見つからなければ、空港に戻れば良いだけです。せいぜい30分くらいの時間の差で、焦る必要はないのです。

「慣れてから少しずつ」という甘えは、現場志向の旅人には温すぎます。現地適応には初めが肝心です。庶民の交通手段を使うことが、現地生活を知る最良の手段です。乗合バスは、現地語を話し、車内外の風景や人々を観察し、金銭感覚を現地化するのにも最適です。最初から贅沢な守りに入るのは、悪い癖になります。集団パックツアーは論外ですが、点と点を結ぶタクシーも、街の風景の細部を見落とします。

ただし、現地ルールの初心者として、謙虚さ、警戒、そして好奇心が大切です。たとえば、予め少額紙幣・小銭を用意すると同時に、荷物が乗客の邪魔にならぬよう注意しましょう。また数字の現地語も暗記しておきましょう。

また、空港に深夜に到着するときは別です。中級ホテルのエアポート・ピックアップを利用した方が安全でしょう。私もケニアのナイロビやセネガルのダカールに深夜に着いたときはそうして、2泊目から安ホテルに移動しました。また、ケニアのナイロビの乗合バス(0.9ドル)は盗難が多いことで有名です。かなりの用心が必要ですし、エアポートバス(5ドル)の方が無難かもしれません。

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(成功例1) ラオスのパクセ空港、ベトナムのホーチミンシティ空港、カンボジアのプノンペン空港やシェムリアップ空港、インドのデリー・インディラ・ガンジー空港などでは、空港の外で現地語しか話さぬ流しのバイクタクシーに声をかけると、エアポートタクシーの1/10、空港内のドライバーの半額以下です(現地語定型句の暗記が必須)。ガイドブックや英語掲示板には書いてなかったりします。客よりドライバーが多い買い手市場なので、時間が許す限り複数のドライバーに打診します。ドライバーも、最初は数倍を吹っかけますが、仕事にあぶれるくらいなら地元運賃で喜んで引き受けます。ベトナム・ラオス・カンボジアなら、空港が都心部から30分以内なので、相場は最大2ドルです。3-5人に断られたら、初めて言い値を少し上げて妥協点を探ります。大量にバイクタクシーが待機している場合、強気にどんどん空港から街中に歩いて探せば、最安値になります。

(成功例2) マダガスカルのアンタナナリボ・イヴァト空港では、空港職員にバス停の場所を仏語で聞くと、「空港タクシーしかない」と言われました。が、別の空港売店で重ねてバス停を仏語で聞くと、空港外の何もない空間を指差されました。実際に空港を出て大通りを10m歩くと、空港側からは死角になった脇道に乗り合いバス(Taxi-Brousse)が止まっていました。運賃が分からなかったので、他の乗客が出す紙幣を見て見当をつけました。満員なので車掌に行き先を叫び、乗客同士のリレーで紙幣を渡し、チケットとお釣がリレーで戻ってきます。乗合バスの乗り方は、ケニアやザンビア、コンゴ等でも一緒なので、早めに覚える価値があります。庶民の公共交通機関では大幅にぼられることはほとんどありませんが(車掌のさじ加減で変化することはある)、小額紙幣がないと迷惑でしょう。

(成功例3) ロンドンのヒースロー空港、パリのシャルル・ドゴール空港、ドイツのフランクフルト空港等、先進国では直結の地下鉄・鉄道が乗り入れています。荷物が重かったり、ホテルが駅から遠くない限り、地下鉄等がもっとも安価・確実な交通手段でしょう。中進国でも、シンガポールのチャンギ空港、モロッコのカサブランカ・モハマド5世空港、タイのバンコク・スワンナブーム空港、トルコのイスタンブール・アタチュルク空港等、地下鉄・鉄道直結が増えています。ガイドブックにも明記されていますし、空港内にも案内が出ています。

シンガポールのMRT(空港は3番線始発駅)

(失敗例1) 外国人にはとりあえずタクシーを勧めるのが、どの国でも定番の対応です。ラオスのビエンチャン・ワッタイ空港の初訪問時は、空港職員(かタクシー組合スタッフ)に「空港タクシーしかない」と断言され、タクシーに乗りました。しかし実際には、空港の外に地元客用の乗り合いバイクタクシー(tuktuk)が待機しています。2回目からはこれを使いましたが、都心は空港からたった数kmの至近距離です。インドのデリー・インディラ・ガンジー空港やベトナム・ホーチミン空港の公式HPでも、バイクタクシーの存在には触れず、タクシー・レンタカー業者のみを挙げます。

自称"LowCost/Cheat"なタクシー4社のみを勧めるベトナム・ホーチミン空港の公式HP


(失敗例2) アルジェリアのアルジェ空港では、タクシー・ドライバーに誘われるのを振り切り、いつものように空港を歩いて出ました。高速道路のような車道に出たのですが、公共交通機関どころか人影すらありません。1時間近く歩いてようやく、通行人のいる通りに出て、バス停を教えてもらえました。10余年来のテロの影響で観光ガイドも存在せず、事前情報がなかったために、出口を間違えたようでした。

(失敗例3) カンボジアのシェムリアップの船着場では、予約済のホテルが無料でサービスしたバイクタクシーに乗りました。流暢な英語のドライバーと意気投合し、勧められるままに半日契約に合意したところ、相場の2倍だったと後で判明しました。相場が分からない到着直後に契約をしてはいけない、複数のドライバーと交渉しないといけない、と反省しました。

(失敗例4) ケニアのナイロビ空港では、特殊な両替をするために通常出口とは異なるゲートまで歩き、そこで観光客用のエアポートバス(5ドル)に乗ろうとしました。ところが、教えられたバス停にやって来たのは、スリ・盗難で悪名高い庶民用の乗合バス(0.9ドル)でした。貴重品の所在とバックパックの施錠を確認した上で観念し、窓際の席に荷物を膝の間に挟んで乗りました。大型荷物を目の離れたところに置くことなどはトラブルの元です。

(失敗例5) バンコクのスワンナブーム空港では、市内まで鉄道エアポートリンクが開通したので、それが定番でしょう。が、それまでは悪評紛々でした。①本来なら空港公式の案内窓口があるべき場所に「インフォーメーション」の看板を掲げた民間業者がいて、あたかもそれが唯一の公的交通機関であるかのように、高額なエアポートタクシーを勧めます。旧ドンムアン空港時代は詐欺に近い強引さでしたが、新スワンナブーム空港でも、民間業者と公的案内窓口の区別がつかないのは不当です。②市内バスに乗るには、まずシャトルバスでバスターミナルに行って、乗り継ぎます。しかし、本数が少なく、価格は時間と手間に見合いません。③市内から空港へは、カオサン発の乗り合いバスがあります。が、正規のエアポートバスとは異なり、古いマイクロバスに鮨詰め状態で、運転も乱暴でした。

(成功/失敗例) インドのチェンナイ空港からは、チェンナイ市街・ポンディシェリ経由でオーロヴィルまで、一日かけて移動しました。空港に鉄道駅の案内はどこにもなく、工事中の道を人に聞きながら10分ほど迷い歩きました。鉄道に乗ってチェンナイ中央駅についたら、今度はバスターミナル駅までの市内バスが見つからず、30分ほど人に聞いて回りました。チェンナイ・バスターミナルからポンディシェリ・バスターミナルまで長距離バスに乗りました。ポンディシェリ・バスターミナルから市街へは、また人に聞いてやっと、乗り合いバスを見つけました。最後にポンディシェリ市街でレンタサイクルを借り、オーロヴィル村まで一時間以上走って到着しました。丸一日かかって大変消耗したので、帰りはオーロヴィルからチェンナイ空港までタクシーに乗ったところ、5千円で2時間でした。両極端で反省しました。

南インド・オーロヴィル村での貸自転車
インド・オーロヴィルを走破したバックパックと自転車
著者撮影、2008年3月
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テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

tag : 空港 タクシー リムジン バイクタクシー 自転車

安宿に泊まる - Cheap accomodation

1. 安宿のすすめ

旅費の半額を占める宿代を圧縮して、食事、見聞、土産等に倍額をかけた方が得だと思いませんか? 若者のバックパッカーなら、相部屋のドミトリートイレ・シャワー共同の星なしホテルが常識です。宿代は先進国でも3-4千円以下、途上国なら2千円以下でしょう。さらに冷水シャワーや水洗浄式(トイレットペーパーなし)のトイレに慣れれば、世界中どこでも無敵です。ラオスなら600円です。初めての国でこそ安宿に泊まるのが重要です。生活水準は下げるより上げる方が楽ですし、贅沢は年を取ってからでも遅くありません。

ただし、治安や体調管理は最優先です。たとえば米国やアフリカの大都市などは、他国とは治安常識が異なり、安全を金で買う必要があります。料金だけで移民地区や地元労働者用の安宿に決めてはいけません。また、インターネットやWiFiを希望するなら、宿代はその分上がります。安宿予約の基本技術は別記しました。

カンボジア(プノンペン)でのバックパッカーの拠点・キャピトル・ゲストハウス


2. 安宿は予約しない

アジアでの格安旅行なら、基本的にホテルの予約は不要です。昼過ぎまでにホテルが集中する安宿街に直行し、部屋を見せてもらい、値引き交渉するのが原則です。旅行ガイドブックに掲載されない宿や値引きを自分の眼や足や交渉術で引き出すことを喜びとします。私は混雑地・危険地・乗継時を例外として、30余国をほぼ予約なしに旅していますが、ほとんど問題ありません。目当てのホテルが満室でも、そこで他のホテルを紹介してもらうなど、時間と費用さえかければ、宿は必ず見つかります。その不安や試行錯誤も、後で良い思い出になる旅の醍醐味です。

途上国の空港・駅・観光地には、必ず客引きが待ち構え殺到してきます。が、タクシー運転手や自称ガイドに言われるがままに従ってはいけません。とくに英語(や日本語)を話す客引きは、それを飯の種にする確信犯なので、強引で悪質です。まず彼らを無視して自分のペースを保ち、現地語でじっくり宿を比較することが、出発点です。「ここがそのホテルだ」、「そのホテルはもう満室/存在しない」と嘘を言われ、こちらも「いやもう予約済だ」「友達が待っている」と嘘で返すことも、世界中で繰り返される定石です。

客引きを振り切れずまんまと餌食になる日本人を頻繁に目にしますが、「現地の人と交流できた」などと、ボラれたことに無自覚なことすらあります。客引きに頼って仲介料を上乗せされるより、行き当たりバッタリの勘で初見のホテルに飛び込む方が、掘出し物を見つけられます。未知の海外で宿の予約もなく荷物も重いと、宿を探したり交渉したりするのが不安・面倒になりがちます。が、ここが、早く落ち着きたい客側と客を逃したくない宿側の間のチキンレースで、頑張りどころです。

おそらく世界一有名な安宿街、タイ(バンコク)のカオサン・ロード(Khaosan Road)


(事例) 中国の非観光地なら、100-150CNY(10-15ドル)も出せば、テレビ・エアコンはもちろんパソコンまで完備された広い豪華なツインに泊まれます。Lonely Planetやネット予約は欧米人対象なので、20-50ドル以下のホテルがなく、高過ぎます。ただし、現地人向けホテルは、3つ星ホテルでも英語はまったく通じません。

(事例) ドイツのビーレフェルトやチェコのプラハでは、ホテルを予約せずに現地到着後に探したところ、高いホテルしか空室がなく苦労しました。が、現地ホテル同士の紹介の結果、部外者にはアクセス手段もない新築ホステルや学生寮に泊まることができました。フランスのマルセイユでも、ガイドブックやネットに掲載されるホテルは、すべて1泊50ユーロ(7千円)以上です。が、2日目に街中の路地を探すと30ユーロ以下の民宿も見つかりました。

(事例) カンボジアでは、室内LANを使える部屋はそうでない部屋の2倍以上の宿賃です。そこで旅程の中で安宿と中級ホテルのメリハリをつけることがあります。また、朝食は街の屋台の方がホテルの半額以下なので、朝食抜きを交渉した方が得です。プノンペンのアジアホテルでは半額以下にできました(15ドル)。


3. 安宿街は世界中にある

世界の主要観光地にはほぼ必ず安宿街があります。安宿街には、飲食店、両替店・ATM、旅行代理店、バスツアー発着場所、ネットカフェ、貸自転車等、外国人バックパッカー用のサービスが集積します。セブンイレブンやマクドナルドが立ち並ぶカオサンはその最たるものです。ただし、安宿街には賛否が両論あります。欧米人特有のヒッピー文化や商業主義も色濃く、現地の大衆文化や日常感覚とはズレもあるので、そこだけで完結するのは間違いです。

ガイドブックの地図を見て、ホテルが集まる地区に直行しましょう。途上国の安宿街では、予約しなくても部屋は必ずあります。メインストリートで安易に決めず、あえてその裏道も探してみるのが、安く快適な宿を見つけるコツです。

典型例は、バンコクのカオサンの他、ホーチミンシティのデタム通り、プノンペンのキャピトル・ゲストハウス周辺(モニボン大通り)、オールド・デリーのパハルガンジ、コルコタのサダル・ストリート、ロンドンのヴィクトリア駅周辺や大英博物館(ラッセル・スクエア)周辺、パリのカルチェラタン(サンミッシェル・ソルボンヌ大学周辺)などがあります。

ベトナム(ハノイ)の格安ホテルチェーン

(事例) 一番タフなのは、ホーチミン(ベトナム)のデタムストリートでしょう。すべてのホテルの価格は変動的で、立ち去る素振りをしてから交渉が始まります。そもそも安宿街に着く前に、タクシー運転手は自分の勧めるホテルに横付けしますし、英語で飯を食う自称・案内人が強引に介入して仲介料をかすめ取ろうとします。

(事例) 世界にはバックパッカー間で「伝説」として知られ渡る安宿もあります。私ももちろん泊まりましたが、インド・コルコタのサダルストリート(サルベーション・アーミー・ゲストハウスやホテル・パラゴン)やカンボジア・プノンペンのキャピトル・ゲストハウス(前掲)などです。1980年代のサルベーション・アーミーでは、隣室に泊まっていた日本人客が全身百箇所近く南京虫に刺されて、翌朝入院しました。私は虫除けのお陰か無傷でしたが、彼が「45ヶ所、46、47・・・」と刺された痕を数える姿が記憶に残っています。

バックパッカーの聖地(?)、インド(コルコタ)のサダルストリートの救世軍ゲストハウス

4. YMCA/YWCAやユースホステルを予約する

他方、先進国ではアジアのような安宿街がないことも多く、YMCA/YWCAやユースホステル、ゲストハウス等が安宿の中心です。学生寮も、とくに長期休暇中は短期滞在者を受入れる可能性があります。治安に不安のある途上国でもYMCAは信頼できるというのが、私の経験則です。

マニラ・ユースホステルの大部屋
マニラYH

しかし、これらは受入人数に限りがあり、観光中心地から離れた郊外に立地しがちなので、事前に予約する方が無難です。観光地のど真ん中など、好立地のユースホテルは予約がすぐに埋まります。また、20ドル以下の安宿の大半は、ネット予約に対応していないため、予めガイドブックで連絡先を調べ、電話で予約するのが確実です。

ドイツ(ローテンブルグ)の旧家を利用した人気ユースホステル

(事例) NY、ボストン、ホノルル、香港等では、安宿街がないため、YMCA/YWCAを使いました。NYのYMCAは、鍵が3つもついており、セキュリティもしっかりしていました。バスの時間に間に合わせるため走って帰ったところ、強盗を警戒したガードマンが警備のため飛び出してくれました。パリにはBVJMIJEなどの独立系ドミトリーもあります。

(事例) ナイロビ(ケニア)やキトウェ(ザンビア)、チュニス(チュニジア)では、治安が悪くネット付の安宿も少ないので、YMCAやユースホステルを使いましたが、価格(10-20ドル)以上の価値がありました。チュニスのユースは、旧市街メディナの中の旧邸宅を改装した趣のある建物でした。ナイロビの夜は世界有数の危険さですが、Central YMCAは塀とガードマンに守られた敷地内に、プールや床屋まであり、地元の家族で賑わっています。プールに面したテラスで朝食・夕食を取るのは別世界の優雅さでした。唯一の難点は、ナイロビには蚊、キトウェにはゴキブリが多く、虫除けスプレーを1缶使い切ったことです。他方、中国・海口のバナナ・ユースホステルは、汚く狭く素人っぽい部屋が70CNY(10USD)でしたが、漢字の分からぬ欧米人の足下を見て、立地・設備・価格が現地相場より劣っていました。

ハワイ(ホノルル)のプール付のYMCA


4. 中級ホテルを予約する

人気の定番ホテルに泊まりたい場合や深夜到着・早朝出発する場合、1泊だけ予約しても良いでしょう。とくに安宿街のない先進国や、治安に不安のある途上国、乗継ぎのための空港周辺では、予約の価値があります。安宿予約の基本技術は別記。

ただし、予約は最初の1泊だけに止めましょう。全期間の連泊を事前予約してはいけません。まず泊まってみてから連泊するか他を探すか、選ぶと良いでしょう。よほど混雑していない限り、到着後に連泊を申し出ることは可能ですし、現地でもっと安くて良いホテルを見つけて後悔することもあります。

インターネット予約は、口コミや条件検索が便利です。海外ではbooking.com等、アジアならagodaが、国内の楽天トラベルに相当します。とくにTripAdvisorは主要サービスを網羅します。しかし、ネット予約は20ドル以上の中上級ホテルだけです。掲載ホテルやレビューはバカンス客・出張族中心です。バックパッカーの定番ホテルは漏れていることが少なくありません。

20ドル以下の星なしホテルや格安ゲストハウスの大半は、ネットに掲載されるどころか、メールをしても返答がないことが珍しくありません。ガイドブック掲載の電話番号を手がかりに、国際電話で予約するか、現地で直前に電話予約するしかありません。

旅行代理店経由のホテル予約は勧めません(パックを旅行を除く)。星付の高級ホテルのみですが、ネットで直接予約した方がかなり安くなるはずです。

マダガスカル(アンタナナリボ)の人気中級ホテル


(事例) ケニアのナイロビ、セネガルのダカール、チュニジアのチュニス、モロッコのカサブランカの初訪問時は、土地勘のない途上国に深夜に到着するので、中級ホテル(30-40ドル)を予約し、ホテルのエアポート・ピックアップを利用しました。ラオスのパクセでも、初対面の人と面会する都合上、かつての宮殿で今は街一番のホテルである、チャンパサック宮殿ホテルに投宿しました(35ドル)。しかし、いずれの場合も、周辺ホテルの比較を終えた翌日には、1泊10ドル前後のゲストハウスに変更しました。


(事例) バンコクやシンガポールの乗継ぎでは、大荷物を担いで宿探しをする余裕もないので、空港近くのホテルをネット予約しました。ネット割引で予約すると、空港内のエアポートホテルはもちろん、同ホテルの当日料金(予約なし)に比べても半額です。また、格安の空港ホテルは当日では空室がないことが多いので、予約しないと割高のホテルに投宿せざるをえないことがあります。

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大衆食を食べる - Eating popular food

1. 街のヘソで食べる

初めての街に着いたら、まず陽が明るいうちに繁華街中心地=「街のヘソ」を歩き、現地人で混み合う人気店で飲食することを勧めます。ゆっくり人や街を観察し、雰囲気を掴むことができます。さらに、便意の有無や衛生度によらず、その店で大便してみると、腹が据わります。旅だけでなくフィールドワーク時にも、調査先のトイレを使うのも緊張を解く技術です。

■ホーチミンの屋台飯とスイーツ(氷は危険!)、インドの人気スイーツ
ベトナム ベトナムデザート デリー食堂 デリー・スイーツ

2. 大衆食堂の選び方

食事は文化挑戦の機会と考え、当り外れを覚悟で常に新しい店と皿を試しましょう。地元客で賑わう店に飛び込む方が安く楽しいでしょう。屋台ならば、最初は市場内の屋台など、地元客が頻繁に出入りするものを選びましょう。現地語のみの大衆食堂ならまずボラれることがないはずです。メニューなどなくても、隣の人の食べているものを指差して注文すれば良いのです。その人に笑顔で目を合わせれば、食べ方を教えてくれたりもします。

逆に、ガイドブック推薦の料理店は、英語が通じる観光店に過ぎず、必ずしも地元の人気店ではありません。たとえばインドの場合、『地球の歩き方』はもちろん、Lonely Planetにも、地元民で賑わう駅前・駅内のベジタリアンの格安食堂などは掲載されません。掲載されているのは、メニューが英語であるだけで、金額は地域相場の倍額以上の無国籍な食堂ばかりです。外国人観光客しか立ち寄りませんが、特別に衛生や味が良いわけではありません。他方、食事は1日たった3回なので、McDonald's等のファーストフード等に逃げるのはもったいないでしょう。同じ店で既知の皿を繰り返したりせず、名物料理を片端から試してみるのも一策です。

■ナイロビ、パリ、マニラ、イスタンブールの大学の学生食堂
ナイロビ大学 パリ学食 デラサール学食 ううう

3. 衛生のリスク

屋台で食べなければ「安全」なのは事実ですが、異文化理解のある部分を見逃すかもしれません。一度は下痢をしてみないと、自分の胃袋の限界がどこにあるのか、その国との相性が分からないのも事実です。逆に、屋台のデザートでも下痢しないことが確認できれば、その国での食生活の幅が広がります。ただし、そもそも客で混み合う人気店を選び、回転の低そうな店を避けることはもっとも重要です。また、加熱の十分さや皿の洗い方もチェックしましょう。もっとも重要なのは、風邪、疲労、睡眠不足などで抵抗力が落ちているときに冒険を控える自制心です。言うまでもなく、生水(氷を含む)、生もの(サラダ・デザート等、火の通っていないもの)、貝類を避けるのは基本です。途上国旅行者にはA型肝炎の予防接種は必須です。

私自身は、胃腸は強い方かもしれませんが、A型肝炎や腸チフスなど、20本近い予防注射も打っています。欧米・ロシア・東欧、アジア諸国(タイ、シンガポール、カンボジア、ベトナム、ラオス、インドネシア、マレーシア、香港)や北アフリカ(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)では、サラダ、ジュース、デザートを含め、屋台で何を食べても、今のところほとんど下痢をしていません。アフリカ(セネガルやマダガスカル)では、少し緩くなった程度です。他方、インドでは、学生時代にランブル鞭毛中で、帰国後に都立駒込病院伝染病科で隔離病棟に検査入院しています。その後、世界中を歩き胃腸にも自信ができたので、インドで再び大衆食堂や屋台を食べ歩いたところ、やはり強烈無比な下痢をしました。半月間、ポカリスエットとしか飲めず、1時間おきにトイレに行くほどでした。「ウェルカムシャワー」とも呼ばれ、インド旅行者にはつきもののようですが、私もインドだけには敵いません。ただし、私の周囲でも2人ほど、まったく下痢をしなかったインド旅行者がいるので、体質・体力・気力の個人差があるようです。

■マニラの大衆屋台(ビニール袋がけの皿ははじめて)
マニラ屋台 マニラ屋台飯

■エリート記者(+芥川賞小説家・中原賞詩人)ながら残飯や放射能汚染スープ等を世界中で食べて回る迫真ルポ!


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事例: 世界三大サンドイッチの個人的ランキング。
No.1: プノンペンのセントラル・マーケット前の屋台のカンボジア風サンドイッチNum Pang。現地食材をフランスパンで包んだ旧仏領インドシナの名物。ベトナムではバインミーと呼ばれ、ラオスやパリの中華街でも食べられます。しかし、クールボックスで冷やしたコールスローを別添えし、食べる直前に追加させるのが、他店の一枚上を行く細やかな気遣い。フランスパンのカリカリとジューシーな野菜のコントラストが衝撃的な美味さ。
No.2: パリのマレ地区のユダヤ風サンドイッチFalafel。熱々のミニコロッケと野菜とホワイトソースの組み合わせが絶品。冷のNum Pangに対し、熱のFalafelとしてほぼ互角。
No.3: ニューヨークのKat's Deliのパストラミ。パストラミは香辛料でまぶした燻製肉。ユダヤ系のファーストフードは、欧州ならFalafelですが、アメリカではパストラミの方がメジャー。ただし、具材の複雑さや料理としての完成度はNum PangやFalafelには敵わない。

■プノンペンのNum Pang(2007年11月)とナイロビ大学の学食
カンボジア風サンドイッチ いいい

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tag : 食事 屋台 下痢

旅行中の危機管理

海外、とくに途上国について「そこは安全ですか?」と聞かれることがよくあります。外務省の海外安全ホームページで危険情報が発令されていなければ、一応、危険はないと言えます。しかし、置き引きやスリ、生水や下痢、価格交渉などは、先進国・途上国を問わず海外一般の常識です。日本の常識ではありえない犯罪や体調不良が起きうることを「危険」と呼ぶならば、日本以外に「安全圏」はありません。発想転換と心構えが必要です。旅行に関して留意すべきことには以下のものがありますが、ここでは旅行中の体調管理と危機管理について述べます。なお、何でも困ったときはまず、海外旅行保険の緊急連絡先に電話相談するのが鉄則でしょう。

出発前の危機管理
私の海外トラブル例
旅・留学・出張の持ち物-1.収納用品: セキュリティ用品
旅・留学・出張の持ち物-2.貴重品:海外でのカード・お金・保険
海外滞在時の緊急連絡先
大衆食を食べる
値引き交渉の技術
留学生の危機管理


1. 体調管理

心身の限界と危険信号を自覚し、無理せず早めに予防しましょう。健康なときには食べられる料理も、心身の疲れが溜まっていると腹を下したりします。人によって喉の痛みや微熱など、体調悪化の予兆があるはずなので、早めに休息を取りましょう。外務省『海外事件簿』の「Vol.60食の安全なくして旅の安全なし」にも事例があります。

「日本人は、昔から"水と安全はただ"と思って暮らしてきました」とはイザヤ・ベンダサン(山本七平)『ユダヤ人と日本人』の有名な一節ですが、海外で生水を避けるのは常識です。水道水を含む氷や飲物、火の通らないサラダやデザートも同様です。もちろん、例外はあります。フランスの現地学生は水道水を飲みます。私個人は、A型肝炎等の10本以上の予防注射を打ち、店も繁盛店を厳選し、生水や貝類は避ける方針です(生牡蠣は最悪)。が、欧米やタイやベトナム・カンボジア・ラオスや北アフリカならば、氷入りのドリンクやデザートも飲み食べすることがあります。

他方、インドに初めて訪問したときは、ランブル鞭毛虫という寄生虫にやられ、帰国後は都立駒込病院(コレラ避病院として百数十年の歴史を持つ感染症の権威)で入院検査しました。水・サラダ・ラッシー等は避けていたので、おそらく屋台で飲んだサトウキビジュースに入っていたのではないかと思います。また、雑貨店で売っているミネラルウォーターが、瓶によって量が違って見えた(店の奥で水道水を詰めていた?)のも、少し気になっています。最近のインド訪問でも強烈な下痢をして、半月近く液体物しか飲めませんでした。原因は特定できませんが、「この数年間、アフリカでもアジア諸国でも腹を壊していない」という過信・慢心が、インドには通じなかったようです。

インド旅行者はインディアンシャワーと呼ばれる下痢に多かれ少なかれ必ずかかると言われますが、一番大切なのは基本的な体調管理でしょう。自分がベストコンディションでないと自覚しているときには、決してリスクのあるものを口にしないのが原則です。殻に穴を開けたココナッツジュースは、体調が優れないときにも、衛生面でも栄養面でも理想的だと言われます。

伝染病隔離病棟での検査入院では私の腹からランブル鞭毛虫が検出された(写真出典:(財)海外邦人医療基金HP)

また、蚊が媒介する伝染病は多いので、蚊を見たり羽音を聞いたら危険信号です。ウエストナイル熱(北米・南欧、アフリカ・中東) 、マラリア(アフリカ、南米、東南アジア)、デング熱(東南アジア、中南米、アフリカ)、日本脳炎(南アジア、東南アジア、中国)、チクングニヤ(アフリカ、東南アジア、南アジア)などがあります。できるだけ長袖・長ズボンを着て、露出部には虫除けスプレー、室内では蚊取り線香を忘れずに使いましょう。1回でも虫に刺されたら、2度目は完璧に防御しましょう。

2. 未知の世界に謙虚であれ

治安は確率論に過ぎず、銃声や犯罪者を目の当たりにしてはじめて危険を感じるのでは手遅れです。「XXに行ったけど大丈夫だった」「XXに旅行した友達が大丈夫だと言っていた」という声も良く聞きますが、バカバカしいほどまったく根拠がありません。海外経験が少ない人は、危険を察知する嗅覚が根本的に欠けているので、単に鈍感かつ幸運だっただけだと思います。

海外でのリスクは、国内でのリスクとは次元が異なり、度胸試しの問題ではありません。日本に帰国したときの電車で、荷物を網棚に乗せて熟睡している日本人の弛緩ぶりを見て、逆カルチャーショックを受けたものです。日本特有の日常感覚のまま海外に行けば、事故に合うのは必至です。油断はほんの一瞬なので、日本でいかに度胸があろうと注意力が鋭かろうと、予防しきれません。海外での危険に対する感受性は、現地生活でしか身につかないので、海外経験の少ない人が「慎重に良く気を付けます」と言ったところで何の説得力もありません。

3. 危機回避の現地ルール

長期海外生活者は、どんなに眠かったり酔っ払ったりしているときも、神経の5%を常に覚醒させ周囲に目配りするのが、無意識の習慣です。たとえばパリでは、夜の地下鉄に乗車するときも、ホームで待っているときから、女性・子供・カップルや読書する人と移民系の若者は、別々の場所に自然と固まっていたりします。現地住民なら肌で違和感を察知して、しかるべき立ち位置を選んで車両に乗り込みますが、鈍感な観光客はそれに気づかず、場違いな集団の中に無神経に突入したりします。

観光客が気づかぬ地雷はいくつも潜伏しており、危険回避には現地特有のルールがあります。たとえば、貴重品やカメラをカフェの椅子や列車の網棚など、目の届かない場所に置いたり、ポケットに財布を入れたまま両手に荷物を持ったりするのは、本来なら起きなかったはずの犯罪を誘発してしまいます。また、欧米で、女性・子供・カップル(安全信号)が見当たらない時間帯・地区、たむろする青年集団、壁の落書きや廃屋はすでに黄色信号です。人が急に近づいてきたり、不自然な人ごみができたりするときは、とくに警戒すべきです。スリや犯罪の被害などはこうした小さな「ルール無視」の積み重ねによるもので、本人が誘発している側面があります。

4. 生兵法は怪我の元

リスクの感受性が低く、根拠もなく「大丈夫だ」と思い込む半可通こそ、一番危ないです。たとえインドで1年の留学経験があっても、欧州では通用しません。土地勘・語学力・経験がない部外者は、入念に情報収集し、謙虚に慎重に振舞うしかありません。たとえば私はパリ長期留学中、トルコが大好きになり、イスタンブールには良い思い出しかありません。タクシー乗り場で並んでいたときも、親切な警官が「外国人観光客は前へ」と優先的にガイドしてくれて、それを許容する周囲の人々の親切さにも感激したものでした。が、帰国後、まさに滞在中に都心部でデモ隊と機動隊が衝突し大量の死傷者が発生していたことをニュースで知りました。私をガイドした警官は、ひょっとしたら外国人と地元民との接触トラブルを避けたかっただけかもしれませんし、他乗客も警察の強権に黙らされただけだったのかもしれません。最新ニュースもチェックせず、能天気に観光していたことを反省しました。

5. 無知ゆえに繰り返される古典的被害

他方、盗難や詐欺に合った若者の話は、私のすぐ身の回りでも毎年のように耳にします。列車・長距離バス・ホテルでの置き引きトランプ詐欺、ケチャップ(ソフトクリーム)・スリ、道案内スリ、話しかけスリ、睡眠薬強盗・・・、何のことか分かりますか? ガイドブックの巻末に必ず明記される典型的犯罪ですので、絶対に読み飛ばしてはいけません。「古典的犯罪手口が減らないワケ」も指摘するように、無知が犯罪を誘発しまいます。典型的な犯罪例は、総論としては『海外安全虎の巻』『海外邦人事件簿』、各国ごとにはガイドブックや外務省の海外安全ホームページで紹介されていますので、「自分だけは大丈夫」と軽視せず必ず目を通しておくべきです。

6. 信頼と警戒

私は、海外で見知らぬ人を信頼し誘われるままに付いていくことは、まずありません。パリ・ニューヨーク・ロンドンで生活したせいもありますが、そうでなくても日本の日常生活でもありえないでしょう。そのため、アジアで旅した若者が、旅先で出会った人の家に泊まったりした話を聞くと、その不用心さを理解できません。海外の原体験が欧米だと警戒心が身につきますが、アジアを出発点とする人は逆に信頼が習い性になるのかもしれません。欧米経験者がアジアを旅するときは礼節、アジア経験者が欧米を旅するときは警戒心が必要かもしれません。

もちろん、旅での出会いを信じることで、経験が広がることもあります。たとえば、イスタンブールのアジア側(ボスポラス海峡対岸)のひなびた住宅地・ウシュクダールで、食堂の主人が注文していない皿を出したり、通りすがりの人がバスの中まで同伴して道案内してくれたことがあります。ローマの噴水前で鳩の群れを眺めていたら、おばさんが鳩の餌をくれたりしたことがあります。ソウルで安重根記念館への交通手段を質問したら、通行人が集まって複数の可能性を議論を始め、終いにはそのうちの1人が会社の車庫からトラックを持ち出し乗せて行ってくれたこともあります。私はパリ生活で常識的な警戒心から、最初「いらない」と強硬に拒否しました。彼らは英語も話しませんし観光業者でないのはたしかでしたが、見知らぬ人が提案する食べ物や車は断るべきだと今でも考えます。しかし、このときは幸運にも純粋に無償の好意でした。彼が何も受け取らずに立ち去ってから、警戒心が先立ち感謝の笑顔が欠けていた非礼を恥じました。

7. 英語・日本語で近づく人に要注意

平日昼間に観光地で英語や日本語で話しかける人はほぼ全員、外国人・日本人と仲良くなりたい人ではなく、観光客をカモにするプロです。必ず無視しましょう。とくに「日本語を勉強している大学生だ」「どこから来たの? ああ、そこ出身の鈴木さんは友達」「親戚が日本に住んでいる」等の世界共通の手垢のついたセールストークは、典型的かつハッキリした詐欺師の目印です。ご丁寧に「この人は信頼できる人です」と相手の母国語で書かれた紙を見せる人こそ、信用できません。少し冷静に考えれば怪しいと分かるはずですが、不安な海外で「友達っぽい」コミュニケーションができたことが嬉しく、付け入る隙を作ってしまうようです。「日本語で話しかけられたら要注意!」(外務省『海外法人事件簿』)にも指摘されるように、英語・日本語で被害に合う人が後を絶ちません。旅のサバイバル語学旅のサバイバル慣用句値引き交渉の技術は別記しました。

誤解を恐れずに独断を言えば、要注意人物の典型例には、以下のものがあります。
・観光地や安宿街のど真ん中で観光客を待ち構え、積極的に声をかけ近づてきた。
・平日昼間から観光地に張り付く自称友達、自称学生、自称ガイド、ドライバー。
・非英語圏で、英語や日本語に妙に流暢。
・親戚・友達が日本にいると自称。
・ただし、英語・日本語を話す土産物屋は、店を構えるかぎり、犯罪までは犯さないはず。

対策は以下のものです。
観光地で英語や日本語で近づく人は要注意人物と意識して原則無視。
自分に目をつけて近づいてくる不自然な動きや凝視する視線は、犯罪を誘発する典型的な危険信号なので、意識的に回避して肩透かしさせる。ロックオンを敏感に察知し事前に避けることが、最善の防御策。
・道を聞くなら、通りすがりの通行人に、こちらから現地語で声をかける。
・買物をするなら、英語・日本語を話す観光名所の土産物店は避け、市場や街角の一般商店で現地語で交渉する。
・タクシーを拾うなら、安宿街・観光地・空港等で待機する英語堪能なドライバーは避け、あえてワンブロック歩いて、流しのタクシーに現地語で声をかける。


8. 「スラム見物」の無礼

テレビの影響か、途上国というと貧困やスラムを思いつき、スラムを見たいと安易に口にする若者が増えています。これは何重にも失礼かつ危険で、愚の骨頂です。

まず途上国は貧しいなどと決めつけるのは、現地の人に失礼この上ない偏見です。たとえば、インドやアフリカの社会文化は多様で、貧しさだけが特徴ではありません。上流層は、一般日本人よりずっと裕福で欧米化しています。また、一人当たりGDPが低かったり工業生産が少ないことは、都市型貧困だけを意味するわけではありません。農業従業率が高いことの方が重要で、それは我々のイメージするスラムと違います。百歩譲って、貧困の現場を感じたいのならば、鉄道駅から遠く離れた農村で子供たちと一緒に遊ぶか、貧困支援のNGOのボランティアになることを勧めます。

スラムは一般に犯罪率が高いですが、観光客が現地の感受性を逆撫でし、本来不要な犯罪を誘発している側面もあります。現地事情に通じた現地住民ですら、スラムには近づかないはずです。それは彼らが社会的関心や度胸に欠けているからではありません。高価な靴・鞄・腕時計・眼鏡を身に着けた人は、そこにいるだけで不自然に目立ちます。観光名所も商店もない場所なら、その侵入目的が、自分たちを面白がって(あるいは憐れんで)「見物」に来たことであることも明白です。自分は安全圏にいながら、物見遊山に来た観光客は、場違いで腹立たしい乱入者に他なりません。無礼な見物に敵意の視線が集中し、制裁の対象になるのはむしろ当然です。

「スラム見物」は、危険もさることながら、倫理的にも勧めません。「見学される側の気持ち」を考えたことがありますか? スラムの住民は好きでスラムに住んでいるわけではありません。動物園の動物のように見世物を演じているわけでもありません。自分では社会科見学のつもりかもしれませんが、「スラムの人はやっぱり貧しくてショックを受けました」という何百回も繰り返されたどうでも良い感想を確認するだけの「見学」は、現地の人に何の役にも立たちません。裕福そうな身なりの外国人が怖々と「見物観光」する行為はむしろ、必死で生きる人々の尊厳を、好奇心だけで一方的に辱める無神経な行いでもあります。こうした「見世物扱い」には、いかなる正義も弁解の余地もありません。自分が相手の立場なら嫌がるのではないかと想像し、安易な好奇心を恥じる謙虚な心が大切です。

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安宿予約の基本技術

海外の安宿は基本的に予約しませんが、予約せざるをえないことがあります。事前予約する「安宿」は、先進国ならば20-50ドル、途上国ならば10-25ドルくらいを想定しています。安宿に泊まる方法や格安航空券の買い方は別記しました。

1. 事前予約するか、現地で飛び込むか?

途上国では、宿泊先を予約せず、安宿街に直行して、複数の部屋を比較しながら価格交渉するのが、バックパッカーの基本です。しかし、以下の場合は事前予約を選ぶことがあります。
①先進国の多くには安宿街がなく、宿が街中に散らばっていたりします。
②有名ホテルや人気のYMCA・ユースホステルは、予約なしには泊まれないこともあります。
③夜中到着・早朝出発の乗継時や、治安に不安のある都市の場合も、事前に宿泊先を確保した方が安心です。

2. ガイドブック掲載の安宿に国際電話する

安宿を探す最良の手段は、今でもなお、旅行ガイドブックです。ネット検索では、20ドル以下の安宿はヒットしません。掲載料に見合わないのでしょう。『地球の歩き方』よりもLonely Planetの方が情報量と客観性の点で信頼できますが、有名な安宿は両者で重複します。旧版のLonely PlanetならGoogle Booksでも読めます。中小ホテルは、電話で予約するのが確実です。Emailを持っていないところも多く、メールしても返事が来ない可能性があります。また、ガイドブックに掲載される安宿は、ごく一部に過ぎません。厳選されているわけではなく、最善の選択肢でもありません。

3. YMCA/YWCAやユースホステルを使う

YMCA/YWCAやユースホステルは、安宿街がない先進国にも存在します。ガイドブックに掲載されていないこともありますが、世界どこでも一定水準の施設とサービスが保証されているという信頼があります。

YMCAYWCAは、世界中の施設をインターネットで検索できます。地域のキリスト教・文化・スポーツ活動を担う場合、教室やスポーツジム、プールなど恵まれた施設を持つこともあります。アメリカの治安の悪い都市では、低価格だけで宿を選んではいけませんし、逆にアフリカでは、宿泊施設が恵まれていない割に価格が高く、YMCA/YWCAの費用対効果が際立つこともあります。YMCAニューヨーク/ナイロビのセキュリティ、YMCAホノルル/ナイロビのプール、YMCAナイロビ/キトウェのネットカフェ、YMCAボストンのコインランドリー、YWCA香港のコストパフォーマンスなど、個人的にも良い印象があります。ただし、シングルルームでもシャワー共同が原則です。

ユースホステルも、世界中の施設をインターネットで検索できます。共同生活さえ苦にならなければ、清潔・便利で情報交換も楽しめます。1部屋4-8人のドミトリー形式が多いですが、パリ・カルチェラタンのように、ミニホテル同様にシングルルームやダブルルームを持つところも少なくありません。昼間の掃除時間には部屋を追い出され、連泊時の荷物はロッカーに仕舞わされるところが多いようです。チュニスYH(チュニジア)はメディナ(旧市街)内の旧建築で快適でしたが、海口バナナYH(中国)は施設・サービスも価格・立地も地元相場以下だと感じました。

4. インターネットで予約する

中高級ホテルでは、電話予約や窓口訪問の前に、インターネットで割引料金を探すことが先決です。大型ホテルや空港(近くの)ホテルの場合、ネットの方が安いことがあります。ホテル予約サイトはbooking.comagoda等が有名ですが、TripAdvisorでは主要サービスを網羅できます。

長所
①利用者レビューが便利。
②正規料金の半額になったりする。
③無線LANの有無など、必要条件で検索できる。
④ガイドブック非掲載の都市・ホテルもヒットする。

短所
①ホテルに偏りがある。星なしホテル・ゲストハウス・ドミトリーの大半は対象外。
②レビューの信頼性は50%程度。バカンス客・出張族の主観が多い。
③予約サイト割当分で満室でも、ホテルには空室が残っていることもある。
④ホテルが独自HPを持つ場合、そちらの方が安いことがある。



5. さらに宿泊費を安くする

5-1. 宿泊先がたくさんある都市・季節ならば、事前予約は1泊だけにして、2泊目は現地到着後に考えます。ガイドブックやネットで事前予約できるのは、ごく一部の中級以上の観光ホテルに過ぎません。とくに安宿の場合、ガイドブックに載っていないことが多く、掲載の有無は品質保証としてさほど重要でありません。始めから連泊を決めない方が、より安く環境の良いホテルに柔軟に移動できます。

5-2. ドミトリー形式(大部屋)、シャワー・トイレ共用、シャワーのみ(風呂なし)、温水なし、ゲストハウス・民宿、裏路地などを選べば、安くできます。ドミトリーで良ければユースホステル、シャワー・トイレ共用で良ければYMCA/YWCAもあります。こうした安宿の多くは、現地で足で探すしかありません。

5-3.ガイドブックや予約サイトでユーザー評価が良いホテルがあった場合、そのホテルが独自サイトを持っていないか検索します。独自HPの方が、予約サイトより空室が多く、割引も大きいからです。

6. 多様な宿泊施設を使う

6-1. 海外ガイド(Lonely PlanetやLet's Goなど)や『地球の歩き方』では、ごく稀に非営利系ゲストハウスを紹介することがあります。私は、パリ市のCISP、インド・コルコタの救世軍、インドのオーロヴィルに泊まったことがあります。

6-2. 学生寮は、ガイドブックにはほとんど掲載されないので、ホテル同士の紹介や友人の伝を頼ったり、飛び込みで打診する必要があります。私自身は、パリ国際大学都市、LSE、ケンブリッジ大学トリニティカレッジ、プラハ音学校などに泊まったことがあります。

6-3. 長期ならば貸アパートや下宿なども選択肢です。私自身は、短期留学でグルノーブルにホームステイしたり、ラマダン(断食月)中のカサブランカでキッチン付アパートに泊まったり、エクサンプロヴァンスでCitadinesに泊まったことがあります。ダブルベッド、ソファ、デスク、テレビ、インターネット、キッチン・冷蔵庫・電子レンジ・食器、風呂、バルコニー、プール、無料コーヒー・紅茶付の別荘型マンションが、ネットの特別割引で1泊39ユーロ(4千円強)でした。

7.「やっていはいけない」こと

7-1. 予約は1泊だけで良いでしょう。よほど空室の少ないホテル・時期でない限り、現地でも延泊できます。そもそも、同じホテルで連泊すると決めつけない方が、より安く良い宿泊先に選択肢が広がります。

7-2. 中高級ホテルでは、パンフ等で表示される公式料金では、予約してはいけません。料金は空室率によって季節変動するからです。まずインターネットで割引料金を検索しましょう。競争率の高い安宿街の場合、窓口でも割引が効くことがあります。逆に、独占率の高い空港地域では、ネット予約なしでは高くなることもあります。

7-3. 旅行代理店でホテルを予約してはいけません(航空券・ホテル代込みの格安パックツアーをのぞく)。旅行代理店が日本から手配できるホテルは数が限られますし、インターネットでは半額近い割引料金が見つかったりします。

7-4. 途上国の安宿街ならば、予約は必要ないでしょう。現地で値段交渉する方が、安くて良いホテルに泊まれます。しかし、空港・駅前で英語で強引に勧誘してくるタクシー運転手や仲介業者に、言われるままに従ってはいけません。良いホテルを見つけられる確率は、自分の勘だけで手当たり次第に飛び込むのと変わらず、数割の仲介料を上乗せされるだけです。

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値引き交渉の技術 - The Art of discounting

買物・宿泊・乗物は、時間と気持ちの余裕を持ち、値引き交渉を楽しみましょう。交渉は常に笑顔で行うもので、「ボラれた」とムキになって怒るのは野暮な下策です。2009年4月から1年ぶりに加筆しました。海外土産の発想転換は別記しました。

1. 押さずに引く交渉術

交渉のコツは、「押す」のではなく「引く」ことです。日本人の多くは値切り方を誤解し、値切ったつもりがボラれています。「これもう少し安くならないの?」「XXが相場だと本に書いてある」と押したり粘ったりするのが日本流ですが、逆効果です。そもそも、ひとつの店や商品に固執してはいけません。目当ての商品への関心を隠し、関心がない振りをするのが、交渉の基本です。売り手に執着を悟られては、最初から買い手の負けです。粘ってはいけないのです。

「外国人客からは相場の2-3倍取らなくては負けだ!」と、相手を見る前から固く決め込んでいる人たちもいます。インドやベトナムの観光地で英語で客引きする自転車タクシー(Richshaw/Cyclo)は典型例です。外国人に対し変な先入観や成功体験を持ってしまうと、ダメ元で相場の数倍を言い張ります。客に逃げられては元も子もないはずですが、そのリスクを顧みず無茶な価格を譲りません。彼らはいわば、この英語の話術「だけ」を飯のタネにしている本職です。こういう人を相手にするのは不毛です。さっさと次の人に当たる方がお互いのためです。そもそも旅慣れた人なら、英語で強引に近づいてくる人を相手にしません。

2.立ち去ることが出発点

言い値の半額以下を現地語で逆提案した後、「それ以上ならいらない」「他所で買うからいいよ」と必ず最初の1軒目は本気で立ち去るのが出発点です。売り手が引き止めるうちは利幅が大きく、「話にならない」とソッポを向いて初めて相場の下限が見えます。2-3軒に足を運び、複数の売り手がソッポを向くのを確認してこそ相場を把握できます。この手間隙を惜しむなら言い値を飲むしかありません。交渉とは、「今これが欲しい」という買い手と「今この客を逃したくない」という売り手の間のチキンレースです。「今無理に買わなくても良い」「今売らなくても良い」と余裕がある方が勝ちます。

3.ポーカーフェイスで渋々

買い手が交渉の主導権を握るコツは、関心のなさそうなポーカーフェイスです。渋々ながら交渉に応じるという演技が大切です。最初は乗り気でなかった買い手が、売り手の話に説得されて、つい不必要な買い物をしてしまった。こういう筋書きこそが、売り手に「良い仕事をした」と達成感を与えます。買い手が狙うべき交渉の落としどころは、自分の要求を正面からごり押しすることではありません。むしろ、立ち去る間際に引き留められ、渋々売り手の言い分を聞いてみせるフリこそ、交渉の出発点です。

4.金額の先入観を与えない

買い手がたった一度でも高めの金額を口にしたら終わりです。売り手が「しめた、この客はもう逃げない」と確信すると、彼の頭は儲けの計算に入ります。そして、一端「30ドルの儲けだ」と具体的な金額が売り手の脳裏に点滅し始めると、頑として値下げに応じなくなります。たとえその半額でも儲けが出ても変わりません。そこから1ドルでも値引きすることは、あたかも自分の懐から紙幣を抜き取られるかのように、苦痛と憤慨を感じるようです。不思議なロックオン現象です。

4.笑顔の妥結

買い手が主張する値引きを売り手が飲んだ場合、あるいは、売り手が主張する価格を買い手が飲んだ場合、交渉成立です。買い手はその妥協点で購入し、売り手はその価格で売るのが、ルールです。買い手が「12ドルなら良い」と言い、売り手が「良し、売った」と妥結した後に、買い手が「やっぱり止めた」と言を翻すのは、ルール違反です。「すっかり説得されてしまったよ」「あなたは商売が上手いな」とか、笑顔で売り手を褒めてあげるのが、気持ちの良い交渉の終え方です。その店を再訪したときは歓迎され、二度目の交渉時間は短くて済むことでしょう。

ベトナムで値引きを迫ると、ベトナム人は最後の譲歩の一歩手前で、「あ、ははーん(笑)!」と相手を指さし、悪戯っぽく笑う仕草をします。売り手も買い手もこれをやります。「なかなか商売上手だね!」「お陰でこっちは商売上がったりだよ!」というニュアンスです。スポーツのゲームで相手の健闘を讃え合うのに似ています。アルジェリア人も、交渉の終盤に似た笑顔を見せます。このサインが出て初めて対等な交渉だったと分かります。

4.買い手ベースの交渉例

①まず目当ての鞄よりも高そうな品をわざと指さして「いくら?」(現地語)と値段を聞き、「ええ、高いな!」(現地語)と顔をしかめてみせます。
②そして、さも関心なさそうについでに、目当てを含む複数の鞄や革細工の値段を聞き、やはり「うーん、高いな」(現地語)と繰り返します。そして「じゃあ、いらない」(現地語)と立ち去ります。
③すると、店主は「これなら30ドルだぞ」「いくらなら払う?」などと、追いかけてくるはずです。そこで「10ドルしか払えない」と言ってみて、店主の反応を見ます。
④彼が関心を失って横を向くようなら、次の店で「15ドル」(現地語)を試します。逆に彼がすぐに「12ドルでどうだ?」と反応して来たら、その引止め姿勢(=価格の高止まり具合)を良く観察した上で、次の店で「5-8ドル」を試します。こうした初期交渉まではすべて現地語で行うべきです。

⑤こうして3-4軒試して相場を把握してから、一番安い店で交渉を開始します。ここでも関心がなさそうな素振りが出発点です。複雑な話では、英語を混ぜても仕方ないでしょう。
⑥そこに黒しかないのを見た上で、わざと「茶色はないの?」と聞き、「黒には関心がない」「関心がないから10ドルしか払えない」などと、失望した顔を浮かべます。商品にケチをつけるのではなく、あくまで「自分の希望と一致しない」「関心がない」と主張するのが、売り手の自尊心を傷つけない礼儀作法です。
⑦その上で、売り手のセールストークに耳を傾け、少しずつ説得されたようなフリをします。そして、「12ドルなら良い」とか「15ドルで良いけど、そこの財布もオマケにつけて」と、渋々ながら逆提案するのが、相手に「良し、落としたぞ!」と思わせる落としどころです。
⑧駄目だと言われたら、「じゃあいらない」と再び立ち去る振りをします。本当に立ち去ってしまっても良いです。が、そのときの商品と価格が他店と比べても一番良いときは、「さっき13ドルと言ったね」と再び戻って来れば良いだけです。
⑨交渉は楽しいゲームです。妥結時は「あなたは優秀なビジネスマンだね!」と笑顔で相手を褒め合うのが、フェアプレーの精神です。

5.売り手ベースの交渉例

以上の交渉術は普遍的です。交渉に慣れた人が良く観察すれば、売り手も同じテクニックを裏返して使っていることが分かるはずです。売り手側の成功例(買い手側がカモられたとき)は以下のような形です。覚えがあれば、次から改めましょう。

①「Hello, my friend! コニチハ、ニホンジン?」「Only 50 dollars! ヤスイ!」と外国人を強引に足止めして、自分の漁場に囲い込む。
②「20ドルはどう?」(英語)と話に乗ってきた客に、「これは特別な高級品だから話にならないね」(英語)と、売り手は商売に関心のないフリをする。
③「25ドルに負けてよ」(英語)と粘る客には、「しめた、こいつは客になる」「少なくとも30ドルで売れる、40ドルも狙えるかも」と確信し、ロックオンする。そして、ここぞとばかり、「これはココが素晴らしいんだ」と、ごく平凡な商品の特徴を力説する。英語や日本語を話せる売り手なら、語学力の見せどころ。
④「27ドル」(英語)と引き上げた客に、「本当は50ドルだけど、35ドル以下では赤字だ」「こちらも商売だから勘弁してくれよ」(英語)と哀れな顔で両手を挙げてみせる。もちろん大げさな演技。
⑤「うーん、じゃあ止めた」と客が逃げかけたら、「よし、負けた。30ドルならどうだ」(英語)と慌てて引き留める。このときの口調が焦っているほど、妥協額は相場よりも高値。
⑥相場15ドルのところ倍額で売りつけながら、「あんたはタフ・ネゴシエーターだな」(英語)と褒めながら商品を渡す。

これは、売り手にしてやられたケースです。買い手にとって最大の失敗原因は、客が特定商品への執着を露わにして、特定の店で粘ったことです。「30ドルで売れるな」と具体的な数値目標にロックオンした売り手は、もう断固としてその価格以下は譲歩しなくなります。もっと初期の段階で「じゃあ止めた」と立ち去れば、交渉価格の出発点がぐっと落ちたはずです。次の失敗要因は、英語で話しかけたことです。周囲に英語を話す売り手が自分しかいない場合、客は他では買物できないことを見越して、値引き額は高止まりします。日本語が話せる売り手の場合、さらに売り手ベースになります。他方、英語を話せない売り手に現地語で話しかけた場合、力関係は逆転します。彼等にとって現地語で商売できる外国人客は希少なので、このチャンスを逃したくないと焦り、売り手が折れやすくなります。買い手ベースになるわけです。

6.現地語会話と「英語料」

英語を母国語としない国で現地語を話せない場合、売り手が「英語料」という接客サービス料を上乗せするのは当然の権利です。観光地・ホテル前で待ち構え、英語で話しかける土産物屋やタクシーは典型例です。英語は習得コストをかけた彼らの飯のタネです。得意の英語を駆使して少しでも多く稼ぐために、わざわざその場所を選んで待ち構えているのです。相場より高い買い物になっても、現地語を覚える努力を怠ったあなたが悪いのです。英語しか話せない観光客は英語を話す売り手からしか買えないのですから、売り手にはわざわざ値引きをする理由がないのです。

他方、数字と慣用句さえ覚えれば、英語を話さない地元業者を相手にできます。「暑いですね」「調子は良いですか?」等の慣用句は、相手に対する礼儀でもあります。日本人ならば自分の地元の商店街で、アメリカ人がいきなり「How much?」と聞いたら、酒屋のおじさんがどれほど戸惑うか、想像できるはずです。そもそも、地酒の権威である老舗酒屋の御主人に、「英語が当然話せるだろう」と言わんばかりに話しかけて恥をかかせるのは、日本的慣習では非常識なマナー違反です。我々日本人こそは、世界どこでも母国語をしゃべりまくるアメリカ人などとは違い、英語を母国語としない者の困惑と現地文化への敬意を忘れてはいけません。その意味では、英語を話せる店員がいてドル表示まで書かれた外国人専用土産物店が、地元客相手の日常雑貨屋よりも商品の値段が高いのは、むしろ当然でしょう。旅のサバイバル語学旅のサバイバル慣用句は別記しました。

7.タクシーやガイドなどのサービス

タクシーやガイドは、サービス開始前に価格と条件を曖昧な部分を残さず合意し、サービス完了まで料金を渡さないのがルールです。「XXホテルなら知っているよ、乗ってけ」などと言われただけで、価格も確認せずタクシー等に乗ってはいけません。高額を要求されても、サービス前なら鼻で笑って他へ移れば済みます。逆に、料金を事前確認せずにタクシーに乗り込んだ場合や、「客側の指示のミスで」遠回りさせた場合などは、支払い要求で押し問答が避けられません。

インドやベトナムのリクシャーなど、サービス後に当初合意にない値段を吹っかけられることがあります。わざと遠回りされて「遠かった」と強弁されることも多々あります。逆にバンコクのタクシーなど、ドライバー自身が道を間違えた分、メーター料金を良心的に割り引いてくれたこともあります。いずれにせよ、遠回りをし始めた時点で「逆方向だよ」と注意できれば一番です。また、下車後に「無茶を言うなら払わないよ」と、当初の合意額だけ押し付けて立ち去るのも一策です。が、強硬に当初額を主張した後、ほんの少しだけ上乗せした額を最後に渡すと、相手の顔も立てられてスマートに別れられます。

しかし、タクシーやガイドなどの長時間に渡るサービスの場合、相手との個人的な信頼関係を築くことが一番重要です。執拗に交渉する商売人は、根っから強欲な人ばかりではありません。単に「外国人からは稼がなくちゃ」というスイッチが入っているだけです。そのスイッチさえ切れば、気持ち良い人間関係が築けたりすることがあります。前述のインド・ベトナムの自転車タクシーなど、スイッチの固い確信犯もごくたまにいますが、悪名高いRichshawやCycloは初めから相手にしてはいけないのです。

8.信頼関係と面子

ドライバーやガイドと私は、相手の家族を良く話題にします。子供の教育について自慢・苦労話を聞くと、その国の家族文化を知るきっかけにもなりますが、父親の誇らしげな顔を見せてくれるのが楽しいのです。また、ドライバーならば車の購入や車の免許取得、経験年数、ガイドならば外国語の勉強方法や経験年数を聞いたりもします。職業的な自慢・苦労話を聞くのは社会勉強になりますし、それに感心し正当に褒めてあげると、プロとして胸を張ってくれます。一度、誇り高き父親の口調やプロの顔になった人は、対等な人間として自分を理解し敬意を示してくれる人に対して、姑息な小銭稼ぎや裏切りをしないものです。

先進国人は、母国ではとくに金持ちでもなくても、旅先の途上国では王侯貴族のような扱いを受けることがあります。逆に、「これを買わないか?」という激しい売り込みに食傷して、周囲の誰もが詐欺師のように疑わしく見えてしまうこともあります。しかし、経済格差は、個人的な努力によるものではなく、偶然生まれた国の違いに過ぎません。それを嵩に着て、札束で人の頬を張ったり、初めから喧嘩腰で交渉するのは、恥ずかしいことです。

途上国の人々は、先進国の人以上に実利より面子を重んじる人々です。口にしないだけで年齢差にもとても敏感です。実際、親しくなればすぐに年齢を聞かれます。たとえ客と売り手の関係であっても、若者は年長者には敬意を払うべきです。日本人は欧米はもちろんアジアでも、年齢以上に若く見えるので、私はわざと会話の中で年齢をはさみ、相手を安心させることもあります。先に面子を立てることの方が、交渉そのものよりも実は重要だったりします。この辺の常識感覚は、欧米人には分かりにくくても、日本人には肌で感じられるはずです。実際、日本人の方が欧米人より、アジア・アフリカでは現地に溶け込み旅上手だと思います。

7.事例:差し入れとしての飴

私は、百円ショップで大袋の日本製の飴を買って持参します。タクシーやガイドを個人的な都合で待たせたとき、ホテルで追加的なサービスを受けたときなど、「悪いね」「ありがとう」の意味で飴を渡すのです。スーツを来た中年ビジネスマンならお金のチップを渡すべきでしょうが、見るからに貧しそうな若者バックパッカーの場合、チップを払う必要はありません。その代り飴を渡せば、気持ちは伝わりますし、小銭稼ぎや賄賂の引き金も刺激せずに、親しみだけが増します。金銭ベースでサービスを高飛車に要求するのではなく、「お世話になります」「恐縮です」と下手に差し入れする気持ちです。抜け目なく一見ワルそうなバイクタクシードライバーが、あげた飴をコロコロ音を立てて舐めているのを見ると、意外に良い奴そうだと見直したりもします。飴程度では失礼そうな場合も、まず相手の子供の人数を聞き、「お子さんに」といってその人数に相当する飴を渡したりもします。すると、外国人に小銭を要求しかけていたのが、「うちの子供たちにどうもありがとう」と、親戚のおじさんのように表情が一変したりします。交渉は交渉として納得いくまで決着させるとしても、相手の面目を立てることの大切さは変わりません。

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海外渡航の10の鉄則

初めての外国で初歩的なトラブルに合う人があまりに多い。せっかくの海外経験を十分に活かせない人は、もっと多い。自称ガイド=客引きを安易に頼ると騙される。日本での習慣や先入観に固執すると、食わず嫌いのままだ。貴重な資金・時間・労力を投資しているのだから、帰国後に自分のどこかが変わらなければ損だ。

初めての海外でも百戦錬磨の達人同様になる。そのコツとノウハウを凝縮して10の鉄則にまとめた。人によってスタイルは色々あるだろうが、最初はまず騙されたと思って、これを試して欲しい。どの国でも、留学や長期滞在でも、きっと役に立つはずだ。海外留学経験者でも、未知の街に行けば初心者同然だからだ。

鉄則1. ガイドブックではまず習慣・タブー・トラブル例を熟読する。ATMや電源プラグ、チップも重要。写真撮影で逮捕されることもある。
・・・現地情報の収集

鉄則2. 入国直後の第一歩は最安の公共交通機関を使う。
最初が肝心。「慣れてから少しずつ」は順序が逆。
・・・空港からの最初の一歩
プノンペンのトゥクトゥク 湛江駅

鉄則3. 宿泊・食堂・交通は一番タフ(庶民的)なものから試す。一度贅沢から始めると水準を下げにくい。逆なら簡単。
・・・どのような旅をするか? 安宿に泊まる スパルタ式留学の勧め
昆明行の寝台列車 昆明行の夜行列車

鉄則4. 「近づいてくる人は悪い人」と肝に銘じよ。「カモだ!」とロックオンされたら地獄の一丁目。自分から現地語で声をかければトラブルは激減。
・・・旅行中の危機管理

鉄則5. 挨拶・質問・金額は現地語を暗記する。現地語は最良の交渉・安全策。英語に逃げない。
・・・旅のサバイバル語学 旅のサバイバル慣用句 留学初期の日本語厳禁

鉄則6. 市場で一番混んでいる屋台で食べる。ガイドブック掲載店は最優良店でない。マクドナルドに逃げるのは恥。
・・・大衆食を食べる
湛江の屋台 カンボジア風サンドイッチ

鉄則7. 交渉は、力勝負ではなくコミュニケーション。ユーモアと敬意を忘れない。怒るのは拙劣。
・・・値引き交渉の技術

鉄則8. 日本でのタブーを捨てる。未知の習慣に従ってみる。食わず嫌いをしない。尻は水で洗う。
・・・私の海外トラブル例
ラオカイのトイレ 中国のトイレ

鉄則9. やりたいことは優先順位をつけ、必要時間を逆算する。早め早めに先手を打つ。安易に諦めない。時間切れにしない。
・・・海外土産の奥義 留学の生活準備

鉄則10. 寄り道こそが醍醐味。当初の予定は、現地での出会い次第で半分近く修正する。
・・・もう一歩ディープな旅
上海の床屋 ファンシパン小屋

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

海外滞在時の緊急連絡先 - Alternate Number for Emergencies

交通事故・入院・カード盗難等の緊急事態では、保険が最後の頼みの綱。激痛・発熱・パニック等、最低最悪の状況を想定し、出発前に緊急連絡先の電話番号を準備する。なお、カードや保険の状況は2007-2010年以後、激変中で要注意だ。国際派のクレジットカード選びクレジットカード付帯保険の危機を参考に最新情報を得ること。

1. 最優先の必須事項

・クラウド(Gmail等)または携帯電話の電話帳に、日本・現地での緊急連絡先(家族・友人)、(別契約またはクレジットカード付帯の)海外旅行保険の緊急連絡先、カード紛失の緊急連絡先を登録する。
・海外旅行保険・クレジットカードの緊急連絡先は、海外緊急相談(日本24時間受付)、保険(日本の日中受付のみ)、保険(現地の日中受付のみ)、カード紛失(日本24時間受付)の4つを登録する。この4者は、オペレーターの会社も受付時間も違う。事前に意識的にカード会社に問い合わせる必要がある。
・メモでも、日本・現地での緊急連絡先(家族・友人)、クレジットカード・海外旅行保険の緊急連絡先、パスポート番号を用意しておく。
・クレジットカードに付帯する海外旅行保険の会社名と条件を確認する。そのカードで航空券代を支払っていないと保険がつかないものも増えている。海外旅行保険は、長期旅行・留学ではカード付帯(3ヶ月以内)とは別に加入する。
・パスポートやEチケット、カード類は、紙でもコピーを取り、別途保存しておく。


2. 留意事項
・一般:事故相談、旅行保険、カード盗難、観光案内、医療相談は、別々に電話番号を調べておく。それぞれオペレーターの会社が違い、ひとつに電話すれば全部の手配が終わるわけではない。緊急時の電話たらい回しは非常に苦痛。最優先は急病・事故時の海外旅行保険の電話番号か。まず電話さえつながれば、保険番号・やクレジットカード番号が手元になくても、身元確認の手段はほかにもある。
・一般:持ち物を身ぐるみ紛失し、心身異常・パニックの最悪の事態を想定する。携帯電話を紛失したり、ネット接続できない場合も、連絡できるようにする。クラウドの電話帳はスマホと連動させる。
・一般:パスポートやカード、海外旅行保険証書は、デジカメ撮影してクラウドや携帯電話に保存する方法もあるが、流出時のリスクがある。Eチケット・旅程はクラウドや携帯電話に保存すると良い。
・一般:非スマホの携帯電話(現地SIMフリー携帯等)を使う場合、電話帳の新規登録を忘れない。SIMを交換すると、電話帳を入力し直さないといけないことがある。
・一般:グローバル携帯も現地SIMフリー携帯も持参しないなら、日本での家族と親友、現地の友人・知人等の電話番号を、メモで持参する。ガイドブック記載の大使館・航空会社やクレジットカードの海外観光用デスクも役立つかもしれないが、旅行者ならホテルのコンシェルジュ、留学生なら友人の方が頼りになるかもしれない。
・医療:保険の緊急電話番号は、現地フリーダイヤルや日本へのコレクトコール方法を渡航先ごとに調べておく。保険受付は24時間でなく、日本の受付番号は日本の日中時間しか対応しない。ホテルの電話や他人の携帯電話から電話することを想定する。他方、まず手持ちのグローバル携帯やホテル電話から国際電話をかけ、こちらの電話番号を伝え、先方から折り返し電話してもらうことも選択肢。
・紛失:クレジットカードとキャッシュカードのカード紛失は24時間受付である。カード紛失の緊急連絡先に加え、カード番号もメモしておく。ただし、カード番号が手元になくても、カード利用を止められる。キャッシュカードの不正利用は口座残高が上限。クレジットカードの不正使用には、カード会社が補償してくれる可能性もある。

3. 三井住友海上保険・三井住友VISAカード
三井住友海上保険の海外旅行保険が付帯するクレジットカードは、三井住友、TUO、楽天、Yahoo!、オリコ/Skywalkerなど。

3-1. 事故相談:VJデスク・グローバルエマージェンシーライン(24h):
Tel: +81-3-3431-1467
cf.ツーリスト・インターナショナル・アシスタンス サービス(株)&(株)JTBグローバルアシスタンス

3-2. 旅行保険:
・三井住友海上保険・VJ保険デスク(日本時間対応のみ: 9:15-17:00)
Tel: +81-18-888-9225 (コレクトコール可) / 0120-658811 (国内)
・三井住友海上保険・緊急アシスタントサービス: 現地時間対応可能
世界主要都市フリーダイヤル / +81-18-888-9998 (コレクトコール可)

3-3. カード盗難:三井住友VISAカード・紛失・盗難受付デスク(24h):
Tel: +81-3-5392-7303 / +81-6-6445-3530

3-4. 観光案内: VJデスク(9h-18h、コレクトコール不可):
Gold Tel: +81-3-3431-1398
一般 Tel: +81-3-3431-1390
世界主要都市フリーダイヤル(現地時間9h-17h)
cf.ツーリスト・インターナショナル・アシスタンス サービス(株)&(株)JTBグローバルアシスタンス

3-5. 医療相談: ドクターコール24(三井住友Gold)(24時間、国内向け):
Tel: 0120-498-024
cf.ティーペック株式会社

4. 興亜損害保険・JCB/UFJカード
・日本興和損害保険が付帯するカードは、JCB、UFJ、MUFGなど。
・興亜損害保険・アシスタンスセンター(24h)
Tel: +81-3-5213-0285 / 世界主要都市フリーダイヤル
・UFJカード盗難紛失受付センター(24h):
Tel: +81-52-249-1417 / 世界主要都市フリーダイヤル
・GOLDゆとりデスク(UFJ Gold)(24時間、国内向け):
0120-254-272

5. 損保ジャパン・UC/セゾンカード
・損害保険ジャパンが付帯するカードは、セゾンカード、UCカードなど。
・損保ジャパン・海外ホットライン(24h)
Tel: +81-18-888-9547
・UCカード紛失・盗難専用ダイヤル(24h):
Tel: +81-3-5996-9130 / 世界主要都市フリーダイヤル

6. 東京海上日動保険
・東京海上日動保険が付帯するカードは、DC/NICOSカード等。
・東京海上日動保険・海外総合サポートデスク(24h)
Tel: +81-3-5299-2810 (コレクトコール可) / 世界主要都市フリーダイヤル

7. キャッシュカード紛失・盗難
・新生銀行パワーコール(24h)
Tel: +81-3-5954-7763 / 1-866-744-6734
・シティバンク(24h、コレクトコール不可):
Tel: +81-45-330-2890

※本項目は2010年に書いたが、2014年に詳細を更新した。

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プロフィール

terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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