スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

留学の学習準備

留学の生活準備は別記したので、ここでは学習面の準備課題をあげます。
・留学は、海外旅行や異文化体験とは異なり、単に海外に足を運べば良いというものではありません。どれだけ準備するかによって、出会いや思い出も、成果や発見も、大きく変わってきます。語学力や知識・問題意識は、情報が注ぎ込む蛇口の太さ、世界を見渡す覗き穴の大きさ、あるいは交友の広さと深さを決めてしまうので、決定的に重要です。
・また、語学や文化対応に思考回路の一定部分を割かざるをえず、見るもの聞くものが新しい日常生活に圧倒され、目前の課題だけに視野が限定されてしまう危険も大きいです。日本で語学と基礎情報を集め、自分なりの問題意識を育てておくことが決定的に重要です。
・もちろん、いざ渡航してみると準備段階に誤解があったことも判明するでしょうが、最大限の道具を揃えて武装しておくことは、丸腰で大海原に乗り出すよりは、どれほど心強いか分かりません。

1.留学を思いついた瞬間から、意識的に語学を学び始めましょう。語学の学習法は別記。

1-1.英語ならまずTOEFL-iBT/TOEICを受験し、現時点での語学力を確認した上で、留学の時期・場所・方法を選び、そのための準備計画を立案しましょう。渡航6-8ヶ月前までにTOEFL-iBT80/TOEIC730を取得できるか否かが、留学方法の選択肢を分けます。語学の検定試験は別記。

1-2.大学交換留学や大学院留学ならば、2年以上の準備が必要です。一流大学の学生でも平均TOEFL-iBTは60以下なので、渡航1年前の願書締切までに足切り点のTOEFL-iBT81以上を取得するには、計画的準備が不可欠です。目標を設定し、留学前に最低2回、留学後にも1回受験しましょう。

1-3.できれば渡航2年前から、週複数回の語学講座を受けることが必須でしょう。ゼロから語学研修する場合も、国内で集中語学講座を受けることが、渡航後の適応度や上達度を変えます。スコアを上げるための独習だけではなく、コミュニケーションの動機と学習のリズムを作ることが大切です。

1-4.非英語圏に留学する場合、英語のみで専門研究に集中するか、現地語習得に時間・労力を割くかは、重要な判断です。ただし、前者の場合も現地語会話の習得、後者の場合もTOEICの受験は必要です。

2.留学国に関する書籍を10冊リストアップしましょう。これらは「渡航までに読んでおきたい本」や「留学先に持っていく価値のある本」です。この作業は、自分自身に課題図書を作り、関心テーマを深める研究準備であると同時に、留学先に持参する日本語書籍を絞り込み、購入したり(デジカメで)複写する荷物作りの一環です。なお、日本語書籍を海外に持参すべきかは別記しました。

2-1.書籍は以下の4部門から最低1点ずつ選びましょう。
①政治・経済・文化・歴史の専門書・入門書・事典
②旅行記・体験記・グルメ・サブカルチャー等のエッセイ・ルポルタージュ
③その国の作家による/その国を舞台とした小説・音楽CD・映画DVD等
④旅行・留学・海外生活のガイドブック。
ガイドブックは、初心者向けの『地球の歩き方』だけでなく、Lonely Planetや生活便利帳など、客観情報が豊富で信頼できるものを厳選しましょう。
  

2-2.文献探しのコツは、AmazonやOPACで検索するだけでなく、必ず書店や図書館に足を運び、関連する棚の前後を良く見ることです。また、Amazonのリストマニア!も参考になるでしょう。こうして、これから読みたい候補を20-30冊程度リストアップしましょう。その中で、実際に買うか借りる本を10冊程度に絞りましょう。最終的に少なくとも5冊は購入・完読しましょう。とくに文庫本と新書本は、現地持参も可能なので、購入は最優先です。洋書は、留学先の図書館に所蔵されていないか、購入・複写前にOPACを確認しておきましょう。
   

2-3.ブックリストは、一般にはメディアマーカーで作ると良いでしょう。院生・研究者ならzoteroEndNote WebRefWorks、洋書の書評を読み書きしたければLibraryThing、反響が欲しければAmazonほしい物リストAmazonリストマニア!も良いでしょう。

2-4.メディアマーカーは、ブックリストとブックマークを同時に作れます。書籍に限らず目についたものを形式を問わず記録できるので、留学準備には一番手軽でしょう。たとえば、留学国に関するホームページ、書籍、音楽CD、映画DVDから、旅行用品(Amazon取り扱い商品)などを登録日順に一覧できます。ブックリスト・ブックマークはブログパーツとして公開することもできます。しかし、Amazonにない洋書や図書館蔵書、論文などは対象外です。また、タグはつけられますが、フォルダ管理はできないので、登録が増えてくるとやや使いにくいです。

2-5.院生・研究者には、ZoteroEndNote WebRefWorksは論文執筆用に特化しています。手軽さやAmazonとの連携ではメディアマーカーより劣りますが、雑誌論文検索やフォルダ管理、書誌引用という他にない機能があるので、使い方をマスターする価値があります。長いタイトルの論文を論文執筆に引用するとき、参考文献リスト・脚注用の書誌フォーマットを自動生成してくれるのです。ZoteroはFirefoxブラウザの無料プラグオンで、データはパソコンに保存されるので、留学時はそれを持ちだす必要があります。EndNote WebとRefWorksは、所属する日本の大学図書館が機関契約していれば、自宅でも海外でも無料で使えます。大学図書館のホームページをチェックし、留学前に利用者IDと海外からのアクセス方法を確認しておきましょう。文献管理のEndNoteWebは別記。

3.留学国に関するホームページも、まず各10ずつリストアップしましょう。これらは「定期的にチェックすべき基本ツール」や「留学の参考になる資料や読み物」、「現地生活で必要になるサービス」などです。これも、自分の関心テーマや行動範囲を広げる情報収集の一環です。

3-1.ホームページは、以下の6部門から最低1点ずつ選びましょう。
①政治・経済・文化・歴史・文学・芸術のポータルサイト・リンク集(日本語・英語)
②主要企業群の現地本社・日本支社HPや各種統計リンク(英語/日本語)
③日本大使館・日本人会・日本商工会議所・JETRO事務所・JICA事務所・日系企業などの現地日系事務所(日本語)
④新聞・テレビ・Podcast等のメディア(日本語・英語)
⑤留学生・生活者・研究者のブログ(日本語)
⑥スポーツ・文化活動・ボランティア・インターンシップ等の課外活動(英語)。
これとは別に、留学先大学のシラバスと「リクナビ」(後述)は必須です。なお、観光情報は後回しで良いです(ガイドブックで十分)。

3-2.検索のポイントは、スウェーデンなら漫然と「スウェーデン」で検索するのでなく、「スウェーデン+文学」「+小説/漫画」「+音楽/ロック/ポップス/ダンス」「+映画/演劇」「+料理」「+テレビ」「+若者」「+プロスポーツ」などを検索語に打ち込むことです。そこで明らかになった小説・漫画・音楽・映画のタイトルを今度はAmazonでも検索し、ブックリストにも加えましょう(ブックリストには映画・音楽等も含めて良いでしょう)。

3-3.ホームページは、日本語と英語(場合によっては現地語)で探し、ソシアル・ブックマークにオンライン保存しましょう。ブラウザの「お気に入り」でなく、ネット上のソシアル・ブックマークに保存しておけば、留学先のパソコン室や旅先のネットカフェ等でも同じ環境を使えます。日本語ページが多いなら、はてなブックマークYahooブックマークメディアマーカー、英語ページが多いならDelicious、注釈をつけたいならDiigoが良いでしょう。Deliciousならば、My Deliciousというアプリケーションで選んだブックマークを、Facebookの掲示板に転載できます。最終的には20-30サイト程度ブックマークし、そのうち少なくとも5つは定期チェックしましょう。国際派のウェブサービスブックマークの進化形は別記。

3-4.留学国に関するドキュメンタリー・映画・音楽なども、テレビやインターネットはもちろん、大学図書館や公立図書館で探して、積極的に見ましょう。留学国の資料室、研究グループ、専門書店、レストラン、広報イベント等が日本国内にあれば、行ってみましょう。こうした国内のホームページも、ブックマークすると良いでしょう。メディアメーカーなら、Amazonで販売するCDやDVDや旅行グッズもブックマークできます。

4.大学生・大学院生ならば、ブックリストとブックマークを踏まえ、自分なりの研究・調査テーマを具体的に考えておきましょう。準備は決定的に重要です。人は面白いもので、誰でも現地に足を運べば、等しく外国文化を経験できるわけではありません。自分の予備知識や語学力の範囲内でしか、物事に気付かないからです。たとえば、現地の政党や政治家を知らないと、街角のポスターを見過ごしてしまうでしょう。

4-1.ブックリストとブックマークは、自分の励みと他の人との情報共有のためにできるだけ公開し、周囲の助言を受けましょう。自分のブログにパーツとして貼り付けたり(メディアマーカー)、アプリケーションでFacebookと連携させたり(DeliciousやLibraryThing)、仲間同士の掲示板やメーリングリストにURLやリストそのものを記すなどの公開方法があります。日本での準備は出発点に過ぎず、留学中も現地の状況に応じて増やし続け、帰国までに数倍以上に拡充するのが望ましいです。

4-2.留学前に自分の専門と研究テーマを確立しておくことが大切です。卒業論文・修士論文・博士論文の研究テーマを踏まえ、現地での調査計画を具体的に指導教員と相談しましょう。留学前は忙しいでしょうが、論文テーマについて20以上の専門書を読み先行研究を要約した、「Bibliographical Essay」を書くことを強く勧めます。ただし、学部生の卒業論文の研究テーマは、留学計画に拘束される必要はなく、理論研究や日本研究でも構いません。また、帰国後に研究テーマを変更しても構いません。

4-3.フィールドワーク調査を予定するならば、現地語が不自由なうちは、日本大使館・日本人会・日本商工会議所・JETRO事務所・JICA事務所・日系企業から。加えて、留学国の統計を探し、日本で分からなければ、渡航後に現地教員に質問しましょう。英語・現地語が堪能ならば、現地の大手企業のホームページをまずブックマークし、よく調べた上で取材を申し込むのも良いでしょう。

4-4.学生・市民サークルでのスポーツ・文化活動、現地日系企業でのインターンシップ、現地NPOでのボランティア(NICEホームページ参照)、地方都市への旅行なども、関連ホームページをブックマークし、現地でコンタクトしましょう。海外大学には日本のような大学サークルは少なく、地域市民団体等を自力で探す必要があります。また、AIESECのインターンシップの場合、日本での登録が必要です。リストアップしてあった音楽・映画・演劇・オペラ・プロスポーツ等についても、現地で『TOKYO Walker』のような情報誌を入手し、コンサート・公演・試合等のチケットを計画的に入手しましょう。

4-5.留学終了後に何をするか、いつ帰国するか、予め計画的に考えておきましょう。
・12月-1月修了で就職活動を行う人は、前年の6月からリクナビみんなの就職活動日記等に登録し、11-12月には100社を目安に企業にエントリーし、1月末までに帰国しましょう。
・6月修了者は、10月の復学までの期間、大学院受験、現地または日本で企業インターンシップ(リクナビ等参照)やNPOボランティア(NICE等参照)も検討しましょう。
・旅行を計画するには、航空券の購入時に経由地を意識したり、帰国便をオープン券としたり現地購入したりすることも大切です。格安航空券の買い方は別記しました。
語学の検定試験は、留学前に最低2回、留学後に1回受験することを勧めます。が、語学力がピークにある帰国直後に受験するには、帰国の1-2か月前に海外現地からインターネットで申し込む必要があるでしょう。また、英語以外の言語の場合、現地でしか受験できなかったり、日本受験の頻度が低く高価な場合があります。その場合、留学後半に受験するべく、日程を計画する必要があります。とくに日本ではマイナーな言語の場合、最低級でも良いので現地語の資格を現地で取っておくことを強く勧めます。現地の文部省やその外郭団体、そして商工会議所が主催していることが多いです。現地学生に聞いても知らないはずなので、留学生担当教職員に質問してみましょう。
スポンサーサイト

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

海外留学の誤解

1.留学すれば就職が良い。

とくに欧米留学の場合、留学と就職は直接関係ありません。就職は、学歴・部活歴・職歴など、留学以外の要素で決まることが多いです(途上国留学の場合は別なので後述)。高校生ならば優良大学に進学し、大学生なら部活に集中し、社会人なら社内業績や資格取得に挑戦する方が、留学よりも就職に有利です。就職で留学が評価されるとしたら、留学そのものより、その中身が問われます。たとえば、①大学学位、②途上国留学歴、③上級語学資格(TOEIC900・HSK6級以上など)、④インターンシップ・ボランティア経験です。

2.留学はアメリカ・ヨーロッパに限る

海外経験が少ない人ほど、「留学といえば欧米」という先入観が強いようですが、時代遅れです。嘘だと思ったら、先輩・知人・親戚の中で国際業務の最前線にいる人を探して聞いてみて下さい。就職でも、学位取得者でない限り、1-2年以下の欧米留学経験は凡庸で、ほぼ黙殺されるでしょう。むしろ、同じ費用と時間で簿記資格等を取った方が実用的かもしれません。他方、大学生の途上国留学は、それ自体が挑戦心や適応力を証明するものになりえます。新卒大学生の就職活動では、体育会部活と同程度には評価され、私の周囲の実例を見る限り出発点から有利です。実際、「国際的な仕事」の多くは、未経験者の先入観とは逆に、途上国を舞台にしています。アメリカだけを見て世界を知ったような気持ちになるのは大間違いです。英語の通じにくい中国、南米、アフリカ、イスラム圏では、中・西・仏・アラビア語の中級語学力を身につけておくと、役に立ちます。

3.大学を留年すると就職で不利になる。

交換留学を理由に大学を1年間留年した場合、卒業時に同期生の+2歳程度であれば、就職で不利になることはありません。何十人もの事例を見ていますが、断言できます。ただし、大学入学前後で浪人や留年をした場合、就職時に+2歳を超えると大学院修士課程修了者、+5歳を超えると博士課程修了者と競合します。留学で留年して+2-3歳で就職するならば、修士号に匹敵する専門性としてたとえば、大学入学資格水準の英語以外の語学力や途上国体験・ボランティア・インターンシップなどをアグレッシブに意識した方が良いでしょう。

4.留学すれば国際関係の仕事ができる。

1-2年以下の短期留学は、語学習得・海外経験の踏み台に過ぎず、それだけで国際関係の仕事はできません。私の知る留学経験者も、一流大学卒の優秀な人ほど、帰国後は大企業の総合職として、留学国とは直接関係のない仕事をすることが多いです。特定地域・語学に特化した専門職は、ビジネスパーソンのキャリア形成では王道でなかったりもします。ただし、留学で語学検定の高スコアを持っていると、海外出張・駐在のための最低点をクリアし、社内の抜擢に有利であることは事実です。また、現地で長期就職することは、VISAの関係でも能力の上でもまず不可能です。例外は、ネイティブ並に現地語(文章力)ができたり、現地に需要のある専門技能を持っていたり、現地人との結婚で就職ビザを取れた場合のみです。

5.英語さえ勉強しておければ、将来役立つ

たしかに英語は社会人の常識です。海外出張・駐在はもちろん、昇進にもTOEICを要求する大企業が増えています。仕事で使える高水準の語学力を短期間で得るには、留学が圧倒的な近道であるのも事実です。しかし、英語は手段であり、目的ではありません。語学よりも専門の方が大切です。いまや、エンジニアも社長も法律家も研究者も、通訳を介さず英語を話すのが常識なため、語学専門家は不要になりました。外国語以外に専門を持たず、日本のことも勉強不足の日本人は、現地では単に言葉が下手なお荷物に過ぎません。逆に、流暢に日本語を話し、専門知識の上でも優秀な外国人が増えてきました。

6.とりあえずまず、1ヶ月留学から始めよう

大学の夏期・春期休暇中は1-2ヶ月しか日程が取れませんが、そのような短期間に留学したところで、語学習得には何の意味もありません。語学力は3ヶ月目くらいに急上昇するので、1-2ヶ月で学習成果はほとんど期待できません。本当に語学習得を望むなら、大学講義を休み、場合によっては留年する覚悟で、最低3ヶ月を確保するべきです。同じ1-2ヶ月なら、高額な英米留学に50万円前後を支払うより、半額の費用でインド一周旅行や海外ボランティアをした方が、人生観を変えるような異文化経験になるかもしれません。

7.金は現地で稼げば良い

語学習得には必死に頑張って最低3ヶ月はかかりますので、その期間は勉強に集中できるだけの学費を用意してから渡航するべきです。ワーキングホリデーやアルバイトは、トラブルが多く勧めません。上級語学力がなければ消耗的な底辺労働しかできず、長期間滞在しても語学習得はおろか職業経験にもなりません。また、奨学金は、専門的な学位取得を目指す人を社会貢献として政府や財団が支援するものです。本人の個人的利益にしかならない初中級語学研修に奨学金を期待するのは甘すぎます。予算が足りなければ、貯金できるまで留学を延期するか、他の国内計画に切り替えるべきです。先進国留学と決め付けず、予算に合わせて途上国を選び、短期留学や海外ボランティアを試みるのも合理的です。

8.英語も先進国も大嫌いだ

英語や先進国が嫌いだから非英語圏や途上国に行きたいと考えるのは、短絡的です。英語は、どの言語圏で仕事するにしても避けられません。「英語+1」が理想だとはよく言われますが、英語が普通に使えてこそ、第二外国語力が活かせます。また、将来的に途上国を仕事の舞台にするにしても、先進国人同士のより普遍的な競争に勝ち抜く力がないと、特定の途上国以外で通用しなくなってしまいます。その意味で、修士号・博士号を取るための留学先や最初の就職先は、保守的な言い方ですが、日欧米豪の名門大学・一流企業が良いと思います。

9.海外で一発逆転や自分探しをしたい

部活歴も資格特技もない大学生は、留学(とくに途上国)によって心機一新を狙うことも不可能ではありません。しかし、留学は、これまで日本で蓄えた強みや専門を伸ばすものです。留学によってこれまでなかった才能や経験が空から降ってくるわけではありません。自尊心が強く自己評価の甘い高校生や社会人が、海外に現実逃避する例がありますが、努力や忍耐の習慣がない人が、外国語環境の負荷に耐えられるわけがありません。大学受験や企業で失敗した人が海外に一発逆転を期待するのは、他人頼みの「ないものねだり」です。また、海外生活は、新奇な異文化に目を奪われがちなので、落ちついた自分探しには向いていません。まず渡航前に現実と向き合い将来設計を冷静に考え、今の自分にとって留学が本当にベストの選択肢か、考える必要があります。同じ費用と時間で、専門学校に通って資格や公務員を目指すこともできるからです。


10.留学後は海外に永住したい。

現地で就職できないと、長期滞在もできません。国際結婚の現実が厳しいことも、該当国の離婚率(とくに国際結婚)を調べればすぐに分かります。そもそも、周囲に国際的な親族・知人がいたわけでもなく、自分でも国際経験が浅く、根拠もないまま永住を考えるのは、自分自身をまだ客観的に眺めていません。また、海外生活には向き不向きがあり、誰でもそれに適しているわけではありません。その適性は行ってみないと分からないので、1年程度の短期留学は、自分と海外の距離を測るための好機です。現地では嫌味なほど語学力も上達し友達も増やす留学仲間が1-2人いるはずですが、それを見れば、相対的な適性の差が客観的に分かるはずです。自分が向いていないと、きちんと自己評価できることも才能です。そのときはすっぱり方向転換することが大切です。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : 海外 留学 大学生

海外語学学校の選択

海外語学学校の選択には、5点ほどの留意点があると思います。

(1)1クラスが15人以下であること。たとえば大学付属の講座は、15人以上の講義形式が多いです。その場合、中上級者が文法や教養を身につけるには良いですが、初級者が会話力を伸ばすのには不適当です。他方、個人レッスン中心の小規模校には、カリキュラムがいい加減な学校もあります。

(2)週20時間以上であること。週15時間だと午前中の9h~12hだけで授業が終わってしまい、周囲も休暇気分の学生ばかりになってしまいます。午後も教養講座や宿題自習時間のある講座だと、進学や就職を間際に控えた真剣な受講生が集まり刺激になります。

(3)学期の単位が自分の渡航計画と適合的であること。半年間の留学ならば半年を1サイクルとする講座が理想的です。毎月入学できる学校は、一見、好都合のように見えますが、むしろ要注意です。1~2ヶ月単位では人の出入りが激しく、体系的な学習や継続的な友達作りができなくなってしまいます。

(4)学校の立地が自分の関心・適性・語学力に合っていること。田舎町は初心者が語学研修に集中するには理想的ですが、中級者以上が大学・本屋・映画館等に顔を出すには刺激が少なすぎます。週末の遠出に便利であることも考慮して良いですが、都心部や観光地に立地する学校では、学生も観光半分になってしまいかねないので注意が必要です。

(5)日本人が少ないこと。日本の留学斡旋業者や旅行代理店に頼ってはいけません。彼らが斡旋する学校には、自力では手配できない日本人初心者がごっそり集中するからです。『地球の歩き方―成功する留学』やWEBで学校を探し、英語で資料請求や質疑応答を行い、現地通貨で学費を支払いましょう。そうすれば、日本円表示の学費より斡旋料分が安くなったり、日本人が少ない場所を選べたり、対応の丁寧さやパンフレットの質量から学校の姿勢や信頼性を推し量ったりできます。そもそも、この程度の簡単な作業を自力でできず人に頼ってしまう人は、現地生活で生き残れませんし、意志と適性の上でも留学すべきではないと思います。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

tag : 語学学校 旅行代理店

日本語書籍を海外に持参すべきか

日本語書籍は原則として留学や旅行には持参せず、何でも現地調達を原則に身軽に行くのが一番です。自他の先例を見ても、関心は留学中に大きく変わっていくので、専門書を持参してもまず読む機会はなく、お守り程度の役にしかたちません。必要が生じたときにネットで取り寄せるのが一番です。持参するなら、現地で処分する前提でいる方が良いでしょう。

1-1.良質なガイドブック・旅行エッセイ・滞在記・サブカルチャー本は、参考になります。良質な旅行エッセイ・滞在記は、著者に対抗心をもって読むと、刺激になります。留学国のサブカルチャーに関する本は、音楽・料理・趣味等、自分の専門外の領域に新発見があります。とくに文庫・新書なら運搬も処分も気楽です。
1-2.留学の準備課題でも前述したように、「①政治・経済・文化・歴史の専門書・入門書・事典、②旅行記・体験記・グルメ・サブカルチャー等のエッセイ・ルポルタージュ、③その国の作家による/その国を舞台とした小説・音楽CD・映画DVD等、④旅行・留学・海外生活のガイドブックの4部門から最低1点」を選ぶのも生産的です。


2.留学国の中世以前の古典文学は、日本語の文庫本で持参しても良いでしょう(岩波文庫、筑摩文庫)。聖書、コーラン、ホメロス、エッダ、ラーマーヤナ、漢詩など。古典の知識を持っていると、本や絵画での引用が理解できるようになります。また、日本でも欧米でも要約版しか読まれなくなっているので、翻訳でも原典を読んでいると、教養人として友人達の見る目が変わります。


3.留学国の政治・経済・文化・歴史を解説した専門書・事典類は、初心者には便利でしょう。たとえば、明石書店の『現代XXを知るためのXX章』シリーズは、最新の各国事情をまとめており、必須文献でしょう。また、自分の専門の理論や調査に役立つ文献も必要かもしれません。ただし、外国語の読解力に不自由なければ、外国語の専門書を現地購入した方が良いのは言うまでもありません。


4.日本語書籍は、留学中に外国語に疲れたときのオアシスのような存在なので、両刃の剣です。柔らかい本に溺れるのは避け、あえて硬い本(たとえば古典文学や哲学書)を厳選するのは一策です。日本では完読できなかった面倒な本も、海外で他に読むものがないと、最後まで読めて意外な面白さを発見したりします。現代書館の『ザ・XXX全一冊』シリーズは個人全集を一冊に縮小印刷したものです。


5.日本語文献がないとどうしても不安なら、デジカメを活用しましょう。渡航前に日本で、専門書・事典類の必要ページを大量にデジカメ撮影すれば良いのです(自己利用限定)。海外旅行では、厚いガイドブックをバラバラに解体して使い捨てにする人もいますが、デジカメを活用すればもっとスマートです。また、安心のために、家族がすぐに発送できるように送付用書籍をダンボールに梱包しておいたり(発送しないで終わるでしょう)、自分の本棚の背表紙をデジカメ撮影しておくのも一策です。

6.古典書の多くは、オンラインでも公開されていますので、購入・持参の前に確認しましょう。

6-1.日本の古典文学なら青空文庫
6-2.Googleブック検索で一部あるいは全文が掲載されている本もあります。
6-3.明治・大正期の国立図書館蔵書の一部なら、近代デジタルライブラリー
6-4. アマチュア和訳書ならプロジェクト杉田玄白
6-5.洋書ならProject GutenbergWikisource

7-1.留学準備から留学中も一貫して、文献リストをWEB上に作っておくことを勧めます。研究論文のための専門文献、留学中の講義課題のための教科書・参考書、趣味・生活・旅行の一般書・小説・CD・DVD等を、一括管理するのです。リストさえあれば、留学先でも日本でも、図書館借出、書店購入、論文引用が簡単です。

7-2.和書・CD・WEBを一括管理するならメディアマーカー、反響が欲しければAmazonほしい物リストAmazonリストマニア!、洋書が多ければLibraryThingが良いでしょう。雑誌論文を扱う研究者なら、EndNote WebRefWorks(100ドル/年)がデファクトスタンダードです。有料なので、まず母校と留学先の図書館を通して無料利用できないか、確認しましょう。

7-3.2ヶ国を往復する留学生にとっては、文献リストをWEB上に作る習慣は大切です。母校の図書館で借りられる本、留学先の図書館で借りられる本、Amazonでいずれ注文すべき本を一覧し、準備期、留学中、そして帰国後に、計画的に調整できます。なお同時に、メディアマーカーはてなブックマークDelicious等、WEBブックマークを作る習慣も大切です。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

留学奨学金とローン - Scholarship and loan to study abroad

留学の奨学金に関心があるなら、まず海外留学奨学金パンフレットを見るべきです。それと重複もありますが、ここではその中でも注目すべきものを取り上げます。

1.貸与奨学金・ローン

給与の奨学金は激戦ですが、自己投資のため50-100万円のローンを使うのは、もっとも現実的です。100万円以内ならば、学生にはたしかに大金ですが、一端大企業に入社すればボーナスだけでも返せる額です。社会人は金はあっても時間がないので、学生時代にその分を借りて時間を買うのも選択肢です。定収のない学生の場合、家族に名義人か連帯保証人になってもらう必要があります。が、1年間のフランス語研修でDELFを取りアフリカ駐在を目指す等、目標と期限を明確に決めるなら、家族と相談する価値があります。

1-1.日本学生支援機構の第二種奨学金(海外): 新卒者・準新卒者(卒業2年以内)の学位留学に対し、月額5-15万円を貸与。大学院留学向きか(交換留学や語学研修は対象外、学部留学の場合、世帯収入の上限が厳しい)。

1-2.日本学生支援機構の第二種奨学金(短期留学): 大学生・大学院生の短期留学に対し、低利子貸与で月3-12万円。世帯収入に上限あり。交換留学向き(語学研修や大学院留学は対象外)。

1-3.日本政策投資銀行の国の教育ローン: 最大300万円を貸与、15年で返済。世帯収入に上限あり。交換留学や大学院留学向きか(語学研修は対象外)。

1-4.財形貯蓄の教育ローン: 最大450万円を貸与、10年で返済。保護者の財形貯蓄が前提。交換留学や大学院留学向きか(語学研修は対象外)。

1-5.大学生協ローン: 最大50万円の生協商品・サービス(航空券・語学研修等)を最大36回分割払い。家族の連帯保証が必要だが、留学後の定期収入を前提に本人名義でローン返済。短期語学研修や卒業旅行向きか。

2. 語学研修向きの奨学金

給与される奨学金は、主に大学院留学など、選抜性が高く社会的意義の高いものを対象にします。語学研修は、留学としては低レベルで希望者が多すぎますし、本人のスキルアップにしか役だ立たないため、給与される奨学金はほとんどありません。が、例外もあります。

2-1. 外国政府奨学金
外国政府奨学金は、通常は1年留学や学位取得を目的にしますが、半年以下の語学研修の奨学金もあります。チェコやイスラエルでは、夏休み(7-8月)のサマースクールの奨学金もあり、前者は3月、後者は前年11月に締め切られます。専門のない語学研修よりは大学院生等の研究目的に限られるでしょうが、インドネシア、トルコ、イタリア、スウェーデン、ノルウェー、ハンガリー、フィンランドも半年以内の奨学金です。

2-2.ロータリー財団国際親善奨学金
ロータリー財団の国際親善奨学金は、短期語学研修を対象にすることもあります。早ければ春頃に締め切られ、翌年の秋からの渡航になるので、1年半前の申請が必要です。

3.大学院留学の奨学金

3-1.留学生交流支援制度(長期派遣): 条件を満たせば倍率は高くない。

3-2.ロータリー財団国際親善奨学金: 年200万円給付。地域社会への貢献が重要。地方出身者が倍率の低い故郷で受験すれば最低3倍。

3-3.ルノー財団奨学金:指定大学出身者とDELF水準の中級仏語力が条件。修士号授業料、生活費、渡航費、インターンシップ費、研修旅行費を給与。

3-4.Erasmus Mundus: 授業料・生活費を給与。

3-5.民間・外国政府奨学金:海外留学奨学金パンフレット参照。20倍以上の激戦が一般的。

3-6. 社費留学: 勤務先によって勤務成績やTOEFL・GMAT等の選抜基準がある。留学後も一定期間の勤続が必要だが、留学費を全額返還すればその限りでない。国家公務員I種の派遣留学も同様。社費留学に代え、海外短期研修に派遣する企業も増えている。

3-7.ローン: 前述の日本学生支援機構の第二種奨学金(海外)など。

4.交換留学の奨学金

4-1.留学生交流支援制度(短期留学)奨学金:大学間交換留学のみ月8万円給付。1年前に申請(締切が早い)。人数枠が小さ過ぎてほとんど期待できない。

4-2.大学によっては、一括25万円等、交換留学専用の奨学金を用意している。

4-3.民間財団・外国政府・その他奨学金(海外留学奨学金パンフレット参照)が使える場合もある。

4-4.ローン: 前述の日本学生支援機構の第二種奨学金(短期留学)など。

5. その他のヒント

「お金はないけど海外で学びたい」。そういう人は、資金の都合がつくまで留学を延期するか、資金の範囲内で計画を変更するのが良いでしょう。以下のような発想の転換はいかがでしょうか。

5-1.留学国の変更
・「留学ならばアメリカ」などという時代遅れの偏見を捨て、かつ、衛生・治安面のリスクを受け入れられるならば、途上国での語学研修は有力です。資金難ゆえに先進国留学を1-3ヶ月に切り詰めると、何の成果もない危険がありますが、同額の資金で途上国で1年間留学すれば、上級語学資格(TOEIC730等)も取得可能です。
・海外経験の少ない人は逆に誤解しがちですが、挑戦心や適応力を示す意味で、先進国より途上国の経験の方が企業就職でもアピールするかもしれません。英語研修ならフィリピンは、今や韓国人にも大人気です。スリランカなら月3万円で暮せるとも言われます。
・大学院留学は、今なお先進国の方が良いかもしれませんが、語学資格取得後に奨学金や入学選考に挑戦する、二段階計画も生産的です。

5-2.留学目的の変更
・将来的に国際業務や大学院留学など次のステップを計画しているのでなければ、語学習得にこだわらず、異文化経験に重点をシフトしても良いかもしれません。
NICE等の海外ボランティアは、語学力が低くても実費のみで参加できるものもあり、勤務経験や学習経験とは言わないまでも、共同作業や現地事情なども学べます。AIESEC等の海外インターンシップはもっと良いですが、高度な語学力や専門知識が要求されるでしょう(海外ボランティア等は別記)。
内閣府青年国際交流事業は、留学奨学金ではありませんが、2週間から2ヶ月の国際交流を政府が支援するものです。選抜、準備、運営、帰国後と堅実さには定評があり、将来にも陰に陽に役立つかもしれません。
・大学入学資格相当(TOEIC730等)の語学力がなければ、まず語学研修から始めるのが王道ですが、派遣元・受入先大学の理解が得られるなら、あえて交換留学して、海外学生生活で苦労を経験してみるのも、一策です(交換留学は別記)。
・長期周遊旅行が目的の人も、まず最初に語学研修をしてから旅行を開始することは生産的です。ただし、旅行者が語学学習にも手を広げる分には良いですが、留学が目標を見失い旅行半分になることは、費用と時間に見合わないと思います。

5-3.勧めないこと
・留学には「1年以内に大学入学相当の語学資格(TOEIC730等)」「半年間で20大学単位」「2年間で修士号」等、短期集中型の目標と期限が不可欠です。「向こうに着いたら何とかなる」と見切り発車で渡航し、現地で資金繰りに汲々していたら、目標達成も中途半端に終わります。目標なしに留学するくらいなら、仕事と布団のある日本で短期集中で資格を取得した方が、将来に役立ちます。
・個人的な意見ですが、日本ワーキング・ホリデーは勧めません。単純労働しかできず、語学も職業経験も身に付かないという声を多数聞きます。留学国や目的を変更し、途上国留学、海外ボランティア、内閣府国際青年交流事業等を選んだ方が良いでしょう。現地アルバイトは論外です。
・日本より失業率の高い国で、上級語学力や専門技術がない人に仕事はありません。そもそも就労VISAや配偶者VISA、せめて留学VISAがないと、不法就労になります。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

留学生を送る家族の役割 - Advices to the parents

海外留学で家族の役割は大切です。子供が自立心を育む好機なので、過干渉を控え子供を信頼することは素晴らしいことです。しかし、「お前が好きなようにやると良いよ」と何でも本人任せにして自由放任にすることは、逆に望ましくありません。たとえ海外事情や留学に詳しくなかったとしても、親には親の役割があります。脱線の兆候や救援信号を見逃すと、無計画に流れる危険もありますし、命にかかわる事故や犯罪にも巻き込まれかねません。大学の交換留学の場合、大学事務や指導教員も勉強面では関与しますが、生活面まで面倒を見るわけではありません。私費留学の場合、家族にもかなりの責任がかかります。留学生本人として大学生(大学院生・高校生)を想定し、ご家族に以下のチェックポイントを勧めます。

1.留学計画の検証

1-1.20-30年後の将来を見据えた計画

・留学環境は、この10年で大きく変わりました。親の世代の常識は、子供が職場の第一線に立つ20年後には通用しない可能性があります。友人・知人に国際的企業・商社・国際機関等の最前線に勤める人がいれば、助言を聞くと良いでしょう。

①「留学は欧米に限る」という先入観は時代錯誤です。専門性(研究調査、インターンシップ、ボランティア)や「英語プラスワン」、途上国経験も重要です。
②「先進国は安全、途上国は危険」という先入観は不正確で、地区と対策が重要です。外務省・海外安全ホームページ外務省・海外安全虎の巻で各国の最新情報を具体的に検討して下さい。
③英語研修ならTOEIC730以上が留学成果の最低基準です。そのためには最低3ヶ月が必要で、夏休みの1-2ヶ月だけでは、費用に見合った効果はありません。
④留学による留年は就職時に不利にはなりません。

1-2.親子で議論するべきチェックポイント

・子供を留学に送り出す前に、以下のチェックポイントはきちんと議論する価値があります。

①いま留学することが本当にベストか。時間・費用・労力に見合った成果があるか。留学が将来どのような役に立つか。

②達成目標が明確かつ具体的か。
・・・好例:半年の英語研修後、X月X日のTOEIC試験で730を目指す。1年間の交換留学でXX単位の専門単位を取得する。2年間の大学院留学で修士課程を取得する。
・・・悪例:英語がペラペラになる(XX資格・XX単位と具体化されていない)。現地で結婚したい、現地で仕事を見つけたい(現実性を欠く)。

③スケジュールが明確かつ具体的か。
・・・好例:XX年X月X日に学期が終わり、X月X日に帰国する。1年目冬に大学入学資格(TOEFL-iBT80等)を取り、2年目秋に大学院に入学し、4年目初夏に修士号を取って帰国し、日本で就職活動を行い、5年目春の就職を目指す。
・・・悪例:まず最初の1-2年で語学研修をして、それから大学院を目指す云々(達成期限を切っていない)。

④目標未達時のセーフティーネットがあるか。
・・・好例:予め日本の大学(院)に籍を置き、留学2年目に志望大学(院)に合格できなかった場合、帰国して復学し、日本の大学(院)生として就職活動を開始する。
・・・悪例:TOEFL-iBT80は取れなかったけど、XXのコミュニティカレッジは大学と同じ評価で…云々(目標も期限もその場しのぎ)。

⑤良質な助言者がいるか。
・・・好例:指導教員、語学教員、留学生センター教職員が助言している。教員と家族はお互いにすぐ連絡を取れる体制にある。家族・親族に海外駐在・国際業務・海外学位の経験者がいて、助言をもらえる。
・・・悪例:語学研修経験のある友達のXX君や外国人留学生のXXさんに聞いた(短期留学の若者は近視眼的なので信頼できない。生兵法は怪我の元)。

⑥留学斡旋業者に丸投げすることも、危険です。国内業者の紹介する語学学校は、日本人留学生が過半数を占めて学習効果が低いことが多く、紹介料の分だけ高額になります。また、ワーキングホリデーは、語学力向上のためにも就業経験のためにも、勧められません。そもそも、一流大学から一部上場企業に至る国際的なキャリアプランは、業者本人が経験していない経歴ですので、助言できないはずです。遠回りのようでも、大学教職員や経験者に相談しつつ、本人がじっくり比較検討することが一番です。

2. 留学資金の検討

2-1.留学費用の見積もりと原資

・まず本人に留学資金の見積もりを提出させましょう。学費、旅費、家賃、生活費などですが、その総額の30%程度の予備費を見込みましょう。語学研修、交換留学、大学院留学、途上国留学、短期・長期留学、海外インターンシップなど、指導教員や経験者と相談の上で複数のプランを提出させると良いでしょう。
・その上で、原資は、家族の給与か、本人のアルバイト貯金か、奨学金(給与・貸与)や教育ローンか、家族と本人で具体的に話し合いましょう。給与奨学金はほぼ無理ですが、貸与奨学金や教育ローンは十分可能です。

2-2.留学資金と誓約書

・費用上の制限で、留学計画を歪めるのは残念です。留学期間を短縮するくらいならば、生活費の安い国に留学先を変更して留学期間を確保するのも選択肢です。また、卒業後に一部上場企業に就職できれば、貸与奨学金や教育ローン、親への借金を本人が返済することは、十分現実的です。
・親が子供に留学資金を提供する場合、給与・貸与は合意次第です。事実上は給与でも、仮に貸与することにして目標達成時に減額するのも一策です。いずれにせよ、達成目標と禁忌事項を条件にすることを勧めます。こういうときだけは襟を正し、本人に誓約書を書かせるのも一策です。末尾に誓約書の事例を挙げます。

2-3.海外でのカード・お金・保険

・現金で大金を持参するのは危険過ぎます。留学時のお金の持参方法は以下のモデル例があります。

・1年以内の短期留学なら、楽天銀行/スルガ銀行のVISAデビットカードをメイン、新生銀行キャッシュカードとMileage Plus Saison Masterカードをサブ。緊急用に現金100-300ドル。
・1年以上の長期留学なら、現地銀行VISAデビットカードをメイン、新生銀行キャッシュカードとMileage Plus Saison Masterカードをサブ。緊急用に現金100-300ドル。


・VISAデビットカードは、国際キャッシュカードとVISAカードを合わせたものです。クレジットカードとは異なり、カード利用と同時に銀行口座から決済されます。そのため、預金残高次第で大きな買物もできますし、逆に預金残高以上の利用はできません。日本からこの銀行口座に「国内振込」すれば、日常の現金引き出しと買物はこれで間に合います。
・1年以上の長期滞在なら、現地に銀行口座を作り、現地銀行VISAデビットカードを使う方が合理的かもしれません。その場合、留学当初は楽天銀行/スルガ銀行のVISAデビットカードを使いますが、その後、楽天銀行/スルガ銀行口座から現地銀行口座に生活費6ヵ月分以上を「海外送金」し、切り替えます。

・カードは紛失・盗難・故障時に備えて、最低3枚用意することを勧めます。新生銀行キャッシュカードは、海外でも日本の銀行口座から現金を引き出せる国際キャッシュカードとして定評があります。もし新生銀行を緊急・予備用とするならば、ご家族の許可なしには使わないことにして、ご家族がオンラインバンキングで口座履歴・残高を定期点検するのも一策です。
・保護者名義のクレジットカードの「家族カード」を、緊急用のサブカードとして本人に渡すのも一案です。使用ルールを家族と本人の間で決め、ご家族が使用履歴をオンラインで監視することが条件です。なお、一般カードでも収入証明書を提出しないと、海外でのキャッシングが使えなくなりました。

・学生用クレジットカードは、ショッピング枠が10万円、キャッシング枠が3-5万円程度と少ないので、VISAデビットカードが現金引出と買物の中心になるでしょう。しかし、Mileage Plus Saison Masterは、治療費用300万円の海外旅行保険(3ヶ月)が自動付帯するのが重要です。VISAカードとMasterカードでリスク分散する意味もあります。
・なお、クレジットカード付帯の海外旅行保険は、保険額が不十分だったり、カードで航空券を購入することが条件だったりするので、付帯条件を慎重にチェックするべきです(とくに年会費無料の学生カードは要注意)。また、3ヵ月以上の海外滞在では、3ヶ月間のカード付帯保険は無意味で、出発日から全期間の海外旅行保険に別途入る必要があります。





3.留学準備の確認

以下の点は家族からも準備状況を確認すべきです。

3-1.語学学習語学検定試験

・留学前の半年間は、週3回以上、教室で語学に触れる機会が必要です。独習だけでは駄目です。大学が提供する語学科目や英語提供科目を最大限履修する必要があります。それだけで3回に満たない場合、民間語学学校に通うことも必要かもしれません。
・交換留学の場合、英語圏ならTOEFL-iBT80/TOEIC730が足切り条件です。語学研修でもTOEIC600程度はないと、日常生活に支障が生じます。非英語圏もこれに準じます。留学生活の楽しさや安全が大きく変わりますので、死活問題として必死に語学を準備すべきです。
・TOEIC等の語学試験は、留学半年前と直前で最低2回は受験しましょう。さらに、渡航中・渡航後に再受験し、留学成果を数値で比較しましょう。受験の1ヶ月以上前に申請する必要があるので、受験日程を予め計画的に確定しておきましょう。

3-2.学校の選択

・安ければ良いというものではありません。ワーキングホリデーは評判が悪いです。また、語学学校なら週20時間で、1クラス15名以下、そして最低単位1ヶ月以上の学校でないと、上達しません。また、外務省・海外安全情報で危険情報が発令されている国・地域は避けるべきです。詳細は別記。

3-3.航空券の選択

・本人から家族には、E-Ticketを転送させ、変更時には随時連絡させるべきです。
・安ければ良いというものではありません。マイナーな航空会社は評判が悪いです。また、帰国日を固定するか否かによって価格が変わります。

3-4.宿泊先の選択

・安ければ良いというものではありません。大学の学生寮なら、多少汚くても安心ですが、民間アパートの場合、地区の選択が重要です。安全を金で買う側面もあります。
・旅行ならば、ホテル予約確認メールを転送させるべきです。

3-5.海外旅行保険

・海外旅行保険(留学保険)は、1ヶ月で1万円前後の高い買物ですが、留学生の命綱です。既成プランは高めなので、フリープランを保険代理店に相見積もりさせましょう。保険会社が強調しがちな死亡補償は、扶養家族のいない学生には、実は最低額で良いはずです。留学生に重要なのは治療・救援者費用のみで、1000万円位でしょうか。また、複数年の保険は、保険会社にとって損なので最近難しくなっていますが、交渉の価値があります。
・3ヶ月以上の留学では、クレジットカードの付帯保険ではまかなえません。全期間について海外留学保険に入りましょう。留学期間を短縮した場合、払い戻しも可能です。また、保険の延期は日本でしかできません。
・家族や大学事務・指導教員は、本人に契約書コピーを提出させるべきです。とくに家族は、保険証番号と現地の保険連絡先を保存しておくべきです。
・JCSOS加盟大学では交換留学にあたり、危機管理システムJ-TASの費用を負担しています。J-TASでは、留学生の家族も医療専門家に、病気・怪我・メンタルヘルスの治療を相談できます。留学生本人が動けぬ場合、家族や大学が医療措置を手配することも可能です。大学から渡された説明書と電話番号を子供の電話番号と一緒に保存しておきましょう。J-TASは東京海上日動と海外連絡網を共有しているため、東京海上日動の海外旅行保険(留学保険)を契約しておくと、2社に連絡することなく連携できます。

3-6.予防注射
検疫所・感染症情報を調べ、破傷風や狂犬病など、留学のみならず周辺旅行にも必要な予防注射を打つべきです。数万円はかかりますが、安全は金には代えられません。とくにA型肝炎や黄熱病は、渡航の2ヶ月以上前から準備する必要があります。

4. 連絡手段の確保

4-1.ホウレンソウ(報告・連絡・相談)体制
・以下のコピーはファイリングして、ご家族の手元に置きましょう。

・パスポートのコピー
・海外旅行保険証のコピーと緊急連絡先一覧
・旅程表とEチケットのコピー
・現地住所・携帯電話番号、学校住所・留学生担当者電話番号
・その他本人が現地で紛失したら困る重要書類の予備コピー

・家族、大学事務、指導教員等、「緊急連絡先」を定め、定期的な報告・連絡・相談を本人約束させましょう。必要ならば大学事務や指導教員とも連絡を取り合いましょう。
・国外旅行や宿泊旅行をする場合、航空券E-Ticket控とホテル予約確認メールを、緊急連絡先に事前に転送しましょう。この事前連絡は交換留学において、離日から帰国までの全期間について必須義務です。
・ブログ、mixi、Facebook、Twitter等は、留学状況を把握し、コミュニケーションを保つのに最適です。本人から家族・指導教員に教えてくれれば、第三国への旅行の報告や安全確認をこれに代替することが可能です。プライバシー設定をうまく活用すれば、家族連絡と友達同士のやり取りを区別することも可能なはずです。
・本人に持病がある場合、どの病院に連絡するか、どのタイミングで帰国するが、救済者が渡航するか、打ち合わせておきましょう。

4-2. 携帯電話
・携帯電話は必須です。短期留学ならば、海外ローミング対応のDocomo/AU/Softbankでも良いでしょう。が、無理に機種交換をするくらいならば、SIMフリーの海外携帯を購入した方が良いでしょう。他方、長期留学ならば、SIMフリーの海外携帯電話を日本か現地で購入し、現地でSIMカードを購入して、その番号を日本に知らせるべきです。必ず家族からも国際電話を試すべきです。

4-3. Skypeとマイクヘッドフォン・WEBカメラ
Skypeは必須です。本人と家族(指導教員)の双方で、Skype加入の上でIDを教え合い、それぞれマイクヘッドフォンとWEBカメラ(計2千円から)を購入して、渡航前に通話実験をするべきです。人の集まる実家側では、できればハンドフリーフォンと顔自動追尾式カメラを導入できると、なお理想的です。加えて、家族側と本人側の双方が高画素カメラだと、微妙な顔色や表情の差まで分かります。
ASUS Videophone Touch AiGuruは、固定電話感覚のテレビ電話機で、高齢者にも最適です。無線/有線LANは必要ですが、パソコンは不要です。まったくネットを使わない人の場合、Docomo Portable Wifiと一緒に購入すれば、購入直後の店頭で全設定が終わります。
・加えて、パソコンのSkypeから固定・携帯電話にも格安で通話できるよう、プリペイドか月額プランを契約しておきましょう。
・家族は、時差やパソコン使用時間をも考慮し、Skype通話の日時を決めておくと良いでしょう。毎晩21時頃とか、少なくとも毎週末です。
・家族が、パソコンがインターネットに常時接続されていなかったり、パソコンでのSkype操作に疎い場合、国際電話用テレフォンカードをコンビニ等で購入しておいても、代替できます。


4-4.現地住所・固定電話
・家族や大学事務・指導教員は、現地住所や固定電話番号も把握すべきです。家族から国際電話をかける実験を何回か繰り返しておくことは、必須です。また、いざというときに備え、現地大使館にも「在留届」を提出するよう念を押しましょう。

5.留学中のチェックポイント

・留学中の子供と話すときは、後述のチェックポイントを確認しつつ、聞き役に徹することが大切です。本人の努力に感心・賞賛してみせたり、愚痴を聞いてあげることも、家族ならではの大切な役割です。現地事情も分からぬまま、古い知識だけで説教することは、あまり意味がなく逆効果のこともあります。
・留学生の感情には波があり、留学当初の「興奮期」が終わると「カルチャーショック期」で落ち込むのは、良くある現象です。3ヶ月目前後を警戒して下さい。メンタルに辛そうな場合、「いつでも帰国して構わない」と断言して下さい。連絡が途絶えた場合や本人の落ち込みが激しい場合、大学事務や指導教員とも相談し、必要なら本人の帰国や救済者の渡航も検討しましょう。
・留学には適性もあります。成績が目標をはるかに下回る場合も、本人が努力しているならば仕方ありません。しかし、1年以上の留学延期は安易に認めず、日本で他の進路を考えさせるべきだと思います。

・以下のポイントを定期的にチェックすることが大切です(できれば毎週、少なくとも毎月)。
・どのような家か、近所界隈か、通学路か。…留学冒頭
・毎週何時間、どのような授業に出ているか。…就学状況
・友人や先生はどのような人か(最重要!)。…就学状況・メンタルヘルス
・誰とどのようなメニューの食事をしているか。…体調・メンタルヘルス
・アフター5や週末に誰と何をしているか。…体調・メンタルヘルス
・旅行時のE-Ticketとホテル予約確認メールのメール転送。・・・危機管理
・語学検定や専門科目の取得予定と成績結果。…就学状況

6. 禁忌事項

・海外では誰も見てないし、いつもと違う非日常でもあるので、何をしても良いように勘違いしてしまうことがあります。とくに生活に慣れた後半部や休暇は気が緩みがちです。しかし、海外での危険は、日本とは次元が異なります。遠く離れた日本では、トラブル時にも対応しきれません。
・外務省の「危険情報」の対象地域は、家族と指導教員の事前承諾なしには立ち入ってはいけません。家族も「海外安全ホームページ」を定期的に確認し、リスクの理解を共有して下さい。
車の運転はしないと本人に約束させましょう。もちろん、国際運転免許証も不要です。事故の事例を身の回りに見てきましたが、留学本来の目的が吹き飛びます。海外では運転のルールやマナーも異なり、事故の危険が国内とは比べ物になりません。自動車・バイク運転は、本格登山・ハングライダー等の「危険なスポーツ」と並び、海外旅行保険の対象外でもあります。
・賭博やドラッグ等、違法行為は絶対にしないと、本人に約束させましょう。たとえ現地の悪い友達に誘われたとしても、外国人の場合、処罰も被害も深刻度が異なります。ヒッチハイキングやカウチサーフィン等の無謀行為を行うのも、無用な犯罪を招きます。
・留学を延長する際、日本の海外旅行保険は延長できません。現地で国内と海外での医療保険(+借家賠償保険)に入らせ、そのコピーを日本に送らせるべきです。

7.誓約書の例

・とくに家族が留学費を支援する場合、本人に末尾のような誓約書を書かせるのは、本人のために良いかもしれません。以下の事例は家族が本人に留学資金を貸与するものですが、給与か貸与かは本人と家族との合意次第です。
・目標と期限は、本人に無理のない範囲内で自己申告させるのが良いでしょう。一般に、英語研修なら半年でTOEIC730、非英語なら1年で大学入学水準の語学資格、交換留学・大学院留学ならば現地学生と同条件の単位・学位を目指すのが理想です。この理想は、能力ある大学生が努力すれば十分現実的ですが、万事順調とは限りませんし、個人差もあります。
・実際に留学してみないと具体的なことは分かりません。1年以上の長期目標は、渡航後半年目で一度見直した方が良いでしょう。家族と本人がきちんと話し合って納得した上なら、現実に即してスローダウンすることも必要です。留学は人生のステップのひとつに過ぎません。あまり過大な課題を厳格に要求して、成長途上の若者に挫折感や隠し事を作らせるより、何でも素直に報告・連絡・相談できる関係を築く方が優先でしょう。

==============
誓約書(例)

私は以下の事項を遵守することを誓います。



・私は、XX学位/XX大学単位/語学検定XXXX点を取ることを目標に、20XX年X月X日から20XX年X月X日まで留学します。
・留学費としてXX万円をお借りします。内訳は以下の通りです。家賃と生活費は月ごとに引き出します。まとまった出費や予備費が必要なときは事前に申し出ます。
学費:XX万円(契約済の具体的な額)
旅費:XX万円(購入済の具体的な額)
家賃:XX万円(契約済の具体的な額)
生活費:XX万円xXXヶ月(留学国の物価に即して)
予備費:XX万円
・お借りしたXX万円は、私の就職後の20XX年から20XX年にかけて返却します。ただし、留学目標を優れた成績で達成できた場合、XX%の減免をお願いします。
・私は、留学全期間の海外旅行保険に加入し、その控えを提出します。それと同条件の医療保険・賠償保険に現地加入し控えを再提出しなければ、滞在延期はしません。
・私は、月にXX回、近況を報告・連絡・相談します。
・私は、学期毎に成績表または出席証明書を提出します。加えて、XX年X月X日とXX年X月X日の語学検定XXXXを受験し、証明書控を提出します。
・私は、往復路と宿泊旅行について、航空券E-Ticket控とホテル予約確認メールを事前にメール転送します。
・私は、違法行為、車の運転、危険なスポーツ・行為を行わず、外務省・危険情報の対象地域には原則として立ち入りません。
・現地住所・電話番号、海外旅行保険控、往復路と宿泊旅行のE-Ticket控とホテル予約確認メール、成績表は、大学事務・指導教員にも提出し、定期的に報告・連絡・相談します。
・学校の出席率が悪い場合、目標の達成率が著しく悪い場合、あるいは義務を怠った場合、帰国を命じられても異議はありません。留学計画に変更が必要な時は、事前に相談します。

20XX年X月X日

住所
氏名 印

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

留学国の選択 - Where shall I study?

はじめての留学は、言語の選択が人生の岐路として決定的に大切です。社会人の留学では仕事上の専門性や経緯で決まりますが、20歳前後の学生の留学はまず語学研修から始まるでしょう。海外との出会いは理屈ではないので、留学先の準備では偶然や勢いも大切です。しかし、留学は膨大な費用・時間・労力を伴う自己投資でもあります。近視眼的発想に流されず、20年先を読んで自分の人生にインパクトのある選択をするべきです。「やはりアメリカだろう」「時代は中国だ」といった親やマスコミの固定観念に従ったり、先輩や友達の前例を真似していたら、10-20年前の旧世代の常識を反復するだけで、20年後を先取りできません。いま中国ビジネスで活躍している人は、中国語が大学の第二外国語でもなかった時代に「なぜアメリカじゃないの?」と親に引き止められながらも、信念をもって中国に留学した人たちです。あえて乱暴に私見を言うなら、留学先には以下の選択基準がありえると思います。

1.言語で選ぶ

英語は必須の最前提です。が、逆に言えば英語は誰でもできるので、語学力は「英語+1」が大切だといわれます。語学研修の勧めは別記しました。

1-1.言語人口の多い世界言語

言語人口は、①★中国語(13億人)、②英語(5.1億人)、③★ヒンディー語(4.9)億人、④★スペイン語(4.2億人)、⑤★フランス語(4.1億人)、⑥★ロシア語(2.8億人)、⑦★アラビア語(2.5億人)、⑧ベンガル語(2.1億人)、⑨ポルトガル語(1.9億人)、⑩インドネシア語(1.8億人)、⑪日本語・ドイツ語(1.3億人)の順です
・英語は筆頭ですが、英語圏とは米英豪加だけではなく、フィリピンやインド、シンガポール・香港も含みます。次いで中国語、スペイン語、フランス語、ロシア語、アラビア語は、人口成長も見込め、将来性が手堅いでしょう。他方、ヒンディー語圏・ベンガル語圏・ドイツ語圏では英語でビジネスできますし、インドネシア語(インドネシア・マレーシア・ブルネイ)・日本語・ポルトガル語(ポルトガル・ブラジル・アンゴラ)は使用国が限られます。

1-2.日本と関わりの深い言語

・中国語と韓国語は、今後のビジネスや相互の観光でも、日本人なら使う機会がたくさんあるでしょう。日系ブラジル人の出稼ぎが増えている東海地域では、ポルトガル語も使えます。また、北米企業が中南米、欧州企業がアフリカ・中東に力点があるとすれば、日本企業が工場を作り製品を売る重点はアジアです。そのため、広東語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語なども、片言でも話せると役立つ機会があるかもしれません。インドネシア語は日本語と語順が同じで学びやすいと言われます。

1-3.複数国で使える言語

・言語人口こそ多くなくとも、複数国を(紛争地域すら)つなぐ国際語があります。広東語は、広東・香港・マカオだけでなく世界中の中華街の標準語で、香港映画も世界に普及しています。東・中央アフリカなら(英仏語に加え)スワヒリ語、中央アジアなら(ロシア語に加え)ウズベク語=ウイグル語やペルシア語も国境を超えます。インドのヒンディー語はウルドゥー語圏のパキスタン、バングラディッシュ公用語のベンガル語は北東インドのコルコタでも通じます。インドネシア語は、海峡マレー語を起源とし、マレーシアやブルネイでも通じます。タイ語は、国境域のバーツ経済圏を中心に話者が多く、ラオス語はタイ語の東北(イーサーン)方言と重複するようです。

1-4.先進国と途上国の双方で使える言語

英語とフランス語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語ならば、新聞・雑誌・テレビでの論談や、文学・演劇・オペラなどの芸術を楽しみ、大学院水準の研究をも極められる一方、アフリカ・中南米・CIS諸国での鉱山採掘現場や経済協力でも役立ちます。中国語・広東語は、中国本土だけでなく、台湾・香港・シンガポール・各国中華街でも使えます。
・他方、他のヨーロッパ言語は、少子高齢化のためビジネス上の価値は減少する一方です。日本人口とほぼ同数のドイツ語(1.3億人)を頂点に、スウェーデン語は東京都民、フィンランド語は北海道民程度の言語人口しかいません。江戸時代の洋学の窓口だったオランダ語は、現代オランダの大学院ではほとんど放棄され、全講義が英語で教えられるようになりました。日本の理工学教育でも第二外国語教育を減らし、専門教科書も論文執筆も英語最優先に舵を切りました。もちろん、各国固有の文化・歴史・生活を理解する意味はもちろん減じません。が、先端科学技術を学ぶ共通語としては、欧州言語は歴史的役割をほぼ終えたと言えます。日本語も同じ運命です。

2.国で選ぶ

・根のないその場限りの観光客として通り過ぎるのと、留学生・駐在員として現地で居場所や友人網を作って生活するのは、まったく異なる体験です。ひとつの国の言語・視野・文化、そして友人網を身に着けるには住むことが一番です。留学先にどの国を選ぶかは、出会いや好みの問題で、本来、優越はありません。ただ、白紙で選ぶなら、蛮勇を奮って以下の選択基準を提案します。具体例は前述の語学研修の勧め交換留学の勧めにも書きました。

2-1.留学先としての新興成長国

・先進国は、いまや日本と大きな違いがありませんし、社会人になっても観光・仕事でいくらでも行けます。25歳以下の学生時代に海外生活を経験するなら、健康や家族の理解さえ許せば、発展途上国を勧めます。
・新興成長国としては、ゴールドマンサックスが2001年に提唱したBRICs(Brasil, Russia, India, China)が有名です。が、(CIS諸国ならともかく)ロシアを新興国と呼ぶのは誤解を招きますし、地域的な偏りも指摘されます。
・同社が「BRICs」の次として2005年に提唱したのが、N-11(Next Eleven: Bangladesh, Egypt, Indonesia, Iran, Mexico, Nigeria, Pakistan, Philippines, Korea, Turkey, Vietnam)です。
・他方、外交の世界では、G-20メンバー国のうち先進10ヶ国地域(G8+EU+Australia)を除いた10ヶ国(Argentina, Brazil, China, India, Indonesia, Mexico, Saudi Arabia, South Africa, Korea, Turkey)が、新興経済国の定義でしょう。MENA(Middle East & North Africa)も注目されます。門倉貴史氏提唱のVISTA(Vietnam, Indonesia, South Africa, Turkey, Argentina)等は、上記の国々と重複しますし、学問的支持や国際的通用性もいまひとつです。

・ここでも英語(Bangladesh, India, Nigeria, Pakistan, Philippines, South Africa)、中国語(China)、スペイン語(Argentina, Mexico)、アラビア語(Egypt, Soudi Arabia +MENA諸国)、インド諸語(Bagladesh, India, Pakistan)は、経済力も言語人口も存在感があります。他方、ポルトガル語はともかく、ペルシア語やインドネシア語、韓国語は使用国が限られます。フランス語圏とロシア語圏はここでは新興成長国にカウントされていません。また、南アフリカやナイジェリア、パキスタンは、現時点の治安上、留学先には不適当だと思います。
・なお、BRICs、N-11、G-20には疑問が残る部分もあります。東欧圏(ポーランド、チェコ、ハンガリー)、CIS諸国(ウクライナ、カザフスタン)、韓国を除くアジアNIEs=Four Dragons=Four Asian Tigers(韓国、台湾、香港、シンガポール)、そしてタイが、含まれないからです。これらの国々は成長地域でもあり、留学の価値があると思います。

2-2.留学先としての先進国

学位取得の大学院留学や25歳以上の社会人留学なら、特殊な専門職になるのでない限り、やはり先進国の名門校が王道でしょう。20歳前後の学部生は、先進国と途上国の双方を経験できるともっとも理想的です。社会人・大学院の留学は別記しました。
・先進国の狭義の定義は、G8(Canada, France, Germany, Italy, Japan, Russia, United Kingdom, United States)でしょう。しかし、G8はEU諸国の一部に米日露を加えたに過ぎません。地域的な代表性もなく、恣意的な組み合わせだという批判が常にあります。影響力の低下から新興国を追加したG20が注目されています。
・先進国の広義の定義は、「先進国クラブ」と呼ばれるOECD(G7 +Australia, Austria, Belgium, Chech, Chile, Denmark, Finland, Greece, Hungary, Iceland, Ireland, Korea, Luxembourg, Mexico, Netherlands, New Zealand, Norway, Poland, Portugal, Slovakia, Spain, Sweden, Switzerland, Turkey + Estonia, Israel, Slovenia)でしょう。ただし、1994年加盟のメキシコ、2010年加盟のチリ、2010年招待のイスラエル、そして東欧・バルト諸国など、一般には「先進国」としての評価が固まっていない国々も含まれます。他方、旧共産圏の盟主ロシアや、"Four Dragons"の香港・台湾・シンガポールは含まれません。

・先進国では教育言語が英語に統一されつつあります。主要大学では英語プログラムも増加中です。オランダでも大学院教育はほぼ100%英語化されました。その意味で、とくに25歳以上の社会人の場合、現地語をまったく学ばずに英語だけで専門科目を学ぶことが、世界各国で現実的です。しかし、25歳以下の学生や永住覚悟の場合、やはり現地語は交友・テレビ・書物などで文化を吸収するために必要不可欠です。
・言語人口で考えると、やはり英語圏(Australia, Ireland, New Zealand, UK, USA)が圧倒的に有利でしょう。米国留学しか念頭にない初心者にはあえてフィリピンなども指さしますが、逆に非英語圏や途上国が好きな人には、米国を食わず嫌いせずに、一度は生活を経験してみることを勧めます。
・次いで、スペイン語圏(Chile, Mexico, Spain)や仏語圏(Belgium, France, Luxenburg, Switzerland)も無視できません。スペイン語圏は、都心部の治安が悪化するスペインより、メキシコを検討しても良いでしょう。
・他方、ドイツ語(Austria, Germany, Luxenburg, Switzerland)とイタリア語は、言語人口も通用性も先細りする一方です。その他の欧州語も将来的な成長性は期待できません。しかし、文化的な重要性は永遠に変わらないので、最終的には趣味の問題です。
・先進国の伝統文化・物質生活を楽しみながら、発展途上地域にも目配りできる国として、東欧や香港・台湾・シンガポールも有意義だと思います。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

留学の生活準備

留学の自己鍛錬は、事前準備から始まっています。海外留学の学習準備は別記したので、ここでは生活面の準備を書きます。

1.事務手続きは「うまく行かないのが当たり前、前進できたら超ラッキー」程度に、心と時間の余裕を持ちましょう。返事を忘れられたり、担当者が変わると答えが変わるのも、日常茶飯事です。繰り返し粘り強く繰り返しましょう。

2.Email をして返事がない場合、ただ待っていてはいけません。最終的には電話して、担当者の個人名を探し当てた上でワンツーマンで対話しないと、話が進みません。海外での依頼事は、"Dear Sir"などと組織名に他人行儀な呼びかけをしているうちは動きません。"Dear Mary, Did you have nice holidays?"などとパーソナライズした世間話を交えることで、はじめて動き始めます。現地語文例集が載っている『手紙の書き方』の本を1冊買っておきましょう。

3.交渉事は、参考書類の量が重要です。あまり役立たないだろうとは思っていても、傍証を含めてできるだけ大量の証拠を束ねて渡すべきです。窓口では、例外的な自主判断を嫌い、杓子定規に却下する傾向があるため、交渉の余地はほとんどありません。裁量権のある上層責任者に柔軟な対応を求めるには、まず「これほど証拠が揃っているなら自分の一存では判断できない」と、窓口担当者に思わせるだけの量が必要です。関連書類はすべてファイリングして保存しましょう。

4. 以下のものは他に先駆けて準備しましょう。格安航空券の買い方旅・留学・出張の持ち物-2.貴重品:海外でのカード・お金・保険は別記。

1.手続き: パスポート、入国査証、入学許可証、入寮許可証
2.体調管理: 予防接種(A型肝炎、イエローカード、マラリヤ予防薬)、歯科治療(保険対象外)
3.契約購入: 航空券、海外旅行保険、国際学生証、クレジットカード、国際キャッシュカード、国際電話プリペイドカード、証明書用写真、英語名刺、T/C、携帯電話(海外仕様/レンタル/現地購入)、
4.危機管理: パスポート・海外旅行保険証・T/C控等のコピー、緊急連絡先の手帳転載および携帯電話帳登録(クレジットカード・キャッシュカード紛失・海外旅行保険事故等)、各種資料ファイリング
5.パソコン: ウェブサービス・アカウント(Skype, Webmail, Social Bookmark, Online Storage, Photo Album)、ウェブカメラ・マイクヘッドホン・ネット会議用スピーカー&マイク


4. 電話環境の準備

4-1.海外携帯を購入するか、国際ローミング携帯を持参するかを決めましょう。
・海外携帯を購入する場合、日本で購入していくか、海外現地で購入するか決めましょう。日本で購入するなら、海外携帯ショップやヤフオクで機種を決めましょう。海外で購入する場合も、携帯機種・携帯電話会社・契約方法は検討しておきましょう。
・国際ローミング携帯を持参する場合、プランの変更や転送でんわサービス・ゆうゆうコール割引の契約も考えましょう。海外携帯入門参照。

4-2. 実家と親友・パートナーの自宅にマイクヘッドフォンとウェブカメラをセットアップし、Skypeの使い方を教えて通話実験を終えておくのは、重要です。また、Skype Outに最低千円をプールしておき、パソコンのマイクフォンから家庭の固定電話に格安で電話できるよう、日本側と海外側の双方で設定しておきましょう。PCアクセサリーは日本の方が安いので、古いパーツはこの機会に買い換えても良いでしょう。頻繁にSkype電話する遠距離恋愛や心配性のご両親なら、高画素カメラやハンドフリーフォンも、十分に元が取れるはずです。私の愛用するQcam Orbitは、微妙な表情のアップから部屋の全景まで鮮明な画像でズームでき、顔を自動で追尾・フォーカスするので、数世代前のウェブカメラとは次元が違います。また、ASUS Videophone Touch AiGuruは、LAN接続さえできれば、パソコンなしに単体でビデオ電話でき、高齢者にも固定電話感覚です。



5.オンラインサービスの準備

5-1. 国際派のウェブサービスブックマークの進化形留学の準備課題で詳述の通り、Social Bookmarkで、「お気に入り」のブックマークをウェブ上にどんどん保存しましょう。そうすると旅先のインターネットカフェでも愛用のページを開けます。日本語HPがメインならはてなダイヤリーやYahoo!ブックマーク、外国語HPが多いならDeliciousなどです。

5-2.大学生ならば所属大学図書館のリモートアクセスを必ず申請しておき、海外からも雑誌論文・新聞記事データベースにアクセスできるようにしておきましょう。文献管理のEndNoteWebにもIDを取っておき、母校と留学先で文献リストを連続的に作れるようにしましょう。

5-2. オンラインストレージで、パソコンやデジカメのデータのバックアップを取りましょう。Microsoft Windows LiveのSkyDriveなら25GBが無料です。持参したパソコンの自動バックアップならNorton Backupも選択肢です。私は海外帰国直後にパソコンのハードディスクを壊しました。また、アルジェリア・モロッコ・マダガスカルでは、数千枚の古文書を複写代わりにデジカメ撮影したら、2GBのSDを何枚持っていてもすぐに一杯になりました。パソコン持参でなくても、ネットカフェからOnline Storageに保存できることは重要です。

5-3. 三省堂Web Dictionaryは、半年1,575円で17冊の辞書が使えます。ウィズダム英和・和英とクラウン仏和・独和の用例がとくに使い出があります。LogoVistaの電子辞書ソフトよりもコストパフォーマンスが高く、出先でも使えます。

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

カテゴリ
最新記事
リンク
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
FC2カウンター
Since June 2009
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。