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Googleブックスの衝撃 - Googlization of books?

Googleブックスを使ってみて、衝撃を受けた。2008年に米国作家協会との著作権裁判の和解が生じ、2009年春に公告が出たのは新聞報道で知っていた。このサービスは、本をスキャンすることでウェブページに変え、読書という行為をウェブサーフィンの一種に変える。まさに「本のグーグル化(Googlization of books)」とも言うべき、発想の転換を迫るサービスだ。


Googleブックスのポイントは2点だ。
・著作権切れの書籍は、全文掲載される。
・著作権のある書籍は、一部掲載され、Amazon等のリンクが表示される。
印刷はできない

Googleブック検索和解を見ると、2009年9月4日までに和解からの除外を申し出ないと、世界中の書籍について著作権切れならGoogleに全文掲載されるようだ。アメリカのサービスだが、ベルヌ条約加盟の約200ヶ国の書籍が対象になる。

使ってみて驚いたのは以下の点だ。
1.日本語書籍も仏語書籍も大量にヒットする。当初から協力参加を表明していた慶應義塾大学の福澤諭吉コレクションだけではなく、たとえばインプレス社は、新刊書とほとんど変わらない2006年刊の在庫切れ本『WEB2.0 Book』も、全文掲載している。



2.一部掲載は、複数章に渡ってしばしば100ページ以上掲載される。Amazonの「なか見検索」は目次中心の10ページ程度だったが、Google Booksではプレビューだけで分かった気分になる」ほどのページ数だ。

3.出版社によっては準新刊書も、プレビューに止まらず全文掲載だ。たとえば、定番ガイドブックのLonely Planet社は、"Japan"(2007年)の前版(2005年)を全文掲載している。印刷こそできないが、重たいガイドブックを持参せずとも、旅先のインターネットカフェで閲覧できる。Max Weberの"Economy and Society"(1978年)は絶版書の掲載だが、絶版書だけではないのだ。

4.ブック検索は、タイトルだけでなく、文章中の言葉もヒットする。著者名・書名等だけを検索する図書館OPACとは発想が異なり、Googleのウェブページ検索を本の紙ページに広げた感覚だ。思いがけないマニアックな本もヒットする。戦前米国の歴史的文献も、全文が読める。

5.他方、基本文献が必ずヒットするわけではない。何がヒットするかは書誌やスキャンを用意したGoogle協力者の選択に依存し、ランダムだ。一部の本、とくに和書は検索できなかったり、ローマ字だったりもする。網羅的な書籍データベースではなく、Amazonや図書館OPACと比べ漏れが多い

6.検索結果は「マイライブラリ」に保存し、Gmailと同じ感覚でラベル整理できる。マイライブラリには、LibraryThingと同様、ISBNでインポートもできる。なお、マイライブラリは強制的に公開される仕様だ。

要するにGoogleブックスは、グーグル検索を紙の印刷物に拡大したものと考えると分かりやすい。

現時点の結論は以下の通りだ。
(長所)
1.これまで図書館に足を運んだり、購入しないと読めなかった本が、パソコンで読めることは画期的だ。図書館や書店が少ない発展途上国や地方農村にとっては、情報格差を減らす一助になる。また、本を買うお金や図書館へ通う習慣がなかった人も、ウェブサーフィン感覚で本に親しむようになるかもしれない。なお、内容は出版書籍なので、アマチュアが趣味で書いたホームページやブログより、格段に信頼性がある。

2.キーワード検索の対象が、著者や書名だけでなく、本文中の言葉にも及ぶのは、本の調べ方を変える。これまで本の内容は、タイトルだけで想像し、実際に読まないと分からなかったが、ここでは簡単な検索で内容の一部が「分かったような気分」になる。また、シャーロックホームズ等の一部小説には用語辞典が出版されていたほどだが、素人でも一種の言説分析ができてしまう。

3.書籍の一部を流し読みし、マイライブラリに保存・整理できるのは、Googleでウェブをザッピングし、ブックマークをするのと同じ感覚になる。本を吟味して選び、最初から最後まで背筋を伸ばして読むという、読書習慣が変わる。軽く検索して、検索箇所だけを摘み読みし、用が済んだら次の本に移るという、ネットサーフィンに近い読み方になるだろう。

4.Googleブックスは、書籍の流通経路を変える。本の一部は無料で配布されることが当たり前となる。Googleプレビューは、DVD・CDに対するテレビ・ラジオ、漫画単行本に対する漫画週刊誌のような販売促進手段になる。一部読者は、Googleプレビュー分だけを見て読んだつもりになって、購入や図書館借出を止めたりすると思う。しかし、検索で思いがけず本を発見し、プレビューを見て内容に惹かれる新しい読者層もいると思う。パソコン画面で閲覧はできるが、全ページ一括印刷はできないようなので、続きをまとめて読んだり、手元に置いておきたいなら、購入することになるだろう。

(短所)
1.検索・閲覧できる書籍は非体系的で漏れが多い。書店や図書館では簡単に入手できるメジャーな本でもヒットしないことが多い。したがって、学習や研究には従来通り、図書館や書店に足を運ぶ必要がある。ウェブ検索と同様、未知のテーマについて大雑把に知りたいような、軽い事前調査にのみ役立つ。Googleだけで済ませようとすると、大きな落とし穴となる。

2.Googleブックスでしか本を読まず、掲載箇所だけを資料に文章を書く人が必ず増える。今でも、ウェブしか読まず、ウィキペディアのカット・アンド・ペーストでレポートを書くことが問題になっている。また、イデオロギー的なバイアスや全体的な論理構成を無視し、掲載部分や検索語の周囲だけを部分的に切り取った、珍妙な誤解が溢れるだろう。大学・学校などでは、Wikipediaやブログをレポートや論文で引用することを禁止してきたはずだが、Googleブック検索だけに頼ったレポートは、図書館・書店で足を使って真っ当に調べたものと区別がつかず、規制できない。

3.このままでは学問の体系性が崩れる。かつて大学生の教養は、どれだけ名著を読んだかであった。政治学の丸山真男、経済史の大塚久雄、法学の川島武宜、そして岩波文庫などは典型だ。たとえ読んでいなくても各分野で何が名著かを知っていることこそが大学生の常識であり、何かを書くときはそれらの本から調べ始めるのが常識だった。しかし、最近は、レポート類の参考文献の選択がおかしい。聞いたこともない自費出版書や古い文献を掘り出す一方、定番文献や最新文献がごっそり抜け落ちる。図書館OPACのキーワード検索を妄信し、良書か否かを吟味する知識や習慣がないからだ。ウェブ情報をそのまま論文に引用する荒っぽさはその延長上にある。

4.今後Googleがさらに普及すれば、図書館や書店に足を運ぶ習慣すら薄れ、書籍を選択する基準は、良書か否かではなく、Googleにヒットするか否かになりかねない。対立する学説があった際、アマチュアの議論や学生レポートなどでは、Google掲載本に「多数決で」軍配が上がることになると思う。同じ内容でも、Google掲載本は大衆読者層を席巻し、非掲載本は相対的に引用が激減すると思う。そうなると、Google Books反対派の著者・出版社も、読者や影響力を維持するために、Google掲載に雪崩を打つ可能性がある。

5.「マイライブラリ」が強制公開であるのは、プライバシーが気になる。Amazonのカートやブラウザのブックマークを、選択の余地もなく公開されて気分の良い人はいない。そもそも今回のGoogle Books訴訟でも、著者・出版社の意志を無視し、確信犯的に情報のネット公開を推進するGoogleの強引さが目立った。Googleのヘビーユーザーになればなるほど、「Googleに自分の検索履歴を公開されたら怖い」という警戒感は増すはずだ。
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テーマ : 電子書籍
ジャンル : 本・雑誌

モバイル読書 - mobile ebooks

ebook(電子書籍)が充実してきました。長時間の読書は紙の本でないと疲れるし、完読するほど愛着のある本なら手元に置きたいので、一般的には図書館や一般書店の方がお勧めです。しかし、自分の読解力を確かめながら洋書を読み漁ったり、海外留学中に日本の名著を入手するには電子書籍が便利です。また、漫画など、思いついたときに書店に足を運ばずに購入し、短時間に読み捨てる場合にも、ebookは適しています。さらに最近、大画面の携帯電話が登場したため、以前よりモバイル端末での読書が快適になってきました。iPhoneやWindows Mobile、Nokiaなど、グローバル展開するスマートフォンの方が便利ですが、i-mode, EZweb, Yahoo!ケータイでもebookを利用できます。
Amazon Kindel DXレビューProject Gutenbergで英書を読む発展途上の日本語電子書籍 - eBookJapaniPadなんかいらないGoogle Booksの衝撃は別記。

1. 電子図書館(無料)

1-1. Project Gutenberg (洋書)
・PCやスマートフォンなどで、版権切れの海外名著を無料でダウンロードして読める。
Mobipocket Readerなら挿絵なども読める。
・英語の古典的な小説ならば幅広く揃う。「Penguin Booksに匹敵する」と言うと言い過ぎだが、一度は読みたい名著が見つかる。
・英語だけでなく、独仏語など多言語の名著がある。複数の版もある。
・電子書籍だけでなく、読み上げ音声もダウンロードできる。
Many Booksで変換ファイルをダウンロードすれば、PSPやNOKIA携帯、Palmなどでも読める。テキストファイルやPDFファイルをダウンロードすれば、i-mode, EZweb, Yahoo!ケータイでも読めるはず。

1-2. 青空文庫 (和書)
・PCやスマートフォン、i-mode, EZweb, Yahoo!ケータイなどで、版権切れの和書を無料でダウンロードして読める。PSPやNintendo DSでも読める。
・日本の古典的な小説・名著ならば幅広く揃う。「岩波文庫に匹敵する」と言うと言い過ぎだが、一生のうちで読むべき本がたくさん見つかる。
・日本語だけでなく、海外文学の日本語訳もある。

1-3. Google Books (洋書・和書)
・PCで版権切れの洋書を無料で読める。
・洋書の名著だけでなく、数年前の新古書や和書もある。
・WEB上でブックリストを作れるが、ダウンロードや印刷はできない。調べ物には良いが読書には適さない。
・PCには適しているが、モバイル端末には向いていない。

1-4. 新聞・雑誌
・産経新聞は、iPhoneとWindows Mobileを使って無料で読める。iPhone限定だったが、Windows Mobileにも移植された。
・週刊東洋経済は、Docomo T-01Aを使って無料(期間限定)で、記事を読める。

1-5. 漫画
手塚治虫マガジンは、Windows Mobile, iPhone, Android携帯を使って無料(期間限定)で読める。
モーニングツーは、PCとiPhoneを使って無料(期間限定)で読める。同誌は講談社の実験的青年コミック。
・他にも電子コミックは色々ある。

2. 電子書店(有料購入)

2-1. Mobipocket (有料洋書、スマートフォン)
・PCやスマートフォンなら、Mobipocket Readerで挿絵も読める

2-2. Amazon Kindle (有料洋書、専用機とiPhoneのみ)
専用機KindleやiPhoneなら電子書籍を購入して読める。
・Amazonの一般書籍より安い。

2-3. eBook Japan (有料和書、PCとiPhoneのみ)
・電子書店の日本最大手。PCやiPhoneなら電子書籍を購入して読める。

2-4. ビットウェイブックス(有料和書、PCとスマートフォン・PDA)
・PCで電子書籍を購入し、スマートフォンやPalmなどにコピーして読める。テキストファイルやPDFファイルならば、携帯電話でも読めるはず。

2-5.Yahoo!コミック等、電子書店は他にも色々ある。

3. モバイルでebookを読む

3-1. スマートフォン
・Windows Mobile (EMobile, Willcomを含む), Blackberry, Nokia, Palmなど、海外でも普及するスマートフォンは、日本限定のi-mode, EZweb, Yahoo!ケータイより、洋書に強く、電子書籍を活用しやすい
・スマートフォンなら、Mobipocket Readerで、Gutenbergの無料洋書やMobipocketの有料洋書を読める。
・Windows Mobileなら、PocketSkyviewで青空文庫をダウンロードし、マンガミーヤで読む。
・Mobipocketやビットウェイブックスなどの電子書店を使える。

3-2. iPhone
電子書籍を活用するのにはiPhoneが現時点で一番便利
・Amazon Kindleの有料洋書、ebook Japanの有料和書、モーニングツーの有料コミックなど、電子書籍にはパソコンとiPhoneでのみ利用できるものが多い。
・Gutenbergの無料洋書はStanza、青空文庫の無料和書はi文庫で読める。
・産経新聞や週刊手塚治虫なども利用できる。

3-3. 携帯電話(i-mode, EZweb, Yahoo!ケータイ)
暇つぶし青空文庫いつでも携帯青空文庫ならば、携帯電話でも特別なソフトなしに無料で日本の名著を読める。携帯用の青空文庫は他にも複数ある。
・iアプリには、reateなど、フリ仮名を読みやすくしたebookリーダーもある。
電子書店パピレスのように、i-mode, EZweb, Yahoo!ケータイ, Willcom専用のebook書店もある。
・GutenbergやMany Books" target="_blank" title="Many Books">Many Booksで、テキストファイルやPDFファイルをダウンロードすれば、携帯電話でも海外名著を無料で読めるはず(試していないので、誰か教えて下さい)。もちろん、Gutenbergの読み上げ音声ファイルも聞けるはず。
ビットウェイブックス(有料和書、PCとスマートフォン・PDA)からPCで電子書籍を購入・ダウンロードし、テキストファイルかPDFファイルをコピーすれば、携帯電話でも読めるはず。

3-4.ゲーム機(Nintendo DS, PSP)
・Nintendo DSでも、NDSKybookYabo_NDSKybookで青空文庫を読める。
・PSPは、EjPSPReaderで青空文庫を読める。
Many Books" target="_blank" title="Many Books">Many BooksでPSP用ファイルをダウンロードすれば、PSPでGutenbergの無料洋書も読める。同サイトのテキストファイルをダウンロードすれば、Nintendo DSでも読めるはず(試していないので誰か教えて下さい)。

3-5. その他
・WillcomやPSPには専用電子書店がある。
・Amazon(米国)には専用機Kindleがある。
Sony eBook Library(米国)は、専用機Reader Daily Editionを発売した。

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Project Gutenbergで洋書を読む - Reading with Gutenberg

Project Gutenbergは、版権の切れた世界の古典的名著を無料でダウンロードして読めるようにしたデータベースです。英書中心ですが、独仏などの他言語書籍もあり、挿絵や読み上げ音声もあります。和書でGutenbergに相当するのが青空文庫です。
Amazon Kindel DXレビュー発展途上の日本語電子書籍 - eBookJapaniPadなんかいらないモバイル読書Google Booksの衝撃は別記。

洋書を読むには、まず易しい本で完読の習慣と自信をつけるのが近道です。厳選して計画的に読む読書は模範的ではありますが、Gutenbergで本を無料で入手できたから読んでみるという出会い方も、必ずしも悪くないでしょう。Gutenbergに登録された電子書籍は、版権の問題か重要書が抜け落ちていたり偏りもありますが、ほとんどが古典的名著です。気に入ったら、図書館や書店で印刷版や日本語版を入手すれば良いのです。

元々はPCの画面で読んだり、印刷する前提です。最近は画面の大きな携帯電話が増えたので、モバイルでも文庫本のように持ち運べるようになりました。Windows Moble, Blackberry, Nokia, PalmなどのスマートフォンならMobipocket Reader、iPhoneならStanzaを使うと、Gutenbergを便利に活用できます。Many Booksで変換ファイルをダウンロードすれば、特別なソフトがなくてもPSPやNokia、Palmなどで読めます。テキストファイルやPDFファイルをダウンロードすれば、i-mode, EZweb, Yahoo!ケータイなどでも読めるはずです。携帯でも、暇つぶし青空文庫や各種アプリなど、和書の青空文庫なら便利に読めるようになったので、洋書のGutenbergを読む方法も探せば他にもあるかもしれません。

1. 挿絵付きの童話
・英語初級者には、絵を見たり音声を聞きながら童話を読むことを勧めます。ただし、挿絵付きの短文が易しいとは限らないので、より長い児童文学の方が読みやすい人もいるでしょう。
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』: 読み上げ音声あり
『アンデルセン童話』
ヘレン・バナマン『ちびくろサンボ』
ロバート・ブローニング『ハーメルンの笛吹き男』: 読み上げ音声あり
『グリム童話』
ベアトリス・ポッター『ピーター・ラビット』
『赤頭巾ちゃん』

2. 児童文学
・英語中級者なら、読みやすい児童文学を最初から最後まで読み通す経験を重ねましょう。飛び切り面白い名著なら続きやすいでしょう。子供時代に日本語で読んだ本を探し、原語で読み直してみるのも良いでしょう。
ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』
スティーブンソン『宝島』
ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』
マーク・トゥエイン『ハックベリーフィンの冒険』
ジュール・ヴェルヌ『八日間世界一周』
バロウズ『火星のプリンセス』: 読み上げ音声あり
バロウズ『類人猿ターザン』: 読み上げ音声あり

3. 一度は読みたい名著
・Gutenbergでは古典的名著も読めます。日本語訳を持っていても、原語で読んでみる方が言い回しが分かって面白いです。
チャールズ・ダーウィン『種の起源』
『マグナカルタ』
アダム・スミス『国富論』
ホッブス『レヴァイアサン』
トマス・モア『ユートピア』
フリードリッヒ・エンゲルス『イングランドにおける労働者階級の状態』
ハーマン・メルヴィル『白鯨』
ウォルト・ホイットマン『草の葉』
シェークスピア『ハムレット』

4. フランス語の名著
・英語以外にも、たとえばフランス語でも名著が読めます。
スタンダール『パルムの僧院』
スタンダール『赤と黒』
フローベール『ボヴァリー夫人』
アレクサンドル・デュマ『三銃士』
フランソワ・ラブレー『ガルガンチュア物語』

※ここに挙げたのは一例に過ぎないので、他にも色々調べてみてください。
※和書ならば青空文庫に、漱石、鴎外、竜之介、多喜二などの古典日本文学が揃っているので、是非自分で色々探してみて下さい。

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tag : Gutenberg 名著 英語

読書管理のLibraryThingとメディアマーカー - Online Bookshelf

書籍情報・書評を共有するソーシアル・ブック・ネットワークと呼ばれるサービスが2005年頃から成長してきました。海外研究者・留学生にはLibraryThingが一番だというのが私の結論です。国内サービスもAmazon.co.jpとは連動しますが、LibraryThingではさらに、海外図書館OPACで検索した書籍を自分のライブラリーに保存し、各国Amazonの価格や書評や国内地元図書館の貸出コードをリンクさせることができます。とくにメディアマーカーは、書籍情報のみならずCD・DVD・雑貨など、あらゆるAmazon商品の検索結果をWEB上に保存できます。

1.オンライン本棚の比較

1-1.海外サービス
LibraryThing: おそらく世界初で世界最大。AbeBooksが買収。日本語化中。
Shelfari: デザインは優れるが機能はシンプル。Amazonが買収。
Goodreads: 第3のサービスとして成長中。
Googleブック検索: デジタル化書籍対象だが、マイライブラリ機能あり。

1-2.国内サービス
メディアマーカー: 国内サービスでは一番高機能。Amazon.co.jpのブックマークレットは便利。インポート・エクスポート機能は良心的。書籍だけでなく、Amazonの全商品とWEBブックマークを一括管理。
たなぞう: 『本の雑誌』が主催しているため、書評では一目置かれる。
Socialtunes: Amazon.co.jpと連動し、メディアマーカーと似ている。
読書メーター: 読書量グラフなどビジュアルが魅力。
ブクログ: 老舗だが、新興サービスに押され気味か。

2.国際比較: LibraryThing vs メディアマーカー

2-1.機能比較
・和書の書評・情報交換ではメディアマーカーが良い。LibraryThingの日本人ユーザーはまだ少ない。
・洋書の書評・情報交換ではLibraryThingが世界最大。メディアマーカーでは、Amazon.co.jpに漏れるマイナーな洋書や英語以外の言語は対象外。
・メディアマーカーは、CD・DVD・ゲームを含むAmazon.co.jpの全商品とWEBブックマークを一括管理する。LibraryThingは書籍のみ。
・日本語検索にはメディアマーカーが良い。LibraryThingは漢字検索に対応せず工夫が必要。
・メディアマーカーもLibraryThingも、Amazon.co.jpからのブックマークレットによる登録には対応している。LibraryThingはさらに、日米英加仏独のAmazonからのブックマークレット登録と、Amazonのウィッシュリストやリストマニアからの一括登録にも対応している。
・メディアマーカーもLibraryThingも、CSVファイルのImportとOutportに対応する。LibraryThingはさらに、ISBNをカンマや改行で切って並べただけのファイルでも一括登録できる。
・メディアマーカーでの検索はAmazon.co.jpのみだが、LibraryThingは、日米英加仏独のAmazonに加え、世界690の書店・図書館OPACを検索元に使える。
・LibraryThingは、自分のブックリストを図書館OPACとリンクして、蔵書コードを表示できる。リンク先にない図書館OPACでも、自分でリンク追加を試行錯誤できる。
・LibraryThingは、国内最強のメディアマーカーよりさらに機能豊富だが、日本語化は一部のみで、マニュアルの大半は英文。
・LibraryThingでは、ライブラリー全体を公開したら個別の本を非公開にすることができないので、非公開にしたい本がある場合は、別IDを取る必要がある。メディアマーカーは個別の本について公開・非公開を設定できる。

2-2.結論
(1)留学先がLibraryThingの検索元なら、LibraryThingは必須だ便利だろう。図書館OPACの検索結果を保存・整理でき、研究ツールとしてフル活用できる。
(2)海外の専門書、とくに非英書を多用する海外研究者・大学院生には、LibraryThingでの各国Amazon検索や洋書情報・書評は貴重だ。また、LibraryThingが母校or/and留学先の図書館OPACがリンクしていれば、Amazon検索リストと図書館OPACを連動できる。
(3)洋書の使用頻度が低い大学生や社会人は上記の用途でなければ、一般にはメディアマーカーの方が万能で手軽だろう。留学に関連する参考書、CD/DVD、ウェブページ、持ち物等を一括管理できるし、操作が日本語なので機能を隅々まで活用できる。Googleブック検索は、用途が違うので別記。

※以上は2009年6月に書いたが、2010年4月時点でLibrary Thingの重要機能だった「Book Links」が消えてしまった。したがって、一般にはメディアマーカー、大半の院生・研究者にはZotero(無料)、EndNote Web、RefWorksの方を勧める。EndNote WebとRefWorksは本来有料だが、大半の大学図書館の正規利用者ならば、自宅でも海外でも無料で利用できるはずだ。Library Thingに残る長所に書評の共有機能があるが、Kindleの登場とともにAmazonのブックレビューも存在感を増している。

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tag : 本棚 図書館 蔵書 書籍 書評 Libraty Thing メディアマーカー Amazon

蔵書管理のLibraryThing (2): 利用法 - Online Bookshelf

3.LibraryThingの利用法

3-1.鈴木重夫氏の「本のソーシャルネットワーク--LibraryThingのサインアップと使い方について」を参考に、LibraryThingに登録する。彼のブログは他にも参考になる。
3-2.「ライブラリに本を追加」の「検索元」として、日米のAmazonと早稲田大学に加え、世界690の検索元から留学先の書店・図書館を選ぶ。ただし、漢字検索には非対応なので、和書の追加には以下の方法を取る。
3-3.「ツール」にある「Amazonブックマークレット」を右クリックし、ブラウザのツールバーに加える。日米英加仏独のAmazonのページ上から本を追加する。メディアマーカーと同様、これが一番簡単。
3-4.日米英加仏独のAmazonでウィッシュリストやリストマニアを予め作っておき、「ツール」の「万能インポート」で一括追加する。ISBNをカンマや改行で区切って並べたファイルを用意しておいても良い。
3-5.Amazon.co.jp等でISBNを調べた上で、「本を追加」でISBNを入力する。ブックマークレットと比べると、Cut&Paste作業が手間。
3-6.「あなたの本」の「買う・借りる・交換する」の「Book Links」で、日米のAmazon、日本のNACSIS Webcastに加え、日本の母校の大学図書館や、留学先の大学図書館・主要書店を選んで「Your Book Links」に「add」する。現時点で「Book Links」にリストアップされていない図書館・書店も、「リンクを追加」で追加できる(後述)。追加に成功すれば、各書籍が日本・留学国のどの図書館・書店で入手できるか、蔵書コードまで一発で検索可能になる。図書館蔵書が自分の本棚に組み込まれるようで非常に便利。

4.LibraryThingの「Book Links」の追加方法

4-1.日本のようにLibraryThingユーザーが少ない国では、「Book Links」にリストアップされていない書店・図書館のリンクは、ユーザーが自力で追加せざるをえない。
4-2.オンライン書店横断検索jubeiやいもづる式、龍谷大学図書館などは、LibraryThing紹介の先駆者である鈴木重夫氏(龍谷大学図書館職員)が登録したものだ。彼は日本人ユーザーとして、LibraryThing開発者に漢字対応なども要望している。私がLibraryThingに出会ったのは鈴木重夫氏のブログのおかげだが、彼は2007年に肺ガンとの闘病を開始し、最後のブログ更新は小康期の2008年だ。
4-3.鈴木氏の気迫に感銘を受け、私も彼の意志と助言を継いで試行錯誤してみた。すると、東大、一橋大、早大、東北大、北大、静岡県大、阪大、神戸大、九大を追加登録できた。日本の大学図書館の登録が3倍に増えた計算だ。他方、東工大、慶應大、筑波大、千葉大、横国大、名大、京大、小樽商大、北海学園大と、国会図書館、東京都立・区立、静岡県立・市立、北海道立・市立、フランス国立図書館、延世大学、ルンド大学等は、追加方法が分からなかった。成功例で用いたコツは以下の通りである。
4-4.図書館検索OPACで、特定の図書のISBNを入力して、検索結果を開いてみる。URLにISBN番号を発見できれば、番号部分を「MAGICNUMBER」に入れ替えたものがリンクのURLになる。
ISBN検索結果
http://wine.wul.waseda.ac.jp/search*jpn/i?SEARCH=4832966804
LibraryThingリンク用URL
http://wine.wul.waseda.ac.jp/search*jpn/i?SEARCH=MAGICNUMBER
4-5.「あなたの本」の「買う・借りる・交換する」の「Book Links」で「リンクを追加」を選び、「Type: Library」「Subtype: Japan」「Title: 図書館名」「URL」を順に入力する。
4-6.検索結果URLにISBN番号は見当たらないが、何らかの書誌番号が書き込まれている場合がある。その書誌番号「?mode=2&code=20118696.....」を、たとえばISBN番号の「?isbn=4004130018」に入れ替えても目指す書籍が正常に表示されたので、末尾を「?isbn=MAGICNUMBER」に入れ替えたものをリンク用URLに登録した。
ISBN検索結果
http://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/books-query?mode=2&code=20118696&key=B124505134527162&TGSRC=0&IRKBN=0
LibraryThingリンク用URL
http://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/books-query?mode=2&isbn=MAGICNUMBER
4-7.他図書館リンクのURLを見よう見真似で、検索結果のURLの末尾を「&isbn=」「?isbn=」「/isbn-query/」などに入れ替えてみた。たとえば、末尾の「?nqid=1&mode=comp&queryid=0」を「?isbn=4832966804」に入れ替えたら、目指す書籍がヒットしたので、末尾を「?isbn=MGAGICNUMBER」に差し替えてURLを登録した。本当はプログラム言語の文法に準じるのだろうが、「?xxxx=」の類似に着目した素人の勘である。
ISBN検索結果
http://sts03.u-shizuoka-ken.ac.jp/mylimedio/search/input-find.do?nqid=1&mode=comp&queryid=1
LibraryThingリンク用URL
http://sts03.u-shizuoka-ken.ac.jp/mylimedio/search/input-find.do?isbn=MAGICNUMBER
4-8.他方、検索語入力も検索結果もURLがほとんど変わらない場合、リンクは難しいようだ。そもそもISBN検索がない検索システムも同様だ。リンク済の図書館についても、その後不具合があれば、是非修正して欲しい。システムに詳しい人の参加を期待したい。


5.図書館と利用者への提案

5-1.利用者各人が知恵を集め、自分の母国・地元の図書館と留学先の図書館・書店について地道に登録していく必要がある。韓国やフランスなど図書館登録が異様に少ない国もある。しかし、自分の個人ライブラリーが地元図書館と自動的にリンクし、ワンクリックで蔵書番号が出てくるメリットは大きい。後進のためにもなるので、辛抱強く設定してみる価値がある。

5-2.図書館情報学研究者やライブラリアンの皆さんには、素人任せにせず、積極的関与を期待したい。「Book Link」の登録などはシステム管理者なら3分できるはずだ。とくに要望したいのは、検索元への登録と日本語検索の実現協力だ。図書館の便宜向上・利用者増加にきっと役立つので、是非、日本の図書館のLibraryThing検索元への登録をお願いしたい。自前のOPACシステムに保存機能を持たせている先進的図書館もあるが、外部の既存システムに対応する方が遥かにコストが安いと思う。現時点で国内では、Amazonと並び早稲田大学だけがLibraryThing検索元になっている。図書館OPACの検索結果をそのままオンライン保存し、データベース化できる。日本語検索ができず欧文検索のみだが、早大留学生には便利なはずだ。

※2009年6月時点ではLibrary Thingを高く評価していたが、2010年4月時点で重要機能の「Book Links」が消えてしまった。したがって、一般にはメディアマーカー、大半の院生・研究者にはZotero(無料)、EndNote Web、RefWorksの方を勧める。実際、大半の大学図書館ではEndNote Webを無料で使えるし、RefWorksとも機関契約する図書館も増えてきた。

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英語論文管理のEndNote - Tools for Bibliographies

EndNoteは、英語雑誌論文データベースの検索結果を保存・整理し、参考文献リストを投稿雑誌の形式に合わせて出力できる定番ソフトだ。EndNote WebとRefWorksはそのWEB版だ。理系研究者専用で文系や学生には関係ないと思われてきたが、ここ最近の進歩は目覚ましく、ぐっと身近になった。EndNote WebはWeb of Knowledgeに無料で組み込まれ、RefWorksを導入する図書館も増えた。両者とも、EBSCOhostの文系論文データベース(EconLit、Humanities Abstracts、Book Review Digest)や日本語論文データベースのCiNiiにも対応した。文系の視点で有用性を再検討してみたい。


文系にも以下のメリットがあると思う。

1.EndNote WebやRefWorksは、検索した論文・書籍の書誌を、Web上で一括管理し、参考文献リストを作れる。所属する大学図書館が契約していれば、自宅でも出先でも無料で使える。
2.Web of Knowledge、Web of Scienceはもちろん、日本語論文のCiNiiや文系論文のEconLit、Humanities Abstracts、Boook Review等にも対応した。Web of Knowledgeの検索結果を登録した場合、論文データベースの該当ページに飛んで、論文PDFをダウンロードできる。PDFを常に手元に置く必要がなくなる。
3.RefWorksは慶應大学、九州大学、佛教大学等、EndNoteは慶應大学、北海道教育大学、札幌大学、札幌学院大学等のOPACで検索した和洋書を、学外者も自分のRefWokrsやEndNoteに取り込める。図書館コードも記録されるので、学内者ならば個人蔵書と図書館蔵書を一括管理できる。書籍を常に手元に置く必要がなくなる。
4.Amazon.co.jpで検索した和洋書も、ブラウザ上のアドオンかブックマークレットで取り込める(Captureできる)。登録リストからAmazonページに飛んで、書評を読んだり、書籍を購入したりできる。
5.RefWorksと機関契約している大学では、ExcelファイルをRefWorksにインポートできる。LibraryThingやメディアマーカーから、書籍データもインポートできそうだ。

他方、デメリットは以下の点だ。

1.EndNoteやRefWorksは、ついに日本語論文データベースCiNiiから日本語書誌を取り込めるようになったが、データベースからDirect Importはできず、一端、PCに保存したファイルをインポートする二度手間になる。
2.Amazonや一部大学図書館OPACから日本語書誌を取り込めるようになったが、一部の入力項目がズレるので、手打ちで修正する必要がある。
3.OPAC検索結果をEndNote WebやRefWorksに取り込める大学図書館は少数に止まる。他の大学図書館OPACの検索結果は、書誌を手打ちで入力する必要がある。
4.英語文献と日本語文献が混在する限り、文献リストの自動作成には依存できず、手打ちでの修正が必要だ。英語文献も日本語文献も同じフォーマットになるため、日本語著者名が「姓, 名」になったりするし、書名に『二重カギカッコ』が使えず漢字がイタリックにされたりする。
5.日本の学会誌の投稿規定に準じた和洋混在フォーマットは、EndNote WebやRefWorksでは提供されない。
6.所属する大学図書館が機関契約していれば、自宅利用も無料で可能になるが、さもなければ高価だ。EndNoteは、生協価格で5万円強、学生価格でも3万円強だが、学生版を個人輸入すると120ドル程度らしい。RefWorksは、年100ドルで個人利用もできる。

ちなみに、GetARefは生協価格20,790円、学生価格13,440円だ。
GetARefは、Endnoteと同様な機能を持つソフトだ。生協価格20,790円、学生価格13,440円と、Endnoteより安い。が、Direct ExportはMedlineや医中誌に限定されており、Web of Science、EconLit、Humanities Abstracts、MLA International Bibliography等の文系雑誌には対応していない。


結論

・欧米はもちろん、日本の大学図書館でも、EndNote WebやRefWorksを自宅でも無料で使えるようになった。とくにOPACがEndNoteやReWorksに対応した図書館では、院生・研究者だけでなく学部生も試す価値がある。まず母校・留学先の図書館サービスをよく確認するべきだろう。
・EndNote Web、EndNote、RefWorksは、英語論文だけを使う理系研究者なら、書誌を自動作成できて便利だ。無料なら迷う余地はなく、有料でも検討価値がある。
・他方、日本語論文や和洋書も使う文系の場合、Amazonにない古書は手打ちで入力せざるをえない。また、英語文献と日本語文献を混在させる場合、英語フォーマットに統一すると割り切るか、日本の学会誌に準じた書誌フォーマットを手打ちで修正するしかない。そのため、文献数が少ない学部生なら従来通りWordで手打ちするのと大差ないだろう。が、文献が増えて作業が長期化すると、文献管理ソフトが有利になると思う。まず無料のEndNote WebやZoteroを使い込んだ上で、必要ならばRefWorksやEndNoteの購入を検討するのが良い。GetARefは文系には意味がなさそうだ。
・現時点では、以下の本が参考になるようだ。


※本項目は、2009年7月に書いたが、2010年4月に微修正した。

テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : EndNote GetARef RefWroks 文献管理 LibraryThing Zotero

発展途上の日本語電子書籍

この記事は元々2010年7月に書かれた。2012年11月時点ではAmazon.co.jpのKindleストアが一番お勧めだろう。楽天Koboや紀伊国屋書店Kinoppyより一日の長がある。


Amazon Kindel DXレビューProject Gutenbergで英書を読むiPadなんかいらないモバイル読書Google Booksの衝撃Amazon Kindleと他メディアの使い分けは別記。

・日本の電子書籍は、品揃えが限定的だし、形式も日本特殊で、システム全体が未成熟だ。これまではシャープのXMDF形式(ブンコビューアー)とボイジャーのドットブック形式(T-Time Viewer)が支配的だった。Sharp GalapagosとSony Readerは、現時点ではXMDFファイルを標準に考えているようだ。しかし、本気で紙媒体を超えようと大規模投資されたAmazon Kindleに比べ、日本語電子書店は、在庫数やシステムを含め、まだ詰めの甘さが目立つ。私個人はKindle、Google、Sonyに期待しているが、2011年は和書と端末の品揃えを見極める時期だと思う。よほど優れた端末でないと、あらゆる面で冊子体に敵わないので、わざわざ電子書籍で買う理由がないからだ。
・現時点で一番実用的な「電子書籍」は、無料の青空文庫(和書)とGutenberg(洋書)、学術雑誌論文PDF、そして「自炊」PDFをPCやモバイル機器で読むことくらいだろう。次いで新聞・雑誌か。加えて、XMDFフォーマットの日本語書籍をPCやiPhone、Windows Phone、携帯等、手持ちのモバイル機器で試す程度で十分だWindows Mobileで使えるのはeBookJapanだけだ。

1.日本規格の電子書籍

eBook Japan: 独自のebi形式。端末はPC、Mac、iPhone、Windows Mobile。メジャー誌の最新コミック中心。一般書籍は少ない。Windows Mobileで使えるのはこれだけなので、後述のように試してみた。
Tsutaya Galapagos: Sharp Galapagos対応で注目。2-3万冊予定。

Space Town Books: XMDF形式。端末はPC、PDA(Pocket PC、Palm)に加え、シャープ製のDocomo、Softbank、Zaurusに対応。iPhoneやWindows Mobileに非対応。Tsutaya Galapagosに発展解消か。
Reader Store: Sony Reader対応で注目。2万冊予定。

電子書店パピレス:のXMDF形式1.5万冊のSony Reader対応注目。他にドットブック形式。PC、MAC、ケータイ4社向け。

・Renta!:パピレスの貸本屋。PC、Mac、iPhone、AU、Softbank向け。Windows Mobile非対応なので品揃えは知らない。
・電子文庫パブリ: ドットブック形式。端末はPC、Mac、PDA、iPhone。
・PDABOOK.JP: ドットブック形式(一部XMDF形式)。端末はPC、Mac、PDA。すぐに購入しないが関心はある本をMyBookShelfに保存できる。
・ビットウェイ・ブックス: ドットブック&XMDF形式。端末はPC、Mac、PDA。
・ウェブの書斎・オンデマンド本(大日本印刷): ドットブック形式。端末はPC、Mac、PDA。新潮社・筑摩書房のオンデマンド本のみ。

2.国際規格の電子書籍

Amazon Kindle: 日本進出に注目。Kindle 3Gは日本語フォント内臓。端末はKindle、PC、Mac、iPhone/iPad。Windows Mobileには非対応。部数が捌けそうな本なら、大衆小説から専門書までカバーする。検索機能やレビュー蓄積はもちろん、システムとして完成度が高い。

Google eBooks: 日本進出と端末に注目。Amazon Kindleの対抗馬になるか。

米国Reader Store: EPUBフォーマット。Sonyの英語電子書店。米国Kindleのライバルだが、日本版との連携は不透明。
iBooks: EPUB形式。端末はiPad、iPhone、iPod Touch。PCやWindows Mobileには非対応なので品揃えは知らない。マルチメディア機のiPadは、バッテリーの持続時間では読書専用機のKindleに劣る。
Barnes & Noble: NookはKindleのライバル。

3.書店以外の電子書籍

青空文庫:Text形式。版権切れの古典日本文学のみ(一部翻訳含む)。日本文学全集として利用価値が大きい。携帯電話や電子書籍リーダーを含め、あらゆる端末で閲覧可能。青キンDirectでPDF化すれば、日本語非対応のKindle端末でも読める。和書では現時点で一番利用価値がある。

Gutenberg:Text、HTML、EPUB、Mobipocket形式等。版権切れの洋書古典文学中心。世界文学全集として利用価値が大きい。和書はない。携帯電話や電子書籍リーダーを含め、あらゆる端末で閲覧可能。洋書では現時点で一番利用価値がある。

論文データベース:研究者が所属図書館経由の論文データベースからダウンロードする学術論文はPDF形式。

「自炊」の電子書籍: 手持ちの書籍・書類を裁断してスキャンで読み込みPDF化する。


4.PC限定の電子書籍

・Yahoo!コミック:Windows PC限定。Windows Mobile非対応。
・楽天ダウンロード:ドットブック&XMDF&EBI形式。PC限定。Windows Mobile非対応。
Google Books:版権切れの本のみ。思いがけない掘り出し物があるが、ランダムで網羅的でない。和書は少ない。

5.eBookJapan

eBookJapanは、日本語電子書籍の使い勝手をWindows Mobileで試せる唯一の選択肢だ。

5-1.特徴
・コミックは、漫画喫茶やBookOff程度。思いついた作家の過半数はある。大手雑誌掲載の最新作中心。古典・名作やマニアックな作品には弱い。
・書籍は、小さな古本店や公民館の図書室程度。思いついた作家のうち1割以下。読みたい本を検索してもヒットしないので、リストの中から無理に読んでも良い本を探す。
・Windows Mobile対応は一部のみ。漫画では多いが、書籍では登録の1/4以下か。良書のほとんどは非対応。

5-2.長所
・Widonws PC、Mac、iPhone、Windows Mobileで、24時間いつでも本を購入し、読書できる。夜中や出先など、買い置いた書籍が手元にないときの暇つぶしには良い。
・保存の場所や処分の手間が不要。エンターテイメント系の軽いコミックの走り読みなど、繰り返し読むことはせず、独後に処分するなら、手軽。
・「この作品を購入した人はこんな作品も購入しています」はAmazonに似て参考になる。
・購入した電子書籍はトランクルームを仲介して、登録した2台の端末にダウンロードして読める(有料なら3台)。ただし、Amazonのように購入リストを半永久的に保存して、複数の端末に無制限にダウンロードすることはできない。

5-3.短所
・価格は印刷版とほとんど変わらない。
・活字のサイズが調整できない。コミックの字は、画面4.1インチのDocomo/東芝T-01Aでは小さすぎる。書籍の字は、快適とは言えないが、ギリギリ読める。画面3.5インチのiPhoneでは、コミックも書籍もさらに読みにくいはず。
・一般書籍は品揃えが少なすぎて使い物にならない。無料の青空文庫の方が読みたい本が揃う。コミックも有名な古典が抜けていたりする。
・検索機能が弱いので、著者リスト、カテゴリ・リスト、または他の読者の購入リストをいちいち表示し、そこから選ぶしかない。Windows Mobile対応の書籍が少ないが、個別説明を開くまで分からない。
・Amazonのように購入済書籍が書棚に並ぶわけではないので、読書管理には使えない。
・すぐに購入はしないが関心はある本を区別して保存できない。

テーマ : 電子書籍
ジャンル : 本・雑誌

tag : eBookJapan Kindle 青空文庫 Gutenberg

Amazon Kindle DX - Kindle(第2.5世代)入門

本記事は元々2010年4月17日に書かれた。当時は日本語Kindle Storeが存在せず、Kindle DXも日本語表示すらできなかった。最新情報は、Kindle Whitepaper 3G Reviewに書いた。2013年1月時点は、Amazon.comはKindle Touch、Amazon.co.jpはKindle Paperwhite 3Gを併用している。ただ、Kindle DXは、10インチディスプレイでPDF文書もギリギリ読め、無料で3G接続できるメリットがある。


Amazon Kindle DXを使い始めてしばらくたつ。良く作り込まれた素晴らしい電子書籍専用機だと思う。Kindleは、得手・不得手がはっきりしているので、すべての用途に万能であるわけではない。が、電子書籍・論文の書店・データベースやPDFファイルの蓄積とリンクし、新しい読書スタイルを提案する。英語書籍・雑誌・PDFの読書端末としてはひとつの完成形だ。Kindleが日本語書籍を販売し始めれば、他社の対抗は困難だろう。Amazon Kindleと他メディアの使い分けProject Gutenbergで英書を読む発展途上の日本語電子書籍iPadなんかいらないモバイル読書Google Booksの衝撃は別記。

1.Kindleの3つの側面

Kindleは、第一に電子書店システム、第二に電子書籍リーダー、第三にPDFリーダーだ。モバイルガジェットのみに目を奪われると、本質を見誤る。

1-1.電子書店システム

・電子書店として完成度が高い。Amazon IDでクラウド上にブックマーク・下線・メモなどの読書歴を管理し、Kindleはもちろん、PC、iPhone/iPad、Androidフォンからも同じ購入本を何度でも再ダウンロードできる。規模の経済性との相乗効果で、書評データベースとしても世界標準になろうとしている。買おうと思った一瞬後には本を手にしている。衝動買いのスピード感にはカルチャーショックがある。

1-2.電子書籍リーダー

・読書専門機として、機能を絞り込み、十分に実用的だ。iPadのようなマルチメディア志向は最初から切り捨てている。E Inkのため、目に優しく軽く、圧倒的に長時間稼働だ。しかし、表裏一体の弱点として、ページ切替は白黒反転して遅い。カラー液晶やタッチパネルには対応しないし、ブラウジングも遅い。また、KDW(Kindle専用)やMOBIに対応するが、英語標準のEPUBや日本語標準のXMDFには対応しない。

1-3.PDFリーダー

・KindleはAmazonが書籍販売のために開発したが、PDFリーダーとしても期待される。Gutenbergや青空文庫の版権切れ書籍を自由に読めるのは、巨大な図書館が手元にあるようなものだ。また、PDF化された書類ファイルを持ち歩きたいというビジネスマンや、電子ジャーナルのPDF論文を読みたいという研究者の需要をも満たす。※Kindle DX以降、10インチ版が発売されないため、A4書類のPDFリーダーとしては使いにくい。

2.私の活用法

2-1.英語新聞・雑誌の定期購読

①フリーの電子書籍管理ソフトCalibreは必須だ。Feedbooksより進化し、「電子書籍版iTunes」と言える。
②日本語新聞:日経新聞電子版(有料)をパスワード自動入力でダウンロードし、Kindleフォーマットに最適化できる。無料公開のネット新聞も購読できる。
③英語新聞: Wall Street Journal(日刊)、The Economist(週刊)、Business Week(週刊)、Harvard Business Review Blog(月刊)等のWEB公開分を無料で購読できる。Kindle購入書籍と同様、英英辞書、ブックマーク・ハイライト・コメントも使える。
④仏語新聞:Le Monde(日刊)、Liberation(日刊)、L'Express(週刊)、Le Point(週刊)等のWEB公開分を無料で購読できる。Courrier International(仏語週刊誌、月5ユーロ)も、定期購読者はパスワード自動入力でダウンロードできる。
⑤新聞・雑誌は購読料さえ払えば、PCにつなげたりCalibreを使わなくても、Kindleで直接、最新版を購入できる。International Herald Tribune(月19.99ドル)、TIME(月2.99ドル)等。※日本語Kindle Storeで雑誌講読は未確認である。
⑥『日経ビジネス』『日経トレンディ』『日経アソシエ』等、WEB公開されていない雑誌はCalibreで利用できないが、日経BPデータベースと契約(と契約する図書館を利用)していれば、ひとつひとつPDFでダウンロードしてKindleで閲覧することができる。

2-2.Gutenbergと青空文庫

・Kindleの凄さは、Gutenbergと青空文庫の膨大な文学全集を無料で使えることだ。
ManyBooksを使うと、版権切れの世界の古典文学集「Gutenberg」から、AZWファイルを無料でダウンロードできる。英書以外に、仏書や独書等もある。Kindle形式の書籍は、Amazonで購入したものと変わらぬ使い勝手で便利だ。詳細は、Project Gutenbergで英書を読むを参照。Calibre経由ならばPCから転送するが、3G接続でManyBooksから直接ダウンロードできるかもしれない。
青キンDirect[alfa]をブラウザにブックマークすると、版権切れの日本の古典文学集「青空文庫」からPDFファイルを、3G接続で直接ダウンロードできる。※日本版Kindleデバイスなら、日本語Kindle Storeから青空文庫のAZW版を無料でダウンロードした方が早い。

2-3.複数デバイスでの並行読書

・一度購入したKindle書籍はクラウド上に保存されるため、PCやiPhone/iPad、AndroidフォンなどのKindle対応ソフトでも繰り返しダウンロードして読める。
・Kindleは、後戻りせず順々にページをめくる小説類に向いている。Kindle書籍は格安で、新刊ベストセラー小説でも9.99ドルだ。クリックするだけで、確認もなくあっという間に受信する。発展途上の日本語電子書籍モバイル読書参考。

2-4. 雑誌論文PDF・自炊PDFのデータベース

・学術雑誌データベース(Web of Science/Knowledge等)のPDF論文は、ダウンロード後に結局、印刷して読むことが多い。逆にビジネス書類は、スキャンでPDF化して、EmailしたりPCに保存することが多い。書籍を裁断してスキャンする「自炊」派もいる。それをKindleで持ち運び出先で閲覧できれば、厚いファイルを持参するより軽い。英語論文管理のEndNoteWeb参照。

2-5.WEBページの無料ブラウジング

・2010年現時点の日米では、Kindle DXではDocomo/Softbank回線を使って無料でWEBブラウジングできる。青キンDirectやManyBooksで、無料の和書・洋書を直接ダウンロードもできる。Kindle3や日本語ハック済のKindleDX/2ならば、日本語ページの表示も問題ない。※2012年時点のKindle Paperwhite 3GやKindle Touch 3Gでは、AmazonとWikipediaしか3G接続できない。
・ただし、試用版扱いだけあって、本格利用には堪えない。E Ink特有の白黒反転もあり、接続速度はイライラするほど遅い。また、日本語入力ができないため、Google検索の範囲は限定される。ブラウザで開けないページも多い。スマートフォンの方が2倍以上速くて使いやすい。

3. 設定とオプション

3-1.日本語フォント

・日本販売のKindle Paperwhite/Fire HDはもちろん、米国販売のKindle Keyboard/4/Touchは日本語フォントを内臓している。Kindle2/DXで日本語を使うには、自己責任のハック(改造)が必要だ。私自身は、システムVer.2.0で日本語化していたが、2011年にVer.2.5にバージョンアップした機会にアンインストールしていた。しかし、その後、2012年1月に再び新方法で日本語化した。3つの注意点がある。
①ハックで「文鎮化」(故障)しても、Amazonのサポートは一切取り合ってくれない(米国と英語交渉の経験済)。
②複数のハックを重ねてはいけない。
③以下で紹介されるジェイルブレイクのファイル名はすでに更新されている。前例通り成功する保証はない。
・Ver.2.5の場合: Kindle DX Graphite (2.5.5) 日本語ハック成功(明限突破)KindleDX ver2.5.5日本語化でけた(机右の杞憂)参照。
④私の場合、因果関係は分からないがハック後、Amazon、Google/Gmail/Calendar、Facebook等、主要ホームページを閲覧できなくなった。Yahoo!Japan等は閲覧できるが、WEBブラウジングの実用性が大きく下がった。

3-2. 日本語入力

・日本発売のKindle Paperwhite/Fire HDはもちろん、米国発売のKindle Keyboard/4/Touchや日本語Hack済のDXですら、日本語フォントさえあれば、WEB上で日本語入力も可能だ。Kindleネタのリンク集では、青空mobi(青空文庫)、青空PDFダイレクト、きんどるぐぐる(Google検索)、きんどるGmail、つぶやきんどる(Twitter)、きんどる翻訳を日本語で使える。

3-3.オプション

・ディスプレイに保護シートを貼り、読書時はカバーを外して生身で使う。高価で重いAmazon純正レザーカバー(50ドル)は買わず、皮革風のフォルダイアリーB5(白)(1,600円)に挟む。それを手芸店で買った幅25cmの平ゴム(150円)でMoleskin風に束ねる。フォルダイアリーの四隅に切れ込みを入れて、平ゴムで固定しても良い。コンビニ・書店で見る付録バンドも良さそうだ。パソコンケースも保護には良いが、せっかくの薄さ、本らしさが損なわれる。
・Kindle Touch、Kindle4、Kindle Keyboardには、プリインストールの英英辞書に代えて、英和辞書『英辞郎』をインストールできる(Kindle DXには非対応)。


3-4.裁断とスキャン

・日本語書籍をKindleで読むには、書籍を裁断してスキャンする。専門業者は2010-2011年に激減したが、ヤフオクでも裁断済書籍が販売されている。※日本語Kindle対応デバイスを持っているなら、日本語Kindle Storeからダウンロードした方が早い。



4.Kindleの長所

E Inkの電源の持ちは画期的だ。Kindle DXでも約1週間持つが、Kindle3なら無線オフで約1ヶ月、Wi-Fiオンで約3週間、3G+Wi-Fiオンで約10日間も持つ。iPad等のタブレットとは稼働時間の桁が違う。ネットを使うと消耗するが、読書だけなら電源を使わない。充電も早い。
・バックライトのないE Inkの字は、目に優しく読みやすく、長時間の本格読書に耐える。
Kindleは軽い。DX(536g)は文庫本2冊、Kindle Keyboard(247g)は文庫本1冊の重さだ。DXは、iPad2(613g)や厚めの単行本と比べれば軽い。
Kindleは低価格路線に舵を切った。DX(379ドル)もiPadの半額に近かったが、現在のKindleの費用対効果は抜群だ。
・Kindle DX/Keyboardでは、試用版扱いだが、無料でWEBブランジングできる。GmailやGoogle Calendarでのチェックには支障ない。※Kindle Paperwhite 3G等では、AmazonとWikipediaしか3G接続できたない。
・十字キーを長押して離せば、カーソルが意図する位置にピタリと止まるので、タッチパネルがなくても不便に感じない。
・世界中のどこでも深夜でも、この本を欲しいと思うと直後に叶えられる。書店・図書館の開店時間や場所の拘束が消えた。
・Amazonでの購入手続きは瞬時に終わり、1分程度のダウンロードで本がすぐに届く。
・Gutenbergや青空文庫の膨大な図書館が手元にあるようなもの。
・データベースからダウンロードした論文PDFも、「積ん読」できる。
・外国語新聞がリアルタイムかつ安価に自動配信される。WEB版と比べると一覧性には劣るが、長文記事が読みやすい。次の記事への移動も使いやすい。
・購入歴と読書歴はAmazon IDのクラウド上に記録され、PCやiPhone/iPad、Androidフォンなど、複数の端末で何度もダウンロードできる。
・下線(Highlight)やメモ(Note)を加えられる。読みかけのページから再開する。どの端末からアクセスしても途中ページ・下線・メモ等が同様に再現される。
・Kindle書籍・記事にカーソルを当てると、辞書解説が表示される。
・文章を読み上げる機能がある。3段階の速度と男女の音声を設定できる。音声は自然で聞きやすい。

5.Kindleの短所

・E Inkの特徴として、ページ送りは白黒反転して遅い。
・目指すページを開くのに検索や階層を通してモタモタする。
・Next PageとPrev Pageの反応は遅いのに、ボタンはクリック回数を記憶する。ページ送りがモタつく間にPrev Pageを連打すると、意図せぬページまで戻り過ぎてしまう。
・タッチパネルがなく、カーソルの動きが遅い。
・斜め読みや探し読みがしにくい。
・書籍でのページ数が分からない。
・日本語書籍は日本語Kindle Storeにしか存在せず、米国Kindle Storeにほとんどない。日本語書籍の標準であるXMDFフォーマットに対応しない。
・紙と比べるとやはり高価なので、取り扱いに気を使う。
・新聞記事購読が売りだが、大半の新聞記事はネットでも無料で閲覧できる。
・マルチタスクでない。文書リーダーとWEBブラウザの間を往復するのに何回もクリックが必要。
・ブラウンジングは、無料の試用版扱いだけあって、スマートフォンに劣る。表示・接続速度が遅く、Google検索ではローマ字しか使えない。
・機能が読書に特化する。iPadのようにカラーや動画、タッチパネルには対応しない。
・書籍販売ツールのためか、PDFリーダー機能はまだ弱い。A4版のPDFを読むのには、9.7インチ(824×1200ピクセル)のDXがギリギリで、6インチ(600×800ピクセル)のKindle2/Keyboard/4/Touchでは辛い(文庫本より小さい)。また、PDFには栞(Bookmark)はつけられるが、下線(Hilight)やメモ(Note)はつけられないため、専門書・論文やビジネス書類を分析する仕事には向かない。
・電子書籍には、初見の本をパラパラ摘み読みする楽しみや、想定外の掘出物を見つける意外性がない。リアル書店・図書館・古本屋のように買うアテもなしに歩き回ることは少なく、「これを買いたい」と決めてから検索する傾向がある。
・著者が電子書籍を直接Kindleで出版したり、ベストセラー小説が一律9.99ドルで売られたりすることは、著者・消費者の立場では一見望ましい。しかし、編集者は新人作家や出版企画を労力と時間をかけて生み出し育ててきたし、意欲的な書店員も平積み・特集・ポップ・サイン会等で双方向の書籍紹介に寄与してきた。Kindleが出版社・書店の介在を中抜きすると、Amazonだけが利益を独占し、編集者・書店員がときには採算度外視で支えてきた出版文化が崩壊しかねない。
・Amazonが、MOBIはともかくKDWという独自フォーマットを使い、Gutenberg等でより一般的なEPUBフォーマットを採用しないことには、力に任せて利益を独占しようという強引な野心があるような気がする。KindleがPDFリーダーとして使いにくいことも意図的に見える。Amazonに一極集中させては危ないという予感がある。

6.KindleかiPadか?

・私はiPadでなくKindleを購入した。iPadの方がマルチメディア志向だが、価格、重量、稼働時間、読みやすさではKindleが圧倒する。スマートフォンとPC(軽量・長時間駆動のLet's Note)を常用する人なら、iPadとは用途がかぶる。また、1週間(DX)から1ヶ月(無線オフのKindle3)も充電を気にせずに読書できるのは、E Ink使用機しかない。普段パソコン画面を長時間見つめている人ほど、E Inkの読みやすさは実感できる。

6-1.Kindleの方が良い場合

・Kindleは、機能を削り落して可読性と電池寿命を確保した読書専用機だ。読書にはE Inkを利用した端末しかありえないと思う。とくにKindle3はiPad2と比べ、価格は1/3以下(2万円)、3G接続料無料、重量は1/2以下(247g)、稼働時間は10倍以上だ(Wi-Fiオンで3週間、3G+Wi-Fiオンで10日)。
・Kindleは、読書時間が長く、PCとスマートフォン(iPhoneなど)をすでに常用する人が、読書・閲覧のみに使うのに向いている。まさにAmazon書籍を電子化したものだ。iPadで電子書籍が強調されるのは、iPhoneと比べたときのディスプレイのサイズの問題に過ぎず、読書に限ればKindleに敵わない。他方、メール等にはスマートフォンやi-mode、実務作業にはPCを使えば良い。
・世界中どこでも通信料無料で書籍購入できるのは、Kindleの長所だ。とくに新聞・雑誌の自動配信は便利だ。また、現時点の日米では簡易WEB閲覧が無料なのも、隠れた長所だ。※kindel Paperwihiteの場合、簡易WEB閲覧機能はWifi限定になったl
6-2.iPadの方が良い場合
・iPadは、長時間の読書や実務よりエンターテイメントを重視し、スマートフォンやPCをあまり使わない人に向いている。大型判のiPhoneと言われるが、スマートフォン・マルチメディアプレイヤー・携帯ゲーム機を発展させたものとも言える。
・iPadに適した用途は、5分以上1時間以内の暇つぶしのネットサーフィンくらいではないか。5分以下のメールチェックや検索なら、スマートフォンの方がさっと取り出せ、目立たず片手で作業できる。逆に1時間以上のWEB作業なら、PCの方が、長文のEmailの返事や仕事の続きもできて、万能かつ安心だ。中古のLet's Note Rは、機能はデスクトップ並だが、iPadとほぼ同価格・同重量だ。

7.紙の本かKindle電子書籍か?

紙の本とKindleには、それぞれ長短所がある。Kindleには、これまでの本にない特徴があるが、紙の方が今なお柔軟だ。Kindleは、新聞・雑誌・娯楽小説には向くが、研究書・専門書・教科書には向かない。電子書籍ですべての紙媒体を置き代えようとすると、不便が生じる。

7-1.電子書籍Kindleの方が良い場合

・文庫本1-2冊の重さなので、本やファイルを複数持ち歩くより軽い。Amazon書店やGutenbergや青空文庫とつながっているため、小さな端末に巨大な本棚が詰まっているような感覚がある。読むか読まないか分からないようなものも、いつか読む気になったときのために入れておけるので、「積ん読」に最適だ。
・夜中に自宅にいたままで、読みたいと思ったときに購入でき、即座に読書を開始できる。締切に追われたときに「あの本が手元にあれば」と歯噛みすることがなくなる。
・書籍本体はもちろん、しおり・下線・メモ等も、同じAmazon IDでクラウドに保存される。下線やメモを一覧し、引用集・スクラップ帳にもできる。購入書リスト、買いたい書籍リスト、自他のレビュー等も、Amazon上で一元管理できる。それらは、Kinde、PC、iPhone/iPad、Androidフォンはもちろん、出先のネットカフェでも参照できる。
・内臓辞書や英文朗読も、紙にはできない芸当だ。朗読CD・テープはもはや生き残れないはずだ。
・新聞・雑誌・娯楽小説など、ページを前から順に読んで戻らない、読み捨てに向いている。電子辞書など、検索にも向いている。
・電源が1週間もつので、電源切れを心配しないで済む点は、紙と変わらない。

7-2.紙の方が良い場合

・研究書・専門書・教科書などは、Kindleより紙の本の方が良い。私はKindle書籍を買ってみたが、以下の理由から結局、紙の本を買い直さざるをえなかった。
・Kindleではページ送りが遅すぎる。先のページをざっとめくったり、前のページを遡ったり、探し読みしたりする。
・活字を拡大縮小できるKindleにはページという概念がない。引用のためにはページ数が必要だ。
・大著・名著を読んだという達成感を感じるためには、実物を買って書棚に背表紙を並べたい。
・下線を引いたりメモを書いたりするには、紙の方が手軽だ。とくに英文を読むときに、関係代名詞や修飾句・引用句にマークをつけたり、First, Second, Thirdの論点のナンバリングを追ったり、キーワードや新規語句をチェックするなど、多様な書き込みができる。
・とくにPDFは、ページに栞(Bookmark)しかつけられず、下線(Hilight)やメモ(Note)ができない。専門書や研究論文では致命的だ。PDFは、論文データベースからダウンロードしたり、冊子を裁断してScanSnapでスキャンするなど、今後の用途の拡大が予想される。
・紙の本は、1冊だけならばKindleより軽く、寝転がっても片手で支えることができる。
・新聞・雑誌は印刷版の方が、紙面も大きく記事の一覧性がある。写真・図表のビジュアル性も高く、軽い。
・紙の場合、貴重品扱いする箱入文芸書、丸めてポケットに突っ込む文庫本、その場で破ってスクラップする雑誌、読んだら捨てる新聞、と扱い方を選べる。他方、Kindle本体は、何を読んでいても高価な精密機械だ。
・Kindleでは、読書の選択がAmazon Kindleの品揃えとネット上の無料書籍に偏る危険がある。とくにAmazonが推薦してくる本は、「君ならこの辺が好きだろ?」と懐を探られるようで気持ち悪いし、読者レビューは玉石混交で投稿者の背景が分からないと信用できない。いずれも新しい出会いとしても偏っている。
大型書店や図書館や古本屋街をウキウキしながら歩き回り、意図せぬジャンルの本に出会い、それが新しい視点や趣味の発見になった経験は誰にもある。電子書店での検索には、知的生活に不可欠な「無駄」と「余裕」がなく、道草にトキメキがない。
・Kindleのせいでお気に入りの出版社や書店が圧迫されたり、短期的利益の出にくい新人作家・出版企画の芽が摘まれると、元も子もない。

8. 結論: 理想の電子書籍端末

・Kindleは、読書端末としても電子書店としても完成度が高く、費用対効果も抜群だ。理想は、Kindle Touchの機能・重量・価格とKindle DXのディスプレイ・3Gを兼ね備えた端末で、Amazonが販売するEPUB/XMDFフォーマットの日本語書籍を読むことだ。加えてPDFに栞、下線、メモをつけられ、本体にSDカードスロットが備われば、最高だ。カラーディスプレイやタッチパネルは必要ない。Kindleが日本語書籍に参入すれば、Sony ReaderやSharp Galapagos、iPadではとても対抗できないと思うが、Kindle専用のKDWフォーマットを強要することなくEPUB/XMDF/PDFにも対応し、日本の出版界と共存共栄を図ってほしい。

テーマ : 電子書籍
ジャンル : 本・雑誌

Amazon Kindleと他メディアの使い分け

電子書籍は万能ではなく、得手不得手がある。用途によって、紙、PC、スマートフォンと使い分けるべきだ。近年、Calibreの大幅進化で、新聞・雑誌リーダーとして電子書籍端末の実用性が増した。CalibreはiTunes/Podcastの電子書籍版、Kindleは読むiPodだ。毎朝更新してどんどん消す感覚は、容量制限のあるハードディスク型ビデオレコーダーにも似ている。Amazon Kindle DX入門は別記(日本語化を含む)。

本記事は2012年2月に書かれた。2012年11月時点ではAmazon.co.jpのKindle Paperwhite 3Gが一番手堅いだろう。私自身は、洋書KindleはKindle Touch、和書KindleはAndroidスマートフォンで読んでいる。Amazon.comとAmazon.co.jpは品揃えが違うので、両者を統合しないように別のEmailアドレスを登録している。なお、Kindle Storeでは、Gutenbergや青空文庫の古典文学を無料でダウンロードでき、書棚をクラウド上で管理できる。


1.Kindleが有利なケース
・寝る前にPCとKindleをUSB接続し、Calibreを立ち上げておくと、日経朝刊(有料)とLe Monde夕刊(無料)のAZW版をKindleに入れて出かけられる。USB接続せずともEmail送付でも、PCのCalibreからAZW版を転送できるが、3G接続では有料(Kindle DX/Keyboard)、Wifi接続なら無料(Kindle 4/Touch)。
後戻りせずに読み進む小説や、流し読みして読み捨てる無料の新聞・雑誌には良い。新聞のAZW版は、紙やPCより一覧性が劣るが、満員電車や食事テーブルでもコンパクト。
・ブログ等も、Instapaperのブックマークレットを使えば、Kindle/iPadにAZW版を送ってまとめ読みできる。WEBブラウンジングを隙間時間に追いやる効果がある。ただし、読むべきものを厳選すべきだ。
・通勤・通学・待機時間が長い人、積読(読まずに蓄積)が多い人には向く。
・何を読むか迷う人には、数冊の書籍・雑誌を持ち歩くよりマシ。
・海外旅行では、ネット接続のできない田舎・安宿や寝台列車・長距離バスなら、Kindle DX/Keyboardの3G接続が役立つかも。

2.Kindleが不利なケース
・新聞・雑誌や文庫本・専門書は、全体を一覧し、読み飛ばし、前に戻り、書き込み、既読部分を探し、再読するのには、紙が一番良い。
・紙の新聞は、読むのが数倍早い。同じ紙面で記事が隣り合っているため、じっくり読むか読み飛ばすか微妙に調整できる。関心がなかった分野にも新事実を発見できる。WEBやKindleでは、関心のある記事しかクリックせず、既存の関心領域から抜け出せない。
・無料の青空文庫やGutenbergより、お金を出してでも読みたい本を厳選する方が先決だ。同価格なら電子書籍より紙の方が良い。
・ネットニュースやWEB閲覧、Emailは、PCやスマートフォンが一番良い。
・書籍・雑誌・書類をPDF化(自炊)するのは、時間の無駄ではないか。裁断できるほど重要度が低い本は、電子書籍でも読むべきではない。むしろ紙の状態で読み捨てた方が早い。
・辞書は、Email程度ならオンライン辞書、本格的には紙の辞書、出先なら電子辞書。
・海外では、ガイドブック、現地語会話集、電子辞書を持参し、その他はPCからオンラインストレージを見る。

3.電子書籍端末の選択
・Amazon.co.jpのKindle Storeが2012年10月に開店した今、汎用度・低価格・クラウドシステムを含む総合的な完成度で、Kindleが他社を圧倒している。Kindle Fire HDは廉価版のiPad Miniという程度だが、Kindle Paperwhite 3Gは、低価格、軽量、省電源、無料3G(Amazon+Wikipedia限定)という点で、今一番のお勧めだ。理想は、画面は9型以上で重量は200g以下、3G+Wifi接続できるE-Inkモデルか。
・Kindle DXやKindle Keyboardでは、世界中で無料で3G接続できる。しかし、E-inkのブラウザはPCやスマートフォンの代わりにはならない。また、Wifi接続できず、PCのCalibreからxxx@kindle.comへのEmailは1通99セント/MBなので、PCからKindleへの転送はUSB接続の必要がある。
・雑誌記事・論文(B5/A4版)のPDFリーダーとしては、Kindle DXの9.7インチがギリギリ。それでも図表やキャプションは読めないし、重すぎる(536g)。6インチならば、Kindle Touch(213g)やSony Reader 3G+Wifiなど、拡大が容易なタッチパネルが望ましい。
・Kinldle PaperwhiteやKindele Touchでは、3G接続と言ってもAmazonにつなげるだけだ。ただし,Wifi環境なら、PCのCalibreの新聞をxxx@free.kindle.comへEmail転送できる。
・Sony Reader 3G+Wifiは、月額580円でAUの3Gが使え、タッチパネルで軽い。しかし、xxx@kindle.comのようなEmailアドレスはなく、海外での3G接続もできない。
・iPadは読書専用機としては、バッテリー時間、見易さ、重量、価格などで、Kindleに劣る。Kindleがあれば、他の用途はPCとスマートフォンで足りる。

4.Kindleを使うべき用途
WEB無料公開の新聞・雑誌記事をPCのCalibreから転送して読む
・・・Wall Street Journal(英日刊), The Economist(英週刊), Le Monde/Liberation(仏日刊), L'Express/Le Point(仏週刊)
・購読済の新聞・雑誌の電子版をPCのCalibreから転送して読む。
・・・『日本経済新聞』『図書新聞』『日経ビジネス』、Courrier Internaitonal
・学術論文や複写文献のPDF版をPCから転送して読む。PDFはxxx@free.kindle.comにEmailしてAZWに転換する。
・・・Web of Knowledge/CiNii→EndNote
・版権切れの古典的な和書を日本版Kindle Storeでダウンロードして読む。日本版Kindle端末を使うなら、青キンDirectは不要になった。
・Amazon(有料)やGutenberg(無料)の英書を3G接続でダウンロードして読む。
・・・Calibre→Amazon Kindle(US/UK/FR/DE/ES/IT)/ManyBooks/Feedbooks
・ブログ等をInstapaperでAZWに転換し、Kindle/iPadに送ってまとめ読みする。
・・・個人的には、ブログ等を読む時間があれば、定評ある海外新聞・雑誌を読む。

5.紙媒体を使うべき用途
・新聞を読む。毎朝配達してもらい、全体を一覧し、読み飛ばし、破り取る。
・・・『日本経済新聞』
・文庫本を読む。気軽に持ち運び、乱暴に扱う。
・・・Amazon、ブックオフ
・専門書や教科書を読む。全体を一覧し、読み飛ばし、前に戻り、書き込み、既読部分を探し、再読する。
・・・Amazon、図書館
・雑誌を読む。全体を一覧し、読み飛ばし、重要記事を保存し、再読する。
・・・定期購読、書店、図書館
・学術雑誌のPDF版や複写文献の画像版を印刷して読む。
・・・図書館データベース、デジカメ撮影→PDF化

6.PCを使うべき用途
・購読済の新聞・雑誌の電子版を読む。手元に印刷版がないときの代替だが、Kindleよりは一覧性がある。検索する。
・・・『日経新聞電子版』『図書新聞』『日経ビジネス』、Courrier International
・図書館契約の学術論文の電子版を読む。図書館データベースからPDFをダウンロードする。
・・・図書館→EndNote
・無料のネットニュースを読む。リンクをたどる。固有名詞をWikipedia等で確認する。
・・・Yahoo!トピック、『朝鮮日報』『中央日報』日本語版
・ウェブサービスを読み、書き、アップロード・ダウンロードする。
・・・Gmail, Google Calendar, DropBox/SkyDrive, Facebook, Rember the Milk, etc.
・写真撮影した複写文献を読む。
・・・デジカメ撮影

7.スマートフォンを使うべき用途
・無料のネットニュースやウェブサービス(Email、Calendar)を読む。
・・・Yahoo!トピック、Gmail、Google Calendar、Facebook, etc.
・購読済の新聞・雑誌の電子版を読む。
・・・『日経新聞電子版』
・テレビ・ラジオ・ニュースを視聴する。3G接続でのストリーミングで最新版を再生する。
・・・VOA Special English, The O'Reilly Factor (Fox News), NBC Nigthly News, Reports (France24, 英仏語), JT de 20H(TF1, 仏語)
・Kindleストアで購入した書籍を、バッテリーと活字拡大が許す範囲内で読む。
・・・隙間時間の軽い読み物。

8.その他のメディアの使い分け
・起床と同時にTVのBBCニュース(ひかりTV)を流し始め、朝食時に紙の日経新聞を速読する。
・Emailをチェックする背景に、France InfoやBBCのラジオニュースを流す。
・帰宅直後の空き時間に、録画済のNHK BSビデオを流し、どんどん消す。
・出先で仏語を読み書きするときは、仏語大辞典の入っている電子辞書を持参する。
・出かける前に読むべき本を選ぶ。オンライン新聞・雑誌ならPCからKindleに転送しておく。

9.結論:「情報」に振り回されるな!
・情報は貯まる一方で、もはや消化しきれない。メールの受信箱はメーリングリストやスパム、iTunesやMP3プレイヤーにはPodcastや音楽、自宅のTVには録画ビデオ、PCにはmixiやRSS、スマートフォンや携帯にはTwitter、そしてCalibreには新聞雑誌の電子版。もうたくさんだ!
・ガジェット好きの現代人に「隙間時間」などない。通勤・通学時間や待ち時間、食事時間、就寝前も忙しいのだ。携帯メールを返信するか、音楽を聴くか、Podcastニュース動画を見るか、WEBサーフィンするか、電子書籍を読むか、Twitterや2ちゃんやSNSをチェックするか、ゲームをするか、貯まったビデオを見るか。とても全部はやりきれない。
・「情報」の粗製乱造時代では、収集・蓄積の量よりも、質の取捨選択の方が重要だ。WEB閲覧時間をいかに最小化し、他に振り分けるかが鍵だ。iPhoneやiPadを持ち歩いてまでWEB閲覧に執着するのは、脅迫観念か中毒に近い愚の骨頂だ。電子書籍の質は、紙の専門書・文庫本・新聞・雑誌よりは劣るが、WEBサーフィン、TVニュース、Twitter等と比べれば「マシ」ではないか。

テーマ : 電子書籍
ジャンル : 本・雑誌

Kindle Paperwhite Review - iPad miniなんかいらない

日本語Amazon.co.jpのKindle Whitepaper 3Gが実に良い。Amazonの日本上陸年として、2012年は電子書籍元年と言える。楽天KoboやiPad mini、Nexus7など、競争相手も揃った。Kindleは、E-Inkの7インチを特徴に、Kindle第1世代(2007年)、Kindle第2世代(2009年)、Kndle第3世代=Kindle Keyboard(2010年)、Kindle第4世代(2011年)、Kindle Touch(2011年)、Kindle Paperwhite(2012年)と順調に進化してきた。加えて、激安AndroidのKindle Fire HD(2012年)、10インチE-InkのKindle DX(2009年)という別系列がある。

Amazon Kindle DX入門Amazon Kindleと他メディアの使い分けProject Gutenbergで英書を読む発展途上の日本語電子書籍iPadなんかいらないモバイル読書Google Booksの衝撃は別記した。私自身は、Kindle DX、Kindle Touchと米国版を使い続け、日本版Kindle Paperwhiteは3台目だ。

1. Kindle Paperwhiteの長所

・日本語Kindleストア開始! 長期的に不動の優位。
・Kindleストアで購入した書籍はクラウド上に半永久保存。
・複数デバイス/OSで購入書籍・既読過程・マークを同期。
・8週間、充電せずに電源が持つ。
・軽い、薄い、持ちやすい、読みやすい。
・安い。保護・持参・故障・紛失に気を使わない。
・3GはKindleストアとWikipediaへの3G接続が無料。
・ページ送り、手触り、反応が改善。
・WifiのWEBブラウジングもまずまず。携帯が電源切れしたときの予備に安心。
・バックライト付なのでベッドサイドにも最適。

2. Kindle Paperwhite 3Gの短所

・本当に読みたい本は、まだ日本語Kindleストアにない。
・日本語Kindle書籍は高価。価格がほぼ同じなら紙の方が良い。
・専門書・教科書には向かない。速読や逆戻りが苦手。
・新聞・雑誌には向かない。一覧や飛ばし読みが苦手。
・A4版論文等には向かない。図表が苦手。
・PDFリーダーには向かない。容量が2GBに減った。
・iPadの代替にはならない。WEBブラウジングは遅い。
・音楽再生機能が消えた。
・Kindle DXのような無料3Gブラウジングはできなくなった。
・2013年1月時点ではPCやMACでKindle書籍を読めない。

3. 他のデバイスとの使い分け

・Wifiモデルは激安。3Gモデルは5千円差の価値を感じるか否か。
・3Gのメールチェックや簡単なブラウジングはスマホが良い。
・カメラや音楽プレーヤー、文書入力は専用デバイスが良い。
・専門書・教科書・新聞・雑誌は紙媒体が良い。
・電子書籍はKindleストアのみに集中させるのが無難。
・青空文庫・Gutenberg等もKindleで読むのが良い。
・A4版論文PDFは、PC+Endnoteが良い。
・全部兼ねたいならiPad/Nexus/Kindle HDをどうぞ。
・iPadの価格や保護ケース等に悩むくらいなら手軽にKindleを。

4.[注意] 日本語Kindleストアと英語Kindleストア

日本語Kindleストアと英語KindleストアでIDを別にした方が良い。日本語Kindleストアと英語Kindleストアは、同じEmailアドレスを登録していると、IDが統合される。しかし、日本語Kindleストアでは、英語専門書や独仏書が足りない。私は日本語Kindleストア購入書はKindle Paperwhite、英語Kindleストア購入書はKindle Touchで、IDとを別々に設定している。
・日本語版Kindle Paperwhiteでは、日本語Kindleストアも英語Kindleストアも、ログインIDを切り替えれば使えるようだ。しかし、端末保存した書籍がどうなるか試していない。他方、Paperwhite以前のグローバル販売機種では、日本語Kindleストアは使えないようだ。

4. 結論

・複数の本を並行して読む人にはKindle Paperwhite 3Gは良い。逆に、「あれ、今週は1冊も本を読んでいないな」という人には必要ない。
・重い本を複数持ち歩くよりKindleの方が軽い。しかし、読み飛ばしや逆戻り、一覧性など、従来通りの紙の方が長所が多い。
・Kindlleは読書専用だ。WEBブラウジングやゲームが必須なら、iPadやNexusの方が良い。ただ、私の場合、WEBチェックはPCやスマホだけで腹一杯だ。iPadを1台買うより、同じ予算で最新のKindle4台を1年おきに買い換える方が合理的だ。当然、ケースや保護シートも買わず、裸で使い潰す。
・PDFリーダーとしては、Kindle DX(2009年)の後継機種となる10インチ版の再登場を待ちたい。

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ジャンル : 本・雑誌

出版社PR誌の魅力

出版社のPR誌が熱い。書店のレジの横で無料配布しているA5版の薄い小冊子だ。書評誌、論壇誌、エッセイ集、文芸誌として面白い。「なるほど!」と感心するような発見や「暴走」もある。一般的なリストは、「タダの本・100円の本」(Tojosの晴耕雨読)が充実しているが、趣味は個人ごとに違う。私自身は理系・学術系が混ざり、「何かためになった」と新発見や刺激が頭に残るものが好みだ。以下は試行錯誤中の個人的なランキングだ。

1. 出版社PR誌の魅力1:一般論

・執筆者はその出版社の常連陣で一流が揃う。
・気軽な番外編・裏話もあるが、同業界人の視線を意識するので、品質が落ちない。
・書店で無料配布している。Amazon全盛時代だからこそ、書店に足を運ぶ喜びや動機付けが増える。
・薄くて持ち運びしやすい。記事1本が短くて細切れ時間に読みやすい。
・千円強の年間購読料を払うだけで、書店での早い者勝ち競争を避け、自宅に郵送してくれる。
・年間購読料が千円ならば月刊雑誌1冊分、複数購読しても単行本1冊分だ。
・読まずに捨てたり、注目ページだけ破っても、惜しくない。
・専門外の話を飛ばし読みするうちに、新たな関心が掘り起こされることがある。


2.出版社PR誌の魅力2:個人的な好み

・Google検索で誰もがいつでも同じように得られる情報は、もはや無価値だ。
・WEBにはもうウンザリだ。EmailやSNSは最小限で十分だ。
・ニュースは、WEBもTVも新聞も、反復が多く時間泥棒だ。
・ネットサーフィンは、過去の関心を反復するか、連想できる範囲内で少しずらすだけだ。
・iPadに齧りつく人は、時間つぶしの惰性か中毒ではないか。
・隙間時間こそ、知的集中力を発揮できる貴重な時間だ。
・短文は気負わなくて良いので、取っ付きやすい。
・一流の執筆陣は、ぶっちゃけ話・余談・小話も知的に刺激的だ。
・移動時間が長いときに何冊か持参して、読んだものから捨てると、軽くなって達成感もある。
・文系・理系・時事系・サブカル系が混ざって隣り合うものが理想的。
・小説は雑誌連載を読むより自分で厳選したい。


エンターテイメントとしての出版社PR誌

筑摩書房『ちくま』(月刊)
一流の知識人が、主要業績での重厚な印象に反し、洒脱・剽軽な一面を見せてくれる。明るく愉快な雑誌。短い文章で読者を「ニヤッ」とさせ、ついついページが進む。原稿を書き終えた後の執筆者が、作家仲間や編集者を相手にしながら楽しく放談している感じがする。書店でも入手できたが、年間購読料千円を払った。

スタジオジブリ『熱風』(季刊)
執筆者や内容は、ジブリ・アニメに限定しない。サブカルチャーに幅広く目配りする珍しいPR誌。大げさに言えば、現代日本(Cool Japan)発の「カルチュラル・スタディーズ」の最前線で、欧米バーミンガム学派の向こうを張る。年間購読は2千円とやや高めだが、商業誌にも類例が少ないので、好きな人にはその価値があると思う。紀伊国屋書店でも入手できたが、年間購読した。

紀伊国屋書店『scripta』(季刊)
多彩なジャンル・出版社を話題にする。紀伊国屋ホールと同様、文化を支える心意気を感じる。採算度外視で、販売促進などの狭量は見られない。たとえば、大竹伸朗のスクラップブックが絶賛されていたが、地方出版社が100部限定で手作りする自主流通の画集だ。年間購読できないので、紀伊国屋書店に行く必要があるが、なぜかそれ以外の書店でも発見することがある。一部WEB化されているが、それで満足せず書店に足を運ぶ醍醐味として、冊子を見かけたら是非入手する価値がある。

飛騨産業株式会社『飛騨』
家具メーカーや賛同者が「飛騨文化」を全国発信する。高層ビル街のジュンク堂書店で発見した。「なぜここで飛騨が?」と無料配布をいぶかりながら持ち帰った。田舎同人誌と侮るなかれ。開けてビックリ! 19世紀の仏書のような装丁で、封筒から出して、ページをペーパーナイフで切り開き、紙の原初的な手触りを思い出す。no.4は出久根達郎の小説「飛い騨ん爺」が中心。飛騨から新島へ流刑にされた上木甚兵衛が主人公だが、写真挿絵のために現地ロケまで行う凝りようだ。「キツツキ・ムービー・ギャラリー」で小冊子『飛驒』no.4メイキング動画を見られる。アンケート回答者にはオマケまでつく。初期購読者は、何と専用の木製ペーパーナイフや木製保存箱がもらえたようだ。詳細は冊子を読んでからのお楽しみ。グローバル・ネット時代に対抗し、地域と木・紙にこだわってここまでやれる。

アカデミックな出版社PR誌

東京大学出版会『UP』(月刊)
学際性はピカイチ。理系図書と文系図書を対等に扱う大学出版会ゆえの強みだ。東大系執筆陣の安定感は言うまでもない。東大関係者の視線を意識しながら書いているので、一般対象の短文とはいえ内容に隙がない。丸善書店等でよく見かけるが、年間購読料千円を払った。


丸善『學燈』(季刊)
文系・理系の一流執筆陣がバランスよく厳選されている。必ず理系を組み込むのは『UP』と並び希少だ。創刊1897年で日本最古のPR誌らしい。初代編集長が内田魯庵、執筆者に坪内逍遙や夏目漱石がいたとは恐れ入る。編集方針は販促とは無縁で誇り高い。ただ、書店でも見かけず、丸善・ジュンク堂合併後の2012年から季刊になったのは、気になる。『書標』と合体させず品質を保つためにも、読者が年間購読(千円)で応援するしかないと思う。

有斐閣『書斎の窓』(月刊)
ゼミの先生が新入生に語りかけてくれる感じで、東大法学部に入学した気分になれる。法学部教授は意外に親切で率直だ。専門書と異なり短文でざっくり総括するため、ときに「おおっ」と驚くほど一刀両断で歯切れが良い。次世代への助言は人間味があって温かい。たとえば労働法の連載も大胆だったが、書籍化に対する辛口書評「著者に諫言する」は痛快で爆笑した。「リレー連載・国際法」も、外国語で共有しないと実用にならない国際法を、日本語で教育学習するジレンマをぶっちゃっける。鉄道刑法などは、99%鉄オタのマニアックな世界だが、こういう新領域も新発見だ。私は完全な門外漢だが、PR誌で紹介された法学書を書店でつい手に取った。実物の法学書はPR誌ほど読みやすくないのが、個人的に悔しいところだ。が、専門書PR誌として知る人ぞ知る成功例だと思う。

未来社『未来』
知的水準とセンスが高く、清々しい透明感がある。美しい文体が多く、各稿に論文のように脚注がついている。書籍化を前提にした短編の論考が多いようだ。本だったら身構えて手に取らないものも、数ページだから読んでしまう。「へー、このジャンルも意外に楽しい」と発見する。万人受けはしないだろうが、私は好き。書店でも入手できたが、年間購読料1200円を払った。


高級教養誌としての老舗PR誌

岩波書店『図書』(月刊)
著者が一流で、掲載文の質が高い。書店で入手しやすいが、年間購読料千円を払った。

講談社『本』(月刊)
高級教養誌。好みの問題だが、ときどき気になるタイトル・著者が並ぶ。三省堂書店で入手した。年間購読料は900円。

朝日新聞社『一冊の本』(月刊)
専門系・時事系・文学系のバランスが良い。幅広く受け入れられると思う。書店で見かけない。年間購読料は千円。

みすず書房『みすず』(月刊)
文芸誌不振・書籍離れの厳しい出版事情の中、有料誌とPR誌の中間を選んだのだと思う。表紙から中身まで高質で、連載記事は書籍化するようだ。1-2月合併号は「読書アンケート特集」。山関係の連載が複数あることにも食指が動くが、登山ブームのある中高年向きか。書店では見かけないが、年間購読領3,780円にも不満はない。が、同額で他社PR誌を複数購読できると考え二の足を踏むのは、私の意識が低いだけか。


書籍リストとして優れた出版社PR誌

歴史書懇話会『歴史書通信』(季刊)
各種学会賞・出版賞の「受賞図書」一覧が便利。HPでもPDFでダウンロードできる。書店で入手できた。

大学出版部協会『大学出版』(季刊)
全国の大学出版部が協力して、面白い特集を企画する。たとえばNo.93(2013年1月)では、2ページ見開きで各大学出版社の代表的な本を書評した。書籍と評者の選択が良質。とくに所属大学以外の専門家が書評しているのは信頼感があった。HPでもダウンロードできる。他にHPの受賞図書一覧は参考になる。書店で入手できた。

アジア本の会『全点リスト』(年刊)
国別の整理が便利。HPでも全点リストを検索できる。書店で入手できた。

極東書店『極東書店ニュース』(月刊)
出版社ではなく書店の発行。洋書を良く読む日本人には必須。刊行前の新書や高額古書を含め、主要な洋書を整理する。注目書籍には書名を邦訳し、簡単な説明を加える。英書中心だが独仏書も充実。


手に取ったことのある他の出版社PR誌


世界思想社『世界思想』(年刊)
毎年、時機に合った特集テーマを組んで一流の執筆陣から原稿を集めている。人文社会科学系の高級教養PR誌。この充実ぶりで無料(送料含)とは良心的で、いずれ何か買わないと申し訳ないような気持ちになる。

笠間書店『リポート笠間』(年刊)
日本語学・日本文学を古代から現代まで網羅。特集・対談はもちろん、時代別の学会時評まであり、PR誌というより学会誌に近い(『史学雑誌』の『回顧と展望』とか)。分厚いのに無料で驚く。書店で入手できた。

日本児童図書出版協会『こどもの本』(月刊)
文章説明を読むだけでは分からないので、実物を見たくなる。別冊は書店で入手できた。

創文社『季刊創文』(季刊)
薄い。やや間口が狭いか。書店で入手できた。

ジュンク堂書店『書標(ほんのしるべ)』(月刊)
ジュンク堂書店HPからダウンロードできる。特集がツボにハマれば面白いかも。たとえば2013年1月号では、「想像を超える奇妙な生命」特集で、「いるかもしれない生物」、「へんないきもの」、「ふしぎな植物」、「ちいさなものの世界へ」と、各項目でマニアックな書籍を分類紹介している。紹介される表紙写真が揃いも揃って気持ち悪いのが逆に爽快。私の行きつけのジュンク堂は、他の大型書店より書棚構成の自己主張が見劣りするが、このPR誌はその店頭よりも選書の趣味が良い。

ダイヤモンド社『経』(月刊)
『週刊ダイヤモンド』のスピンアウトのような経済系PR誌。ページ数が少なく薄い。『日本経済新聞』を毎日買うビジネスパーソンなら、日経の「やさしい経済教室」や特集・解説記事や書評をきちんと読む方が優先すると思う。新聞を読まない人には良いのかも。紀伊国屋書店で入手できた。

小学館『きらら』(月刊)
デザインも製本も凝っている。ライトノベル系の連載小説が多いようだが、携帯小説より上質なはずだ。書店で入手できた。

ポプラ社『astra』(月刊)
小説が充実している。ポプラ社刊行の小説が好きなら向くはず。読書歴を自分の好みで厳選する人には向かない。書店で入手できた。

白水社・みすず書房・東京大学出版会『レビュー合戦ー『パブリッシャーズ・レビュー』発刊記念』
編集者が他社の書評を行う異例な実験。レビュー合戦は1回限りとせず、今後もたまにやって欲しい。なお、『パブリッシャーズ・レビュー』そのものは、地味な書籍紹介の新聞風だが、無料だから贅沢は言わない。書店で入手できた。

春秋社『春秋』
「タダの本・100円の本」(Tojosの晴耕雨読)の紹介を見て、書店で探しているがまだ見たことはない。WEBで目次を見る限り思想系が強く、特集が専門の仏教に限定せず幅広いが、私の無知で執筆陣に馴染みがないので定期購読(800円)に至らない。

テーマ : 雑誌(既刊〜新創刊)
ジャンル : 本・雑誌

クラウド型文献管理EndNoteBasic - Your reference on the cloud

理系研究者に人気の文献管理ソフトEndNoteについて、「英語文献管理のEndNote」に書いた。学術論文、博士論文、修士論文、卒業論文等、執筆がとくに長期化する場合、文献リストや脚注のフォーマット統一は神経質な悩みの種だったが、文献管理ソフトはそれを解決する。本記事は2010年4月に書いた「EndNoteWeb」が元になっている。その後、2013年にEndNoteBasicにバージョンアップし、ファイル添付が可能になった。図書館・データベースのEndNote対応も大幅に進展した。
定番EndNoteのWEBサービス版のEndNoteBasicは、書籍・論文の書誌をWeb上で一括管理し、参考文献リストを作る。データがWEBメールのようにクラウド上に保存されるので、大学でも自宅でもアクセスできるのが長所だ。英語論文データベースの標準であるISI Web of Knowledge/Scienceも、EndNoteBasicとログインを共有している。加えて、日本語書籍・論文データベースの標準であるCiNii Books/Articleや主要大学図書館OPAC(蔵書カタログ)も、EndNote形式でのエクスポートに対応した。

日本語書籍・論文も条件付で扱えるようになったので、理系研究者だけでなく文系学部生も、卒業論文やレポート用に是非試す価値が増えた。いや、研究者よりむしろ学部生の方が、早い時期に漏れのない書誌フォーマットを学ぶ必要があるかもしれない。RefWorks(年100ドル)やZotero(無料)がライバルだったが、いまや学界標準のEndNote、無料版のEndNoteBasicには敵わない。

(1) EndNoteBasicの長所

・大学でも自宅でも、留学先やネットカフェですら検索結果をクラウド上に保存できる。
・日本語・英語データベースで検索した論文の書誌と論文PDFを保存できる。
・一部の大学図書館OPACで検索した日本語・英語書籍の書誌も取り込める。
・Amazonで検索した日本語・英語書籍の書誌も取り込める。
・オンライン統計等、インターネット資料のURLをブックマークでき、ダウンロードファイルを保存できる。
・文献リスト用の書誌フォーマットに整理できる。

(2) EndNoteBasicの短所

・書籍・論文データベースから文献情報を取り込むには、一端、ファイルをPCに保存し、EndNoteBasicからRefMan RIS形式でインポートする二度手間になる(2013年時点)。また、有料データベースを学外で利用するには、大学図書館からリモートアクセスするログインIDが必要だ。
・Amazonの検索結果もCaptureするには、自宅パソコンのブラウザにプラグインをインストールする必要がある。
・一般のWEBページのURLも「Web Page」として保存できるが、書誌を手打ちする必要がある。WEBブックマークとしてはDeliciousや「はてな」の方が使いやすい。
・日本語文献リストには手打ちでの修正が必要だ。英語文献が前提だからだ。日本語著者名は「姓, 名 and 名 姓」になり、英語著者名はカタカナにならない(アルファベットになる)。書名では『二重カギカッコ』が使えず漢字がイタリックにされる。余計なことに「東京:XX社」と出版社の地名も入る。
・大学に所属しない場合、高価なEndNoteや年間100ドルのRefWorksを自前で購入する必要がある。
一見立派そうな文献リストが簡単にできるだけに、逆に内容が空洞になる危険がある。データベースにキーワードを打ち込み、玉石混交の書誌を大量に集めただけでは、先行研究の調査として知的作業に欠けている。範囲の試行錯誤や優先順位の選別、書誌検索と現物確認の往復が大切だ。図書館・文書館のプロですらデータベース検索だけを過信し、その図書館・文書館固有の分類構造・所蔵分布を勉強しない司書が増えた。

========

(3)「Alfred Chandler」に関する日本語・英語の書籍・論文・記事の網羅的な文献リストは、以下の手順でフルフォーマットの立派なものが驚くべき短時間でできる。

1.EndNoteBasicの準備
1-1.所属する大学図書館で、学外から図書館サービス(電子ジャーナル・データベース検索等)を使うリモートアクセスのIDを取得する。
・図書館URLを自宅パソコンにブックマーク。
・モバイル用URLを携帯にブックマーク。

1-2.論文の文献リストをオンライン上で収集・整理・印刷する
・Web of Knowledge(EndNoteBasic & Web of Scienceと共通)のID取得(学内)
・自宅パソコンでもMyEndNoteWebをブックマーク

2.書籍の検索と保存

2-1.(OPAC) 大学図書館のOPACで所蔵図書を検索し、EndNoteBasicに保存する。
・大学図書館OPACとEndNoteBasicを立ち上げ、2つのウィンドウを同時に比較できるように細長く並置する
・大学図書館OPACでAlfred Chandlerを「日本語+英語」で検索する
・検索結果は、EndNote形式ファイルでPCに保存する。
・EndNoteBasicで、このリストをカスタマイズ→「RefMan RIS」をマイリストにコピー
・EndNoteBasicからRefMan RIS形式でインポートする。

2-2.(CiNii) CiNii Books(全国図書館所蔵図書)を検索し、EndNoteBasicに保存する
・CiNii Booksを立ち上げ、2つのウィンドウを同時に比較できるように細長く並置する
・CiNii BooksでAlfred Chandlerを「日本語+英語」で検索する。
①CiNii Booksの検索結果をPCにEndNote形式ファイルで保存する。
②EndNoteBasicを立ち上げ、そのファイルをRefMan RIS形式でインポートする。
③所属の大学図書館に所蔵がない本・雑誌は、他大学所蔵図書館に相互借出依頼(ILL)を申請する。または、Amazon.co.jp, Amazon.com, Amazon.fr等で購入可能な書籍は、所属の大学図書館に図書リクエストで購入を依頼する

2-3.(EndNote+OPAC) EndNoteのオンライン検索に所属大学の図書館OPACが登録されている場合、それをマイリストに登録する。EndNote内でOPACに接続し、Alfred Chandlerに関する洋書を検索し、検索結果をEndNote Basicに保存する。
・EndNote Basicで「収集」→「オンライン検索」
・このリストをカスタマイズ→自分の所属大学の図書館をマイリストにコピー。
・選択→XXXX U→接続。
・自分の所属大学の図書館OPACでAlfred Chandler=Author or Alfred Chandler=Titleを検索(検索語は日本語不可)。
・グループに追加→新しいグループ名→「Chandler」(例)を打ち込む。
・すべてにチェック→グループに追加→Chandler。
・マイレファレンス→追加文献を確認。
※英語検索しかできないので、日本語検索したいならば2-1の方法を使うべきです。

2-4.(Amazon) Amazonで書籍を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・自宅ブラウザを起動
・EndNoteBasicでオプション→プラグインのダウンロード→Windows/Machintosh版のダウンロード→許可→ブラウザ再起動
・ツールバーのボタン「EndNote Web」をクリック
・別ウィンドウでAmazon HPを開く→Alfred Chandlerを検索→特定の書籍を選んでそのページを開く
・ツールバーのボタン「Capture」をクリック
・保存先=EndNote Web、レファレンスタイプ=Bookで保存
・マイレファレンス→追加文献を確認→URLに移動をクリックし、Amazon HPを確認
・メイン図書館のOPACを立ち上げ、EndNotoWebと2つのウィンドウを同時に比較できるように細長く並置する
・メイン図書館のOPACでAlfred Chandlerを検索し、マイレファレンスの書籍が図書館で借出可能か調べる
①メイン図書館に所蔵されている場合、OPACの該当書のURLをCopy→マイレファレンスの該当書のURLにPaste
・マイレファレンスで、メイン図書館蔵書に「オンラインリンク」の追加を確認
・「URLへ移動」をクリックし、メイン図書館OPACページに飛ぶか確認
②メイン図書館に所蔵されていない場合、メイン図書館への図書リクエストで購入を依頼する
※EndNoteWebでの書誌の自動取り込みには楽だが、網羅的な検索にはWebcat Plusの方が先決

3.論文等の検索と保存
3-1.CiNii Artcileから日本語論文を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・CiNii Article→Alfred Chandlerで論文検索
・全件選択→EndNote形式で保存→実行→「CiNii Chandler」(仮)をデスクトップに保存
・EndNote Webで収集→レファレンスのインポート
・このリストをカスタマイズ→「RefMan RIS」をマイリストにコピー
・ファイル=「CiNii Chandler」(仮)、フィルター=RefMan RIS、インポート先=「Chandler」(仮)→インポート
・マイレファレンス→追加文献を確認

3-2.英語データベースから英語論文を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・Web of Knowledge→Alfred Chandler=著者名 OR Alfred Chandler=タイトルで検索する
・すべてチェックし、「EndNote Webに保存」。
・マイレファレンス→追加文献を確認。

3-3.日経BP記事検索サービスや新聞等で記事を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・細長いウィンドウで雑誌・新聞記事検索サービスとEndNote Webを立ち上げ、2つを並べる。
・「新しいレファレンス」にCut&Pasteで書誌を入力する

3-4.WEBページのURLを保存し、論文の参考文献リストとしてスタイルを整える
・自宅パソコンFirefoxのプラグインをダウンロードする(7.Amazon参照)
・Firefoxのツールバーのボタン「Capture」をクリック
・保存先=EndNote Web、レファレンスタイプ=WebPage、Author=作成者名またはWEBサイト名(手打ち入力)、Title=該当ページの個別タイトル(自動記入を添削)、Access Date=閲覧年月日(手打ち入力)、URL=自動記入、Added to the library=自動記入
cf.Title欄は自動記入されるが、そこに作成者名・WEBサイト名が混ざる場合、Author欄にCut&Pasteする。
・マイレファレンス→追加文献を確認→URLに移動をクリックし、元HPを確認
・文献リストの作成で表示を確認→表示のおかしな部分を統一的に添削
cf.Chicago 15th Aでは閲覧年月日が明記されない。

4.文献リストの作成

保存した検索結果の書籍・論文を欧米フォーマットの文献リストにする
・フォーマット→文献リストの作成
・このリストをカスタマイズ→「Chicago 15th A, Chicago 15th B」(例)をマイリストにコピー
・レファレンス=「Chandler」(仮)、書誌スタイル=「Chicago 15th A」、ファイル形式=RTFでプレビュー=印刷
・表示のおかしい項目を見つける→マイレファレンスに戻って入力データを添削
・欧米フォーマットでは書名が『カギカッコ』付にならない→Word論文にCut&Paste後に添削(または書誌スタイル自作?)

※ツールが発達すると、図書館OPACや論文データベース等でキーワードを打ち込むだけで、仕事をしたつもりに勘違いしがちだ。EndNoteWebで文献リストを作るのは、最終到着点ではなく、単なる出発点に過ぎない。留意点が4つある。
専門知識がないと何が的確なキーワードか分からない。闇雲にキーワードを打ち込むだけでは、先入観以上の発展はできない。検索結果の書籍・論文の現物をチェックし、その過不足を検討してから、再びキーワードを試行錯誤しないといけない。的確なキーワードを見つけること自体が、先行研究を検討する重要なプロセスだ。
②文献リストを作るだけでなく、「現物」を手にしないと意味がない。書籍なら前後の書棚を見て、論文なら学術雑誌の目次をざっと見て、機械検索に漏れた掘出物を探すべきだ。そして、一連の書籍群から新しいキーワードを見つけたり、手にした本の巻末の文献リストから必須文献をリストアップしたりして、再び文献リストを作りなおす「往復作業」が大切だ。
機械検索では重要度や優先順位が分からない。そのため、玉石混交の珍妙な文献リストを引用するレポートが増えている。検索語にはドンピシャにヒットしたとしても良書とは限らない。機械操作の技術よりも、良書を選別できる「眼と足」が大切なのだ。
④良書を発見するには、本の巻頭と巻末をチェックし、以下をチェックする。
-出版社:一流出版社の名前(岩波書店など)とその方向性(大月・青木ならマルクス主義など)を覚えておくべきだ。
-出版年:古典なら古くても良いが、先行研究を手早く把握するには最新刊(2000年以後)が望ましい。
-該当分野の巨匠:巻末の著者紹介、訳者解説等をチェック。
-該当分野の基本書:複数書の巻末の文献リストをチェックし、そこで重複する基本書を抑える。

テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : EndNote 書籍 論文

プロフィール

terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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