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旅・留学・出張の持ち物 - 2.貴重品(1):海外でのお金

2. 貴重品 (1)
2-1. セキュリティポーチ 【パスポート&入国ビザ&イエローカード、国際キャッシュカード、現金100-300ドル】。
2-2. メイン財布 【メイン・クレジットカード、現地通貨100ドル相当以下、国際学生証・身分証、証明書写真x4、英語名刺】。
2-3. サブ財布 【サブ・クレジットカード、現金1万円以下、自宅鍵、海外旅行保険証&小冊子、NTTテレフォンカード】。百円小銭入またはチャック付ポリ袋(名刺大)。
2-4. 百円チケットケース 【Eチケット等】。


解説: 海外留学の予定があったり、定期的に海外旅行・出張をする人には、以下のようにお金を用意することを勧める。現金で大金を持参すると、盗難のリスクが高く、身動きが取れなくなる。カードや保険の状況は2007-2010年に大幅に変わった。国際派のクレジットカード選びクレジットカード付帯保険の危機海外で銀行口座を開設する海外滞在時の緊急連絡先を別記した。

たとえば以下の組合せ例がありえる。
・学生の短期滞在なら、東京三菱UFJ銀行等のVISAデビットカードをメイン、新生銀行キャッシュカードとMileage Plus Saison Masterカードをサブ。緊急用に現金100-300ドル。
・1年以上の長期滞在なら、現地銀行VISAデビットカードをメイン、新生銀行/シティバンク銀行キャッシュカードとMileage Plus Saison Masterカードをサブ。緊急用に現金100-300ドル。

・社会人なら、三井住友VISA ClassicAカード(キャッシング枠20万円以上)をメイン、シティバンク銀行キャッシュカードとMileage Plus Saison Masterカードをサブ。緊急用に現金100-300ドル。
・数年に1度だけの短期旅行なら、Travelex MasterCard Cash Passportとドル現金で旅費実費を半分ずつ。予備費・海外旅行保険用にMileage Plus Saison VISAカード。


1. クレジットカード

1-1.クレジットカードの長所

留学でも旅行でもクレジットカードは必須だ。買い物はカードで払い、現金もカードでATMから引き出すのが基本だ。日本人には現金信奉が根強いが、欧米はカード社会なので、海外で生活するなら発想を切り替えた方が良い。クレジットカードは、ホテル等で支払い能力の信用証明にもなる。クレジットカードは、盗難・紛失やATM不調に備えて、VISAとMasterが1枚ずつあると良い。クレジットカード2枚と国際キャッシュカードは一般的な組み合わせだ。国際派のクレジットカード選び参照。
・カード選択では海外旅行保険の付帯条件を慎重に確認するべきだ。そのカードで航空券を支払わない限り、海外旅行保険が付帯しないカードが急増したからだ。その点、三井住友Classic Aカードは治療費100万円、Mileage Plus Sasonカードは治療費300万円の海外旅行保険(3ヶ月)が自動付帯する堅実なカードだ。ただし、3ヶ月以上の留学・長期滞在には別途、海外旅行保険が必須だ。クレジットカード付帯保険の危機参照。
・クレジットカードでのキャッシングは一種の借金で、キャッシングには年率18%(月率1.5%)の利子がかかる。が、海外に限って利用する価値がある。新生銀行のキャッシュカードの為替コスト(4%)より大分安く、紛失・盗難時の再発行も容易だからだ。
・海外での買物の場合、利子はつかないが、1.63%の手数料がつく。しかし、大金を持ち歩く必要がなく、しかも購入物の盗難にショッピング保険がつくことを考えると、手数料の価値はある。加えて、海外の安ホテルや中小商店では、本来なら店が払うべき加盟店手数料3%を客に請求することもある。日本の加盟店契約では禁じられているが、英豪蘭・北欧等では合法で、途上国(高級ホテルやデパート以外)では商慣習化している。
・クレジットカードには不正利用に備えた保険がついている(ユーザーの落ち度や60日以上前は不可)。紛失時の海外連絡先とカード番号・使用期限を手帳や携帯電話、Webmail電話帳に登録し、付帯保険の使用条件や海外連絡先もチェックすべきだ。ローザンヌでVISAカードが盗難にあったが、被害なく停止できて、翌日には仮カードがホテルに届けられた。プノンペンのATMにカードが呑み込まれ、東京の緊急連絡先では、不正利用時には保険が効くので、カードを止める必要がないと言われた。こうした盗難保険を考えれば、年率18%の利子も誤差の範囲内だ。
・旅慣れたバックパッカーなら初めての途上国でも、現金で大金は持たず、カードでキャッシングする。どうしても不安なら、ATM LocatorでATMの所在を予め確認すると良い。先進国なら99%問題ない。途上国でも、空港・都心部・観光地はもちろん、途上国の地方都市でもATMがある。マダガスカルのアンボシチャ、インドネシアのデタム島、ラオス国境のドンデット島、インドのオーロヴィルですら、ATMは何台もあった。


1-2.クレジットカードの短所

・アフリカ等、滞在費全額をドル現金で持参すべき国もある(ロシア・CIS・中南米は未確認)。コンゴ民主共和国やケニアでは、カード会社が不正利用を警戒し、カードを勝手に停止した。
・人気のないATMは犯罪者に狙われやすい。ケニアのナイロビで、ATMでの引き出し直後に人の追跡を受けたことがある。怪しい店ではカード情報を盗んで不正利用されることもあるので、定期的にネットで使用歴・引落額をチェックすべきだ。また、週末・夜間の無人ATMは故障事故に対応できないので、営業時間中の銀行店舗内のATMを利用するのが望ましい。営業時間外・店舗外・無人の場合、念のためメインのカードは使わず、予備のカードを使うべきだ。「現金引落機(ATM)にひそむ罠」(外務省『海外法人事件簿』)という被害報告もある。
海外滞在時の緊急連絡先は、メモ帳、携帯電話、Webmail連絡先に登録すべきだ。カード番号と有効期限も必要だ。世界主要都市のコレクトコール方法とフリーダイヤル番号リストを調べておくべきだ。

1-3. 学生・新社会人の注意

・学生の場合、与信枠(利用上限額)が10万円、キャッシング枠が3-5万円しかないことがある。また、社会人も、改正貸金業法(2010年)以降、年収証明書類を事前提出していないと、キャッシングができなくなった。さらに、学生向けカードには、そのカードで航空券を購入しないと、海外旅行保険が自動付帯しないものが増えた。したがって学生の場合、以下の注意が必要だ。国際派のクレジットカード選び参照。
①治療費用100万円とショッピング保険が自動付帯する三井住友Master ClassicA(死亡補償だけ条件付)、治療費用300万円が自動付帯するMileage Plus Saison Master、治療費用200万円が自動付帯するSkywalker Masterのいずれかが候補だろう(今後の条件変更に注意)。ここでMasterを挙げたのは、楽天銀行/スルガ銀行のVISAデビットカード(後述)との併用を仮定したために過ぎない。
②学生用クレジットカードは与信枠・キャッシング枠が小さいため、VISAデビットカードをメイン、国際キャッシュカードとMasterクレジットカードをサブにすべきだ。VISAデビットカードと国際キャッシュカードの利用上限額は、各銀行口座預金残高に依存するため、メイン口座に旅費全額、サブ口座にその半額以上の預金をトラブル時の余裕をも想定して用意すべきだ。カード紛失・盗難・故障や急病・事故等には、いずれの口座にもすぐに送金できるよう、両者の銀行口座番号を親に伝えておくべきだ。
親の持つクレジットカードの家族カードを作ってもらえれば、VISAデビットカードは不要かもしれない。親が収入証明書を提出済でキャッシング枠を持って入れば、子供の家族カードでもキャッシングできるからだ。
④渡航前にクレジットカード会社に電話し、海外旅行中に与信枠・キャッシング枠を拡大できるか、確認すべきだ。与信枠は、まず年収に比例し、次いでクレジットヒストリー(利用)の蓄積で大きくなる。たとえば、出発前に航空券などの大きな買い物をすると、旅行中にカードが使えなくなってしまう。しかし、海外旅行の場合、カード会社との交渉次第では、一時的に利用枠が引き上げあれることがある。
⑤半年以上の長期滞在者で現地銀行口座を開設していれば、現地銀行のデビットカードをメイン、日本のクレジットカードをサブにするのが良い。

1-4.クレジットカードのトラブル(1):解決例

・私の十数年の仏米英生活と三十余ヶ国(欧米・アジア・北アフリカ中心)の旅行経験では、中南部アフリカを除き、キャッシングに立ち往生したケースは少ない。いずれも手持ちの現金100ドルで1日持ちこたえれば解決した。たとえば以下の事例だ。
・パリで1km四方のATM数台が故障中だった(30分歩いた)。
・韓国ソウルで複数のATMでエラーが出た(韓国外換銀行ATMや銀行窓口なら使えた)。
・ラオスのパクセでATMシステムが半日ダウンした(翌日まで待った)。
・ラオス・カンボジア国境の長距離バスで道路沿いにATMがなかった(終点到着まで待った)。
・パリの旅行代理店で航空券を現金で買い、1日のキャッシング上限を超えた(翌日まで待った。高額商品はクレジットで買うべき)。
・アルジェリア滞在と高額決済が偶然重なり、1ヶ月の上限を超えた(海外渡航を申し出ると上限を引き上げてくれる)。
・使用頻度の低いカードの暗証番号をついど忘れした(慌てず騒がず、気分転換してから再トライした)。
・スイスのローザンヌでカードを紛失した(再発行カードを現地ホテル受取。後述)。
・カンボジアのプノンペンで夜間、無人ATMにカードが呑み込まれた(レシートに記された現地連絡先にホテル受付から電話した。翌朝にホテル宛に返答があり、同日午後に銀行本店で返却された)。
・スコットランドのグラスゴーで、週末閉店中の銀行ATMにカードが呑み込まれた(メモ済の口座番号・電話番号でカードを止め、他のカードで代替した)。
・・・それなりに深刻ではあるのだが、打つ手のない現金の盗難とは異なり、いずれも解決策はある。

1-5.クレジットカードのトラブル(2):限界例

・中南部アフリカでは、ドル現金の必要性を感じた。
・コンゴ民主共和国やケニアでは、三井住友VISAカードや三菱UFJニコス・マスターカードで高額支払をすると、以後のカード使用がブロックされた。東京のカード会社に国際電話すると、南アフリカ周辺の不正使用を警戒したプロテクションがかけられたことが判明し、アフリカ旅程を説明してプロテクションを外す必要があった。
・とくにコンゴ民主共和国では、hewa boa Airwaysの航空券を購入したとき、三菱UFJニコスは、日本の自宅に留守番電話を残しただけで、一方的にマスターカードを停止した。顧客を途上国の路上に放り出す暴挙だと思う。おかげで、3つ星ホテルLubumbashi Hoelのチェックアウトが遅れ、航空機に乗り遅れそうになった。以後、国際事情に弱そうなカード会社は使わない
・ザンビア、ケニア、カンボジアの入国時のアライバルVISAには現金20-50ドル、コンゴ民主共和国・カンボジアの出国時の航空税には現金50ドルが必要だ。カンボジア入国時に20ドルがなく、特別に日本円で支払ってぼられた。コンゴからケニアに移動するとき、コンゴ出国時で予想外の航空税を取られたため、ケニア入国時のアライバルVISA費が不足しそうになった。
・コンゴ民主共和国では汚職警官の検問名目(=時間潰し)の賄賂要求に毎日会った(1-20ドル)。カンボジア・ラオスの陸路の出入国には1ドルの賄賂が相場だ。当然ながらカード払いも領収書もない。
・ケニアではVISAカード、コンゴ民主共和国ではマスターカードしか通用しない。無人ATMに飲み込まれる危険を考えると、VISA・マスターで各2枚ずつの用意が望ましい。
・コンゴ民主共和国やザンビアではクレジットカードやATMの信頼度が低く、カード支払可能と明言する旅行代理店や3つ星ホテルでもシステムエラーが生じる。ザンビアのンドラ空港では2台のATMが双方とも故障中で、コンゴ民主共和国のルブンバシ空港ではATM自体が存在しない。
・コンゴ民主共和国でのマスターカードによる現金引き出しは、銀行窓口に限られるため、銀行の開店時間に拘束され、時間がかかる。ケニアではATMでVISAが使えるが、一定額以上を引き出せるのは、おそらくBarclays Bank Kenyaの銀行窓口だけだ。

2. 国際キャッシュカード

2-1.国際キャッシングカードの長短所

・国際キャッシュカードは、国内銀行の普通預金口座から現地通貨を海外ATMで引き出せるキャッシュカードだ。学生や海外駐在員も、日本での奨学金・仕送りや給与の受け取りに便利だ。帰国後も維持するつもりなら、メインバンク候補のつもりで慎重に選ぶべきだ。もちろん、ネットバンキングの操作に慣れておき、海外からも定期的に口座状況を確認すべきだ。
・社会人ならば、クレジットカードをVISAとMasterで1枚(以上)ずつ用意し、それぞれメインカード・サブカードとしてキャッシングにもショッピングにも併用する方が、為替コストが安めで、カード紛失時の再発行も早い。その場合、国際キャッシュカードは3枚目の非常用・予備にする。
・しかし、収入証明書類が未提出の学生や社会人だと、クレジットカードのキャッシング枠が0-5万円しかない(海外旅行前に枠を引き上げられるか交渉・確認すべきだ)。そこで、学生が半年以下の旅行・留学にお金を持参するもっとも手軽な方法は、国際キャッシングカードだ。VISAデビットカードを兼用するものもある(後述)。
・しかし、学生が1枚の国際キャッシュカードのみに依存しては、紛失・盗難・故障時に立ち往生してしまう。そこで学生用クレジットカードに加え、①予備・非常用の国際キャッシュカード、②親名義のクレジットカードの家族カード、③デビットカードのいずれかを用意し、少なくとも3つにリスク分散するべきだ。
・半年以上の先進国留学や海外駐在など、総額100万円以上引きだすなら、3-4%のATM手数料は3-4万円に達するので、語学力さえ許せば海外で銀行口座を開設する方が賢い。逆に、数年に1度だけの短期旅行なら、日常的に縁のない銀行にわざわざ口座を開設するのも大袈裟なので、Travelex Cash Passportも選択肢だ。

2-2.国際キャッシングカードの選択

・2014年時点の国際キャッシュカードは、新生銀行PowerFlexが代表的だ。楽天銀行とスルガ銀行のキャッシュカードは、VISAデビットカードを兼ねる(後述)。先に「学生なら、東京三菱UFJ銀行等のVISAデビットカードをメイン、新生銀行キャッシュカードとMileage Plus Saison Masterカードとをサブ」等、モデル事例を紹介した。
・しかし、2009年以降、状況が激変したため、昨年の経験者の話も今年は通用しない。他人の言うことを鵜呑みにせず、最新情報を調べて比較すると良い。東京三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、Citibank World Cash、JTBは、2010年までに新規発行を止め、イーバンク銀行は楽天銀行に改称した。ソニー銀行MONEYKit Global、HSBC International Cash Card、HSBC外貨Cash Card(富裕層対象)等は2011年までに撤退し、シティバンク銀行も2014年に撤退を決めた。

2-3.新生銀行パワーフレックス

新生銀行PowerFlexは、預金額の少ない学生・新社会人にもメインバンクになりうる(友人にも愛用者が多い)。地方銀行を除く国内ATMの大半が24時間無料で使え、振込手数料も最低月1回は無料だ。海外ATMは一見、手数料無料だが、実は為替コストを4%上乗せしている(VISAレート+4%)。総コストはVISAカード(VISAレート+1.5%の月率利子)や楽天・ソニー(VISAレート+3%)の方が安い。また、郵便物は国内にしか対応しないため、月例ステートメントも、キャッシュカード紛失時の再発行も、海外転出時には指名した国内代理人に送られる。

2-4.シティバンク銀行バンキングカード
シティバンク銀行は、国際派の社会人ならメインバンクになりうる(私は10年以上愛用している)。世界共通の国際サービスを提供しながら、日本の預金保険制度の保護対象だ。バンキングカードは、国内では地方銀行を含む国内ATMの大半を使え、百万円の口座残高があればすべて無料になる(月100回まで)。同じカードを海外ATMでも使える(手数料はCitibankレート+為替3%+ATM210円。4万円以上なら新生の4%より安い)。さらに外貨キャッシュカードは、ドル建普通預金から米国ATMでドルを直接引き出せる。コストは、入金時の為替手数料(片道1円)+ATM手数料(2ドル)なので、100ドル以上で引き出すなら有利だ(3%以下)。ちなみにドル・ユーロ・ポンド・豪州ドル建の外貨預金は、同通貨のトラベラーズチェックとしても引き出せる(手数料1%)。登録住所を海外に変更できるので、口座報告やカードの再発行も、国内住所と同じ扱いで海外住所に郵送してくれる。配偶者名義の家族カードも発行できるのも社会人には貴重だ。ただし、口座残高が50万円を切ると月額2100円の口座維持手数料がかかるので、定期預金や給与振込を含めたメイン口座にしないと不利になる。なお、Citigold(口座残高1000万円以上)の場合、海外ATM(210円/2円)、国内振込(260-840円)、海外送金(4,000円)等の手数料が無料になる。


3. 国際デビットカード

・VISA/Masterデビットカードは、国際キャッシュカードとVISA/Masterカードを合体した存在だ。預金額を上限にATMでのキャッシングとVISA/Master加盟店でのショッピングに使え、支払いと同時に預金口座から引き落とされる。
VISAデビットカードHPは都市銀行、地方銀行、ネット銀行が発行している。TravelexのCash Pssportは、銀行カードではなくプリペイドカードだが、Masterデビットカードと言える。
・発行元は新興・中小機関が多い。2007-2010年に、郵貯チェックカード《セゾン》、TOKYO STAR DEBIT、さくら銀行(現みずほ)・キャッシュパスポート、シティバンク・ワールドキャッシュ、日興プラチナデビットカード等が廃止されたが、2013年に東京三菱UFJ銀行Debitが復活した。状況が激変しているので最新情報の更新が欠かせない。
・デビットカードの選び方は3点あると思う。第1に、VISAかMaster・銀聯かだ。後者ならTravelexしかない。第2に信頼性だ。入金しやすく、残金を確認しやすく、安心して大金を預けられるいことは、銀行の基本だ。カード紛失や途上国など、トラブル時の対応力も大切だ。第3にコストだ。最低利用額や手数料、為替の違いがある。ただし、まだ新しいサービスなので、信頼性とコストの兼ね合いは未知数だ。東京三菱UFJ銀行よりスルガ銀行の方が低コスト、楽天銀行はサポート不足という噂を聞いたが、口コミの蓄積が必要だ。

3-1.国際デビットカードの長所

・デビットカードは、預金残高さえ多ければ、キャッシングでもショッピングでも利用限度額が大きくなる。逆に預金額以上に使いすぎることもできない。銀行口座間の振込ならば、日本からの預金追加も簡単だ。半年以内の学生旅行・留学ならば、現地銀行口座を開かずとも、国際デビットカード、クレジットカード、国際キャッシュカードの3-4枚で間に合う。
・デパート・旅行代理店などで大きな買い物をするときはもちろん、Amazonやホテル予約などのネットショッピングでも、VISA/Masterカードの利用は多い。ショッピング保険もつく。
・海外滞在中のキャッシングとショッピングを、ひとつの銀行口座で一括して家計管理できる。とくに楽天銀行やスルガ銀行に定期収入・預金残高・支払いを集中させ、メインバンクにするならば、日本の収入支出を含めた全家計を管理できる。
大金を持ち歩かずに済む。先進国でもトラベラーズチェックT/Cの換金場所が減り、途上国でもATMやVISA/Master提携店が増えている現状では、T/Cより便利かもしれない

3-2. 国際デビットカードの短所

・社会人ならば、老舗クレジットカードをキャッシング(要収入証明)やショッピングに集中して使う方が、新興デビットカードより手堅い。紛失・盗難・不正使用の補償や海外旅行保険、ポイント制度などのサービスも手厚く、為替コストも安めだ。デビットカードは、クレジットカードの与信枠・キャッシング枠が少ない学生・新社会人の代替手段に過ぎない。
・国際デビットカード1枚だけでは不十分だ。3ヶ月の海外旅行保険が自動付帯するクレジットカードを最低1枚欲しい(たとえばMileage Plus Saison Master Card)。デビットカードがVISAなら、クレジットカードはMasterが良いだろう。加えて、シティバンク銀行や新生銀行など、実績のある国際キャッシュカードも予備に欲しい。
デビットカードを発行する銀行海外経費専用のサブバンクとして割り切る場合、オンラインで口座残高を常にチェックして、不足分はメインバンクから定期的に振り込むなどの手間暇が不可欠だ。家族にも口座番号と振込方法を教えておくことも必要だ。
・半年以上の先進国留学や海外駐在など、総額100万円以上引きだすなら、3-4%のATM手数料は3-4万円に達するので、語学力さえ許せば海外で銀行口座を開設する方が賢い。

3-3. 都市銀行:東京三菱UFJ銀行、りそな銀行
東京三菱UFJ銀行デビットカードは、メイン銀行にできる信頼性があるが、最低利用額や手数料の条件がある。
りそなVISAデビットカードは、JMBカードを兼ねており、JALマイレージもたまる。

3-3.地方銀行:スルガ銀行、りそな埼玉銀行、近畿大阪銀行
・スルガ銀行に加え、りそな埼玉銀行、近畿大阪銀行も、VISAデビットカードHPの発行を始めた。
スルガ銀行VISAデビットは、銀行キャッシュカードとVISAデビットカードを合体させている。同銀行は、1896年沼津創業の老舗地方銀行だが、新サービスに次々と挑戦するネット銀行でもある。地元はもちろん海外滞在者の間でも、知る人ぞ知る定評がある。国内ATMは地方銀行を含む大半が使え、とくに郵貯・コンビニの手数料は平日昼間ならば無料だ(時間外利用や銀行ATMは有料)。海外ATMの手数料も安めだ(VISAレート+3%)。

3-4.ネット銀行:楽天銀行、ジャパンネット銀行、あおぞら銀行
・楽天銀行は、トラブル時に電話サポートがつながらないという噂を聞いた。ジャパンネット銀行やあおぞら銀行という選択肢もできた。
楽天銀行デビットカードは、銀行キャッシュカードとVISAデビットカードを合体させた存在だ。2010年にネット銀行最大手のイーバンク銀行が楽天に買収されたもので、楽天ポイントもつく。預金額を上限として、VISAデビットカードとして使える。カード利用料が年1-3千円だが、0.2-0.5%の楽天ポイントが還元される(VISAクレジットカードでのキャッシングなら0.3%のポイント還元)。ただし、メインバンクにするには国内ATMがネックかもしれない。海外ATMの手数料は新生やシティバンクよりやや安い(VISAレート+3%)が、国内ATMはコンビニと郵貯しか使えず、高額預金をせぬ限り手数料は有料だ。

3-5.Travelex MasterCard Cash Passport

・Travelexは、MasterCard Cash Passportや銀聯Cash Passportを提供する。銀行キャッシュカードではなく、プリペイド式マネーカードで、トラベラーズチェックのカード版に近い。数年に1度だけの短期旅行なら、日常的に縁のない銀行にわざわざ口座を開設するのも大袈裟なので、手軽だ。楽天銀行とスルガ銀行はVISAカードのため、Masterカード(たとえばコンゴ民主共和国)や銀聯カード(中国のみ)がどうしても必要な国に滞在する人にもメリットがある。しかし、銀行のような預金保証はないし、奨学金・給与等の振込先にはできない。銀行間の振込よりも入金方法も面倒だ。ケニアのようにVISAしか使えない国もある。

4. 現金

4-1. ドル現金の持参

・米国ドルと日本円を合計数万円分、空港ATMでの現地通貨の引き出しが間に合わないときの緊急用に常備しておくと心強い。日本円は、帰国時に空港から自宅にたどり着ける分(1万円以下)だけで良いが、米国ドルは100-300ドルを渡航前に用意しておきたい(欧州ならユーロ)。現金持参は、カードが使えない緊急時に3日間を持ちこたえられる分を最低額(先進国で300ドル、途上国で100ドル)、盗難・紛失を覚悟できる分を最高額(300ドル)と考える。
・カンボジア・ケニア・ザンビア等の入国時のアライバル・ビザには約50ドル、カンボジア・コンゴ民主共和国の出国時の空港税にも約50ドルが必要なので、不意打ちされると困る。現地通貨を使い始めたら、日本円や米国ドルは、自宅の鍵などと一緒にサブ財布に入れて鞄の底に仕舞い込み、帰国まで手を触れない。手つかずの米国ドルは、そのまま次回の渡航にも使う。

4-2. 現地通貨の活用

・現地通貨は、ドル/ユーロと異なり、日本で用意する必要はない。その代わり、空港に到着したら必ず、カードでATMから現地通貨を引き出すか、T/Cを現地通貨に両替する。そして、空港から街へ出る前に、空港内のキオスクでミネラルウォーター等を買い、少額紙幣や小銭を手に入れる。ローカルな交通手段で高額紙幣は使えないからだ。また、この最初の買い物で現地の紙幣・貨幣の模様や金銭感覚を覚える。
・途上国の人はもちろん、欧米人でも、50ドル以上の現金は持ち歩かないのが世界の常識だ。私は、100ドル相当を現地通貨を引き出す単位にしている。途上国の街歩きならば、半分以上の紙幣はチェーン付財布に入れてサブバッグ内につないで仕舞い、残り(50ドル以下)を外側が一番の少額紙幣になるように金額順に並べ直し、2つ折にしてズボンのポケットに突っ込む。小銭なら小さなチャック付ポリ袋も便利だ。屋台等の支払いはポケットだけで済ませ、宿代や書籍などの高額の支払い以外は周囲に財布を見せない。万一強盗に襲われたら、このポケット分を盗ってもらうつもりだ。マダガスカルでもカンボジアでも、途上国の庶民は財布を使わない。そのため庶民の市場・大衆食堂・雑貨屋の紙幣はクシャクシャで、外国人・上流階級が使う旅行代理店・ネット喫茶などではピン札が出てくるのが面白い。

4-3. ドル現金持参の長短所

・スリ・盗難やホテル内で「現金10万相当を盗られた」等の盗難被害を私の回りでも何人も聞く。しかし、滞在費全額を現金で持参しようと考えること自体が、時代錯誤だ。「カードが使えない」リスクと「現金が盗難に合う」リスクの選択は人それぞれだが、現金は盗難を前提に覚悟できる緊急用に限るのが良いと思う。その代り、複数のカードと送金方法、緊急連絡先を分散管理するべきだと思う。現金は300ドル相当あれば、万一カードが使えない緊急事態でも3日は持ちこたえられる。その間に、クレジットカードを再発行したり、キャッシュカード・デビットカードの銀行口座に送金してもらったり、ATMの多い都心へ移動したり、銀行の閉まる祝休日を乗り切ることができる。海外旅行保険には、財布盗難時の現金手配サービスもある。
・ただし、アフリカ等の非観光地では、全滞在費分のドル現金の用意もやむを得ない。コンゴ民主共和国では、空港にすらATMがなく、旅行代理店や3つ星ホテルですらクレジットカードが使えない。コンゴではマスターカード、ケニアではVISAカードしか使えないため、2枚ずつ持っていないと、片方が使えないときに窮する。しかも、三井住友カードと三菱UFJニコスは、アフリカでの不正利用を警戒し、カードを突然一方的に無効化してしまった。カード会社に国際電話すれば解除できたが、飛行機搭乗直前にホテルの清算ができず、窮地に追い込まれた。観光地ではまずありえない例外事例なので、ガイドブック等でカードの普及状況を良く確認すべきだ。

5. トラベラーズ・チェック

もはやT/Cは勧めない。2000年以前のガイドブックやブログ、海外経験者は、T/Cを勧めるが、時代遅れだ。2000年代に、VISAも、元祖Thomas Cook=Masterすらも、T/Cの販売を終了した。今は前述のように、社会人ならクレジットカード、学生なら国際デビットカード(サブカードとしてクレジットカードと国際キャッシュカード)から現金を引き出すべきだ。

※トラベラーズ・チェックの短所

・いまや先進国の観光地でさえT/Cが使える場所を探すのに苦労する。かつては両替手数料無料が売りだったが、今や大半の両替所で手数料を取る。途上国の非観光地では使えないはずだ。少なくとも、カードが使えないような辺境や祝祭日はT/Cの両替もできず、逆に、T/Cの両替ができる場所ならカードも当然使えるはずだ。アフリカのマダガスカルの首都アンタナナリボでは、ATMはいくつもあったが、T/Cは、複数の両替所・銀行・高級ホテルに拒否され、たらい回しにあった。フランスの市街地でも、ATMならいくらでもあって24時間使えるが、T/Cを両替できるのは平日昼間のごく一部の銀行だけだ。留学等の長期滞在でも意味がない。盗難・紛失時の再発行というT/Cのメリットは、クレジットカードでも(時間はかかるが国際キャッシュカードでも)同様だからだ。
・国際キャッシュカードの予備として、①10万円以上のキャッシング枠を持つクレジットカードか、②親名義のクレジットカードの家族カードか、③10万円以上の預金額を持つVISA/Masterデビットカードいずれかを持っていれば、T/Cは不要だと思う。また、留学生にもT/Cの必要性は低い。国際キャッシュカードを紛失しても半月で再発行が届くはずだが、クレジットカードで大抵の日常品は買えるし、友達から借金することも不可能でない。現地銀行デビットカードを作っていれば、なお不要だ。

6. ウェスターン・ユニオンの海外送金

ウェスターン・ユニオンによる海外送金・受取網は、世界200ヶ国に27万の代理店を持つ。途上国では銀行・郵便局による送金は一般的でなく、Western Unionこそがもっとも一般的で手軽な海外送金機関だ。日本では札幌、仙台、東京(多数)、横浜、成田・船橋、大阪、京都の営業店からしか送金できないのが難点だ。しかし、実家の近くに営業店がある場合、T/Cやクレジットカードよりも便りになるかもしれない。カンボジア国立文書館のコピー費もWestern Unionでの送付を求められたし、ケニアからコンゴ民主共和国に送金するときもWestern Unionを使った。簡単な手続きで、送金の直後から海外での受取が可能になる。コンゴ民主共和国のように、クレジットカードやATMの通用性が低く、現金主義の発展途上国では最後の送金手段となろう。


※本稿は2010年に書いたが、その後クレジットカード付帯保険の危機を追加し、2014年にデビットカード情報を増やした。Bitcoinは2014年のMt.Goxの経営破綻で再起不能だが、他にも新しい海外送金手段が生まれるかもしれない。PaypalはEbay等の支払い手段としてすでに老舗だ。金融サービスは日々変わるので、最新情報と口コミの収集が欠かせない。
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テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

海外滞在時の緊急連絡先 - Alternate Number for Emergencies

交通事故・入院・カード盗難等の緊急事態では、保険が最後の頼みの綱。激痛・発熱・パニック等、最低最悪の状況を想定し、出発前に緊急連絡先の電話番号を準備する。なお、カードや保険の状況は2007-2010年以後、激変中で要注意だ。国際派のクレジットカード選びクレジットカード付帯保険の危機を参考に最新情報を得ること。

1. 最優先の必須事項

・クラウド(Gmail等)または携帯電話の電話帳に、日本・現地での緊急連絡先(家族・友人)、(別契約またはクレジットカード付帯の)海外旅行保険の緊急連絡先、カード紛失の緊急連絡先を登録する。
・海外旅行保険・クレジットカードの緊急連絡先は、海外緊急相談(日本24時間受付)、保険(日本の日中受付のみ)、保険(現地の日中受付のみ)、カード紛失(日本24時間受付)の4つを登録する。この4者は、オペレーターの会社も受付時間も違う。事前に意識的にカード会社に問い合わせる必要がある。
・メモでも、日本・現地での緊急連絡先(家族・友人)、クレジットカード・海外旅行保険の緊急連絡先、パスポート番号を用意しておく。
・クレジットカードに付帯する海外旅行保険の会社名と条件を確認する。そのカードで航空券代を支払っていないと保険がつかないものも増えている。海外旅行保険は、長期旅行・留学ではカード付帯(3ヶ月以内)とは別に加入する。
・パスポートやEチケット、カード類は、紙でもコピーを取り、別途保存しておく。


2. 留意事項
・一般:事故相談、旅行保険、カード盗難、観光案内、医療相談は、別々に電話番号を調べておく。それぞれオペレーターの会社が違い、ひとつに電話すれば全部の手配が終わるわけではない。緊急時の電話たらい回しは非常に苦痛。最優先は急病・事故時の海外旅行保険の電話番号か。まず電話さえつながれば、保険番号・やクレジットカード番号が手元になくても、身元確認の手段はほかにもある。
・一般:持ち物を身ぐるみ紛失し、心身異常・パニックの最悪の事態を想定する。携帯電話を紛失したり、ネット接続できない場合も、連絡できるようにする。クラウドの電話帳はスマホと連動させる。
・一般:パスポートやカード、海外旅行保険証書は、デジカメ撮影してクラウドや携帯電話に保存する方法もあるが、流出時のリスクがある。Eチケット・旅程はクラウドや携帯電話に保存すると良い。
・一般:非スマホの携帯電話(現地SIMフリー携帯等)を使う場合、電話帳の新規登録を忘れない。SIMを交換すると、電話帳を入力し直さないといけないことがある。
・一般:グローバル携帯も現地SIMフリー携帯も持参しないなら、日本での家族と親友、現地の友人・知人等の電話番号を、メモで持参する。ガイドブック記載の大使館・航空会社やクレジットカードの海外観光用デスクも役立つかもしれないが、旅行者ならホテルのコンシェルジュ、留学生なら友人の方が頼りになるかもしれない。
・医療:保険の緊急電話番号は、現地フリーダイヤルや日本へのコレクトコール方法を渡航先ごとに調べておく。保険受付は24時間でなく、日本の受付番号は日本の日中時間しか対応しない。ホテルの電話や他人の携帯電話から電話することを想定する。他方、まず手持ちのグローバル携帯やホテル電話から国際電話をかけ、こちらの電話番号を伝え、先方から折り返し電話してもらうことも選択肢。
・紛失:クレジットカードとキャッシュカードのカード紛失は24時間受付である。カード紛失の緊急連絡先に加え、カード番号もメモしておく。ただし、カード番号が手元になくても、カード利用を止められる。キャッシュカードの不正利用は口座残高が上限。クレジットカードの不正使用には、カード会社が補償してくれる可能性もある。

3. 三井住友海上保険・三井住友VISAカード
三井住友海上保険の海外旅行保険が付帯するクレジットカードは、三井住友、TUO、楽天、Yahoo!、オリコ/Skywalkerなど。

3-1. 事故相談:VJデスク・グローバルエマージェンシーライン(24h):
Tel: +81-3-3431-1467
cf.ツーリスト・インターナショナル・アシスタンス サービス(株)&(株)JTBグローバルアシスタンス

3-2. 旅行保険:
・三井住友海上保険・VJ保険デスク(日本時間対応のみ: 9:15-17:00)
Tel: +81-18-888-9225 (コレクトコール可) / 0120-658811 (国内)
・三井住友海上保険・緊急アシスタントサービス: 現地時間対応可能
世界主要都市フリーダイヤル / +81-18-888-9998 (コレクトコール可)

3-3. カード盗難:三井住友VISAカード・紛失・盗難受付デスク(24h):
Tel: +81-3-5392-7303 / +81-6-6445-3530

3-4. 観光案内: VJデスク(9h-18h、コレクトコール不可):
Gold Tel: +81-3-3431-1398
一般 Tel: +81-3-3431-1390
世界主要都市フリーダイヤル(現地時間9h-17h)
cf.ツーリスト・インターナショナル・アシスタンス サービス(株)&(株)JTBグローバルアシスタンス

3-5. 医療相談: ドクターコール24(三井住友Gold)(24時間、国内向け):
Tel: 0120-498-024
cf.ティーペック株式会社

4. 興亜損害保険・JCB/UFJカード
・日本興和損害保険が付帯するカードは、JCB、UFJ、MUFGなど。
・興亜損害保険・アシスタンスセンター(24h)
Tel: +81-3-5213-0285 / 世界主要都市フリーダイヤル
・UFJカード盗難紛失受付センター(24h):
Tel: +81-52-249-1417 / 世界主要都市フリーダイヤル
・GOLDゆとりデスク(UFJ Gold)(24時間、国内向け):
0120-254-272

5. 損保ジャパン・UC/セゾンカード
・損害保険ジャパンが付帯するカードは、セゾンカード、UCカードなど。
・損保ジャパン・海外ホットライン(24h)
Tel: +81-18-888-9547
・UCカード紛失・盗難専用ダイヤル(24h):
Tel: +81-3-5996-9130 / 世界主要都市フリーダイヤル

6. 東京海上日動保険
・東京海上日動保険が付帯するカードは、DC/NICOSカード等。
・東京海上日動保険・海外総合サポートデスク(24h)
Tel: +81-3-5299-2810 (コレクトコール可) / 世界主要都市フリーダイヤル

7. キャッシュカード紛失・盗難
・新生銀行パワーコール(24h)
Tel: +81-3-5954-7763 / 1-866-744-6734
・シティバンク(24h、コレクトコール不可):
Tel: +81-45-330-2890

※本項目は2010年に書いたが、2014年に詳細を更新した。

テーマ : 海外旅行
ジャンル : 旅行

クラウド型文献管理EndNoteBasic - Your reference on the cloud

理系研究者に人気の文献管理ソフトEndNoteについて、「英語文献管理のEndNote」に書いた。学術論文、博士論文、修士論文、卒業論文等、執筆がとくに長期化する場合、文献リストや脚注のフォーマット統一は神経質な悩みの種だったが、文献管理ソフトはそれを解決する。本記事は2010年4月に書いた「EndNoteWeb」が元になっている。その後、2013年にEndNoteBasicにバージョンアップし、ファイル添付が可能になった。図書館・データベースのEndNote対応も大幅に進展した。
定番EndNoteのWEBサービス版のEndNoteBasicは、書籍・論文の書誌をWeb上で一括管理し、参考文献リストを作る。データがWEBメールのようにクラウド上に保存されるので、大学でも自宅でもアクセスできるのが長所だ。英語論文データベースの標準であるISI Web of Knowledge/Scienceも、EndNoteBasicとログインを共有している。加えて、日本語書籍・論文データベースの標準であるCiNii Books/Articleや主要大学図書館OPAC(蔵書カタログ)も、EndNote形式でのエクスポートに対応した。

日本語書籍・論文も条件付で扱えるようになったので、理系研究者だけでなく文系学部生も、卒業論文やレポート用に是非試す価値が増えた。いや、研究者よりむしろ学部生の方が、早い時期に漏れのない書誌フォーマットを学ぶ必要があるかもしれない。RefWorks(年100ドル)やZotero(無料)がライバルだったが、いまや学界標準のEndNote、無料版のEndNoteBasicには敵わない。

(1) EndNoteBasicの長所

・大学でも自宅でも、留学先やネットカフェですら検索結果をクラウド上に保存できる。
・日本語・英語データベースで検索した論文の書誌と論文PDFを保存できる。
・一部の大学図書館OPACで検索した日本語・英語書籍の書誌も取り込める。
・Amazonで検索した日本語・英語書籍の書誌も取り込める。
・オンライン統計等、インターネット資料のURLをブックマークでき、ダウンロードファイルを保存できる。
・文献リスト用の書誌フォーマットに整理できる。

(2) EndNoteBasicの短所

・書籍・論文データベースから文献情報を取り込むには、一端、ファイルをPCに保存し、EndNoteBasicからRefMan RIS形式でインポートする二度手間になる(2013年時点)。また、有料データベースを学外で利用するには、大学図書館からリモートアクセスするログインIDが必要だ。
・Amazonの検索結果もCaptureするには、自宅パソコンのブラウザにプラグインをインストールする必要がある。
・一般のWEBページのURLも「Web Page」として保存できるが、書誌を手打ちする必要がある。WEBブックマークとしてはDeliciousや「はてな」の方が使いやすい。
・日本語文献リストには手打ちでの修正が必要だ。英語文献が前提だからだ。日本語著者名は「姓, 名 and 名 姓」になり、英語著者名はカタカナにならない(アルファベットになる)。書名では『二重カギカッコ』が使えず漢字がイタリックにされる。余計なことに「東京:XX社」と出版社の地名も入る。
・大学に所属しない場合、高価なEndNoteや年間100ドルのRefWorksを自前で購入する必要がある。
一見立派そうな文献リストが簡単にできるだけに、逆に内容が空洞になる危険がある。データベースにキーワードを打ち込み、玉石混交の書誌を大量に集めただけでは、先行研究の調査として知的作業に欠けている。範囲の試行錯誤や優先順位の選別、書誌検索と現物確認の往復が大切だ。図書館・文書館のプロですらデータベース検索だけを過信し、その図書館・文書館固有の分類構造・所蔵分布を勉強しない司書が増えた。

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(3)「Alfred Chandler」に関する日本語・英語の書籍・論文・記事の網羅的な文献リストは、以下の手順でフルフォーマットの立派なものが驚くべき短時間でできる。

1.EndNoteBasicの準備
1-1.所属する大学図書館で、学外から図書館サービス(電子ジャーナル・データベース検索等)を使うリモートアクセスのIDを取得する。
・図書館URLを自宅パソコンにブックマーク。
・モバイル用URLを携帯にブックマーク。

1-2.論文の文献リストをオンライン上で収集・整理・印刷する
・Web of Knowledge(EndNoteBasic & Web of Scienceと共通)のID取得(学内)
・自宅パソコンでもMyEndNoteWebをブックマーク

2.書籍の検索と保存

2-1.(OPAC) 大学図書館のOPACで所蔵図書を検索し、EndNoteBasicに保存する。
・大学図書館OPACとEndNoteBasicを立ち上げ、2つのウィンドウを同時に比較できるように細長く並置する
・大学図書館OPACでAlfred Chandlerを「日本語+英語」で検索する
・検索結果は、EndNote形式ファイルでPCに保存する。
・EndNoteBasicで、このリストをカスタマイズ→「RefMan RIS」をマイリストにコピー
・EndNoteBasicからRefMan RIS形式でインポートする。

2-2.(CiNii) CiNii Books(全国図書館所蔵図書)を検索し、EndNoteBasicに保存する
・CiNii Booksを立ち上げ、2つのウィンドウを同時に比較できるように細長く並置する
・CiNii BooksでAlfred Chandlerを「日本語+英語」で検索する。
①CiNii Booksの検索結果をPCにEndNote形式ファイルで保存する。
②EndNoteBasicを立ち上げ、そのファイルをRefMan RIS形式でインポートする。
③所属の大学図書館に所蔵がない本・雑誌は、他大学所蔵図書館に相互借出依頼(ILL)を申請する。または、Amazon.co.jp, Amazon.com, Amazon.fr等で購入可能な書籍は、所属の大学図書館に図書リクエストで購入を依頼する

2-3.(EndNote+OPAC) EndNoteのオンライン検索に所属大学の図書館OPACが登録されている場合、それをマイリストに登録する。EndNote内でOPACに接続し、Alfred Chandlerに関する洋書を検索し、検索結果をEndNote Basicに保存する。
・EndNote Basicで「収集」→「オンライン検索」
・このリストをカスタマイズ→自分の所属大学の図書館をマイリストにコピー。
・選択→XXXX U→接続。
・自分の所属大学の図書館OPACでAlfred Chandler=Author or Alfred Chandler=Titleを検索(検索語は日本語不可)。
・グループに追加→新しいグループ名→「Chandler」(例)を打ち込む。
・すべてにチェック→グループに追加→Chandler。
・マイレファレンス→追加文献を確認。
※英語検索しかできないので、日本語検索したいならば2-1の方法を使うべきです。

2-4.(Amazon) Amazonで書籍を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・自宅ブラウザを起動
・EndNoteBasicでオプション→プラグインのダウンロード→Windows/Machintosh版のダウンロード→許可→ブラウザ再起動
・ツールバーのボタン「EndNote Web」をクリック
・別ウィンドウでAmazon HPを開く→Alfred Chandlerを検索→特定の書籍を選んでそのページを開く
・ツールバーのボタン「Capture」をクリック
・保存先=EndNote Web、レファレンスタイプ=Bookで保存
・マイレファレンス→追加文献を確認→URLに移動をクリックし、Amazon HPを確認
・メイン図書館のOPACを立ち上げ、EndNotoWebと2つのウィンドウを同時に比較できるように細長く並置する
・メイン図書館のOPACでAlfred Chandlerを検索し、マイレファレンスの書籍が図書館で借出可能か調べる
①メイン図書館に所蔵されている場合、OPACの該当書のURLをCopy→マイレファレンスの該当書のURLにPaste
・マイレファレンスで、メイン図書館蔵書に「オンラインリンク」の追加を確認
・「URLへ移動」をクリックし、メイン図書館OPACページに飛ぶか確認
②メイン図書館に所蔵されていない場合、メイン図書館への図書リクエストで購入を依頼する
※EndNoteWebでの書誌の自動取り込みには楽だが、網羅的な検索にはWebcat Plusの方が先決

3.論文等の検索と保存
3-1.CiNii Artcileから日本語論文を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・CiNii Article→Alfred Chandlerで論文検索
・全件選択→EndNote形式で保存→実行→「CiNii Chandler」(仮)をデスクトップに保存
・EndNote Webで収集→レファレンスのインポート
・このリストをカスタマイズ→「RefMan RIS」をマイリストにコピー
・ファイル=「CiNii Chandler」(仮)、フィルター=RefMan RIS、インポート先=「Chandler」(仮)→インポート
・マイレファレンス→追加文献を確認

3-2.英語データベースから英語論文を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・Web of Knowledge→Alfred Chandler=著者名 OR Alfred Chandler=タイトルで検索する
・すべてチェックし、「EndNote Webに保存」。
・マイレファレンス→追加文献を確認。

3-3.日経BP記事検索サービスや新聞等で記事を探し、検索結果をEndNote Webに保存する
・細長いウィンドウで雑誌・新聞記事検索サービスとEndNote Webを立ち上げ、2つを並べる。
・「新しいレファレンス」にCut&Pasteで書誌を入力する

3-4.WEBページのURLを保存し、論文の参考文献リストとしてスタイルを整える
・自宅パソコンFirefoxのプラグインをダウンロードする(7.Amazon参照)
・Firefoxのツールバーのボタン「Capture」をクリック
・保存先=EndNote Web、レファレンスタイプ=WebPage、Author=作成者名またはWEBサイト名(手打ち入力)、Title=該当ページの個別タイトル(自動記入を添削)、Access Date=閲覧年月日(手打ち入力)、URL=自動記入、Added to the library=自動記入
cf.Title欄は自動記入されるが、そこに作成者名・WEBサイト名が混ざる場合、Author欄にCut&Pasteする。
・マイレファレンス→追加文献を確認→URLに移動をクリックし、元HPを確認
・文献リストの作成で表示を確認→表示のおかしな部分を統一的に添削
cf.Chicago 15th Aでは閲覧年月日が明記されない。

4.文献リストの作成

保存した検索結果の書籍・論文を欧米フォーマットの文献リストにする
・フォーマット→文献リストの作成
・このリストをカスタマイズ→「Chicago 15th A, Chicago 15th B」(例)をマイリストにコピー
・レファレンス=「Chandler」(仮)、書誌スタイル=「Chicago 15th A」、ファイル形式=RTFでプレビュー=印刷
・表示のおかしい項目を見つける→マイレファレンスに戻って入力データを添削
・欧米フォーマットでは書名が『カギカッコ』付にならない→Word論文にCut&Paste後に添削(または書誌スタイル自作?)

※ツールが発達すると、図書館OPACや論文データベース等でキーワードを打ち込むだけで、仕事をしたつもりに勘違いしがちだ。EndNoteWebで文献リストを作るのは、最終到着点ではなく、単なる出発点に過ぎない。留意点が4つある。
専門知識がないと何が的確なキーワードか分からない。闇雲にキーワードを打ち込むだけでは、先入観以上の発展はできない。検索結果の書籍・論文の現物をチェックし、その過不足を検討してから、再びキーワードを試行錯誤しないといけない。的確なキーワードを見つけること自体が、先行研究を検討する重要なプロセスだ。
②文献リストを作るだけでなく、「現物」を手にしないと意味がない。書籍なら前後の書棚を見て、論文なら学術雑誌の目次をざっと見て、機械検索に漏れた掘出物を探すべきだ。そして、一連の書籍群から新しいキーワードを見つけたり、手にした本の巻末の文献リストから必須文献をリストアップしたりして、再び文献リストを作りなおす「往復作業」が大切だ。
機械検索では重要度や優先順位が分からない。そのため、玉石混交の珍妙な文献リストを引用するレポートが増えている。検索語にはドンピシャにヒットしたとしても良書とは限らない。機械操作の技術よりも、良書を選別できる「眼と足」が大切なのだ。
④良書を発見するには、本の巻頭と巻末をチェックし、以下をチェックする。
-出版社:一流出版社の名前(岩波書店など)とその方向性(大月・青木ならマルクス主義など)を覚えておくべきだ。
-出版年:古典なら古くても良いが、先行研究を手早く把握するには最新刊(2000年以後)が望ましい。
-該当分野の巨匠:巻末の著者紹介、訳者解説等をチェック。
-該当分野の基本書:複数書の巻末の文献リストをチェックし、そこで重複する基本書を抑える。

テーマ : 研究者の生活
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : EndNote 書籍 論文

出版社PR誌の魅力

出版社のPR誌が熱い。書店のレジの横で無料配布しているA5版の薄い小冊子だ。書評誌、論壇誌、エッセイ集、文芸誌として面白い。「なるほど!」と感心するような発見や「暴走」もある。一般的なリストは、「タダの本・100円の本」(Tojosの晴耕雨読)が充実しているが、趣味は個人ごとに違う。私自身は理系・学術系が混ざり、「何かためになった」と新発見や刺激が頭に残るものが好みだ。以下は試行錯誤中の個人的なランキングだ。

1. 出版社PR誌の魅力1:一般論

・執筆者はその出版社の常連陣で一流が揃う。
・気軽な番外編・裏話もあるが、同業界人の視線を意識するので、品質が落ちない。
・書店で無料配布している。Amazon全盛時代だからこそ、書店に足を運ぶ喜びや動機付けが増える。
・薄くて持ち運びしやすい。記事1本が短くて細切れ時間に読みやすい。
・千円強の年間購読料を払うだけで、書店での早い者勝ち競争を避け、自宅に郵送してくれる。
・年間購読料が千円ならば月刊雑誌1冊分、複数購読しても単行本1冊分だ。
・読まずに捨てたり、注目ページだけ破っても、惜しくない。
・専門外の話を飛ばし読みするうちに、新たな関心が掘り起こされることがある。


2.出版社PR誌の魅力2:個人的な好み

・Google検索で誰もがいつでも同じように得られる情報は、もはや無価値だ。
・WEBにはもうウンザリだ。EmailやSNSは最小限で十分だ。
・ニュースは、WEBもTVも新聞も、反復が多く時間泥棒だ。
・ネットサーフィンは、過去の関心を反復するか、連想できる範囲内で少しずらすだけだ。
・iPadに齧りつく人は、時間つぶしの惰性か中毒ではないか。
・隙間時間こそ、知的集中力を発揮できる貴重な時間だ。
・短文は気負わなくて良いので、取っ付きやすい。
・一流の執筆陣は、ぶっちゃけ話・余談・小話も知的に刺激的だ。
・移動時間が長いときに何冊か持参して、読んだものから捨てると、軽くなって達成感もある。
・文系・理系・時事系・サブカル系が混ざって隣り合うものが理想的。
・小説は雑誌連載を読むより自分で厳選したい。


エンターテイメントとしての出版社PR誌

筑摩書房『ちくま』(月刊)
一流の知識人が、主要業績での重厚な印象に反し、洒脱・剽軽な一面を見せてくれる。明るく愉快な雑誌。短い文章で読者を「ニヤッ」とさせ、ついついページが進む。原稿を書き終えた後の執筆者が、作家仲間や編集者を相手にしながら楽しく放談している感じがする。書店でも入手できたが、年間購読料千円を払った。

スタジオジブリ『熱風』(季刊)
執筆者や内容は、ジブリ・アニメに限定しない。サブカルチャーに幅広く目配りする珍しいPR誌。大げさに言えば、現代日本(Cool Japan)発の「カルチュラル・スタディーズ」の最前線で、欧米バーミンガム学派の向こうを張る。年間購読は2千円とやや高めだが、商業誌にも類例が少ないので、好きな人にはその価値があると思う。紀伊国屋書店でも入手できたが、年間購読した。

紀伊国屋書店『scripta』(季刊)
多彩なジャンル・出版社を話題にする。紀伊国屋ホールと同様、文化を支える心意気を感じる。採算度外視で、販売促進などの狭量は見られない。たとえば、大竹伸朗のスクラップブックが絶賛されていたが、地方出版社が100部限定で手作りする自主流通の画集だ。年間購読できないので、紀伊国屋書店に行く必要があるが、なぜかそれ以外の書店でも発見することがある。一部WEB化されているが、それで満足せず書店に足を運ぶ醍醐味として、冊子を見かけたら是非入手する価値がある。

飛騨産業株式会社『飛騨』
家具メーカーや賛同者が「飛騨文化」を全国発信する。高層ビル街のジュンク堂書店で発見した。「なぜここで飛騨が?」と無料配布をいぶかりながら持ち帰った。田舎同人誌と侮るなかれ。開けてビックリ! 19世紀の仏書のような装丁で、封筒から出して、ページをペーパーナイフで切り開き、紙の原初的な手触りを思い出す。no.4は出久根達郎の小説「飛い騨ん爺」が中心。飛騨から新島へ流刑にされた上木甚兵衛が主人公だが、写真挿絵のために現地ロケまで行う凝りようだ。「キツツキ・ムービー・ギャラリー」で小冊子『飛驒』no.4メイキング動画を見られる。アンケート回答者にはオマケまでつく。初期購読者は、何と専用の木製ペーパーナイフや木製保存箱がもらえたようだ。詳細は冊子を読んでからのお楽しみ。グローバル・ネット時代に対抗し、地域と木・紙にこだわってここまでやれる。

アカデミックな出版社PR誌

東京大学出版会『UP』(月刊)
学際性はピカイチ。理系図書と文系図書を対等に扱う大学出版会ゆえの強みだ。東大系執筆陣の安定感は言うまでもない。東大関係者の視線を意識しながら書いているので、一般対象の短文とはいえ内容に隙がない。丸善書店等でよく見かけるが、年間購読料千円を払った。


丸善『學燈』(季刊)
文系・理系の一流執筆陣がバランスよく厳選されている。必ず理系を組み込むのは『UP』と並び希少だ。創刊1897年で日本最古のPR誌らしい。初代編集長が内田魯庵、執筆者に坪内逍遙や夏目漱石がいたとは恐れ入る。編集方針は販促とは無縁で誇り高い。ただ、書店でも見かけず、丸善・ジュンク堂合併後の2012年から季刊になったのは、気になる。『書標』と合体させず品質を保つためにも、読者が年間購読(千円)で応援するしかないと思う。

有斐閣『書斎の窓』(月刊)
ゼミの先生が新入生に語りかけてくれる感じで、東大法学部に入学した気分になれる。法学部教授は意外に親切で率直だ。専門書と異なり短文でざっくり総括するため、ときに「おおっ」と驚くほど一刀両断で歯切れが良い。次世代への助言は人間味があって温かい。たとえば労働法の連載も大胆だったが、書籍化に対する辛口書評「著者に諫言する」は痛快で爆笑した。「リレー連載・国際法」も、外国語で共有しないと実用にならない国際法を、日本語で教育学習するジレンマをぶっちゃっける。鉄道刑法などは、99%鉄オタのマニアックな世界だが、こういう新領域も新発見だ。私は完全な門外漢だが、PR誌で紹介された法学書を書店でつい手に取った。実物の法学書はPR誌ほど読みやすくないのが、個人的に悔しいところだ。が、専門書PR誌として知る人ぞ知る成功例だと思う。

未来社『未来』
知的水準とセンスが高く、清々しい透明感がある。美しい文体が多く、各稿に論文のように脚注がついている。書籍化を前提にした短編の論考が多いようだ。本だったら身構えて手に取らないものも、数ページだから読んでしまう。「へー、このジャンルも意外に楽しい」と発見する。万人受けはしないだろうが、私は好き。書店でも入手できたが、年間購読料1200円を払った。


高級教養誌としての老舗PR誌

岩波書店『図書』(月刊)
著者が一流で、掲載文の質が高い。書店で入手しやすいが、年間購読料千円を払った。

講談社『本』(月刊)
高級教養誌。好みの問題だが、ときどき気になるタイトル・著者が並ぶ。三省堂書店で入手した。年間購読料は900円。

朝日新聞社『一冊の本』(月刊)
専門系・時事系・文学系のバランスが良い。幅広く受け入れられると思う。書店で見かけない。年間購読料は千円。

みすず書房『みすず』(月刊)
文芸誌不振・書籍離れの厳しい出版事情の中、有料誌とPR誌の中間を選んだのだと思う。表紙から中身まで高質で、連載記事は書籍化するようだ。1-2月合併号は「読書アンケート特集」。山関係の連載が複数あることにも食指が動くが、登山ブームのある中高年向きか。書店では見かけないが、年間購読領3,780円にも不満はない。が、同額で他社PR誌を複数購読できると考え二の足を踏むのは、私の意識が低いだけか。


書籍リストとして優れた出版社PR誌

歴史書懇話会『歴史書通信』(季刊)
各種学会賞・出版賞の「受賞図書」一覧が便利。HPでもPDFでダウンロードできる。書店で入手できた。

大学出版部協会『大学出版』(季刊)
全国の大学出版部が協力して、面白い特集を企画する。たとえばNo.93(2013年1月)では、2ページ見開きで各大学出版社の代表的な本を書評した。書籍と評者の選択が良質。とくに所属大学以外の専門家が書評しているのは信頼感があった。HPでもダウンロードできる。他にHPの受賞図書一覧は参考になる。書店で入手できた。

アジア本の会『全点リスト』(年刊)
国別の整理が便利。HPでも全点リストを検索できる。書店で入手できた。

極東書店『極東書店ニュース』(月刊)
出版社ではなく書店の発行。洋書を良く読む日本人には必須。刊行前の新書や高額古書を含め、主要な洋書を整理する。注目書籍には書名を邦訳し、簡単な説明を加える。英書中心だが独仏書も充実。


手に取ったことのある他の出版社PR誌


世界思想社『世界思想』(年刊)
毎年、時機に合った特集テーマを組んで一流の執筆陣から原稿を集めている。人文社会科学系の高級教養PR誌。この充実ぶりで無料(送料含)とは良心的で、いずれ何か買わないと申し訳ないような気持ちになる。

笠間書店『リポート笠間』(年刊)
日本語学・日本文学を古代から現代まで網羅。特集・対談はもちろん、時代別の学会時評まであり、PR誌というより学会誌に近い(『史学雑誌』の『回顧と展望』とか)。分厚いのに無料で驚く。書店で入手できた。

日本児童図書出版協会『こどもの本』(月刊)
文章説明を読むだけでは分からないので、実物を見たくなる。別冊は書店で入手できた。

創文社『季刊創文』(季刊)
薄い。やや間口が狭いか。書店で入手できた。

ジュンク堂書店『書標(ほんのしるべ)』(月刊)
ジュンク堂書店HPからダウンロードできる。特集がツボにハマれば面白いかも。たとえば2013年1月号では、「想像を超える奇妙な生命」特集で、「いるかもしれない生物」、「へんないきもの」、「ふしぎな植物」、「ちいさなものの世界へ」と、各項目でマニアックな書籍を分類紹介している。紹介される表紙写真が揃いも揃って気持ち悪いのが逆に爽快。私の行きつけのジュンク堂は、他の大型書店より書棚構成の自己主張が見劣りするが、このPR誌はその店頭よりも選書の趣味が良い。

ダイヤモンド社『経』(月刊)
『週刊ダイヤモンド』のスピンアウトのような経済系PR誌。ページ数が少なく薄い。『日本経済新聞』を毎日買うビジネスパーソンなら、日経の「やさしい経済教室」や特集・解説記事や書評をきちんと読む方が優先すると思う。新聞を読まない人には良いのかも。紀伊国屋書店で入手できた。

小学館『きらら』(月刊)
デザインも製本も凝っている。ライトノベル系の連載小説が多いようだが、携帯小説より上質なはずだ。書店で入手できた。

ポプラ社『astra』(月刊)
小説が充実している。ポプラ社刊行の小説が好きなら向くはず。読書歴を自分の好みで厳選する人には向かない。書店で入手できた。

白水社・みすず書房・東京大学出版会『レビュー合戦ー『パブリッシャーズ・レビュー』発刊記念』
編集者が他社の書評を行う異例な実験。レビュー合戦は1回限りとせず、今後もたまにやって欲しい。なお、『パブリッシャーズ・レビュー』そのものは、地味な書籍紹介の新聞風だが、無料だから贅沢は言わない。書店で入手できた。

春秋社『春秋』
「タダの本・100円の本」(Tojosの晴耕雨読)の紹介を見て、書店で探しているがまだ見たことはない。WEBで目次を見る限り思想系が強く、特集が専門の仏教に限定せず幅広いが、私の無知で執筆陣に馴染みがないので定期購読(800円)に至らない。

テーマ : 雑誌(既刊〜新創刊)
ジャンル : 本・雑誌

Kindle Paperwhite Review - iPad miniなんかいらない

日本語Amazon.co.jpのKindle Whitepaper 3Gが実に良い。Amazonの日本上陸年として、2012年は電子書籍元年と言える。楽天KoboやiPad mini、Nexus7など、競争相手も揃った。Kindleは、E-Inkの7インチを特徴に、Kindle第1世代(2007年)、Kindle第2世代(2009年)、Kndle第3世代=Kindle Keyboard(2010年)、Kindle第4世代(2011年)、Kindle Touch(2011年)、Kindle Paperwhite(2012年)と順調に進化してきた。加えて、激安AndroidのKindle Fire HD(2012年)、10インチE-InkのKindle DX(2009年)という別系列がある。

Amazon Kindle DX入門Amazon Kindleと他メディアの使い分けProject Gutenbergで英書を読む発展途上の日本語電子書籍iPadなんかいらないモバイル読書Google Booksの衝撃は別記した。私自身は、Kindle DX、Kindle Touchと米国版を使い続け、日本版Kindle Paperwhiteは3台目だ。

1. Kindle Paperwhiteの長所

・日本語Kindleストア開始! 長期的に不動の優位。
・Kindleストアで購入した書籍はクラウド上に半永久保存。
・複数デバイス/OSで購入書籍・既読過程・マークを同期。
・8週間、充電せずに電源が持つ。
・軽い、薄い、持ちやすい、読みやすい。
・安い。保護・持参・故障・紛失に気を使わない。
・3GはKindleストアとWikipediaへの3G接続が無料。
・ページ送り、手触り、反応が改善。
・WifiのWEBブラウジングもまずまず。携帯が電源切れしたときの予備に安心。
・バックライト付なのでベッドサイドにも最適。

2. Kindle Paperwhite 3Gの短所

・本当に読みたい本は、まだ日本語Kindleストアにない。
・日本語Kindle書籍は高価。価格がほぼ同じなら紙の方が良い。
・専門書・教科書には向かない。速読や逆戻りが苦手。
・新聞・雑誌には向かない。一覧や飛ばし読みが苦手。
・A4版論文等には向かない。図表が苦手。
・PDFリーダーには向かない。容量が2GBに減った。
・iPadの代替にはならない。WEBブラウジングは遅い。
・音楽再生機能が消えた。
・Kindle DXのような無料3Gブラウジングはできなくなった。
・2013年1月時点ではPCやMACでKindle書籍を読めない。

3. 他のデバイスとの使い分け

・Wifiモデルは激安。3Gモデルは5千円差の価値を感じるか否か。
・3Gのメールチェックや簡単なブラウジングはスマホが良い。
・カメラや音楽プレーヤー、文書入力は専用デバイスが良い。
・専門書・教科書・新聞・雑誌は紙媒体が良い。
・電子書籍はKindleストアのみに集中させるのが無難。
・青空文庫・Gutenberg等もKindleで読むのが良い。
・A4版論文PDFは、PC+Endnoteが良い。
・全部兼ねたいならiPad/Nexus/Kindle HDをどうぞ。
・iPadの価格や保護ケース等に悩むくらいなら手軽にKindleを。

4.[注意] 日本語Kindleストアと英語Kindleストア

日本語Kindleストアと英語KindleストアでIDを別にした方が良い。日本語Kindleストアと英語Kindleストアは、同じEmailアドレスを登録していると、IDが統合される。しかし、日本語Kindleストアでは、英語専門書や独仏書が足りない。私は日本語Kindleストア購入書はKindle Paperwhite、英語Kindleストア購入書はKindle Touchで、IDとを別々に設定している。
・日本語版Kindle Paperwhiteでは、日本語Kindleストアも英語Kindleストアも、ログインIDを切り替えれば使えるようだ。しかし、端末保存した書籍がどうなるか試していない。他方、Paperwhite以前のグローバル販売機種では、日本語Kindleストアは使えないようだ。

4. 結論

・複数の本を並行して読む人にはKindle Paperwhite 3Gは良い。逆に、「あれ、今週は1冊も本を読んでいないな」という人には必要ない。
・重い本を複数持ち歩くよりKindleの方が軽い。しかし、読み飛ばしや逆戻り、一覧性など、従来通りの紙の方が長所が多い。
・Kindlleは読書専用だ。WEBブラウジングやゲームが必須なら、iPadやNexusの方が良い。ただ、私の場合、WEBチェックはPCやスマホだけで腹一杯だ。iPadを1台買うより、同じ予算で最新のKindle4台を1年おきに買い換える方が合理的だ。当然、ケースや保護シートも買わず、裸で使い潰す。
・PDFリーダーとしては、Kindle DX(2009年)の後継機種となる10インチ版の再登場を待ちたい。

テーマ : 電子書籍
ジャンル : 本・雑誌

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terry75014

Author:terry75014
仏米英生活10余年、海外大学院卒。海外渡航・留学助言は各数10ヶ国。ここでは一個人の立場で独断と偏見を書きます。テリーと呼んで下さい。

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